ある程度上まで行くと、会計のことが分かっていないと駄目


第143回 USCPA CMレポート  ~企業経理マンのキャリアアップ特集!

実施日: 2018年3月24日(土)

【Guest】 フトッシーさん

USCPAゲスト紹介

フトッシーさん USCPA


大学卒業後、就職氷河期の中、地元の化学繊維工場に拾われ、原価計算、固定資産管理、会社法決算など国内非上場会社の単体経理業務を経験する。
その後、経験できる業務の幅に限界を感じ、3年半後に現在の会社へ転職し、上場会社の本社経理担当として、連結決算・開示実務や、米国子会社経理のサポート業務(長期出張含む)などを経験。
2010年頃に日本でIFRS強制適用が騒がれた際に導入準備を担当し、会計のグローバル化を肌で感じる。
結局、会社のIFRS導入は一旦ストップとなるも、今後のキャリアップを見据えUSCPAの取得を決意。勉強開始からライセンス取得まで約3年半掛かったが、勉強期間を通じ、経理業務だけでなくビジネス全般に対する視野の広がりを徐々に実感出来た。
名刺にUSCPAを追加し、外部から一定の信頼を得られることも実感。現在は、マネージャーとして単体決算・国内税務申告のとりまとめ、最近ではBEPS対応など国際税務に注力。
経理マンキャリア20年。

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Q&A

社内にはUSCPAを持っている方はいらっしゃいますか?

合格した人はいますが、ライセンスまでは取っていませんね。2人ぐらいですかね。

フトッシーさんの他に2人ですか。

日本では、他にもう1人です。ただ海外で働いている人は、みんな持っているといいますか、現地人のマネジャーなどですと普通に持っているという感じです。

USCPAを持っていることでステータスになるということもありますか?

向こうの人にとっては本当に持っていて当たりなので、「ふーん」という感じです(笑)。

一同:(笑)。

その人たちは仕事を始める前提で、卒業してすぐに取ってしまうという感じだと思いますので、本当に持っていて当たり前のような感じでした。ただ日本で言うとまだ希少価値が高いと思いますね。

管理部門で海外に長期出張されてのサポートというのは、実務的にはどういうことをされるのでしょうか?

向こうの細かいことをやるのではなくて、現地に子会社が3つも4つもあるので、その連結の作業をします。連結したアメリカの連結財務諸表を作って、日本に送って、日本ではアメリカやヨーロッパの財務諸表とくっ付けて、会社全体の連結財務諸表を完成させます。

実際にそこの作り込む作業を向こうのスタッフと一緒に行なうということですか?

そういうことですね。

それは、電話やメールでのコミュニケーションだけでは足りない部分でなのか、上のマネージャー的なポジションで出張に行かれるのかどちらなのでしょうか?

いろいろです。私は出張でしたが、駐在に行っている者はもっときちんとマネジャーをやっていて。管理会計とか監査対応であるとかをやっています。私はそのサポートだったので、そのレポートがメインになります。向こうの会計システムを使わないといけないので、出張に行っていた、ということになります。

日本人の方で、完全に向こうに転勤で行ってしまっている人もいるということですか?

ええ、そうですね。だいたい3年とか6年とか、ですかね。

フトッシーさんは、そうした何年間という単位では行ってないのですか?

そうですね。たまたまチャンスがありませんでした。
行く巡り合わせがあればそういうこともあったと思いますし、これからも行く可能性はあります。

駐在になっている方はどれぐらいいらっしゃるのですか。

数で言うと、今、25人ぐらいのメンバーですけれども、そのうち常時2人ぐらいですかね。

今は、経理も財務も兼ねている部署ということですか。

うちは少し不思議で、昔は主計の部門と財務の部門というのがあったのですが、今は財務というグループに、シンプルにしてしまっています。「経理」という部門がなくなりました。

私はまだ経理の仕事しかやったことがないのですけれども、やはり財務と経理を両方経験することによって、より知識の幅が広がるということもかなりありますか?

