将来、オーストラリアに移住したいと思いUSCPAを取得。


第154回 USCPA CMレポート  ~G‘ day mate! 南半球の通訳・翻訳者がBIG 4金融アドバイザリーへ180°キャリアチェンジ特集!

実施日: 2019年4月14日(日)

【Guest】 muramasaさん

USCPAゲスト紹介

muramasaさん (男性) USCPA


23歳でオーストラリアに留学し、通訳・翻訳の大学院を卒業。卒業後は、現地のIT企業に就職し、社内翻訳者、フリーランス通訳者として4年間勤務する。
その後、日本に帰国し外資系専門商社の広報CSR担当として途上国の環境対策等に携わる。
渡豪中、オーストラリアの永住権を取得したことから、将来また現地に移住したいと思い、USCPAの学習を開始。
勉強開始から2年後、USCPAに合格し、現在の監査法人へ転職。
監査法人では金融機関向けのアドバイザリー業務を経験。現在に至る。

    • USCPAゲスト
    • 参加者
    • 司会

Q&A

お仕事されている中で、早い段階で日本の公認会計士の資格を取っていたり、米国公認会計士(USCPA)を取ってキャリアをスタートしている人がいると思いますが、そういう人たちと同じ土俵でパフォーマンスをチェックされていくときに、どういう差があるのか、キャリアの上で日々の仕事で気を付けている、こういうところが働く上で自分の強みとかがあれば教えてください。

実務未経験で入所した場合、簿記や会計に対する理解についてはキャッチアップする必要があります。また監査業務を希望するなら早期に入社したほうがキャリア形成の視点からは有利かもしれません。

しかし、アドバイザリーの場合、会計士の資格を持っていない方もたくさんいらっしゃいますし、働いている方の年齢も新卒から30代まで幅広く、様々なバックグラウンドの方が、これまでの経験を生かして業務に従事しているので、周囲との差はあまり意識しなくてよいと思います。むしろ自分がどうしていきたいのか、何をキャリアの軸とするのかを考えていくのがいいと思います。

金融アドバイザリーのお仕事をされているということなのですが、具体的に金融アドバイザリーという仕事はどのようなことをされていて、未経験から行ってキャッチアップできるものなのか、入ってからどのようなことを学んで、USCPAで勉強したことがどれだけ活かされているのか教えていただきたいです。

入所当初は金融機関のクライアント向けに規制アドバイザリー業務をしていました。金融業は規制業種なので、遵守しなければならないルールが沢山あり、最新の規制動向のアップデートや規定作成のサポートなどを提供していました。規制に対する知識も勿論大切ですが、顧客のニーズや課題を把握する論理思考力課題解決力が求められるので、未経験からでも十分キャッチアップ可能だと思います。

USCPAはBig4入所のチケットとしての役割からも非常に有効でした。また会計コンバージェンス業務ではFARの知識をフル活用しています。BEC、AUDITについてもアドバイザリー業務では求められる知識なので、知識があることが強みになります。現在のジョブではREGはあまり使っていませんね。

もともと、日本の公認会計士ではなくて米国公認会計士にした理由として、オーストラリアの永住権をお持ちで、ポータビリティーなどを考えて米国公認会計士にしたとおっしゃっていましたが、実際にオーストラリアでも働いたり日本でも働いたりしてみて、USCPAの需要など、海外でもマーケットで何かあるなと感じたりしますか。

オーストラリアには、Chartered AccountantとCPAという2つの会計士資格がありますが、USCPAを取得して、会社法と税法の資格を履修すると、Chartered Accountant(CA)資格を取得することが可能です。USCPAの資格自体を求める求人はあまり目にしませんが、CA、CPA資格を求める企業は多くあるのでUSCPA取得後、CAも取得できれば資格面でも優遇されます。

