第144回 USCPA CMレポート ~在アメリカ日系企業経理特集!
実施日: 2018年4月14日(土)
【Guest】 ますこさん
USCPAゲスト紹介
ますこさん (女性) USCPA
金融関係の一般事務から、子会社ホールディングスカンパニーの経理を経て(この間にCPA合格)結婚後派遣にて税理士法人、外資系コンサルの経理を経験。
その後ご主人の転勤で3年前にアメリカ・ワシントン州へ移住。
日系企業で経理兼貿易事務→日系企業のGeneral Accountantへ。
- USCPAゲスト
- 参加者
- 司会
Q&A
今までの経歴についてまずはお話頂けますか。
私は初め経理ではなかったのですが、キャリアのことが不安になって、まず簿記を取って、当時働いていた会社の子会社で経理を始めました。そして、英語も好きだったので、その間にUSCPAを取りました。
ちょうど結婚と同時ぐらいにUSCPAに合格が出来て、転職しようと思ったのですが、そのときに主人の転勤の話が出てきて、だったら正社員で働くよりは、日系の経理だったので、外資系の経理や会計事務所などの仕事を見たいと思い、派遣で幾つか点々としました。その後、転勤が決まったので、2015年の春ぐらいにアメリカのシアトルのほうに移動しました。
Lビザという主人の社内の転勤ビザで行ったのですが、配偶者はワークパーミットをもらうことができて、期限があるのですけれども、働けるんです。そのワークパーミットをもらって働き始めました。それが2016年の4月だったと思います。
そのお仕事はどのように見つけられたのですか?
シアトルだけではなくて、いろいろなところにあると思うのですが、日系人向けのレストランの情報や医療関係、出産、転職等について全部載っているサイトがあって、主に日系の企業はそこに求人を出します。日本人が欲しいからですね。日本語が話せる人が欲しいので、そこに記事を出すんです。
シアトルの場合だと主に経理だったり、貿易の会社や販社が多かったりするので貿易事務の募集があるのと、あとはその他の一般事務のお仕事がよく出ています。
私は貿易事務と経理が半々ぐらいのパートの仕事をまず始めて、そこに1年ぐらいいて、その後転職して現在は日本本社は東証で上場している会社なのですけれども、その日系企業のアメリカ子会社の経理部で働いています。
アメリカの場合だと、日本人向けの求人というのは増えなくて、一般的にリプレースメントが主です。ですから、タイミング良く誰かが辞めたらポジションが空くので、そこに自分が入らなければいけないという感じです。私もたまたま1年パートで働いたところで運よくフルタイムのポジションがあって、採用してもらえました。
採用にあたって何か条件とか、実際に採用されて何が評価されたと思いますか?
アメリカでは、基本的にアカウンティングをしている方というのは、アメリカの四年制大学のアカウンティングメジャーの人のみで、最低のリクワイアメントはそういうふうに書いてあります。
でも、私の場合はもちろんアメリカの大学には行ってないので、そういうバックグラウンドは一切ないのですけれども、USCPAに受かっていたという事実と、日本で何年か経理をやっていたので、それを評価していただいたと思いますね。
もう一つ、、アメリカはすごくコネというのが重要で、日本だと、「コネ」と聞いたら、「何? それ、不正なんじゃない?」などと悪いイメージがあると思うのですけれども、アメリカのコネというのは逆に非常にいいイメージがあります。なぜかというと、アメリカ人は履歴書でよく嘘をつくんですね。できないのにできると言ったり、行ってない会社で働いたことにしてしまったり、1年しか働いてないのに「2年やっています」などと嘘をつく人が多いので、社内の信頼できる人からの紹介というのは非常に強いです。
私は、入らせてもらった会社の上司が日本人の女性なのですが、たまたま彼女と共通の友達がいて、その友達が私のことをすごく褒めてくれていたんですよ。その友達というのは、アメリカに行ってからパートで働いていたところの会社がお願いしていた会計事務所の方で、その方と今の私の上司がお友達だったんです。
それ以外にIT企業などでも何千と応募が来てしまうので、その中で自分を目立たせるためには、社内の人からの推薦というのがアメリカではすごく一般的なので、そういうものも使われたらいいのではないかと思います。
今の職場はどのくらいの人数で回しているんですか?