そうですね。財務というのは、現金を扱うところで、会社にとって当然、「お金」は非常に重要なわけで、銀行との窓口になりますから、そこは非常に要となりますよね。

私はあまり直接にはやっていなくて、最初に入った会社では預金の取り扱いなどをやっていましたけれども、今はあまり経験していません。

ただ銀行相手に何億を借りるとか社債を発行するとか、そういう話というのは、やはり会社の運営の根幹に関わってくるので非常に重要です。ただそれを知っておかないと、やはり上の人間にはなれないですよね。

USCPAの資格だと、財務寄りというよりは、やはり会計に近いので、そちらのほうに役立つというイメージですよね。

そちら向きですね。お金を幾らの利率で借りるなどというのは勉強の中にもあると思うので、社債などの問題になりやすいですけど、実際にそういう価格が幾らだとか利息が幾らだとかというのは、勉強をしている間に感覚はつかめます。

携わっていない仕事ですけれども、その人たちが何をやっているかが分かるというのは、やはり勉強したおかげだと思います。

英語というところでは、社内でも普段からお仕事の中で、使われているような感じですか?

あまり使わないですね。ただ海外のスタッフとは、メールでやらざるを得ないので、という程度ですかね。

今、勉強していて、学んだ単語とかフレーズを、資格を取った後に仕事の中でも使えるようになるのかなという、そういうイメージがあったのですけれども。

勉強しながらIFRSの導入に携わっていたので、海外にたくさん質問をする機会があったのですが、そのときは覚えた単語というか会計用語というか、そういうものや、問題に出てくるような質問の言い回しなどを何となく覚えていて、そのまま使えたという実感はありましたね。

IFRSの導入に関して、私の会社も一回、頓挫したのですが、このプロジェクトで一番、大変だったところ、あと資格が活きたところがあれば教えていただけますか。

コンサルをお願いして、助言を頂きながらやっていたのですが、うちに来ている監査法人に兼務して貰ったんです。

その狙いというのは、要はIFRSベースで作った会計基準が監査法人と一緒に作っていれば、後々、チェックされるときに文句を言われないだろうと思ったんですよね。でも、それが結構、細かくて(笑)。
重箱の隅をつつくような基準でやってしまって、本当はそのようなことではなくて、もっと基準などはシンプルにやっていけばいいところを、頭でっかちになってしまって、あまりうまく進まなかったのです。そこはきつかったですね。

その時にUSCPAが活きたかというと、そのときはまだあまり勉強が進んでいなくて、どちらかというとその後ぐらいに必要性を感じるようになりましたね。変な話ですけれども、一旦、IFRS導入をリセットしたので、勉強をスタートしやすいということで始めました。

一応、その後、もう一回IFRSにトライしようとしたのですが、そのときは学習したことが役に立って、例えば原文の基準書を、読めば分かりましたし、日本よりかはUSGAAPは近いというか、考え方に通ずるところがあるので、非常に入りやすかったです。

今、働かれている会社では、例えば営業部署にいたけれども、いきなり経理に来ているとか、そうしたドラスティックな異動はありますか?

何人かいますね。そもそも我々のトップのCFOが営業から来た人です。もともと営業でアメリカに駐在して、そこで経理を覚えて帰ってきたという人が、部門のトップにいます。それ以外は、基本はもともと経理の人が多いですね。

ずっと経理でいらっしゃったということですが、今までのキャリアを振り返ってみて、少しは営業にいたほうがよかったとか、現場にいればよかったと思ったことはありますか。

時々ありますね。一応、事業部も兼務していた事があったのですが、うちは事業部がそれほど多くなくて、大きく分けて2つぐらいしかないのですが、そのうちの片方の事業部にはいたのですが、もう片方にも行けばよかったかなとは少し思います。