オーストラリアだとUSCPAとの相互承認が受けられて、何か試験を受けるわけではなくて、大学で単位を取ればいいような感じですよね。

そうですね。あとは確か通信教育のようなもので取れたはずです。

一から学習しなくてもいいという、そういう点では非常に相互承認制度ができているので、オーストラリアはとてもいいと思います。

USCPAがきちんと取れたという仮定で英語を使って仕事をするとしたら、どういう仕事が一番英語を使えるのかという興味があります。アドバイザリーなのか、コンサルティングなのか、それとも監査なのかが、細かくは分からないのですけれども。

日常業務では、コンサルティングやアドバイザリーの方が英語を多用するイメージが強いです。但し、海外で駐在員を経験したいなら監査の方が行きやすいと聞いたことがあります。

アドバイザリーは、クライアントのニーズベースで動くため、駐在というよりは短期の出張などでチャンスがあると聞きます。

監査法人系やコンサルなどだと、入ったあとにどこへ配属になるかによって、どのぐらい英語を使うかというのは変わりますよね。

そうですね。

どうしても英語を使いたいということだと、入ってからアピールしていくというのもありかもしれないです。いずれにしても、会計も英語もできる人は少ないとよく聞きます。その辺はやはり感じますか。

はい。それは明確に感じます。会計も英語もトップレベルでできるという人は、あまりいません。逆をいうと、双方トップレベルでわかればかなり優位性がでます。クライアントからの評価が高く、会計と英語ができる方たちはどんどん昇進されている印象があります。USCPAレベルで英語ができれば、日常業務という部分では大丈夫だと思います。

監査法人は何年か経験すると、他の会社の何倍もの経験値になるというふうに、よくお聞きしています。周りの方でもキャリアアップのために監査法人で経験を積まれて転職されていると思いますが、転職後はどのようなところへ行く方が多いですか?

同業が多いですね。ベンチャーの経理、財務などにシニアのポジションで転職される方もいらっしゃいました。

転職活動はどうでしたか。難しかったですか。

一時期、日本の会計士の方でもBig4に入れないと聞きましたので、その頃に較べれば、まだ売り手市場ですので、雇用環境という点では非常にいいと思います。
科目合格や経理経験者をポテンシャル採用し、定時に帰ってもらい、業務後は資格取得の勉強をしてもらうという取り組みもやっています。

労働時間はどうですか?

アドバイザリーは調整がつきやすいと思います。また働き方改革でだいぶ残業も改善されてきています。繁忙期は忙しくなりますが、事前にきちんと休暇など申請をしておけば、上司も基本的には取らせてくれますので、ワークライフバランスという意味では非常にいいのではないかなと思います。

Big4はどこも今、働き方改革をかなり力を入れてやっていますよね。土日はパソコンにログインできないとか、平日は決まった時間に電源が落ちるとか。

そうですね。そしてクライアントサイドも働き方改革を徹底して推進している印象です。

採用の際は、職種ごとで応募されたのか、それとも入るまでどこの部署というのは分からないのですか。

私の場合は金融を希望しており、金融の中でも、監査よりアドバイザリーがいいと思っていたので、面接の際にそれを伝えました。ある程度、希望を出すことは出来て、入社後も部署異動等を希望できます。

日本と海外、両方働いてみて、日本人と海外の働き方の違いのようなものはどうですか?

日本人はきっちり働く、オーストラリア人はのんびりプライベートを優先するという印象です。何でオーストラリアのほうが日本より景気がいいのか不思議でしょうがないです。

オーストラリア人は、定時にキッチリ帰りますし、仕事後にだらだら飲んだりせず、会社横のパブで1杯やって帰りますというような感じです。「残業しろ」と言ったら「ノー」と平気で言います(笑)

日本人が海外で働く場合、きっちり知識や経験を固めてから海外に行く方が活躍の幅が広がると思います。外国人、特にアングロサクソン系はプロジェクトマネジメント、交渉、コミュニケーションが非常に得意なので、知識がなくても口八丁手八丁で活躍するイメージが強いです。

しかしアジア系は、彼らほどは、英語を駆使したり、コミュニケーションをとったりするのが得意ではない印象です。そうしたとき、どうやって自身のバリューを出していくのかといえば、専門知識だと思います。