経理のデパートメントが7人ぐらいいて、ファイナンスのヘッドがアメリカ人で、経理マネジャーが日本人の女性です。彼女はBig4出身のすごく仕事ができる方です。私は、その彼女の下でスタッフアカウンタントの仕事をしています。
日本だと、経理というのは「経理」という感じだと思いますが、アカウンタントとそれ以外で分かれていて、大体、アカウンタントだと、先ほど言ったように、アカウンティングのメジャーが最低限という感じで、CPAプラスあればいいというような感じです。
アカウンタント以外の方の大体のバックグラウンドは、向こうだとブックキーピングという資格もあるので、それを持っている方が多いですけれども、やはり給与なども違ってきますし、待遇なども違ってくるので、やはりUSCPAがあると、経理のプロフェッショナルとしては評価してもらえます。日本よりも経理の地位が高いと感じることもあるし、女性でもCPAを持っていればプロフェッショナルとして扱ってもらえますね。
やはり日系企業だと日本語が話せる人が欲しいので、チャンスは多いと思いますが、最低限、英語が話せることと、あとは英語が書けるというのもすごく重要で、向こうは単に書けるのではなくて、プロフェッショナルな書き方というのが結構求められると思います。
例えば、ほかの部署の人にメールでお願いしたりするときも、人によって書き方のレベルが違うというのが外国人の私から見ても分かります。マネジャーレベルの人が書く英語の文章とそれ以外の人が書く英語の文章はやはり違うんですね。
書き方が違っていて、私はアメリカでコミュニティーカレッジの英語のクラスを取ったのですけれども、もしアメリカへ行かれたらそういうのを取って、そこだとプロフェッショナルまではいかないですが、体系的な文章の書き方というのを勉強されたらすごくいいのではないかと思います。
具体的に業務内容を教えてもらえますか。
業務内容で主にやることは、マンスリーのクロージング、クオータリーのクロージングとレポーティングです。あとは年度のクロージングと監査対応、インターナルコントロールのレポートなどです。連結パッケージを作ったりするのもあるのですが、日本と比べて仕事量がそこまで多くないのではないかと私は感じています。
会社にもよると思うのですが、例えば日本にいたときは、営業の数字、売り上げの数字を毎日出してください、などとよく言われて、毎日、現金残高や売り上げなどを報告してやっていたのですけれども、うちの会社だけかもしれませんが、そこまでしません。大体、月の真ん中ぐらいで「どんな感じ?」と確認して、あとは、月末に締めたら、こんなものだなと確認しているぐらいの感じで、あまり余計なことはしたがらない感じですね。
なぜかというと、上にいく人のほうがプライベートを大事にしていますし、効率よく仕事をしてダラダラと残業することはないです。うちの会社が特殊かもしれませんが、みんなが言うのは、アメリカと日本のいいとこ取りで、結構日本人にも優しいし、普通のアメリカの企業みたいな殺伐とした競争社会のようなものもあまりありません。日本だと逆で、上にいく人のほうが働くような感じですけれども、現在のヘッドはWork Hard, Play Harderな人なので、楽しく仕事をしています。
この前、接客したお客さんが、サンフランシスコで会社を持っている人で、その人に「私がUSCPAを目指している」と話したら、「アメリカでは会計士と法律関係の人はそんなに偉くない」と言われたのですけれども、実際のところ、どうなのでしょうか?
