第127回 USCPA CMレポート
未経験からのキャリア構築特集!
実施日: 2016年11月13日(日)
USCPAゲスト紹介
GIRIGIRIさん (男性) USCPA
大学卒業後に1年半の空白期間を経て、ホテルにおける食器洗浄等の業務請負の会社に4年間勤務。
その後半2年間に現場責任者として月次損益管理を行い、数字を扱う仕事に適性があると自覚。退社して日本の公認会計士を目指すも、簿記1級試験のマニアックさに辟易し、USCPAにシフト。
1年間の受験勉強でUSCPA全科目に一発合格。
30歳で未経験から経理職に転職し、会計関連専門の人材紹介・人材派遣・アウトソーシングの会社に5年間勤務。
退社して3ヶ月受験勉強に専念し、CIA(公認内部監査人)全科目に一発合格。
グローバル展開する日系の化学系製造販売メーカーに転職し、現在9年目。内部監査部門でJ-SOX初年度導入を1年間担当した後、経理部門に異動して連結決算業務、連結決算システム入替を担当。
現在は原価計算業務、基幹システム入替を担当されています。
- USCPAゲスト
- 参加者
- 司会
Q&A
最初の転職を決めたきっかけは何があったのでしょうか?
28歳で転職をしようと思うまで、特にその仕事をしていることに違和感は無かったのですが、結婚を機に意識が変わったようで、「何で自分はこんなことをしているんだろう」って思ったんです。
前からこういうことをやりたかったということはなくて、自分でも不思議な感じはするのですが、もともと簿記とか会計には興味があったので、そうした下地はあったのかなと思います。
結構、消去法的な感じで、自分に向いていると思われる仕事を紙に書き出していったんです。月次で損益計算書を作っていたのが自分に向いていると感じていて、ピックアップした中で会計関連の仕事にピンと来るものがあったんですね。
ホテルのバックヤードの仕事って人と関わることが多くて、かなり体育会系なんですよ。私はあまりそういうことは得意じゃなくて、きつかったんです。
紙に適性を書き出すということですが、転職をする前にコレを考えておかないといけないというポイントのようなものはありますか?
例えば、会計の仕事がしたいという時に一番にくるのはやはり「やる気」だと思うんですね。勿論、適性とかはあると思うんですけど。
2社目の時、人材のエージェントにいましたが、営業の人が近くで話していて、「この人は性格に難がある」とか、「この人はやる気がすごくあるので、未経験でもいける」とかいう話を聞いていたんです。
当然、経験というのは大切だと思うのですが、「やる気」というのも大事なんじゃないかと個人的には思いますね。
CIAを取得されたきっかけをお聞きしたいんですが、その時にはUSCPAは取得をされていて、転職をされるときにどうしてまた会計関連の資格を取得しようと考えたのですか?
結論から言うと内部監査部門へ転職をしたかったので、CIAであろうと思ったんですね。当然、USCPAだけでもキャリアは積んでいけると思います。あまりダブルホルダーになりたいとか言うことは無くて、単純に内部監査の世界へ行きたいのであれば、バックグラウンドとして、知識を持っている方が良いであろうと、それを証明するために資格を取ろうと思いました。
CIAの資格自体は、3ヶ月間勉強に専念して合格したと言いましたが、USCPAの勉強量に較べると半分以下だと思うので、専念する必要はなかったと思います。多くの方は仕事をしながら勉強をされていると思いますし。
資格自体にはそこまで価値があるわけじゃないのかもしれませんが、資格を持っているということはその知識を持っているという証明なので、その為に取得するということになるのかなと思います。
ということは、内部監査のほうへ進みたいということであれば、持っていたほうが望ましいということなのでしょうか?