事業部にいたときは、より現場目線というか、しっかりとコストを見て……。

そうです。こういう資料を出せと言っていた側が、出せと言われるという、両側のような感じですね。

基本的には、希望者が、「経理行きたいんです」と言えば異動させてくれるという感じですか。

そうですね。社内フリーエージェントのようなものがあります。手を挙げて異動していく人もいますし、先日もあったのですが、事業部で兼務している人が引き抜かれていくということもあります。やはり経理という仕事をしていると、いろいろなところへ目線がいくので、それは事業部に行っても活躍できるのだと思いますね。

私は営業が強めの会社にいるのですが、コストなどについては、上からも言われなかったですし、正直、そこまで深く掘り下げていませんでした。上の人というのは、そういう営業で活躍してきた人がやはり偉くなっているっていうのが、弊社の風潮という感じなんですよね。

管理部門を通って行ったほうが絶対にいいと思いますね。営業でずっときている人とは話が通じない時もありますし、ある程度上まで行くと、会計のことが分かっていないと駄目ですよね。

やはりそうですね。

それは重要だと思いますね。

営業部署とぶつかったときには、どういうふうにコミュニケーションを取られていたのですか。

呼び付けて指導するのですけれど(笑)

一同:(笑)。

そういう立場なので、「これでは困る」と言わないといけないですよね。

営業部門との話し合いというところで、やはり営業というか事業のほうのルールが勝ってしまって、どうしてもそのやり方しかできなくて、リスクの少ない方法を取っていかざるを得ないというような、そういう状況もやはりあるのでしょうね。

あると思います(笑)。

そのときの折り合いの付け方ではないですけれども、普段、少し感じているところなのですが、勝った、負けたというよりかは、社内の中でよりリスクの少ない方法しか取れないという、そういう状況もやはりあるかなと思っていますが。

やり方ですかね。この契約を結んでよいかっていう。

僕は税金担当でもあるので、税務上のリスクがあれば、「こういうリスクがある」と、きちんと言って、それが分かった上で、会社として利益があるのであれば、それを理解した上でやってくれという言い方をします。

昨今、働き方改革といわれていて、私もそういう風潮になる前は月100時間は働いていたのですが、今はさすがにそれもなくなって、削減をされてきたのですけれども。
それによって業務のできる量に縛りができるというか、どうしても分量が減ってしまったりとか、クオリティーがあまり落ちてはいけないのですけれども仕方がない部分もあったりということで、そもそも仕事の在り方というものが変わってきているのですけれども、そういった傾向というのはありますか。

ありますね。流行りではないですけれども、残業するなっていう流れが無くはないです。何も言わないとずるずると妥協してしまうという傾向は人間にはあるので、そこはしっかりと管理して。それはいったん第一次でやって、今はそれが限界に来ていて、本当に働き方改革をしなくてはいけないというのは、恐らく、業務のプロセスなどもきちんと見直してですね。

あとキーはうちの場合、RPAということがありますが、そういうものを入れたりして省力化をしていかないといけないと思います。

ただ日々、経理の業務というのはぐるぐると回っているので、そこに自分たちでプロセスを変えていこうというのはなかなか進まなくて、そこは少し外部の力を借りてやっていこうかと考えています。

働き方改革というのを、皆さん、どこもやっているんですね。やらざるを得ないと言って良いのかもしれませんけど。

私の会社は派遣会社なのですが、在宅勤務を経理でも入れられないかというのを研究しています。研究というのは、書類を持って帰れないだとか、機密事項の保護というところで、どうできるかというのはまだ全然見通しも立ってはいないのですけれども。
まずはパソコンであったりとかチャットだとかのコミュニケーションツールをそろえて、その後でそういった書類の扱いをどうするか、そのPFなどいろいろなやり方はありますし、本当にこれは全部が全部、均一で外に一歩も持ち出してはいけないのかとか、そういう文書のレベルを決めたりだとか、いろいろと考えることがあります。
在宅だと自分であれば通勤時間が減ったりとか、あとはお母さんで働いてらっしゃる方は家にいられたりというメリットはありますけれども、なかなか実現となると難しいですね。

