第134回 USCPA CMレポート ~Big4監査法人特集!~
実施日: 2017年6月10日(土)
【Guest】 あだ名 たかしさん
USCPAゲスト紹介
たかしさん (男性) USCPA
大学卒業後、自動車部品を扱う中小の専門商社に就職。経理部に配属されたのを機に経理の勉強を開始。
海外に拠点を持っていたこともあり、英語の勉強も兼ねてUSCPAの勉強を始める。
その後営業部に移ってから仕事に忙殺され、勉強を中断。2年ほど勉強から離れていた頃に過労で倒れ、将来が不安になり退職。
転職のため勉強を再開し合格。
ちょうど求人のあった大手監査法人の金融事業部に採用され、現在は金融機関の監査業務に従事しています。
- USCPAゲスト
- 参加者
- 司会
Q&A
金融機関の監査ということですが、具体的にはどのような事をされているのでしょうか?
それは監査をやっているんですか?
基本的には監査の仕事をしていて、今、担当している生命保険会社はものすごく大きなところではないので、金商法ではなく、会社法の監査で、それとアメリカの子会社なので、USGAAPもやっています。金商法の監査だと四半期レビューとか、中間監査とかがあるのですが、そうではないので、1年間ずっと張り付きではなく、9月から5月末くらいまでその会社にいて、6-8月は他の会社で、SPCを担当していたりします。基本的には自分のチームの仕事をしますが、他のチームが忙しくて人が足りないと1-2週間限定で、他の会社に行くこともあります。
基本的には、お客さんのところにずっと行っていて、デスクは無いですが、会議室を借りてそこで仕事をしています。
ずっとお客さんのオフィスにいるということですが、具体的にはどのような事をされるのでしょうか?
一番のメインの仕事はクライアント先が決算を締めて、財務諸表を作り、その財務諸表を見るというのが仕事なのですが、規模が大きすぎると財務諸表だけを見てもわからないところがあって、ある程度、内部統制に依拠しなければいけないんですね。だから、会社の内部統制を9月から12月にかけて見ています。
私のそのメインで行っている会社はUSGAAPと日本基準のふたつでやっていますが、US基準の決算期が11月なので、9月から内部統制を見て、11月になったら、USの決算が来て、1月から2月に掛けて決算の監査をします。3-4月は少し落ち着いて、4月下旬からは日本基準の監査をするという流れです。
内部統制の部分はコンサルが来てやっているわけじゃないんですね。
コンサルも同じところがやっていますか?
USCPAで学んだ知識がどのように活きているか具体的にあれば教えて頂けますか。
AUDで習うことはまさにそのものですね。あれに従って、監査をしているので、全て役に立っています。
法人内でルールがあって、それに沿ってやっていくわけですが、それがまさにAUDで学んだこと、そのものなんです。監査報告書はテキストにも出てくると思いますが、あれとほぼ同じですね。監査の科目さえきちんと理解できていれば、実際の業務も出来ると思います。
ほかはFARが役に立つんだろうなと思っていましたが、それはやはり当たり前の知識というか、それより基準をよく見ますね。ASCとか、FASBが作っている基準ですね。
基準が頭に入っていることが大前提なのですか?
保険会社で行っているのはチームでですか?
監査法人の中の階級は一番下がスタッフ、次がシニア、その上がマネージャー、一番上がパートナーとなっていて、だいたい現場へ行くのはシニアとスタッフですね。そのシニアが現場を取りまとめる人です。クライアントの規模によって、人数は変わってきます。私のところの4名というのは小さいほうですね。大きいところだと20名とか、会社によっては子会社がたくさんあるので、そうしたところも含めると100名以上のメンバーがいる場合もあります。
今の私のところは、取り仕切っているシニアが1名いて、他はスタッフが3名という体制です。
監査中に判断できないという事とか、見解が分かれたりした場合にはどうするのですか?
