USCPAを取得して圧倒的に英語の財務諸表を読むのが速くなりました。


第152回 USCPA CMレポート  ~大手エネルギー企業における全社経理×海外経理×イノベーション特集!

実施日:2019年3月10日(日)

【Guest】 yoshiさん

USCPAゲスト紹介

yoshiさん (男性) USCPA


大学卒業後、大手エネルギー会社に入社し営業所での顧客対応業務を経て本社経理部に配属。
本社経理部では、全社決算(個別・連結)、法人税・消費税等の税務、経営幹部向け及び社外公表向け財務報告の作成に従事。
財務会計を体系的に俯瞰しつつ、グローバルに活躍する素養を得たいと考えアビタスにてUSCPAの勉強を開始(通信)、約1年半で合格に至る。
その間、シンガポールの石炭トレーディング関連会社に約半年間出向し、決算や現地監査に従事し英語での会計実務の経験も得る。
その後、社内公募にて現所属のイノベーション部門に異動、まったく畑違いのIoT関連の事業立ち上げに挑戦中。
同部署では、他チームが出資検討している海外スタートアップ企業の財務状況調査や海外事業スキームの検討を手伝う等、本社経理部及びUSCPAの知識が活きる場面も多い。
加えて、本年4月より会社派遣にて国内MBA(夜間プログラム)に進学予定。新規事業開発の実務と並行してMBAで学ぶことで、さらなるスキルアップを志向している。

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Q&A

まず、今までの経歴についてお聞かせ頂けますか。

USCPAは、2016年末には全科目合格して、2017年にはライセンスをワシントンで取りました。最近、CPEを全部やり終わって、ほっとしているところです。その他に中小企業診断士や簿記なども勉強して、割と資格を取るのが好きなほうです。

2009年4月に入社してしばらくしてから、本社の経理部へ行きまして、個別決算や税務、開示関係、経理担当役員への説明対応、決算発表の広報対応など、いろいろとやらせていただきました。その時の直属の上司がオーストラリアの駐在経験を持っていて、「海外駐在は楽しいよ」という話をお聞きして、海外に行きたいと思うようになり希望を出したところ、シンガポールに拠点がある燃料トレーディング会社があって、そこへ行ってみないかということで、半年もないくらいだったのですが、行かせていただきました。

そこで現地の決算の締めや監査法人の対応などをしました。その後、本社の経理に戻りまして、連結決算や連結納税、あとは相変わらず役員への説明対応などをやりつつ、その間にシンガポールに1カ月だけ業務応援に行ったこともありました。

その後、今は経理を離れています。というのは、経理という仕事は、皆さんご存じかもしれないですが、割と、事業部門がやっていることに対して、アドバイスをしたり、数字を取りまとめたり、いわゆるバックの仕事になるので、自分で作ってみるほうもやってみたいという気持ちも芽生えてきました。

その中で、弊社も3万~4万の人がいる会社なのですが、自分で手を挙げて異動するチャンスが多少あって、いわゆる現職の上司に言わなくてもいいという。そういうことをやると結構嫌われますが。

そこで、新規事業を立ち上げる部門に異動しました。その異動した新規事業部門がそのままスピンオフした会社を昨年7月に立ち上げ、そこに設立時から出向しています。

皆さんドローンは分かりますよね。私が携わっているのはドローンに関するプロジェクトで、会計やエネルギーなどは全く関係ないところなのですが、一からもがき苦しみながら、事業を作るということをやっている次第です。ですので、お恥ずかしながら、経理のことは段々忘れつつあります(笑)。そんなこともやりつつ、今年の4月から、会社からの派遣で、国内の大学のビジネススクールの夜間プログラムに行かせていただけることになりました。新規事業立ち上げの実務をやりながら勉強しようとしています。私は、ちょうど入社して10年たつのですが、こんな感じの10年間を過ごしてきまして、次の10年どうしようかなと思っている次第です。

今いらっしゃる会社についてもう少し詳しく教えて頂けますか。

いろいろな大企業で取り組まれていますが、いわゆる、コーポレートベンチャーキャピタルのような、投資をしたり自社で事業を立ち上げることもやろうとしている会社です。今、電力事業は厳しい状況になってきていて、今まで安定の代名詞のような業界だったのですが、環境変化が激しくて新しい事業を生み出さないと立ち行かなくなってきています。

