第70回 USCPA CMレポート
【Guest】 ひろさん USCPA
自己紹介
大学は商学部。学生時代にJCPAを受験したが不合格。
色々と考え、帰国子女だったこともあり、英語は苦ではないし、グローバルに生きようと思った時にJCPAでは難しいと考え、USCPAに転向を図る。
また大学院の頃から、某資格予備校にて財務会計を教え始める。
その中で2006年末からUSCPAの勉強を開始。
もともとJCPAの学習をしていた事もあり、3科目はサクっと受かるも1科目はなかなか受からず、Expireも経験し、学校をアビタスに変更し、すぐに合格。
転職活動をするもなかなか見つからなかったので、アルバイトでUSCPA、IFRS関連の教材開発等を行なう。
転職活動中に監査法人を受けたところ、面接をしたパートナーに気に入られたが、ただそこの監査法人では、ポストが無いと言われる。そんな中、そのパートナーの知り合いの会計事務所が海外IPOをやるので、英語が出来る会計士が欲
しいと言っているとの事で、現職を紹介され採用された。
今は仕事の内容としては、海外IPO関係をやっている。
クライアント先が香港やシンガポールなど海外へ上場しようとした時にIFRSの組み換えから始まり、上場に関わる弁護士や証券会社、評価会社等とそのクライアント自体が折衝するのは、英語に問題もあり、ノウハウも無いことから、不可能な為、その間に入り、そのクライアントの代わりになって、様々な事項を全てコントロールしている。これをFAという。
シンガポールの資産評価会社と一緒に仕事をやっていて、直近では韓国上場、香港上場などに絡み、今は台湾案件を持っている。
Q&A
- ゲスト
- 参加者
- 司会
入社はいつですか?
クライアント先とは全て言語は英語なのでしょうか?
確かに台湾案件だとか、香港案件だとかだと中国語や広東語が出てきますし、韓国案件の時は当然、相手は韓国人だったんですが、その時は、目論見書っていうのを作成したんですが、そのフォーマットが全てハングルで送られてきて、埋めなくてはならなかったんですが、それをGoogle翻訳に掛けた時がありましたね。
それって「これはわからないよ」って突き返したりしないものなんですか?
内部に専門家はいないんですか?例えば、弁護士出身の方とかいないんですか?
では、知識ベースではどうされているんですか?
法律関係で何かトラブルって事はあまりなくて、監査法人系に問題が出るときはこちらで何とかなるんですけどね。あるのは証券会社と取引所からの質問を受けられないとか、これは無理だとか。結構、無理難題を言ってくるし、日本の監査より厳しくて、特に上場なので、相当厳しく要求されるんですね、資料とかを。それを受けて、クライアント先に資料をお願いするとかします。
向こうの監査法人とのやりとりもあるんですか?
その辺りは比較的社内ベースで何とかなるものなんですか?
当然、わからないこともありますけども、本当に日々、勉強ですね。
会計基準は、USCPAで勉強した内容とアジアで上場する際の必要な会計知識という意味で言うとどのくらいズレがあるんでしょうか?
会計士としての活動ではなくて、コンサルティングということですが、社内では周りの方も会計士の方が多いですか?
ライセンスは取られましたか?
私はイリノイ州出願なので、私が合格したときは、グアムで言うInactive Licenseみたいなものが取れたので、名刺には書いています。ライセンスまでは今のところ必要なくて、名刺に書ければ良いかな、と思っていますね。仕事をしていて、海外の監査法人の人などに会った時、名刺に「CPA Illinois」と書いてあると全然向こうの態度が変わってくるんですよね。そういう意味では、やはり名刺には書けたほうが良いですよね。
日本のマーケットが冷え込んでいるので、アジアのマーケットを狙うといった感じなのでしょうか?それともアメリカにも行くのでしょうか?
ただデメリットとして、非常に上場コストがかかります。具体的には弁護士料が高いですね。特に香港が高いです。それと国内と海外分と監査法人が2つ必要になります。あとIFRSなので、外部評価が必要になります。取引所が認めた評価会社があって、のれんとか固定資産等々を見るんです。トータルコストは日本よりも遥かにかかりますよね。
それでもやはり早い、資金調達がしやすい、価格がつきやすいんですね。
1年後の市場はある程度予期できても、3年後は無理ですよね。
M&Aに付随したIPOもあるんですか?
アジアの市場の中で存在感があるのはどこの国でしょうか?
内部統制上でレポーティングをすることはあるんですね。
それと香港はSOXがないんですね。ただSOXが無くても上場時には取引所が指定する現地の内部統制コンサルティング会社の内部統制報告書は必要になります。
アジアにおいて、昔のITバブルの時のような熱い業種はあるんですか?
上場と言うよりも進出が多いんです。シンガポールとか香港って異常なまでの日本食ブームなんですよ。
その進出のコンサルもやっているんですか?
アジア以外のヨーロッパとかアメリカは扱っていないんですか?
アジアであってもUSCPA資格とか、英語力は活きているんでしょうか?
英語のレベルはどの程度必要なのでしょうか?
英語が出来るとやれる仕事が広がってくるんですよね。私は業界だとジュニアなのですが、ジュニアなのに英語ができるから、シニアとかパートナークラスのミーティングに出させてもらって、そのままその人達と仲良くなって、仕事が出来るというのはあるので、やっぱり英語ができるというのは必須でしょうね。日本でやってて思うんですけど、日本の会計士業界って英語が出来る人が全然いないんですよ。
文化の違いで上場できなかったりするんですか?
案件ごとにどのくらいの期間が掛かるんですか?