USCPAの実際の費用対効果とか、資格を取って、どの程度実務に活きるのかお聞きしたいのですが。
アメリカの資格なので、日本で活躍する場というのは外資系に限定されるのかなと思っているのですが。
そういうことではないと思います。当然、外資系にウケが良いのは確かかとは思いますが、日本企業であっても評価されると思いますね。ただ日本の企業で仕事していく上では、日本の会計基準は避けて通れないので、簿記3級、出来れば2級を持っておくと良いかと思います。
私は15年くらい前にUSCPAに合格しましたが、財務会計の基本的な構造は日本の会計基準と一緒ですので、十分にその知識は使えますね。
それと個人的には日本の簿記の勉強とか会計基準よりは、USCPAで財務会計を学んだほうがコアな部分はスッと入ってくるなと思いました。シンプルでわかりやすいと思います。
連結決算を担当していたときは子会社とやりとりをする際に全て英語でやらないといけないので業務の3割くらい英語だったと思います。ただ話すのは得意ではないので、極力メールでやりとりをするようにしていました。(笑)入社当初、内部監査部門に1年くらいいたときは、J-SOXの導入初年度というところで、実際に毎月のように出張で現地へ行き、慣れない英語を使ってやり取りをするのが1年くらい続きましたね。英語自体はUSCPAをやっている皆さんならばご承知かとは思いますが、これからどんどん必要になってくるんだろうなと思います。
そのあたりも聞かれましたか?
将来的に何をやりたいんだと聞かれましたね。内部監査の仕事で視野を広げて会社に貢献したいということを話しました。
それと大学で中国文学を専攻していたので、中国語は話せるのか?ということも聞かれました。今は話せないので、これから勉強しますと答えたと記憶しています。
よく面接で聞かれたことはありますか?
面接で必ず聞かれることがあって、大学卒業後に1年半のブランクがあるんですが、ココで何をやっていたんだと聞かれるのと、28歳で一社目を辞めたあとの2年間ですね。やはりブランクが長いと突かれます。
きちんとした答えを準備しておかないとかなり突っ込まれると思うので、事前にしっかりとした理由を考えておきました。その他には、もともと英語が出来たのか、という点ですね。
英語力はどうだったのですか?
英語はもともと出来たわけではなくて、USCPAを受験するためにツールとしてやっていたという感じです。
ちなみに受験の3ヶ月前にTOEICを受けたら、500点くらいだったんですよ。
まだ記述問題の対策をしていなくて、MCを数回回したあとだった頃であまり英語力が付いていなかったと思うのですが、受験直後に受けたら、ちょうど700点くらいになりました。3ヶ月で200点も上がるのかとびっくりしましたけどね。
その後も英語は勉強し続けて、5年間くらいずっとTOEICを受け続けて、TOEICの専門学校にも通ったりしたんですけども、最終的には800点台後半までになって、結局900点の壁は越えられなかったのですが、その状態で今の会社への転職活動をしたので、英語力も一応評価されて採用されたんだと思います。
会話は上達しましたか?
最低限は出来ますが、会話は得意ではないですね。J-SOXの導入初年度に海外出張に毎月行っていたときも全然聞き取れなかったし、話せなかったですし、本当に苦労しました。
しかも中国や韓国、マレーシア、シンガポールといったアジア圏への出張が多かったのできれいな英語ではなくて、TOEICのリスニングのようにはいかなかったですね。ただ会計の話はUSCPAの学習で単語を知っているので、そこまで苦労はしなかったです。逆に日常会話のほうが大変でした。
2番目の会社を辞めて、CIAの勉強に専念したということですが、働きながらではなくて、一旦、辞めて資格を取得して転職をされたというのは何故でしょうか?
一言で言うと仕事がハードだったので、仕事をしながらというのは無理だなと思って辞めたんですが、出来れば働きながらが良かったですよね。一社目を辞めたときは仕事自体も方向性を転換しようと思っていたので、辞めて受験勉強に集中したほうが良いと思ったんですね。
二社目の時は辞めなくても良かったのかもしれないんですけども、それなりにはハードで残業も多かったので、中途半端に勉強をしながら仕事を続けるとなかなか受からないんじゃないかと思って、スパッと辞めて勉強すれば受かるだろうという思いがありました。
日本の会計士を諦める時には迷いは無かったですか?
無かったですね。日本の会計士試験への前段階として簿記一級の試験勉強をして、一度受験して落ちたのですが、試験勉強をしていても、コレは自分には向いていないなというのは薄々感じていました。職人のような、マニアックな試験なので、会計基準などもその流れでわかりにくいんですよ。
それに対してUSCPAは感覚的な話ですけども、青空に抜けるようなすがすがしい感じがして、シンプルでわかりやすかったんです。英語ではありますけども、中身はアメリカの基準のほうがわかりやすいと思ったんです。
ですので、日本の会計士試験に合格したという話を聞くと尊敬します。仕事でも日本の会計士とよく接しますけども、本当にすごいなと思いますね。
二社目のときは具体的にはどのような仕事をされていたのですか?