しかし、巨大な会社の中にいてはなかなか新しい事業を作ることができないということで、機能を外に出して、ベンチャー企業や異業種の会社とアイデアを出し合って、一緒に作って事業していくということをチャレンジしようとしている会社です。

昨年の7月にできたばかりです。50人くらいいるのですが、おそらく30人くらいが親会社からの出向者で、他はいろいろな業種から来ている方もいらっしゃいますし、外国人の方もいます。

私のやっているドローンのプロジェクトは、全く今までの仕事が関係なくて、皆さんたまにニュースでドローンを見ることもあると思うのですが、日本では、飛ばす場所が無いので、なかなか普及しないんですよ。落ちた、うちの上を飛んだなどのクレームがきたりするので、結局、大手企業はなかなか事業に使えないという課題があります。

であれば、電力会社が持っている鉄塔などを活用して、飛ばせる場所をつくってみれば、という逆転の発想です。

それは現実的なのですか。

まだまだ技術が追いついていないのが現状です。私の学びとしては、ゼロからこういうものを作っていくのは、非常に大変だということです。一方で、電力事業はもう何十年もこうやってきて、完成された事業です。

その感覚からすると、「こんな簡単なこともできないの?」と出向元の人からよく言われる一方で、「いやいや、自分でやってみたら大変ですよ」というところもあり、そこは安定した事業の感覚しか知らない人と理解し合うのは結構難しいと思います。

4月からはMBAに通われるんですよね。

はい。国内のビジネススクールに行きます。最初から先生を決めて入るプログラムになっていて、私が選んだのは、ベンチャーキャピタリストの経験がある方です。

新規事業を立ち上げる業務と両立して、その分野の第一線の方の下で勉強できる機会を得られて、すごくうれしいと思います。

USCPAを取得する前と後で、業務上と人生で何か変わったことはありましたか。

業務上は、圧倒的に英語の財務諸表を読むのが速くなりましたし、全然苦ではなくなったということですかね。元々私は個別決算をやっていて、海外出向を挟んで連結決算担当になりました。

連結決算担当では、海外の子会社の財務諸表を見る機会も増えてくるので、英語の財務諸表を読むスピードは全然違うなと実感しました。

また、現在の部門に行ってからも、海外ベンチャーへの投資をやっているチームもいまして、海外のベンチャー企業に投資したけど、うまくいっていないと言う話で。ベンチャーなので、当たり前でよくある話なのだけれども、結構複雑な取引スキームを使っていたりすると「財務諸表がよく分からん。何とか解明して欲しい」ということがありました。

前に一度、ニューヨークに行かせていただいて、向こうのCEOやCFOと話をしたという経験もあったので、USCPAを持っていて良かったです。いろいろなところで使える資格ではないかと思います。

人生においてというのは、何かあるかと思って考えていたのですが、ビジネススクールに夜間行くというのも、USCPAをやっていなかったら、行かなかっただろうと思っています。上場会社の決算をやっていると、四半期決算のたびに、毎日のように終電近くまで仕事します。

その中でも、コツコツ勉強してUSCPAを取得したというのは自分の中では成功体験なので、それができるのだったら、ビジネススクールに夜行っても大丈夫だろうという軽い気持ちで申込みました。今、周りからは「大変だよ」と言われて、少しびびっています(笑)。

資格そのものというよりは、仕事をしながらコツコツ勉強して資格取得したということが自信につながるのではないかと思います。

USCPAを目指そう、取ろうと思ったのは、お仕事をしていく中で何かあったのですか。

最初のきっかけは、単純に海外に行きたい、という思いです。

直属の上司がオーストラリア駐在経験者だったというのがきっかけですが、勤務先の会社は堅くて、大きくて、融通が利かない会社なので、希望を言うだけではなかなか行かせてもらえないと思って、行きたいという思いを表現するには、行きたいと口で言うのではなくて、「覚悟があります」というのを見せるのが一番早いというのがUSCPAを目指したきっかけです。

ただ勉強中も含めて、合格してみて思ったのは、やはりシンガポールに行ったことなど、経理というバックグラウンドで多少英語ができるとすごく世界が広がると思うし、それはすごく良かったと思っています。