在宅は確かに業務によりますよね。何もかも在宅ではできないですから。

私の会社などでは、結構、若手ぐらいまでは賛同が多いのですが、やはり上の人、部長クラスの人は、「君たち、そんな時間管理できるの?」という感じです。フレックスなども本当はやりたいけども、むしろ逆行していて、うちの会社では営業部署のほうがフレックスを取り入れたりしています。経理のほうがまさにフレックスを取り入れるべきだと僕は思うのですけれども。

海外に子会社がある日本企業では、海外の人たちにしてみたら、働き方改革で、「残業できなくなりました」と言っても、今までは23時から会議ができたのにできなくなって、「それはそれでこっちは困るんだけど」といったようなことになりませんかね?

地域や時差にもよりますよね。私の会社ですと、海外とテレコンして例えば0時になってしまうという人にはフレックスを認めるなど、部門としては認めていないのですが一部には認めるということはやっています。ですので部門の中でまた差があって、それを認められていない人は、定時を過ぎたらもう遅刻扱いになってしまうのですが、一律でなしとすると、確かに海外からすると、だいぶやりづらいと思います。

経理は、フレックス制があったほうがいいですね。ただどちらかというと月の中でのフレックスというか、月単位で、「この月は休みたい」という形があるといいと思いますね。

確かにそうですね。
実際の話、暇なときは本当に暇過ぎて、僕は営業から来たので、これでいいのかなとたまに思います。今まではずっとメールや電話に追われていたのですが、それはそれで違うなという感じがします。部下の方が何人かいらっしゃると思うのですけれども、USCPAを勧めたりということは特にありませんか。

ふわっとは言っていますね。

一同:(笑)。

割とグローバルな企業なので、採用する人間も結構グローバル志向を持った人間が多くて、最近は海外の大学を卒業した人を採ってきてます。

ちょうど今の部下もそうなのですが、別に簿記などをやっているのではなくて、海外の大学で会計を勉強しましたという感じで、どうせ英語ができるのだから、「ステップの中で受けるといいよ」と伝えています。

USCPAを持っていると、どこまでを知っているかというのも分かりますし、うちの会社ではフィットするので、ぜひ取るといいのかなと思いますね。

新卒の方でも、既にUSCPAを取って入ってくるという人はいますか。

向こうの大学だと、卒業するときに、その一歩先ぐらいにUSCPAを取るというイメージがあるので、その流れで戻ってくると自然に取ってしまう感じではあります。ただもともと英語ができる人間、もう完全に英語ができる人が来るので、そこはありがたいですね。

普段のお仕事をもう少し落とし込んで具体的に聞ければと思うのですが。

月初は月次の決算をやっているので、最初の1週間ぐらいはそれです。その後はというと、いろいろ特殊なことをやっています。

今ですとBEPSという、来週、出さないといけないのですが、そういう取りまとめをやったりしています。あと税金関係が多くて、特殊な宿題があるので、それをやったり。あとは四半期ごとに決算がやってくるので、そこは毎月のものと似てはいるのですけれども、開示につなげなくてはいけないというところでプラスアルファの仕事はありますね。

今ですと、まさに4月、決算ですけれども、その後の税務申告につながっていくという流れです。

BEPSはちょうど日本というか、世界の動きで、書類を国税庁に出さなくてはいけないので、今、やっているところです。今、国税庁にそのデータを出すと、各国にそれは拡散するという……。

一同:(笑)。

それを今、やっています。国際税務という分野ですね。それは義務のような、ルールどおりにやっていくというところです。

ただそういうところに携わっているので、先ほどの国をまたいだ契約のときに、どのような値段で売ったらいいのかとか、どちらに課税所得がいくかというところで、国の取り合いになるのですけれども、そこがきちんとした価格になっているか、価格建てをきちんと説明できるようになっているかというチェックを契約書の上でするのです。

先ほどリスクと言っていたのは、まさに今、そういうリスクばかりというか、それが多いですね。

どの国で開発をやってもらうかあるのですが、そういうときに、では日本にこれだけ利益入れるという契約になって、その利益がきちんとしているか、多過ぎないか少ないかというところの判断もしなくてはなりません。国税などの調査が入ると、そういうところを見てきて、「日本に利益が落ちていないんじゃないですか」というような指摘が来るので、それに備えてやっています。

それはUSCPAのREGの勉強も税務関係のお仕事に活きていますか?