でも、何と比べているのでしょうね。
その方は、IT系か半導体の商社をやっていました。
恐らく弁護士系と会計士系の話をされていたと思います。
100%ではないと思うのですけれども、持っている人が多いと思いますね。
純粋に日本の公認会計士と比べて、ということだと思うんですよね。
ずばり合格率を見ても、日本の公認会計士は圧倒的に低いですよね。
USCPAの場合、科目ごとの合格率は50%近くあるので、多分そこの違いじゃないかなと。
安心しました。ありがとうございました。
先ほど業務内容でクロージングのレポーティングの話をいただいたと思うのですけれども、まずクロージングというのは、全体的に12月が年間決算として多いのでしょうか。
そのクロージングした後のレポーティングは、どういう方にレポーティングされているのですか。
12月決算ということですが、アメリカは12月が多いのですか。
よく日本とアメリカとの働き方が違うといわれると思うのですが、毎月の残業は、今、働かれているところでは大体どのぐらいされているのですか。
周りもですか。
あまり残業させてしまうと辞めていかれてしまうのではないかと思いますね。
定時で帰ろうという意識は、やはりアメリカのほうは高いですか。
結構まとまったお休みを取る方が多いですか?
でも、携帯やメールチェックなどはしているから、休んでも連絡が取れるという感じですか。
その間に代わりに対応できる人がいるというか、2人体制という感じですか。
USCPAはどこの州で取得されましたか?
では、州が違ったとしても、向こうでは働く上では問題が無いのでしょうか?私はグアムでライセンスを考えているのですが、付き合っている彼がワシントン州のシアトルの人で、トランスファーを将来的にしたほうがいいのか、どういう価値なのかというのがあります。
ライセンスはライセンスとして必要だと思うのですけれども、要は、どこの州で合格したとしても、働く上では問題がないのか、という話ですよね。
そうです。向こうで肌感としてどういう価値なのか、グアムは島なので、州じゃないわけで、その辺りの州による格差みたいなものはあるのでしょうか。
では、州によらず、ライセンスを持っていること自体のほうが重要ということですか。4科目パスしているということが重要なんですね。
今おっしゃったとおりで、監査法人やコンサルなど、そういった社外へ出ていって名刺を出す機会のある方は、ライセンスがあったほうが絶対良いとおっしゃいますね。
では、そのときに州は関係あるかというと、そこまで言われることは100パーセント近くないと思います。転職活動や採用に当たって、「あなたはどこの州で合格したの?」と聞かれることはないと聞いています。
ですから、確かに中途半端にCPAについて知っている人にとっては「グアムは準州」という感じになるかもしれませんが、会計の世界で生きている方で、きちんと知っている人は、別にどこの州で合格しようが、同じAICPAが作ったUSCPAの試験で合格しているわけなので、そこは関係ないと思います。
働く州も関係ないのですか。この州で働くからここの州のライセンスでないと駄目などということはありますか。
関係ないですね。
監査系の仕事をしていくのであれば、ライセンスは必要という感じですか。
そうですね。唯一縛られるのは、そこの州でないと開業ができないというだけで、監査をしていく分には別にどこの州であっても、日本でももちろんできますけども、それと同じで、監査でサインなどもできますから。そこの州でないと開業ができないという縛りだけですね。
私は今、APの仕事をしているのですけれども、先ほど、だいぶ待遇面も違うと仰っていましたが、具体的にAPとアカウンタントのレベル感というのはどのくらい違いますか。
例えば私がアメリカへ行く際にUSCPAに合格したとして、APの業務はやっていたけども、レポーティングなどを全くやっていない状態だったら、採用側としては、「業務としてはやったことがない」という評価になるのでしょうか。
レポーティングの業務までやっておいたほうがいいですか。
やっていたらすごくプラスなのではないかと思いますけどね。やはりマンスリークロージングの知識があるか、経験があるかなどは見られるのかなとは思います。
アメリカで日本人の経理が欲しいという場合だと、日本から経理を派遣してきているか、現地採用で日本人を雇って、日本語でのレポーティングや、本社の日本語での質問に答えられる人が欲しいというケースが多いので、ケースバイケースだとは思いますが、日系だったら、「CPAを持っているのだったら」と言ってくれるかもしれませんね。
それとも簿記2級などを取ってしまうとか、できれば派遣でも何でも、ゼネラルなアカウンタントの仕事やレポーティングなどができていたらもっといいのかなと思います。
あとは、そのときの求人にどれぐらい人が応募してくるかにもよります。ビザを持っていて、日本人で、経理のバックグラウンドでCPAがある人というのは、東京のように多いわけではないので、その中で自分がどこまで目立てるかという感じだと思うので、タイミングが良ければ入れるかもしれないです。
先程、カレッジに通っていたとおっしゃっていましたが、それは、仕事をしつつカレッジに通っていたのでしょうか?
