管理会計部門で求められる引き出しがUSCPAを学んだ中にある


第137回 USCPA CMレポート
~外資系管理会計特集!~

実施日: 2017年10月21日(土)

【Guest】 あだ名 とんとんさん

USCPAゲスト紹介

とんとんさん (男性) USCPA


大学卒業後、大手日系機械メーカーに勤務し、事業部での経理業務に約5年間従事。伝票処理から、月次決算や税務、システム導入等を経験。また並行して、USCPAの学習を行い、約2年で合格。(通信講座)
その後、外資系(欧州系)メーカーの管理会計部門に転職し、経営計画や予算策定/実績分析、財務分析等を担当。現在に至る。

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Q&A

上の方へ報告する時は、電話会議みたいな感じですか?

そうですね。原則、ファイナンス部門の人が集まって、本国のスタッフと日本のスタッフが集まってプレゼンする形です。プレゼンは原則、英語で行ないます。

本国に行く機会はどのくらいあるのですか?

私はほとんど行く機会はないです。GMレベルになると年に3-4回は行っていると思いますが、担当者レベルだと行かなくても仕事が回るんですね。原則、社内の管理会計のツールで済ませたり、スカイプでテレコンをしています。

上の人にレポートするのとそれとは別に現場の人にアドバイスするという仕事はあったりしますか?

現場に直接、と言うのは私の場合には多くないですね。

組織割りの問題だと思うのですが、営業には営業のトップがいて、営業のファイナンスがいます。また、工場には工場のファイナンスがいるので、現場レベルはそれで回っていますね。したがって、オーバービューを作って、P&L上、どこが一番まずいかを特定するのが主な仕事になっています。

いつごろから転職を考え始めましたか?

まず前提として、入社して一年経った頃にはこの会社には一生いないだろうなと思っていました。みなさんもそうだと思うのですが、働くうえでサラリーだったり自分の経歴に箔がついたりする、他の会社と比べてポジティブな要素を求めていると思うんです。前の会社では続けていても箔が付くようなことはないだろうし、将来性もないだろうと思ったのがきっかけですね。

そこで、評価してもらえるような資格を取ろうと思い、二年目でUSCPAを勉強し始めました。
勉強し始めて1年くらい経った時に、前の会社で何か嫌なことがあって、転職エージェントへ行くことにしました。経理より管理会計のほうが付加価値が高いという話を聞いていて、それを志望したんですが、勧められる仕事がないって言われたんです。

管理会計は実務経験がなくてはダメで、TOEIC900点を持っていて、USCPAを持っていても外資系だと厳しいんじゃないかって言われたんですね。その当時は、ですけどね。それから悶々としたんですけど、逆にUSCPAを持っていないと話にもならないんじゃないかと思い直して、勉強に集中しました。

そこからさらに一年くらい経ったところで、物凄く景気が良くなって、うまく潜り込めた感じはありますね。
最終的に転職を決めた理由は、ここで20年働いたとしても、会社が傾いた時に他でやっていけるようなスキルが付くか微妙だなと思ったんです。専門性ではなく、経理をやった後に営業やって、購買やって、という会社でした。そういう会社では転職する時に困ると聞いていましたので。

では、資格を取ってから管理会計の職種があるところへ転職活動した、という形ですか?

そうですね。

実際、実務経験がないことは転職活動で如何でしたか?

しんどかったですね。ただまだ若かったので、なんとかしてもらえた部分はあると思います。それと経理だったことは、実務経験にはカウントされないけども、隣接分野なので、そこそこ好感触だった気はします。

今の会社に入った後、上司と面談したのですが、そのときにはアカウンティングからシフトするのは厳しかったよね、と言われました。それはだからダメだったという話ではなくて、その割には頑張ったよね、という優しい感じのフィードバックだったんですけども、ただやはり採用する側としてみたら、経験がないというのはハードルが高いのかなとその時は思いましたね。

実務レベルではどうでしたか?