勉強しているということが、シンガポールに行けるチャンスのきっかけになったのですか。

なったと思います。限られた上司にだけ言っていたし、ちょうど1科目受かったときくらいに話がきたので。口だけではないのだということは、伝わったと思いますね(笑)。

シンガポールに行かれているときに勉強して得た、USCPAを勉強していて、一番良かった具体的な経験があれば。

一番良かったのは、監査を受ける側の対応で、監査人もシンガポールの会計士なのですが、特に困ることなく、普通に話ができて対応ができたことです。来たばかりで、しかも4カ月くらいしかいなかったので、その会社自体の業務プロセスなど、どこにその書類がしまってあるのかというのは、当然周りの人に聞かないと分からないわけですが、何を聞かれていて、向こうが何を確認したいのかは、すぐ分かるというところはあったので。そこはすごくやりやすかったと思います。

その後、1カ月間の業務応援で同じ会社に行きました。それは他社と資本統合する際、4月から資本統合するときの、2月くらいに1カ月間だけ行っていて、経理業務の統合の話だったのですが、英語も含めてできる人があまりいないので、助けてくれという話でした。

そういうイレギュラーなところでも、頼ってもらえるというか、チャンスをもらえるというのはすごく良かったと思います。

資本統合する場合の実務は、具体的にはどういうことをするのですか。

統合自体というよりは、そもそも経理の仕組みが違ったので、どちらに合わせようかという話です。エクイティの話は決まっているので、4月から実務を回していくためにはどうすればいいか、具体的にシステムをどうしようかといった話でした。

今は全く新しいことに挑戦されているということですが、USCPAが助けになることはありますか。

直接的に役に立つということはあまりなく、CPAというよりは経理の知識全般としていろいろ数字で語るときには、役立つという程度です。

私がすごく感じているのは、経理や数字の話は、事業が立ち上がらないと出てこないということです。割とストラクチャーから事業を語りたがる人はいるのですが、それは本質的には後の話で、どんな価値提供をして誰から収益を得る事業なんだ、という核のところがないと始まりません。

あとは、外からの目線としてあるかもしれないと思うのが、手を挙げて部署異動するなど、新しいことをやるというときに自発的に勉強して成果を出した人のほうが、組織として信頼されやすいかと思います。

評価プロセスが開示されているわけではないですが、組織としてやっている以上はそういうことはあるだろうと思うし、自分もそういうことを狙って取っている部分もあります。

シンガポールの新しい環境で、シンガポールでしかできないこともある一方で、勉強されたというのは、すごく意志が強いなと思うのですが。

特別意志が強いわけではなくて、シンガポールに行くときに4カ月で帰ってくるのは決まっていました。そこにずっといられるわけではないし、帰ってからもう一回チャンスを掴むためには、勉強しなければいけないというのがありました。

実は、東京とシンガポールでは、シンガポールのほうが、圧倒的に生活環境がいいんですよ。駐在するには、世界で一番いい国というランキングがあるくらいです。周囲の社員も深夜まで残業するような働き方ではないので、決算期でも22時に会社を出て22時30分には家にいるというような状況なので、勉強ができて恵まれていました。

4カ月で帰ると決まっていたので、週末はタイやマレーシア、ミャンマーにも単身旅行しました。「お前は遊びに行ったのか」と後で怒られたくらいでしたけど、週末は楽しんで、平日は勉強するという生活をしていました。

新規事業をやっている上で面白みみたいのはありますか?

付き合う人が断然変わるのが面白いですね。異業種の方、ベンチャーの方、中央官庁や地方自治体など、いろいろな方と付き合いができます。

一方で、経理部門はどうしても社内中心の付き合いになって、会計士、税理士、コンサルくらいしか社外の人とは話さないというのもあるので、視野が狭くなりがちです。

USCPAを目指されている皆さんは、海外も含めていろいろなチャンスがあると思うので、視野を広げていただければいいと思います。

将来的にはどういうビジョンというか、どういった道を描いているのかというのをぜひお聞きしたいです。

会計の世界と今やっているような新規事業は違うと言われますが、僕の中では結局つながっていると思っています。

電力会社は、これまでは電気事業という巨大な事業があって、それを管理していけばいいという発想だったのが、どんどん新しい事業を生み出していかなければいけない状況になってきています。それらをマネージできる力は、一つの大きな事業をマネージする力とは違うと思うんです。

そういう意味で、会計や経営管理の基礎は付けつつも、自分で事業を立ち上げる経験を得ることも大事だと思っています。将来的には、会計のバックグラウンドを活かしながら、大きな会社で新しく事業を生み出していく、その仕組みを総合的にマネージできるような人間になりたいという感じですね。

社内でUSCPAを持っている方は、どれくらいいらっしゃるのですか?

