第139回 USCPA CMレポート
日本のメーカーの財務の海外勤務特集!
実施日: 2018年2月3日(土)
【Guest】 あだ名 リッキーさん
USCPAゲスト紹介
リッキーさん (男性) USCPA
小学校と高校を海外で過ごした帰国子女。東京の大学を卒業後、日本のプリンターメーカーに新卒入社し勤続20年。職務は財務ひとすじで、勤務地は通算で日本の本社10年、中国駐在10年。
これまでIFRSのグローバル導入、中国地域の財務統括、グループ全体の国際税務管理を担当。
飽きっぽい性格ながら経理マンは長く続き、US.CPAはその記念として取得。US.CPA合格時、その事実を会社に伝え、名刺に記載した。現在、久しぶりの日本の生活を満喫している。
- USCPAゲスト
- 参加者
- 司会
Q&A
USCPAに合格したことで会社からの見られ方、仕事の責任などに変化はありましたか。
USCPAを取得したことによって、他社からの引き合いやヘッドハンティングはありましたか。
中国に赴任されていたという事ですが、経理関係で海外赴任される割合とか、希望者に対してどの程度行けるのでしょうか?
そのリスクを取るかというと、積極的には取らないし、今は普通に日本の親会社で仕事ができているので、そこまですることはないだろうという考え。
逆にチャンスは多いということですか。
中国は希望されたのですか。
それは何か理由はあったのですか。
海外は、中国だけではなく他の地域に行かされることもあるのですか。
財務経理部は海外赴任の機会が他の部署より多い。子会社の規模は様々だが、年商で500億円以上になってくると、財務部長や管理部長の様なカネを扱うポジションには日本人を置きたがる。
ただ、国内の若手に海外志向がないことと、現地側が即戦力を欲しがっていることから、同じようなベテランが二度三度と呼ばれている。
今日、参加されている方の様にUSCPAの取得を目指している方は海外志向が強いわけで、そうした方にとってはチャンスですよね。
マンションもホテルの様な感じで、掃除や朝食が付いていました。家賃は日本円で月20万円ぐらいでしたが全額会社負担。仕事は財務の地域統括と各社支援を担当しており、楽しかったです。
地域統括は、税務対策の展開、会計処理の標準化、会計監査人に支払う監査報酬の一括交渉、キャッシュプーリングスキームの運用など。各社支援は、税務調査が入った会社の現場支援などです。うちの場合、子会社の所在地が散っているので、飛行機には年間40回乗っていました。
今は課長さんですか。
例えば自分の部下を見ていて、海外赴任をお勧めしたいような人はいますか。もしくは人物像はありますか。
では、行きたいと言えば行ける状況ですか。
海外勤務に行くタイミングというのは、例えば仕事をひとまわりしてからとか、いろいろ経験してから行きたかったとか、そういうのはありましたか?
一通りやっての5年だったので、そういう意味では良いタイミングでした。その時はまだ20代で、香港に着いたら「今日からあなたが財務部長です」と言われて「え?」という感じでしたが(笑)
20代で行かれたのは、販社ですか。
なお、事前に質問を頂いていましたが、私は海外赴任する時のストレスよりも、海外から日本に戻った時のストレスのほうが大きかった。これはなかなか分かってもらえないですけども。
それはすごく聞きます。
問題は、赴任期間が3年ぐらいならいいですけど、5年、6年と海外にいて帰ってくると、日本のほうが変わってしまっている。基準も税法も変わっていて、人も知らない人が増えている。よく分からない中で、この人は中堅社員なのにこんなことも知らないのか、という顔をされることもある。
ポジションも平社員に戻り、権限もなし。受け入れ側の職場の状況にもよるが、引き継ぎなし、業務マニュアルなし、上司のフォローなし、とないない尽くしでした。
分かる気がします。この人は海外でやってきたら、凄いんだろうなという周りの思いもありますね。
社内の財務経理の方々は、USCPAや日本の公認会計士はいらっしゃるのですか。
会社の会計基準はIFRSですよね。
USCPAに受かった後、会計基準のアップデートなどで苦労されることはありますか。
中国で販社にいたということですが、販社の経理、財務の醍醐味や面白みは何ですか。
1.財務統括・各社支援
中国は税制の変更が毎月あり、通達が出ると何か変化を起こさなければいけない。「これまでここの部分を納税していなかったけれども、今後は入れましょう」とか。過去分はどうするかという話もあります。