例えば、日本の法人税率が何%でアメリカの法人税率が何%で、この場合は日本の税率が適用される、といったことをパシッと言えたりすると、「ああ、この人はすごいな」と頼りにされます。そういう専門知識をきっちり日本で固めて、それを持って海外でバリューアップしていくというのも、一つの進路としてはありなのかなと思いますね。

オーストラリアの永住権を持っているという人にあまり会ったことがないのですけれども、どうやって取ったらいいかなと思っています。

オーストラリアの場合はポイント制になっています。例えば年齢ポイントというのがあったり、資格ポイントというのがあったり、いろいろなポイントがあって、それが移民局の定める規定に達した場合に永住権が交付されます。

オーストラリアは移民大国で、毎年、現在必要とされる職業リストのようなものが更新され、その中に会計士もあります。

海外の案件だと、最近だとアジアが多いなど、そういった傾向はありますか。

部署によりますね。規制の場合、新しい規制は欧米で先行発信されることが多いので、ニューヨークやロンドンとのコミュニケーションが増えますね。またクライアントがアジアをはじめ海外で出店しているケースもあるので、本当にそれは運というか、配属された部署によるという感じですね。

前職と今の仕事に通ずるところって、何かありますか。

コミュニケーション能力や、あと社会人としてのマナーなど基本的なことですけれども、そういうものがやはりどこに行っても非常に大事になってくるかなと思いますね。クライアントと特にアドバイザリーの場合は対面してやっていくので、クライアントが何を求めているのかをきちんと把握し、タスクをタイムラインに落として、今すべきことを自分の頭で考える。

最初のうちは、会計の知識よりもそういうところのほうが大事なのです。

20代後半や30代で中途採用で入所し、活躍される方は、そういう基本の部分がきっちりできています。新卒の場合温かい目で見守ってくれますが、20代後半から30代の場合、そういう基本はできてしかるべきと見られます。

先ほどおっしゃった、ポータビリティーのところですね。

そうですね。

自分の専門知識というよりは、営業であったり、そういった経験が今、活かされていると。

はい。そのうえでエクセルやパワーポイントは得意である方が有利です。私も入ってから非常に苦労しましたけれども、キャッチアップは可能ですので、必須ではないのですが、できたほうがベターだと思います。

今のお仕事で一番やりがいを感じる点と一番大変な点を教えていただけますか。

実務を通じて汎用的な知識やスキルというものが、一つ一つ身に付いていっているという実感を得られるところです。自分の市場価値が高まっていっているなというのを感じながら仕事ができます。大変ですけれども、非常にやりがいを感じますね。

インプットの時間は意識的に取られていますか?

足りないなと思った知識については、自分で主体的に知識を付けていくことが必要ですし、会社からも求められます。私の場合、USCPAを取った後に簿記2級を取りました。また金融機関のクライアント相手に仕事をする場合は、証券アナリストやCFAなどの資格や知識を持っていると尚ベターですね。

クライアントは、金融のプロなので、金融のビジネスも、きちんと理解しておく必要がありますね。意識的に自分で取得していこうと思わないと、業界の専門知識は身につかないので入社後も継続的な学習が必須です。

留学しようと決めたときに、いろいろな国がある中で、どうしてオーストラリアを選ばれたのですか。

3つあります。まず1つ目は、英語圏でいったことのない国であること。当時アメリカに留学し、ヨーロッパにも滞在したことがあるのでそれ以外の国を見たかった。2つ目が物価。物価水準が安かったので留学しながらアルバイトをすればどうにか滞在できると。そして、3つ目は職業。当時は通訳・翻訳がしたかったので、通訳・翻訳の大学院の中でいいと呼ばれる、質の良いプログラムを提供しているところを希望しました。

やはりオーストラリアにしてよかったなという点はありますか。

自然が多くてのんびりしているところですかね。ある程度の歳になったら、ワークライフバランスも充実させながらのんびりやりたいなというのはあります。

翻訳・通訳と商社の広報から会計、金融となるとガチガチした世界でだいぶ違うと思いますが、どうしてそういうふうな発想に至ったのですか?