その場合には逐一話したりして、解決していきますかね。難しくなってくるとマネージャーとかパートナーに話をあげて検討する場合もあります。現場だけで決めるということは無いですね。
アサインというのですが、監査対象のお客さんに対して、担当するチームが作られるんですね。パートナーをはじめ、マネージャー、シニア、スタッフという形で入って、仕事をしていくのですが、ずっとそこにいるわけじゃなくて、色々と他のチームに行き来したりするんです。メインのところで繁忙期とそうでないときがあるので、そうすると結構、仕事にメリハリがあるというか、同じことをやってないんですね。常に違うことができて、一緒に働く人も変わりますし、勿論、合うor合わないというのはあるのですが(笑)
忙しいときは忙しいですけど、そのメリハリのあるところが今の仕事で気に入っているところです。
ちょうど今は暇な時期で、3月の決算の監査が4-5月とあって、それが終わって6月は長期休暇をとる方が多いですね。
どのくらいの期間、休まれるんですか?
一番忙しいときは一日どのくらい働かれるんですか?
その場合には土日も仕事ですか?
その時間までお客さんのところで仕事をしているんですか?
私の場合は特に時間の制限も無いので、そのまま仕事が出来ていますね。
ほとんど事務所へ行くことは無いんですよね?
うちの場合、マネージャー以上でなければ、自分のデスクは無いです。
長机のようなものと椅子だけがあって、パソコンを持ち込んで、自由に座って仕事をする、という感じです。
1年間働くと1年のスケジュールが見えてくるから、2年目から働きやすくなるという話を聞きますけども。
そうですね。私の場合だとUSGAAPの監査をする1-2月と日本基準の監査をする4-5月が一番忙しい時期で、他も多少は残業しますけど、終電とかは無いですね。9月から12月までとかは遅くとも20時には帰ったりします。これはどこのチームに入るかによるので、チームによってはずっと忙しいところもあります。
それとはじめて監査をするクライアント先の場合だと下地が無いので、忙しいこともありますかね。
日本基準の仕事もしているということですが、USCPAの知識で対応は可能なのでしょうか?
希望すれば、日本の監査に行けるということですかね?
勉強の範囲が広いですね。
似ているのは似てるんですけども、体系が全くわからなくて、最近になってようやく分かってきたかな、って感じです。ですので、監査六法をめくりながら、勉強をしていたりします。その分、私たちはUSGAAPについて学んでいるので、苦労するところもあるし、有利なところもある、という感じですね。
今のチームはUSとJCPAの割合はどのくらいですか?
入ってびっくりしたことのひとつは日本の会計士の方は、全然英語が出来ないんですね。勿論、出来る人もいますが、一般の事業会社のレベルよりも低いかな、と思います。その分、やはりUSCPAは英語が出来るので、評価してもらえる部分かと思います。
USCPAは全体の割合だとどのくらいですか?
今は監査法人の人材が不足していて、USとかJCPAとか言っている場合じゃなくて、採用意欲はかなり高いです。今ならば、試験合格すれば入れるんじゃないでしょうか。
どうして監査法人を選ばれたのですか?
もともといた会社が規模の小さなところで、最初は経理に配属になったのですが、実際は総務も人事も一緒にやっているようなところで、その後、営業に移ったんですけども、仕入れのところとか物流とかも一緒にやっていて、色々と組織を見ることが出来て、自分の中で外から会社を見る仕事をしてみたいなと思ったのと大きな組織でも働いてみたかったんですね。
それと単純に会計士の資格を取ったからには監査の仕事をやってみたいなと思いました。
今後のキャリアについてはどのように考えてますか?
今の海外ファームで赴任という形で出来るのですが、それに行ければと思っています。前の会社を選んだ理由もグローバルでやっているというのもあって、自分の中でグローバルというのをキーワードで持っているので、英語と会計を活かして、海外で働いてみたいなというのがあります。
ただまずは監査が出来ないとダメというのがあるので、最低でもシニア、通常マネージャーになってから行く人が多いので、今は監査の仕事がしっかりできるようになって、また最近はアドバイザリーの仕事にアサインされることもあるので、そういった形で仕事の幅を広げながら、いつか海外に行ければと思っています。
昇格のスパンというのは目安があるのですか?