カナダでもやりますね。
向こうでの就職活動と言っては何ですが、最初はパートで入ったとおっしゃっていて、CPAはその時点で合格されていたと思うのですが、取りあえず何でもいいからやってみようという感じで決めて入っていったのですか。
そこでそういう繋がりがあって、今のところに行ったという感じですね。
では、最初の最初はサイトで探していくという感じが一般的なのですか。
それも日本人向けのサイトに広告か何かが載っていました。向こうへ行って、日本人の友達が一人でもできたら、いろいろ情報を教えてもらえると思いますよ。
今、自分がやっている作業では会計システムとエクセルの2個を本当によく使うのですが、アメリカで会計をする場合にも基本は会計ソフトやエクセルを使われているのですか。
そうですね。会計ソフトはERPのシステムが入っています。でも、日本が欲しいリポートが直に出ないケースが多いので、自分でエクセルで加工して、日本報告用のレポーティングを作るための資料をまず作って、そこからレポーティングを作るという感じでやっています。
クオータリーだと、20件ぐらいレポーティングのための資料作りというのがあって、エクセルでERPから出したソフトを加工して、こちらと組み合わせるなどしています。
海外で働くときにソフトとMSのオフィス系と何かが使えないと駄目だというものがあるのかなと思ったのですが、それは基本ないということですか。日本とほとんど一緒ですか。
私は日本の大学を出ていて、今、IT企業の経理で英語は全く使わないのですが、USCPAでようやく英語に触れだしたというようなスペックなので、海外で働きたいという気持ちはあるのですが、やはり他の人たちに比べると、語学という点で見劣りしてしまう不安がありまして、もしも同じような不安を抱えていたところがあれば、どうやって乗り越えたのかというのがあれば聞かせて貰えますか。
取りあえずできることをやって、一日中できるだけ英語に触れて、BBCを見て、CNNを見て、読むのもできるだけ英語を読んで。私は電車に乗ったら、表示が日本語と英語があるので、それも英語で見たりして、取りあえず英語に触れて頑張りました。
あとは、できるところまでやったら、行ったら行ったで自分を信じてやるしかないから、そこまでにどれだけやってきたかをそこで出し切るというか、私も日々闘いですね。
でも、外国人もたくさん働いているので、3年、4年といれば、自然に身に付いていくと思います。英語に触れることを拒否してしまう人もいると思うのですけれども、そういうことでなければ自然に身に付いていくと思いますし、あとは慣れるしかないのだと思いますね。
私は経理などは未経験なのですが、USCPAに受かってすぐアメリカに行きたいと思っても、ビザがないのでアプライなどしても全く駄目でしょうか。
方法は幾つかあると思うのですが、まずアメリカ企業に就職するか、日本企業に就職するかで分かれていると思います。アメリカ企業だと、アカウンティングのバックグラウンドがあるかなどを見られると思います。アメリカはやはり即戦力を求めるケースがとても多くて、向こうの新卒もインターンをして、実際にすぐ働ける状況になってから就職するケースが多いので、日本のように育てるというのがあまりないんですね。
また、私が言うのはメーカーなどですが、日本企業で経理が欲しかったら、日本から駐在を送るか、向こうにいるビザがある人を採るケースが多いです。ただ、私が知っているケースだと、日本人向けの日系の会計事務所というのも各地に幾つかあって、そういうところだと日本人が欲しいという需要はあるんですね。そこだとビザをサポートしてくれるケースも多いです。
元アビタスの卒業生ですが、MBAのコースをアビタスで1年取って、ボストンに1年留学した友達がいます。彼女はMBAを取って、ニューヨークの日系の会計事務所に採用してもらって、H-1のビザのサポートをもらって、今、会計事務所で働いています。そういうところだと結構サポートしてくれるのかなと思います。
あとは、Big4などだったら日本人部隊というのがあったりして、日系企業からの需要があるようで、社長さんが日本人だったり、経理の人が駐在の日本人だったりすると、日本語で対応できる会計士が欲しいというケースがあるようです。H-1でサポートしてもらっている人もいます。ただH-1だとLotteryがあるんですよね。
私もそれが心配です。
そのお友達の方も経理の経験はやはりありますか。
やはりしていたほうがいいですよね。
でも、こういうのは一般的なケースであって、常にチャンスというのはあると思います。だから、100パーセントないというわけでは絶対にないので、トライし続けていたらあるかもしれません。