会計関連に特化した人材の紹介とか派遣をやっている会社でしたが、その会社の経理部門のスタッフとして採用されて、その仕事をやりながら、派遣先にも行ったりしてました。その会社は経理部門でアウトソーシングも請け負っているので、アウトソーシングの仕事をしたり、自社の経理をやったり、派遣先に行ったり、といろいろでした。
一貫しているのは会計に関係した仕事、ということですね。さらに会社が教育分野にも進出したので、会計関連の実務講座で受講生に教えたりもしていました。5年間という期間でしたが、一般の経理事務だけを担当していたわけではなかったので、短期間で色々と吸収できたと思います。
当時30歳で未経験で拾ってもらっているという立場だったので、社長からかなりハッパを掛けてもらって、未経験で人よりも遅れているんだから頑張ってキャッチアップしないとダメだということで、結構、働きましたね。30歳の時点であまりパソコンを使ったことも無くて、デスクワーク自体も初めてだったので、かなりパワーを使いました。
キャッチアップするために具体的にどのようなことをされましたか?
仕事の業務時間自体が結構長かったので、仕事を通じて徐々にという感じでした。残業がかなり多くて、物理的に働く時間が長かったので、必然的にキャッチアップも出来ましたね。
あと、入社時は簿記3級しか持っていなかったので、簿記2級を取ったりとか、それとTOEICをそのときに800点以上まで伸ばしたので、それもキャッチアップの一環だったのかもしれないですね。
仕事が面白かったかというと、全ての仕事が必ずしもそうでもないんですが、仕事をやっているとタスクも出てくるので、そのタスクをこなしていくうちに自分ももっと出来るようになっていくという繰り返しだったと思います。
今の仕事では残業はどの程度ありますか?
異動したいとか、転職したいという希望はありますか?
LinkedInには登録をしているんですけども、USCPAとかCIAを持っていると結構連絡がきますね。
どういった会社からの連絡が多いですか?
ことごとく外資系で、会計の仕事です。化学関係の会社が多いですね、今がそうした会社なので。
連絡があるのは2つのパターンで、1つは世界的に誰でも知っているような会社。きっと英語のミーティングでダメなんだろなって思いますけどね。(笑)
もう1つは海外に本社があって、その日本の子会社で比較的小規模な会社というケースです。その2つのパターンに分かれると思います。
市場価値としてはある程度あるんだなと言うくらいは認識できるので、登録しておくのは悪くないなと思いますね。
USCPAに合格されたあとに会計の仕事をされてきたと思うのですが、今の仕事の魅力とこういう人は向いていないなと思われることはありますか?
会計の仕事の適性で、個人的に向いていないなと思うタイプとしてはいい加減な人ですね。(笑)
仕事として、ピタッと数字を合わせないといけなかったりするので、そこで適当な人だと信用が得られないですよね。仕事のミスが出たりするので、そういう人はどうかなと思います。
楽しさとか魅力は、経理とか財務が好きというのはいちばん大切だとは思いますね。営業のように人とのコミュニケーションを通して仕事をしていくという側面は少ないですが、その分、責任感というか、自分の担当している仕事に誇りを持てたり、楽しく働ける、喜びを持てる人が向いていると思います。
たぶん、USCPAの勉強をしていて、嫌でなければ向いていると思うんですよ。逆に、勉強していてUSCPAの勉強は向いていないと思うようであれば、そうした仕事にも向いていないと思います。適性がありますからね。
今後のイメージがあればお聞きしたいのですが。
そうした非営利の関係に興味を持たれたきっかけはあったのですか?
大学4年生の時にインドに行った時の影響がありますね。道端や陸橋の下で生活をしている人を目の当たりにして、そうした貧しい人たちの為に何かできるような仕事をしたいなとずっと思っています。
インドかどうかはわかりませんけども、将来的に方向性をシフトしたいというときがあったら、それも一つの選択肢なのかなとは思います。
皆さんも合格目指してがんばってください。