そのクライアント先は、本当に内部統制がしっかりしていて、非常に健全な会社で、求めた書類がある程度すぐに出てくるんですね。非常に監査上、良い会社でした。以前から上場を目指していたというのがあったんだと思います。ただやはりノウハウが全て持っているわけではないので、そこは指導をしてきました。
Feeの決め方はどのようにするんですか?IPOした時の資金調達の額に応じて、という形でしょうか?
固定でやることも出来るんですけども、IPOというのはとにかく想定外だらけなんですね。そうなると足が出る可能性もあるし、コチラ側が大損って事になりかねないので、単純に単価幾ら、時給幾ら、という取り決めでやるのが通常の形ですね。監査法人だと通常、固定費でやっているはずです。
その直近の案件は、何人くらいのチームで入ったんですか?
案件はどのように来るんですか?
やっぱり営業掛けてどうこうというよりも業界が狭いので、紹介が多いですね。
監査法人では、現在やられているようなビジネスは展開できないのでしょうか?
自分たちでコンサルしたものを自分たちで監査するというのは出来ないですよね。
今やっている仕事の中でこれはなければダメだとか、必要なスキルとかありますか?
USCPAを活かしているという意味では知識的なところと資格として活きているという両面で如何ですか?
JCPAよりも諸外国では認められていますし、香港・シンガポールの人と名刺交換すると信頼を置いてくれます。それは会計士だけではなくて、証券会社にしても弁護士にしても一目置いてくれますよね。仕事面では、USというより英語が出来るという意味で役に立ちますよね。英語ができる会計士という意味で、これは日本にいても役に立ちます。私は先程、話した通り、ジュニアですけども、相手の監査法人の方と会っている中で、今度、アジアのIPOに関するセミナー講師をやって欲しいとか依頼が来るんですよね。そういったところで、英語ができることで他の人を追い抜いて、上に行けるというのはあります。
USCPAというのは、思った以上に諸外国ではステータスが高いですね。
先日も米国に行っていたんですが、やっぱり名刺を見せると本当にまったく向こうの態度が変わるんですよね。
名刺に「CPA」と書いてあるだけなんですけどね。(笑)
もともと帰国子女とのことですが、英語の面で、USCPAの試験だと当然スピーキングってないわけですが、スピーキングはどのように伸ばしたのですか?
あとTOEICという意味では、自分なんかは殆ど伸びしろが無いわけですが、それでも点数は伸びましたね。なので、USCPAを勉強すると確実に英語力は付きます。あと英語への抵抗感がなくなりました。
学習方法に関してですが、テキストや講義を全て見てからまとめてMC問題をやるのとその都度(各回ごと)、問題を解いていくのとどちらが良いのでしょうか?
やっても忘れちゃうんですが、でも、復習をすぐにやると定着するので、また思い出すんですよね。MCを全くやらないのとでは全く定着度が違うんです。
講義前に予習は必要ですか?
講義を受けるとわかった気になるんですが、それだけだとダメできちんと問題を解いて頭に定着させて下さい。
普段、学習法のカウンセラーをやっていてもらっているわけですが、どういう人が受かりやすくて、どういう人が受かりにくいというのはありますか?
自分のやり方を何しろ肯定して欲しいんです。「そうじゃないよ、そのやり方じゃダメだよ」と言ってもわかってくれないんです。やっぱり謙虚さを持って、カウンセリングを受けている方は受かりやすいと思います。それとカウンセラーが皆、言うのは、暗記はやめましょうねと。理屈で自分なりに解釈できて、それを他人に説明できるようになるとそれは頭に定着出来ているので、受かりやすいですね、と言うことは皆、共通しています。やっぱり聞く耳を持っている人は、修正が可能なので、受かりやすいですね。すぐに結果が出なくても、確実に結果は伸びていきます。それと細かいところにこだわる人ですね。木を見て森を見ないで、葉っぱを見ている人というのは時間がかかってしまう傾向にあると思います。是非、学習法のカウンセリングを受けてみて下さい。
勉強と仕事との両立が大変なんですが、その辺りのバランスのとり方が悩みなんですが。
それも難しい場合もあるかもしれませんが、やっぱり忘れない程度にやっておくっていうのは大事で。貯めて一気にやるというのは、やっぱり忘れちゃうので、一日5分でも10分でもいいので、勉強する癖を付けることですね。そうすれば、思い出すのも早いんですよ。
将来はこうしたいとかあるんですか?
洋書の話をよく聞かれると思うんですが、勉強されている方への意見のようなものはありますか?
MCの4択ありますよね。あれを全部自分の言葉できちんと言えるようになるのが受験に至る上でのひとつの目標だと思うんですね。それが出来るとやっぱりきちんと理解できているんですよ。それでも受からない場合には、新しい問題をやった方が良いと思うんですが、与えられた問題を全てやってもいないのに洋書に手を出すのは反対ですね。まずMCカードをやりましょうと言うのが私の意見です。洋書というのは、どうでも良い問題がたくさん入っているんですね。そのどうでも良い問題は殆ど出ないわけですしね。それを取捨選択出来ない人が使うべきではないと思いますね。
モチベーションの維持ってどうしてましたか?
簡単すぎず、大変すぎないっていうのを決めておいて、それが出来れば、自分に対しての軽いご褒美を与えるという事をしていました。
以上です。
今回の話に出ている香港上場の件は、新聞などでも賑わせていたので、ご存じの方も多いかもしれませんね。ゲストのひろさんが、「現職は2年足らずの経験であるものの、英語ができることで他の人を追い抜いて、仕事の幅を広げることが出来ている」と話す姿は、現職に対しての充実ぶりが窺えて羨ましかったです。
ゲストのひろさん、有難うございました!