アメリカでの働きづらさや生きづらさはありますか。例えば医療保険制度など、記事でしか読んだことがありませんが、日本と随分違うということを体感することはありますか。
医療費は本当にすごく高くて、日本のように、どの会社に入っても同じようなサポートがもらえるわけではなくて、会社によって全く違います。大手だと、例えば保険料も払わなくていいし、保険自体もとても手厚くていい保険なのですが、中小企業だと毎月何万も払わなければいけないのにあまり内容が良くないなど、会社によってすごく差がありますね。
どういうものが違うかというと、例えば、私は向こうで妊娠・出産したのですけれども、そのときにエコーというのをやりますが、それの回数が全く違ったりするんです。だから、そういうのも違うなと思いました。
それから、向こうに行ってしまえば慣れると思いますが、アメリカの人は結構自分の非を認めなかったり、自分の仕事にあまり責任を持ってない人がいたりします。プロフェッショナルの人は全くそんなことはないのですけれども、一般的な話だと、間違っていても、「あっ、間違ってるね」くらいの感じで、「ごめんなさい」や「今度からこうします」などは別にないし、自分は常に悪くないという感じでやられたりするので、そういうので初めはイラッとしたりしたのですが、そういうのも行ったら慣れてしまうので大丈夫だと思います。
お子さんが生まれる過程で医療費がかかると思うのですけれども、その他のサポートという面でありがたいなと思うところはありましたか。
いいですね。
住宅手当などはあるのでしょうか。
交通費の補助もなくて、会社の場所にもよりますが、車通勤している人が結構いますけれども、バス代などは特に出ないです。
その分、少し給料が高いなどということはありますか。
その部分で、自分は郊外から働きに出ているのだから給料を高くしてくれ、という交渉などはありですか。
取りあえず言うというのは大事ですね。
アメリカは、やっているルーティン作業に対しての評価ではなくて、昇給など待遇面での交渉をするときの材料というのは、たとえ経理だったとしても成果主義がやはり求められるものですか。
普通の仕事だけこなしていると評価されないようです。自分で問題提起して、それを実際に自分でこなしていくと評価されやすいと聞きます。
実際そういう人たちのほうが結果的にお給料などは上がりやすいですか?
日系企業かどうかにもよるかとは思うのですが、上司がアメリカ人だったりしたら、そういうふうにするほうが受けるかもしれません。
私は全く会計未経験で、話を聞いていると、経理をやったことがないために言葉自体が分からなかったりしたので、日本で少しやってから行ったほうがいいかなと思ったのですけれども、パートなどでもある程度はやっていったほうが良いでしょうか?
基本、教えてもらえないと思うんですね。経理が教えてくれるという環境は、ほかにも経理の人がいる環境で、ある程度大きな会社だと思うのですが、そういうところだったら、経験がある人が応募してきてしまうと思うので、やはり経験はあったほうが良いと思います。
それと、経理のソフトウエアなども使ったことがあるかどうかというのは面接時に聞かれると思いますね。でも、もしかしたら、USCPAの知識があるのだったら大丈夫だと言ってくれるところもあるかもしれませんけどね。
日本の企業とアメリカの企業では、日本のほうが手厚く教えてくれるということだと思うのですけれども、OJTのような、先輩のような人は教えてくれないということですか。マニュアルなどもないというレベルですか。
ずっと先輩から教えられていたので、アメリカだと違うのかなと思いました。
「これとこれを、VLOOKをこういうふうにして」などというのは多分なくて、「こういうことをしたいからできる?」というような感じでぽんと投げられて、自分で考えて、「こういうふうにやってみたのですけれどもどうでしょうか」というような感じになるのかなと思います。
日本だと「パソコンは全くできません」という人が結構いるんですよね。
うちの会社にもいます。
いますよね。
若くてもいるんですよ。40代以上だと大学でパソコン触っていましたという世代ではないので、PCには疎いっていうのはわからなくもないんですけど、20代前半とかでも「パソコンに殆ど触ったことがないです」って人が結構いるんですよね。
「SUMすら分かりません」という人がたくさんいます。
そうです。逆に今はパソコン通り越して、スマホになってしまっていて、パソコンではメールも打たないというような人もいるって何かで読んだことあります。そういうITリテラシーみたいな意味では、アメリカはどうなんですかね?