多くはいないと思います。経理部にもそんなにいなかったです。海外の仕事をメインでやっている部署には、ちらほらといらっしゃる感じですかね。本社経理は、会計もさることながら、税務がメインのところがあります。会計は制度的にはできあがっているところが多くて、そんなに大きな動きがないのです。

一方、税務は、税制改正でころころ変わるし、法人税が収支に与えるインパクトは結構強くて、経理部門では税務を重視している会社さんが多いと思いますね。

私自身、法人税に加えて消費税も担当させてもらって、前回8%に上がる時の社内処理の取りまとめをやって、そこでかなり制度の勉強をする機会がありました。税も結構楽しいですよというご紹介です(笑)。ただ、税も会計がベースになっているので、会計の理屈を知っているほうが絶対理解しやすいです。

ちなみに、経理部門から帰ってきてと言われませんか。

言われます(笑)。というより最後は帰ると覚悟しているのですが、私は経理が嫌で出たわけではないので。

今、東南アジアは、シンガポールだけですか?

東南アジアだとシンガポールとあと、タイに少し持っています。シンガポールに統括機能があります。エネルギー会社なので、他はアメリカのヒューストンやイギリスのロンドンですね。

その辺りなので、全く言葉が通じないという人は、ほとんどいなかったです。

お仕事の中で、USCPAの4科目がどのように役立っているかというのをお聞きできますか?

FARとAUDは経理に当然使うし、BECの中のファイナンスも基礎の基礎しかやらないですけれども、そこを分かっていない人が意外と多いという気がするので、しっかりやったほうがいいかなというところと、REGはどうですかね?REGを使ったという実感はないです。ただ、日本の法人税をすごくやっていたので、アメリカの法人税の考え方は面白いなって思いながら勉強していました。

他は、BECも管理会計をやるので、そういう考え方は結構使えるかなという。CVP分析など、実務的にすぐ分かると便利かなという感じがします。変動費・固定費って何だっけ、とか。

出向先でプロパーで採用されている方というのは、結構IT畑のひとですか?

そういう人もいます。あとは海外で何かやっていた人とか。親会社からの出向者とは違う能力や経歴の人を採用するようにしています。

今のお仕事の普段の1日や1週間の流れはどんな感じですか?

それを聞かれるといつも困ります(笑)。本当に何でもやるという感じで、事業としてできあがっていないので、ルーティンワークも特にないですし、いろいろな人にお会いして、いろいろな話をします。

漢字で書くと「企画」ということなのだと思うのですが。本当にいろいろやっていますね。ドローンを飛ばす実験のために、現地の山奥へ行くこともあります。

操縦もするのですか?

操縦もしますよ。

すごいですね(笑)。

何でもやります(笑)。

今は、LTEや4Gとかやっているのですが、それが、5Gになると、また少し変わるような。

そうですね。細かい話を言うと、実は、LTEはドローンにまだ積めないんです。ドコモさんやKDDIさんがやっているのは、特殊なスキームで、総務省に申請しないと電波法上違法です。

そのドローンを、どうやってビジネスにつなげるかということを、考えられているのですか。

そうですね。

どうやって収益化をしていくのか。

先ほどの電波法ではないですが、規制が結構厳しくて、それらをクリアしてやっと収益化の話が出てくるという感じです。政府も規制緩和をしようとしているので、審議会に出たり、国交省や経産省の人と会話をしたりなど、そういうこともやっています。