実務レベルではそんなにというか、何もというか(笑)やってみたら問題はなかったです。あと前の会社で経理の部門が一部、管理会計の機能を持っていたんですね。その時に色々と資料を作るのを手伝っていて、財務会計との違いを理解でき、役に立ちました。

財務会計はあくまでも伝票の積み重ねで、そこに価値があると思うのですが、管理会計は役員が意思決定するための会計のはずで、単位が違うし、切り口も全然違うんですよね。ただ入ってから、やはり管理会計の勉強はしましたね。

事前の質問で参考にされている書籍はありますか?というのがありましたが。

バランスト・スコアカードを作ったキャプランの「レレバンス・ロスト」という本は役に立ちました。それと今の会社はEVAを使っているので、スターンスチュアート社の「EVA 創造の経営」、ファイナンスの勉強のために「道具としてのファイナンス」という本も読みました。

日系企業から外資系へ移られたわけですがその前後での語学的なレベル感はどんな感じでしたか?

入社する前で800点くらいだったと思います。面接が英語だったんですが、その頃はスカイプの英会話をずっと練習してきて、どうにかなるくらいでした。

今は普通の業務内容説明くらいであれば出来るんですが、ちょっと話が混み入ってきたり、エンジニアリングの話になってくると厳しくなってきます。ただ欧州系の企業だからだと思うのですが、皆英語のネイティブではないし、こちらがネイティブじゃないということもわかっているので、それほど大きなハードルには今のところなっていないです。逆に言うとネゴシエーションするようなことになってくるとちょっと厳しいですかね。

そうしたネゴシエーションとか、GMになって本国へ行って対面で話をするような年代というのはどのくらいなのでしょうか?

それが全然、わからないんですよね。何故かと言うとポジションに付くのは年功序列じゃないですし、早い人だと35歳位でマネージャーになったりして、本国から来ているGMだと32歳とかの人もいると聞いています。

GEのファイナンシャル・マネジメント・プログラム (FMP)が有名ですけども、今の会社でも似たような制度をやっていて、それで入ってくると昇格が早いと言われています。日本ではまだそれほど例として多くはないですが、本国では多いようですね。

管理会計をやるのにその経験がないと厳しいというのが意外だったのですが、実際、どのような経験をしてきましたか?また、どんな経験が求められるのですか?

私の経験でいくと前職では新入社員だったので、支払伝票、売上伝票、振替伝票を見るのが1年くらい続きました。その後、引当金や外貨ヘッジ会計、子会社系の連結の計算、国際税務の租税条約や源泉徴収のところをやりました。

その後、毎月のP/LとB/Sを作成してレポートする仕事や、新入社員教育とSAP系の会計システム導入をしました。転職したのはそのシステム導入後ですね。たまたまラッキーでいろいろな仕事に携われた感じです。

日系の企業だと事業部の中に財務部門も管理会計部門もどちらもあるのではないかと思います。ですので、新入社員が入ると決算の一通りの流れがわかるようになっていくチャンスがあると思うんですね。
ただ今の会社だとそれが難しいのではないかと感じています。

基本的に伝票は日本、海外のシェアードサービスの方で扱っています。ですので、基本的に財務会計はそこで全事業部分を一括管理することになっているんですね。少しは関わったりしますが、原則、財務会計は本社がやることになっています。さらに本社の中でも勘定科目別に部門が分かれています。
こうした形で効率化を進めていると私の以前の会社のように数年で一通り出来るということはないですよね。

管理会計に行くために経験のハードルがあるというよりも、部門別採用で新卒採用しているんですね。したがって、中途で採用するからには、イチから教えるという感覚ではないんです。世界共通のトレーニングカタログはありますが、手取り足取りという形ではないですので、やはり実務の経験がある方、ということになるんだと思います。
私が転職したのは27歳くらいだったんですけども、あと5年後だったら、かなりハードルが上がっていただろうなと思います。

その転職された当時は何社かから選ばれたのですか?

ほぼ管理会計で選んでいて、コンサルも受けたんですけども、途中でお断りしたりしました。面接に行かなかったものもあったんですけど、私はコンサルは無理かなと思っていたので、基本的には事業会社の管理会計部門でした。幾つか内定は貰ったんですけども、タイミングの問題でお断りしたり、あとは待遇面での折り合いがつかなかったり、最終的に縁があったのが今の会社でした。

希望としては外資系だったんですか?

そうですね。幾つか日系も受けてみたんですけども、途中で辞退しました。
外資が良かったのは、日系はローテーションがあったり、中途で経理に入っても、ずっと専門職的な感じのポジションでマネージメントへ上がれないイメージがあったんですね。逆に外資の方は専門性を評価してもらいつつもマネージメントへ上がれる可能性があるかな、というイメージがありました。

管理会計は仕事の時期というのが偏っているイメージがあるんですけども、、どうでしょうか?