将来、オーストラリアに戻りたいという想いが非常に強く、そうなったとき、広報などスポークスパーソンの役割は、現地の人間に比べて不利だなと。通訳・翻訳をやっていても、バイリンガルではないので言葉の部分でもディスアドバンテージですし、言語のみの土俵で勝負していくのは厳しいなと。

日本がバブルのときは、観光ガイドなどでも生きていけたようですが、当時と比べて日本に対する需要が少なくなっているので、通訳・翻訳を続けていくのは厳しいというのもあります。

そうすると、会計や金融のようにポータビリティーと専門性の高いスキルの方が外国人にとっては有利だなとおもい、現在のキャリアに至りました。

非常に若い頃から海外へ留学に行ったり、USCPAの勉強など非常に大変だったと思いますが、そういうふうに自分のキャリアやスキルをもっと価値のあるものにするために、挑戦していく中で、非常に大変なときなどあると思うのですが、どうやってずっとモチベーションを保っていたり、自分を頑張らせてきましたか?

多分、皆さんも一緒だ思いますが、USCPA取得には、時間的にも金銭的にも大きな投資が必要だと思います。将来こうありたいという想いやビジョンをイメージすることが役立ちました。私の場合は、特に海外生活が長かったのもありますけど、まるっきり異業種、異職種の転職を繰り返し国もまたいできたので、昇進や専門性の積み上げという意味では、コスパが悪い人生を送っています。

しかし逆の目線からすると、いろいろな経験やスキルを積み重ねてはきたので、相対的に優位なスキルを掛け合わせて、バリューを出すことができるというのは自分の強みになっていると思います。

日米両方の会計士資格を持っている方はいますか。

一定数いますね。

パートナーなどに上がったほうが、仕事って楽しいですか。

私もなったことがないので、あまり言えないですけど(笑)。仕事の内容もそうですし、動かせる、与えられる裁量のようなものも大きくはなってくるので、責任は重いのでしょうけれども、やりがいはあるのではないかなと想像します。

今の会社に入られて、プライベートで仕事のことを考える時間というのはあると思いますが、何か新しい習慣がついたなど、そういうことはありますか。

勉強をする習慣はすごくつきました。今私も新しい資格を勉強していて、今日も朝9時から15時ぐらいまで、この近くで勉強をしてきたところです。USCPAチームの学習は皆さん働きながらすごく大変だと思います。週末も勉強したり平日も勉強したりと、慣れるまでは、癖がつくまで大変だと思いますが、いざそれがついてくると、あまり苦ではなくなってくるのです。

そういう習慣をうまく作れれば、学習も進んでいくと思います。毎週末飲み会している人と毎週末勉強している人が、5年、10年となってきたときに、差が開いていないほうがおかしいのです。

また、一緒に働く方たちのレベルも非常に高いので、そういう方たちに刺激を受けて、もっと自分を高めていこうと思います。
USCPAを取得すればある程度会計もわかるのだろうなと思いましたが、いざ実務をスタートすると学ぶことばかりで。

USCPAの知識は、日々の業務で接することをきちんと目次立てて、これはBECの流れだよと、これはAuditで勉強したよねと、自分の頭の中で目次を作り、きちんと整理はする意味で役立ちますが、それらが実務でどう落とし込まれているかは、現場でしか学べないとおもいます。

大体何年後にオーストラリアに戻りたいというのはあるのですか?

ビザの件もあるので、できるだけ早くとは思っていますけど、現地で通用するだけのスキルや知識を身に着けてからという想いもあります。難しいところです。
監査法人に入所し、最初の半年や1年はよく分からないまま時間だけが過ぎていき、2年目ぐらいからようやく少し分かり始めて。

5年ぐらいやると、一通りいろいろなものが見えてくると思います。今の時点で辞めてしまうと、正直もったいないというのもあるので、このままうまく自分の中でタイミングを見計らいつつという感じです。お仕事しながらで大変だとは思いますが、皆さんも合格してキャリアチェンジを実現させて下さい。

PR

USCPAの転職ならアビタス

他の人にも教えてあげる。





SNSでもご購読できます。