税法が変わる中で、将来罰金判定になったりしない様に対策をとっていく。短期的にはコストが増えるが、将来的にはリスクを低減できることを、納得して貰うまで説明していきます。
また、会社に税金の調査が入って、「次はこういうふうに税務署に反論しましょう」や「おそらく税務署は次回こう言ってくるからこういう準備をしておきましょう」という戦略を外部専門家と練り、その会社の社長と管理部長に説明したりします。
調査の当事者はその会社で、こちらは支援です。税金の話を財務経理畑ではない人にするので、難しさもあります。
会計処理の標準化も、地域でするということは処理を変えて貰う会社があります。標準化ができれば地域として見えやすくなるし、こういうメリットがあるので変えてくださいということを、各社の社長や管理部長に説明します。「あなたの説明は分かったので、やります」と言われた時は、面白さを感じました。
2.販社の箱管理
香港・上海、どちらも日本円で年商500億円ぐらいの販売会社で、その規模はいい意味でコンパクトでした。機能も営業、マーケティング、品質保証、財務経理、事業管理、総務人事、ITと揃っており、日本人赴任者が来ている部門もありました。
課題解決に向け異なる機能の人と連携を取っていくのが面白かったです。会社全体が動いていて、この人はこういうことをやっていて、うちがこういうふうに動いてあげれば、全体としてこちらの方向に進めるのだな、「なるほど」と。
現場に近い分、会社全体の動きが見えやすく、同じフロアに異なる機能の人がいるので、ほかの部門の動きもよく分かりました。あとは財務がここをやれば、あちらの方向に進めるというのが見えやすい。本社にいた時とは対照的な感じです。勉強になりましたし、面白かったです。
私は移転価格をやりたいと思っていて、資格を取ったらBig4に行きたいと思っているのですが、リッキーさんはBig4への転職は考えたことはないですか。
それはなぜですか。
一方、生涯年収で考えると会計事務所や税理士事務所の方が、パートナーやシニアパートナーなどまで出世できればメーカー勤務より高い。但しその分、マネジャー、シニアマネジャー、ディレクター、パートナーと、競争は激しい。一般スタッフにマネジャーになれそうな人がいて、マネジャー試験があって、それに落ちた人はたいてい転職します。
転職先は別のBig4が多く、こちらでお世話になっていた人が、あっちへ行ったらいたということが良くありました。取った資格は活かしたい、競争は激しくても上を狙っていくつもりであれば、会計事務所や税理士事務所はありだと思います。それと移転価格は確かに狙い目です。中国が顕著で、移転価格や税関課題は、大企業になればなるほど悩みの種で、コンサルを付けることが多いです。
中国に子会社が1個しかないのであれば良いが、うちみたいに幾つも持っていると、調査をいいかげんな結論で終結させる訳にいかない。他の子会社も同じようにやられてしまいますから。
Big4でも畑の取り合いという感じですね。
海外に拠点を持っているのは主に大企業と思いますが、「中国へ来月から行ってください」と言われたら「中国ですか!?」という感じになると思います。ただ、実際のくらしがそんなに悪くなければ、語学の心配はあるにせよ、良さそうに聞こえますね。
靄がかかって前が見えないなど酷い期間も確かにありましたが、それはせいぜい1週間~2週間程度でした。日本の報道だと、現地は常にその様な状況だと、視聴者を勘違いさせてしまう。実際には、中国、香港の駐在はお勧めです。
海外志向の強い人を中途採用で採っていたりするのですか?
経理の転職は実務経験が重視されるイメージがあり、資格があっても経験が無いと厳しい印象がある。
未経験でUSCPAを持って転職したい場合、何歳ぐらいまでいけますか?資格だけで経理に行きたいといった場合です。
これは結構聞かれる質問です。これからUSCPAに挑戦して、合格する頃は30代ですが転職できますか?と。こちらは35歳ぐらいまでだったら大丈夫ですよと言っています。
職場管理のできる人材が要るので、あまり年代に関わらず募集をしていると思います。
最後に・・・会社で働いていると昇進、昇格の場面がありますが、そういう時にUSCPAを持っているとプロモーションには有利になりますので、取っておいたほうがいいです。皆さん、是非頑張って合格して下さい。