また、実験は山奥でやるので、地方自治体の協力なくてはできず、そういった方々との話もしています。

入口も出口も、どちらも中心となって企画するという感じですね。

新しいことをやるために、現場も含めてやるのは、結構大事なのかなと思いました。少し嫌な言い方をすると、本社の経理にいると勘違いするんです。20代で大手企業の役員と会話したり、全社の機微な情報が入ってくるので、自分は偉くなったのではないかと勘違いをすることがあります。自分にもそういう時期がありました。

そこで、小さい事業でも「自分で何か一からやってみろ」と言われたときに、簡単にできるかというと、そんなことは全然なくて、どんな小さな事業でも、いろいろな人の苦労があってできあがっているということを、自分が手を動かして苦労してみて痛感しました。

難しいですね。

そういった実感を持ちつつ、今度はMBAにも行くので、事業をつくるということを体系的に整理する機会にもなります。

でも、今回は手を挙げていったのですよね。

そうです。

そういうことをさせてくれる環境があるというのは良いですよね。

そうですね。ちょっと悪く言いましたけど、実は勤務先には結構感謝しています(笑)。本社の経理もやらせて貰い、海外にも行かせて貰って、手を挙げて新規事業もやらせてくれた上に、MBAにも行かせてくれて、なんて良い会社だという気がしています(笑)。

MBAの派遣も少し前までは中断していて、2~3年前からやっと若干名、再開したところです。

MBAの話で、社内でいろいろ選考があると思いますが、どのような選考があって、そもそもいつ頃から考え始めたのですか。

社内の選考は、エッセーのようなものを書いて、面接です。考え始めたのは、何となく行ってみたいという思いはずっとあったのですが、社内に募集がかかっていた頃、新規事業をやって1年くらい経っていて、どう進めたらいいか全然分からない状況だったわけです。

市販の本を読むわけですが、自分で勉強しているのだったら、MBA行ったほうがいい学びが得られるだろうと考えたのがきっかけでした。また、USCPAも合格できたし、きっと夜間でも大丈夫というか、むしろ、仕事をしながらやるほうが、自分には合っているのではないかという感覚もありました。

それで、昨年の春くらいに会社の選考があって合格し、秋くらいに実際に自分で何校かの大学院を受験して決めたというような感じです。

受験対策も兼ねて、何人かの国内MBAの修了生の方にインタビューしたのですが、みんな「MBAに通って良かった」と言うんですよ。「もう一回行きたい」とおっしゃる方もいました。なぜかというと、「友達」ができるから。「友達」という表現はすごく大事で、この年になると、利害関係なく付き合える人にはなかなか出会えないんです。

会社の同期も出世競争なども出てきてしまうし、ビジネスで付き合う社外の人は、取引のことがあるので100%は心開けないです。

ビジネススクールに行くと、利害関係なく付き合える他社の人ができるのは、すごく財産だと言われています。そういう意味で「友達」という表現がすごくぴったりだと思います。

社内選考で、USCPAが効いた可能性があると感じていますか。

そこは恐らく、物凄く説得力があったと思います。書類や面接で、本当に仕事と勉強が両立できるのかと問われた時に、「これとこれをやってきているので、次もできます」と言うのと、「今までは何もないけど、多分できます」と言う人と断然説得力が違うと思います。

選考する側も組織なので、面接官が上司に説明しやすい理由を付けて通さないといけないわけです。

主観的な判断だけではなくて。

客観的に判断できる材料を与えてあげて、組織として通しやすくしてあげると。そこは割り切りだと思いますね。
組織の仕組みをうまく使って仕事をしたほうが組織にいるメリットがあると思っています。そのメリットを活かさないのだったら、極端な話、ベンチャーに行ったり起業した方が煩わしさから解放されるかもしれません。大きな組織のリソースを使ったほうが面白いことができるので、リソースを使うためのアクセスの方法だとか、仕事の組み立て方は割り切って「組織を使う」という意識でやっている部分もあります。「上が聞いてくれない」と嘆いているよりは、どうしたら聞いてくれるかなと考えて、上はどういう基準で決めたがっていて、その材料をしっかりとこちらから提示してあげるべきという考え方です。

公募制で新規事業企画に応募したときは、志望理由はきっと出されたと思うのですが、ロジックはどのように作りましたか?

