第88回 USCPA CMレポート
実施日: 2013年5月11日(土)
【Guest】 hiroさん
ゲスト紹介
今、32歳になり、社会人としてのキャリアがちょうど10年。
新卒で外資系の保険会社に入社し、4年間、法人営業とマーケティングの仕事をしていた。
入社一年目の時に、サラリーマンのままでは駄目で専門性を身につけたいと感じた事、小さい頃に海外に住んでいたこともあって海外で仕事がしたいと思った事、また大学も商学部で周りに何人か会計士がいた事から、1年目の最初のボーナスを握りしめ、アビタスにUSCPAの申込みをした。
ただ最初は仕事も結構楽しく、USCPAの勉強はしばらくそのままにしていて、3年目くらいになった頃、USCPA試験の制度変更のお知らせが来て、それがひとつのトリガーとなって、勉強を再開。その後仕事をしながら、2科目ずつ受験して1年ほどで合格し、それを期にBIG4監査法人へ転職。
監査法人では監査やIFRSに関する仕事をした後、FASチームに転向し、主に事業再生に携わりながら、デューデリジェンスとか株式評価等を6年程やった。
FASの仕事はやり甲斐があったが、以前からずっと海外で働きたいと考えていて、昨年30歳になった時に休職をさせてもらい、経済産業省主催のインターンシッププログラムでタイに半年間程駐在。 タイに居るときにアジアの勢いを肌で感じて、アジアの仕事を探していた時にアビタスのキャリアセンターから今の監査法人を紹介され、タイ現地法人の立ち上げ責任者として入社。
今は目下バンコクに駐在し、6月の営業開始を目標にローカルスタッフの採用や、事務所の構築に奔走している最中で、今回はビザ取得の為に一時帰国をされました。
Q&A
- ゲスト
- 参加者
- 司会
出来るだけ早く海外の仕事の経験をしたいと思っていますがどう思われますか?
日本で経験しておいた方が良い事ってありますか?
海外の製造業の工場とかに行くと、ちゃんと原価計算が出来る人とかってなかなかいないんですね。アジアは経済全体が成長しているので、会社全体としては儲かっているんですけども、「じゃあこのプロダクトとか事業はどれくらい儲かっているんですか?」と聞くと答えられる経営者も少ないと思います。
USCPAという資格に、そういう現場の経験があると人材としての付加価値も高いと思いますね。 また別の参加者の方はITのお仕事をされていますが、アジアでもこれからITの必要性は高まると思います。
アジアの情報管理とかセキュリティは、ビックリするくらいで。量販店にパソコンを買いに行って店員さんにオフィスが入っているか聞いても、堂々とコピーを薦めてくる。
やっぱり今の日本での仕事をしっかり身につけて置くのが大事で、USCPAの資格を取って海外に行った時は必ずそれが活きてくると思います。
海外に行くためのルートはどのように探しましたか?
会計の領域に絞って言えば、アジアで働いている会計士の方って皆、お互いを知っているくらいの狭い世界なので、そういう人たちとネットワークを作っておくと情報が入りやすいかもしれないですね。
私も今回タイで事業を開始するにあたって、タイの日系会計事務所は片っ端から挨拶に行きましたが、日本人の会計士の方は3-40人くらいですかね。
英語力ってどのくらい必要なのでしょうか?
会計の場合は、特に使う単語は限られますし、話す気があれば何とかなりますよ。
タイ語は話されるんですか?
BIG4の監査法人で働いている時、英語を使う機会というのはどの程度ありましたか?
ただFASの中にもクロスボーダー案件ばっかりをやっているチームもあって、そこはパートナーも外国人で、日本企業が海外の企業を買うとか、海外の企業が日本の企業を買うという案件ばかりなので、本当に英語が出来ないとそのチームはしんどいでしょうね。
監査法人へ転職したときはやりたいことがはっきりしていたのですか?