会計ソフトでメジャーなところはあるのですか。
PCのソフトはマイクロソフトがメジャーですか。
最初に紹介いただいたときおっしゃったコネの件なのですけれども、自分みたいに何かしらしない限りアメリカへ行く機会がない人間にとって、コネを作る術が、やはり現地にいない分、やり方が分からないんですけど、何か方法はありますか?
アメリカの求人サイトがあると思いますし、日本人向けのところもたくさんあるとよく聞くので、それを検索してみて、アプライしてみると良いんじゃないですかね。さすがにCPAに合格した後のほうがいいと思うのですけれども、今のうちにそういった情報を得ておくという意味では、その辺でコンタクトを取ってみるというのはありかなという感じはします。
あとはボストンキャリアフォーラムに行ってみるとか。その場合だとその日のうちに選考が進んで、すぐ採用というような感じもあるみたいですね。
私もそうです。キャリアフォーラムで採用です。でも、それはボストンではなくて日本でのキャリアフォーラムでした。
同じところの主催でロンドンでやってたりしますよね。
アメリカに行けなくても大丈夫なので、日本だと夏ぐらいにやっていると思います。
仕事を探していたときにUSCPAの資格自体が活きましたか?
今の会社は、多分CPAでなかったら難しかったのかなと思いますね。
というのは、日系企業なので、日本人からしたら日本で経理の経験が長いというのは評価ポイントだと思うのですけれども、アメリカ人の同僚もたくさんいますし、ファイナンスのヘッドもアメリカ人なので、その人にアピールするには、日本での経験よりも、英語の会計用語が分かるのかとか、どういった知識があるかというのは、CPAを持っていると、アメリカ人にはわかりやすいですよね。これぐらいだったら分かる、というところで。ただ、私の場合はアカウンティングのメジャーではないので、やはり経験も必要だったのかと思いますね。
以前、ゲストで来てもらった方がおっしゃっていましたけれど、米系企業の求人サイトを見ると、経理・財務の求人であれば、USCPAを持ってないとアプライさえできないというところが殆どで、持っていて当たり前なんですよね。
競争のところで、経理の事務員などは将来AIによって仕事を奪われる、というようなニュースがいろいろあると思うのですが、実際に働いている人たちはそういう危機感はあったりするものですか?