会社側の説明では、マネージャーまでは最短で8年、平均で10年ということだそうです。
出張ベースで海外に行く方もいますか?
そうなるとやはり会話もある程度は出来ないとダメなんですね。
ただ1年目はほとんど無くて、ちょっとがっかりしてたんですけども、だんだん使う機会が増えてきています。
読み書きは多いですけど、話したり、聞いたりする機会は少ないです。
どういう方が法人で活躍されていますか?
昇進するかどうかは別として、強みを持っている人ですかね。
監査はコミュニケーションが大事だって良く言いますけど、それだけじゃなくて、例えば知識を物凄く持っているとか、今は金融機関を担当していますけども、金融商品やデリバティブに関する知識とか、マーケットのこととかを凄く詳しい人がいるとチームとして凄く力になりますね。
USCPAだと英語が強みにはなりますよね。
今までの仕事の中で一番、力になったとか、面白かったのはどのようなものでしたか?
チームを取り仕切って行なうインチャージっていうポジションでやらせて貰った仕事があったのですが、そのときは監査の一連の流れを始まりから監査報告書の提出まで経験できたのが自分の中で大きかったと思います。
監査というのがどういうものなのかということと各段階でどういうことをしなきゃならないのか基準なりルールを見ながらやっていって、なんとなく監査というものがわかったというのが良かったですね。
大きなチームだと監査のいろいろな作業の中のひとつしか出来なくて、全体像をつかめないんですが、その時は小さな会社でしたが、監査の仕事を最初から最後まで自分でやったのは大きな経験になりました。
逆に辛いことはどんなことでしたか?
金融のバックグラウンドがなかったので、金融商品のところがわけわからなくて、USCPAのFARでデリバティブとか出てきますけども、先生が試験ではそれほど重要じゃないって話をされていて、まさか自分が金融関連に行くとは思っていなかったので、さらっと流してみていたんですよね。ですので、そのあたりがかなり苦労しました。
最初はチームのミーティングに出ていても、何の話をしているかわかりませんでした。でも、それがだんだんとわかるようになってきましたね。
そのだんだんわかってきたというのは何かをされたんですか?
それとチームの先輩から証券アナリストのテキストを借りて、全部じゃないですけど、関係のあるところ読んでみたりもしました。
女性比率はどのくらいですか?
男性社会というところはあると思います。でも、USは女性の方が多い印象がありますね。女性だからと言って働きづらいという環境ではないと思います。
金融機関の監査の特徴は何かありますか?
おそらく皆さんが勉強しているのは、メーカーを前提としていると思うんですね。売掛金があり、棚卸資産があり、管理会計があって、というのが全く違うので、そこですかね。
そもそもの財務諸表の形がぜんぜん違います。それと先程も話した金融商品が会社として、財務諸表の中でも大きな割合になってくるので、監査とかでも基準をよく見ますし、監査の論点になってきます。
監査って嫌われ者、ってイメージがあると思うのですが、今、そういうのを感じるときはありますか?
嫌われているというわけじゃないですけども、やはり指導する立場になるので、難しいところではありますね。
普段、直に話す人は経理部とかですけども、仕事柄、他の部署とコンタクトをとらなければならなくて、経理部の人であれば、協力的なんですけども、他部署の方だとどうしても、その人達にとっては手間になる部分なので、苦労する部分はあります。
担当する業界とかが変わったりはするんですか?
金融事業部の中ではありますね。
銀行、証券、保険会社というのがあって、法人側の考えでは、その中から1つ以上は経験させたいと思っているみたいです。
転勤とかはあるんですか?
しばらくは転職をされるつもりは無いですか?
無いですね。今、とても良い環境で仕事が出来ているので。
先程も話した通り、今、監査法人はとても採用意欲が高いので、興味がある方は、是非、早めに合格をして頂ければと思います。頑張ってください。