前職の保険会社からUSCPAに合格して、監査法人に入るという時に会計の実務がないという事はあまり関係なかったんでしょうか?
監査法人ではどのようなバックグラウンドの人が多かったですか?
タイでの仕事の中で、会計であったり、税制であったりが日本と違うと思うのですが、どのようにそれらは吸収されたのでしょうか?
経産省のプログラムで行った会計事務所では、知識としてなくても大丈夫だったんですか?
どういう風に今の仕事を広げていこうとお考えですか?いずれ他の国にも、ということもお考えなのでしょうか?
今、仕事をされていく中で、どういうところに面白みというか、どういうところに惹かれて仕事をされていますか?
専門家から専門家+経営者という立場に変わって、そこに大きな環境の変化があったと思うんですが、自分自身の中で仕事に対する考え方の変化はありましたか?
皆に気持ち良く働いてもらって、且つチームとしても最大のパフォーマンスを出すというのは非常に難しいテーマだと思いますが、今の仕事ではさらにそれを外国人とやっていく立場になるので、これからも試行錯誤が続くと思います。
下の人を信じて、任せてしまうというのは大変なのかなと思いますけども。
そういう意味では、マネージャーとか経営者っていうのは、本当に聞きたい時だけ聞くという我慢も必要だと思います。
アジアに行った時の生活水準ってやはり違うんですか?
今の会社に転職されたのは大きな決断だったと思うんですが、「常に新しいこと」をという事だけじゃない何か突き動かすものがあったのでしょうか?
前職の監査法人での仕事って、会計の実務は始めてだったと思うんですが、研修とかはあったんですか?
最初はコスト計画の検証とかをやって、だんだん数値計画全体を作ったりとか事業の撤退とか戦略とかを考えるようになって、マネージャーになるとプロジェクト全体を任されるようになります。FASに移った当初はよく働きましたね。1年くらいは、電車で帰れた記憶があまりないです、、(笑)
海外の生活って違いはどんな感じでしょうか?
仕事面では如何でしょうか?
会計士の場合は監査だけとか、M&Aだけという訳には行かなくて、月次の会計・税務から、監査、M&A、国際税務までほぼ全てに対応しなければなりません。タイだと簡単な法律業務もやりますので、会社設立登記とか、増資の手続きとかもやったりします。日本の監査法人だとあり得ないですけどね。
USCPAの知識はどのように活きていますか?
実際、どのように役に立っているかと言うと、会計に関する仕事をしていると、やっぱり資格を持っている、持っていないでは相手からの印象も違うと思います。実務では監査は勿論ですけど、例えばM&Aなんかでも会社の実力を数字に落とすときはやはり会計の考え方がベースになりますよね。会計が分からないと、会社の売り買いもできないですし、会社の業績を改善していくこともできないと思います。
私が今タイで手掛けているM&Aでも、僕の他に、現地タイの会計士と、別の日本の会計士と一緒にチームを組んでやっています。
強いていうと、日本の監査法人で日本の企業向けに監査をやりたいと思っている場合には、日本の会計士を目指した方がいいと思います。これは法律で決まっていますからね。
USCPAではITとか税法も勉強しますが、広い範囲の知識は実際のビジネスでも役立ちますね。税法も細かいルールは各国で違いますが、基本的な考えとかコンセプトは共通する部分が多いですからね。
唯一、USCPAの知識で使わないのは、公会計(FAR5)ですかね。
是非、皆さんにも早くUSCPAを取得して、海外でもどんどん活躍して頂きたいと思います。 これからも勉強頑張ってください。
「この数年はずっと走り続けている感じですね。」とhiroさんは仰っていましたが、まさに今、タイの現地法人の立ち上げに奔走されている様子を直接伺った参加者の皆様は、かなりの刺激を受けられた様子でした。
そして、6月より無事にタイ事務所の営業が開始されたようです! ゲストのhiroさん、有難うございました!