それはどうでしょうかね(笑)。
でも、考え方は一緒というか、所得があって、それに税率がかかって、税金が計算されますという、そこさえ分かっておけば、世界でも考え方は共通なので大丈夫です、と言いたいですね。意外にそのようなことも経理でない人は分かっていないというか、「税金って何?」ということもあるので。

コンサルや税理士法人などが入って、一緒にやっているのですか。

やっていますね。今、言ったこの利益の適正化というのはやはり第三者に入って作ってもらわないと……、まずは自社の判断かもしれないですけれども、ある程度、客観的に判定してもらってという体にしたほうがいいですよね。

お仕事をされていてUSCPAでやっていた学習で一番役に立った科目はどの科目でしょうか?

会計の部分は、それは経験として大体知っていた的なところがあったりするのですが、若干知らない部分や、忘れている部分、取り扱わない部分などがあったので、FARを勉強したおかげで分かったことや、すごく復習になったというのはたくさんありました。

特に税効果会計の部分は難しく考えていたのですが、勉強をしていくうちにものすごくシンプルに考えられるようになったというのは実感していて、そういう意味ですごく役に立ったとは思いますね。

あとAUDITのところは、ずっと経理畑で監査を受ける側なので、向こう側がどういう基準に基づいてやってきているのか、「こういったルールでサンプリングをしているから、こんなにたくさん聞いてくるんだな」というのは何となく分かるようになりました。

REGについては、申告書自体が少し違うので、感覚は一緒ですけれども、直接はあまり役に立っていないというか、ただ時々向こうの申告書を見ることがあるので、そういう時に思い出したりすることはありますね。

合格後に社内での評価というか、自分の見られ方などの変化については実感などありましたか?

どういうレベル感なのかが分かっている人と分かっていない人がいて、それほど難しくはないだろうと思っている人もいれば、すごいなと思っている人もいるとは思います。ただ自分で思うのは、色々な事をきちんと発言できるようになったと思っているので、USCPAを取得したとかは関係なしに「まともなことを言うようになってきたな」と思われていることは感じました。

今の話を聞いて、やはりしっかり勉強して合格すれば、やはり幅が広がるのかなというイメージが何となくあったのですけれども。

幅は広がると思いますね。

具体的に、何か待遇面が変わったということはありませんか。

何となくですけれども、国際業務ですとか、英語に関わる部分の仕事はおりてくるようになったと思います。資格を取ったから昇進したというより、その資格をきちんと活用して、仕事に活かしているから昇進したということは確かにありますね。

名刺に肩書として入れたりはするのですか。

先程、名刺交換をしたら、しっかり入っていました(笑)

一同:(笑)。

社内の外国人比率はわかりますか?

従業員は全世界で4,500名くらいいます。その3分の2が外国人で、日本人は3分の1です。子会社を含めて80社ぐらいありますね。日本の会社は10社ぐらいで、あとは全部海外の会社です。売り上げの7〜8割はもう日本以外の地域で売っているというような、どちらかというと海外色の強い会社ですね。

そんな80社の本社で、20、30人のレベルの人数で今、経理を回しているというところで、会社の中で財務で資金を扱う部分と外形で管理会計のところの財務会計をやっていて、連結、単独という部分で単独のほうを束ねているということです。

キャリア的には最初、若いときに単独に入って、連結のほうに回って、帰ってきているという状況です。会社がたくさんあるわりに、経理の人はそれほど多くはないので、経理の中でいろいろと仕事をする必要がありますし、海外にもたくさん子会社があるという意味ではまさに勉強していることをすぐに役に立てられる環境ではあるので、仕事としては面白いですね。