多分、大企業から入れていくと思うんですよね。AIを使うにも調整が絶対に必要なので、まず大企業からやっていって、中小に導入するのは価格も安くならなければいけないし、調整してくれる人がいなければいけないので、私は、あと10年は大丈夫かなと思っています(笑)。
でも、うちの会社は結構大手のところと取引があるのですけれども、そこは面白くて、普通、インボイスを発行すると、向こうのAPの人が受け取って処理するという感じだと思うのですが、そういうプロセスをとらなくて、こちらからインボイスを発行するときにその取引先の会社のサイトにログインして、インボイスを直接登録してしまうのです。
それは向こうのAPの人の数を減らしていると思うんですよね。大手だから、周りの企業も向こうのやり方に合わせてくれるから、そういう事が成り立つんだと思うのですが、そういうのが自動化されていったら、AP・ARの人の数は減るのかなとは思いますね。
そうなると、やはりアカウンタントになるぐらいにならないと食えなくなってしまうという感じですね。
最近、この場では必ずAIの話になりますね。Big4はどこもAI導入に向けたプロジェクトチームがあって、色々とやっているというのを聞きます。監査も今までサンプルでやっていたのが、全件チェックできるということになっていくんだと思いますよね。
皆さんが言うのは、いわゆる帳簿を付けるとか、あくまで入力作業みたいな仕事というのは、全部なくなってしまうと思うのですけど、何か判断するところというのはきっとまだまだ出来ないですよね。
そういったときにやはりUSCPAの方というのは、その判断する側になるはずなので。
アメリカや先進国で自動化が進んでいると同時に、例えば途上国など、経済規模が比較的小さい国などでもAI化は進んでいくと思われますか。
進んでいくんじゃないですかね。
同時に、ですか。
同時というか、結果的に先進国がお金を出してやらせていくんだと思います。
日本人は労働人口がどんどん減っていきますから。
会計基準について、今、USGAAPの勉強をしていますが、これからIFRSもどんどん入ってくると思って、アメリカで上場している企業などでも海外投資家からの誘導でIFRSに切り替えていくというのは、もしかしたら今後増えてくるのかなと思うのですが。
アメリカで仕事をする限りは、おそらくU.S.GAAPを使うんじゃないかと思いますけどね。USCPAを勉強していれば、FARでIFRSの話をしますけれども、差異はかなりなくなってきているので、日本国内でIFRSをやっている方に聞いても、あらためてIFRSの勉強をしなくても大丈夫、と皆さんはおっしゃっています。
USCPAの学習の中で、各科目がこういうふうに活きているとかありますか?
REGは合格すると忘れちゃうって人も多いですけど。
そうです。
それはすごく活きていますね。日本だと会社が確定申告してくれますが、アメリカは全部自分でやらないといけないので、自分でやるかプロフェッショナルに頼むかで、頼むとお金がかかります。今はいいソフトウエアも結構あるので、みんなそれを使うのですけれども、そういうのは自分でできるし、副業もできますよ。
アメリカは結構副業を認めている会社が多くて、私はやってないですけれども、みんな自分で税務申告をやらないといけなくて、すごい量なんですよ。そうすると、会計事務所が1月から3月、4月はすごい仕事量になってしまうので、みんな徹夜、徹夜、徹夜なのですけれども、そのときのボリュームを減らすために知り合いの会計事務所で「手伝いに来て」と言われている方も知っています。
あとは結構個人で、自分で事務所を持って仕事をされている方も多いので、何歳になっても働き続けられるということで、もし会社を辞めたとしても、自分のペースで仕事も可能だろうし、年を取ってもお客さんがいる限りそういうのはできるから、REGなどはすごく役に立っています。
それはアメリカなら、ということですね。
日本にいたらあまり使わないかもしれませんけど、アメリカへ行ったらすごく使えます。でも、日本でもアメリカの税務申告の代行をしている会社があると思うので、そういうところだと使えるんじゃないですかね。
今の職場で日本人だからこそ良かったというところは何かありますか。
仕事を失う可能性が低いかなと思います。なぜかというと、日本人を雇っているということは、日本語で対応できる人が欲しいから日本人を雇っているわけで、もしかしたら、日本の本社が英語のできる人を雇ってしまって、ダイレクトにアメリカ人とやりとりできるようになると職が危ないかもしれませんが、どうやらそういうことはなさそうなので大丈夫かなと。
それはファイナンスのヘッドも分かっていて、自分は日本語が分からなくて、連結パッケージなども全部日本語で来てしまうし、そういうのをやっているというのを知っているので、少し安心かなと、自分のポジションは大丈夫かなというのはありますね。
日本人が向こうで働くのであれば、やはり日本語の部分ですよね。会計がわかっていて、英語ができる人はいくらでもいるわけなので、日本語を必要としている会社に日本人として、USCPAを持って行く、というのはとても意味がありますし、採用されやすいんだと思います。実務経験があれば尚良し、って感じですね。
今日の参加者の皆さんもアメリカで働きたいという方が多かったので、まずはUSCPAに合格していただければと思います。頑張って下さい。