確かに暇な時期はありますね(笑)
それと全体的に前の会社のほうが忙しくて厳しかったです。どうも本国では残業させると色々引っかかるようで、基本的には残業なしで回るヘッドカウントを取るというのが前提にあるみたいです。フレックス勤務ですし、残業時間も多くて10時間くらいしかないんです。そのくらいで回るようになっています。さらに暇な時は本当に暇ですね。ただそれでも日本のヘッドカウントは本国よりも少ないみたいです。米系だと違いますよね、きっと。

以前、他の欧州系の会社で働いている方にこのコネクション・ミーティングへ来てもらったことがありましたけど、やっぱり同じような感じでしたので、やはり外資を一括りには出来ないですし、米系と欧州系ではかなり違う感じですよね。

他の欧州系の会社で働いている方に来ていただいた以前のコネクション・ミーティングはこちらから

https://uscpa.ne.jp/archives/875

そうですね。入社して最初は張り切って行きますよね。当然、中途で最初なので試されていると思って行くんですけども、本国から来ている上司が19時位で「帰っていいよ」って言うんですよね。そうすると何だか干されているのかな、って思った覚えがあります。実際は、皆にそう言っていたので、勿論、そういうことでは無かったんですけども。

上司のパフォーマンスが部下の残業時間で測られる部分があるみたいで、早く帰らせないといけないんですよね。そのほうが皆、ハッピーですしね。

入社して2年ということなので、まだまだ今の会社で働かれると思いますが、将来の展望は何かありますか?

それがすごく悩んでいて、中で同じ部署で上がっていくパターンが多いんですよね。そうなると他の人との兼ね合いもありますし、どんなポジションがあるのか他の会社も含めて比べながらという感じですよね。

同じ部門でUSCPAを持っている人はどのくらいいますか?

ひとりもいませんね。
そういう意味では、入社したときには、「これは会計とファイナンスの知識だったらアドバンテージがある」と思いました。話している時の反応とか見ていてわかるじゃないですか。
それと質問で、管理会計部門で求められる能力というのがありましたけど、管理会計ならば、BECの管理会計の知識をきちんと理解していれば、かなりいけるじゃないかと入ってから思いました。勿論、実務レベルでは色々とありますけども、今の会社だと理論の観点ではこのレベルがあれば大丈夫だと思いますね。

独自の分析の切り口とか業務上求められるんですか?

それは求められるんですが、求められた時の引き出しがBECで学んだ中にあるんですね。標準原価分析や間接費分析等、その場その場で求められますけども、それほど凝ったものは求められないです。逆に凝りすぎてもわからないですからね(笑)

社内で学習するためのeラーニングとか、ナレッジが溜まっているようなデータベースはありますか?

ありますね。社内用のSNSがあって、そこに溜まっていますので、よくそこを検索します。

事前の質問で財務会計部門との違いは?というのがあったのですが。

財務会計はあくまで決算書を作るためのもので、ルールが大事ですよね。

よく財務会計の人は「正しいか正しくないか」という話をしますけど、一方で管理会計は正しいか正しくないかよりも「今年いくらになるか」ですよね。それと財務会計は細かいですし、伝票を見るのがメインで、全てはルールに沿ってという形で、社内的には嫌われ役になりますよね。

それに対して、今はターゲットを達成できるかどうかが全てで、ターゲット達成するにはあと幾ら足りないのか、埋めることができるチャンスはないか、というのが常に求められます。別の意味で嫌われることもありますが(笑)

異動とかは出来るのですか?

希望は通るというのは原則的には聞いているのですが、定期的なローテーションはなくて、基本的には公募制なんですね。だから、何も言わなければずっと同じところなんだと思います。

評価はどのようにされていますか?

一年に一回、レートがつきます。上位二割、真ん中六割、下が二割という感じです。

管理会計だと何で評価されるのですか?

私が言われたのは、まずマネジメントに対して適切に報告をしていること、ということでした。その人に嫌われたら、って話なんですけど(笑)、勿論、普通にやっていれば、問題はないですが、そういう人でもわかるように的確な分析をして、レポートするというのが専門職である我々の役目なんだということだと思います。それと仕事の効率性とか、先程も話した残業ですね。多いと駄目ですよね。その他はコミュニケーション、分析能力、って感じだったと思います。
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