私は新規事業に向いていますというプレゼンは、全然した覚えはないです。やったこともないですから。

それよりも、経理で会社の数字や状況を見ていて、このままではこの会社は駄目になってしまう、新しい事業をどんどんつくって、それをしっかりマネージできる人がいないといけない、私はそういう人になるためにまずは自分の手で立ち上げることをやりたい、いうことをプレゼンしました。

一から何かをやっていくっていうのは大変ですよね。

そうですね。一から作るって難しいし、ほぼ失敗します。大企業だと事業や仕事の仕組みができあがっていて、失敗しないのが前提になっているのでその感覚から変えないといけないと思っています。新しいことは、失敗して当たり前なんですよ。

自分のイマジネーションを活性化するために、何かやっていることはありますか。

経理部門から新規事業部門に異動してすごく変わったこととして、何でも自分で使ってみるようになったというのがあります。例えば、メルカリで実際に出品してみるとか。

経理部門にいた時は、新聞で「メルカリというのが流行っているらしい、結構イケてる企業らしい」というただの「情報」でしかなかったのが、自分でやってみると「なるほど、こういうことでイケてたのか」と実感できます。

最近はSpotifyにすごくはまっています。Spotifyはすごくいいですよ。勉強のときに聞くと良いんじゃないですかね。そのように実際に使ってみて、体感してみるというのは、すごく心がけていることではあります。

本社の経理部に、転職者はいらっしゃいますか。

転職者は今までほとんどいませんでした。会社全体でも少ないですし、特に経理は純血主義だったのですが、私のように外の部門に出ていく人や退職する人もいて、今後、中途採用も検討するのではないでしょうか。

経理部時代を振り返ると、結構恵まれていたなと思いますね。例えば、消費税率引き上げ対応の話でも、普通の会社だったらほぼコンサルに投げてしまうと思うのですが、自分自身で勉強しながら対応策を考えたり、すごく勉強させてもらえる風土がありました。

監査六法や税法の本などを読んでいると、「よく勉強して偉いな」と周囲に褒められました。こちらは、勉強しながら給料をもらえてすごくラッキーだなと思っていたのですが、恵まれていましたね。

私のところもそうですが、経理はかなり純血主義で、最初に入れるかどうかで、転職者はあまり多くないイメージですね。

一方で、本社経理で海外子会社をきちんと統括出来る人が全然足りていなくて。ニュースで突然、「海外子会社で何百億円、何千億円減損します」とかたまに出ますけど、あれもガバナンスが効いてないから起こってしまう問題だと思っています。

そういう経緯もあり、海外子会社とコミュニケーションを取りながら経理が出来る人というのは、すごく今需要が高まっていると感じます。

確かに、ある程度大きな会社で、新卒がバンバン入ってくるような会社だと純血主義でも通せるかもしれないですけれども。そうも言っていられないですものね。商社とかも、結構経理とかも採用しています。中小企業だと特に人手不足で、四苦八苦している感じのようです。

だから、会計×海外というのは、これからも需要が減ることはほぼないのではないかと思います。

メーカーで経理をやっている方に話を聞いても、本当に「若手が海外へ行ってくれない」という話を聞きます。USCPAを目指そうとする方は、海外志向が強いので、そういったところに転職で入れれば海外へ行くことができると思います。

本当にそうだと思います。

最後に、今後の話を聞ければと思っていたのですが。イメージとして、何かやろうとしているだとか。5年後、10年後のイメージとかはありますか。

今後は、先ほどもちらっと話しましたが、MBAを卒業してから2つ道があると思っています。経理部門なのか、新規事業部門なのか、まだ絞り切れていません。

最終的なゴールとしては、会計、税務を含めて、しっかりガバナンスもできるし、新規事業を立ち上げていくところの後押しもできるような人間になりたいと思っています。

なので、実際に会社を辞めて起業するぜという感じではないです。あくまでも、現在の新規事業の立ち上げの経験もMBAも、大きな会社の中で新しい事業を作ったり、それを後押ししたりして組織を活性化させていくための経験という捉え方をしています。

MBAを取ると辞めるのではないかという話もあるのですが、あくまで会社のリソースや立ち位置をいかして、社会に新しい価値を生み出したいですね。皆さんもUSCPA合格目指して勉強されていると思いますので、是非、頑張って下さい。

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