どういった時に面白いと感じますか。

いろいろなことができているということが面白いですけど、たまたま本社にいて、本社が上場しているので開示の業務があって、そこではまさに簿記やFARなどで勉強していて教科書に出ているようなことが普通に仕事として一通りできているということですね。

最初、小さい会社に入ったときには、そういったことができなかったので、そういう意味では今のところではいろいろなことができるということで、教科書に「このような処理のときはこうやる」と書いてあったことが、現場で実際に起こるというのが面白いです。

実践するときに、「これあったな」ということが起こるのですね。

そうです。子会社にいる場合は、連結財務諸表を作りますし、外部へレポートをすることなどないので、そういう意味では経理の仕事をする上では恵まれていると思っています。税務署の調査などもやってきましたしね。

ただ最近は、経理の仕事というよりは、「会社のビジネスがどう廻っているのか」「どういう方向に持っていかないとまずいか」という視点で見なければいけないことが多くなってきたので、その辺りは、より楽しくなってきましたね。

大きいプロジェクトなどになると、部署を横断的に行なっていたと思うのですが、どのようにやっていたかイメージだけでも何か教えていただけますか。

M&Aなどのときには、デューデリジェンスというか、そういうものを経理目線で携わったりしますね。
会社を増やしたり、くっ付けたりということが、多々あるので、そういったことは面白いですよね。

私は経理へ移動になって、いきなり連結決算などをやることになったのですが、単体を経験していないので戸惑うことが多くて、その辺り、単体、連結、単体と戻ってこられたという話があったのですが。

単体を経験していないと悩みますよね。確かに王道は単体をやって連結をやったほうが正しいのですけれども、でも連結のほうが、あれはパズルみたいなもので、足して引くというだけなので、そうだと思い込めばそれほど難しくはないのではないかと思います。

やった気にはなるのですけれども、本当に理解は出来ていないという感じです。

多分、深くやっていないから、当初はそう思うかもしれないですけれども、それで多分大丈夫だと思います。本気で細かくやろうと考えるのではなくて、投資家から見て、この会社がどういう会社だとわかる数字ができれば良いわけなので。

それを見る人が判断を誤らない程度のものを作ればいいということです。そこをしっかりと押さえればそれほど悩むことも無いと思いますね。

単体でのご経験で、これが活きたというのはありますか。

「この科目のところにこんな数字が入るわけがないだろう」とか、「税金の処理をきちんとやっているか」というところですね。

経理の道に進む場合、先に資格を取るべきか、経験を積みながら資格を取得するべきかどちらが良いでしょうか。

やりながら資格を取ったほうがいいと思います。勉強をしている間にも発言する自信に変わったり、活かされているというのが、経験上、ひしひしとありましたので。資格の内容にもよるかもしれないですけれども、USCPAに限れば、仕事をしながらやるほうが、やはり良いと思いますね。

転職をされた人に聞くと、採用にあたっては仕事をしながら資格を取ったということが、すごく評価されたとおっしゃる方が多いんですよね。

それはあると思います。私が部下を評価する場合でも、両立させて、きっちり最後まで完遂させたということは、自分でも達成感がありますし、そこは重要だと思いますね。

海外出張には年間で決まった時期に行くということではないですか。

それほど頻度はないです。数回程度です。長期出張行っているときは何度も行っていますけれども、それ以外はそれほど行きませんね。

今ですと、本当に年に1回か2回というペースなのですか。

そこまで行けていないので、行かないとさすがにまずいなと思っています。一度直接会っているか、会っていないかで、やっぱり違いますので。

そうですよね。どんな仕事でもそうですね。行くのはアメリカが多いですか?

そうですね。アメリカが多いです。アメリカ、ヨーロッパ、中国、シンガポールと、最近は韓国があります。

私は通勤の行き帰りの電車が主な学習時間でした。仕事しながらの限られた時間の中で大変かと思いますが、皆さんも頑張って合格して下さい。

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