監査法人ならUSCPA科目合格の方も、求むということをよく見ます。


第141回 USCPA CMレポート  ~Big4におけるM&A業務特集!

実施日: 2018年2月17日(土)

【Guest】 Tさん

USCPAゲスト紹介

Tさん (男性) USCPA


大学卒業後、某大手損害保険会社にて4年間法人営業に従事した後、キャリアチェンジのため、損保会社を退職。
その後USCPAの資格を取得、同時 に渡米し、カリフォルニアで1年のビジネススクールに通った後、日系の中規模監査法人(シカゴオフィス)にて監査業務に1年従事。
その後帰国し、現在はBig4でM&Aに関する各種アドバイザリー業務(主に財務デューデリジェンスや事業計画作成支援業務)に従事している。

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  • 参加者
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Q&A

大学卒業後から今までのお仕事の流れをざっと教えてもらえますか。

大学を卒業して、損害保険会社に入りました。そのときは、会計や英語を使う機会は本当にゼロでした。営業なので、損害保険を売るために、代理店にいろいろ行って、相談をしながら、新規契約を取るという事を永遠とやっていました。そのような4年間を過ごしていまして、正直、あまりこの仕事は面白くないと2年目くらいからずっと感じていました。

ただ、大手企業に一度入ると、大体、転職をせずに、会社の中の部署を淡々と異動して頑張って上にあがっていくというケースがメジャーかと思いますが、転勤などもあり、このキャリアで将来ずっとやっていくというのはどうなのかと思いながら、何か新しいことにチャレンジしてみたいと働きながら考えていました。

それで何がやりたいか、やれるかということを考えていたときに、元々、英語がそこまで得意ではなかったですが、好きだったということで、海外旅行へよく行っていて、そのような海外に対するあこがれ、海外で英語を使って働きたいというあこがれ、それだけだと、具体的に働くという意味で、極端な話、何もできないので、何かないかといろいろ考えていたときに、アビタスさんの広告か何かでUSCPAの話を見つけました。

勉強を始める前にアビタスさんのキャリアセンターの方に会って、25-26歳で、会計未経験の場合、受かった後に転職は可能かという話を聞いたときに、監査法人などであれば、比較的高確率で未経験でも採用してくれるでしょうというトレンドがあったようでしたので、それも悪くないかと思いました。
元々、商学部で会計のことをかじった程度はありましたし、一応、大学のときに簿記2級程度でしたら取っていたのと数学が好きだったということもあったので、これはいいのではないかなと思いましたね。

英語を使って会計というテーマでしたので、それを頑張ってみようということで、4年目ぐらいのときから、アビタスさんに通い出しました。そのときは当然、仕事をしながらでしたので、深く勉強はせずに、受験条件を揃えるための単位を取るために通って勉強していた程度でした。

その後に退職をされたのですか?

そうですね。14年の3月に退職をしました。ですので、退職する直前の2月、3月ぐらいから本格的にFARの勉強から始めました。受験した順番としては、FARとAUD、REG、BECです。2月、3月ぐらいから本格的に始めて、退職をし、フィリピンに行くまでの数カ月間で何とか、最初の3科目を合格する事ができて、フィリピンへ行って語学のレベルアップを図り、帰ってきてすぐにアメリカに出発しました。そこまでが、アメリカに行くまでの話です。

一科目残した状態でアメリカへ渡ったんですね。

はい。アメリカに行く時点で、まだBECは残っていたのですが、とりあえず、新しい生活が始まりますので、そちらの勉強もしなければならなくて、猶予期間は1年半ぐらいあったので、ここで焦る必要はないかと思って、BECは一旦置いておいて、数カ月は新しいビジネススクールの生活、アメリカ全般での生活でした。帰国子女でも何でもなくて、初めての海外の長期滞在ということだったので、いろいろと不慣れな部分もあって大変でしたが、アメリカでの生活が始まり、ビジネススクールに行き始めました。

ビジネススクールというのはMBAですか?

MBAではないですね。本当はMBAなどに行きたかったのですが、ものすごく費用が掛かりますし、正直、その後のキャリアも2年ぐらい費やしてどうなのかというのが見えなかったので、諦めました。

簡単に言うとPreMBAビジネススクールのようなものが幾つかあって、費用もリーズナブルだったので、そこへ行きました。9カ月のプログラムです。そこでは、いろいろなビジネス、会計もしかり、経営マネジメントしかり、ヒューマンリソース的な話やマーケティング、そういった諸々のことを勉強しました。基礎的なことをやりつつ、ひとつ専門的なコースを選びます。それが今言った4つのどれかなのですが、私の場合は、会計を目指していたということもあって、アカウンティングという名前ではなく、ファイナンスが一番近いかと思います。

いろいろな授業があったのですが、面白かったのはビジネス・デシジョン・メーキングという科目が面白くて、いろいろな授業を取ったメンバー10人ぐらい、インターナショナルのスチューデントもいれば、ローカルの普通に働いている方でビジネスを学びたいという方と一緒に、いわゆるケーススタディです。昔のハーバードビジネススクールか何かの資料に基づいて、いろいろ前提条件があって、財務数値があって、このような状況に置かれたときにあなたならどうしましたか、というような感じですね。

もちろん、過去の話なので、正解というか、どうなったかというのはありますが、それは置いておいて、このようなシチュエーションで、このようなマクロ要因、ミクロ要因がある中で、どのようなことをしたら、この企業にとってメリットになっていたであろうか、ということをレポートに書いて、それを発表して、それをディスカッションするという授業がありました。非常に面白かったですね。あとは、バリュエーションの授業などもありました。そのようないろいろな授業を9カ月間取っていました。

そんな中、USCPAの学習もされたんですね。

そうです。半分ぐらい、その生活が過ぎて、ある程度落ち着いてきたので、BECの学習を再開して、何とか運良く一発で受かることができました。それで、残りの半分のアメリカ生活が始まり、その後、卒業したらどうしようかという話に当然なってくるのですが、ここで大きなポイントがあるんですね。

アメリカで働くことを考えていらっしゃる方がいると思いますが、アメリカ現地採用として働くのは結構難しくて、ビザの取得が一番難しいんです。今、トランプ政権になってより難しくなるようですが、まず2段階あります。

一つはスポンサーになってもらう企業が見つかる、要は就職先が見つけるというところが第一段階なのと、それだけでは駄目で、ビザの抽選に突破しなければなりません。突破しつつ、スポンサー企業がいるという、この2つをクリアしなければならなくて、難しいのは後者のビザの抽選です。これは、完全にバックグラウンドなどは関係なく、純粋にアメリカの現地で、ノンアメリカの方が働くために通らなければならない抽選で、今、2008年ごろのリーマンショック以降、倍率が上がってきていて、大体3人に1人ぐらいしか通らないんですよ。

通常はそのビザを取得して、それを取得すれば3年から6年は働けます。それがスタンダードなのですが、私のように一定のビジネススクールや普通の4年制大学、もしくは大学院を卒業されると、インターナショナルのスチューデントは、先ほどの抽選の話とは別に、OPTというアメリカの企業で1年間働く権利がもらえます。

語学学校ではそのような権利はもらえないのですが、一定の条件を満たした教育機関を卒業すれば良くて、私の学校が幸いにも、それに属していましたので、その権利を頂けて、まずはビザの権利はもらえました。あとは、スポンサーをどうするかという話、要はどこへ就職しようかという話です。

ご存じの方も多いと思いますが、ボストンキャリアフォーラムに滞在中に参加しました。サンディエゴからボストンまで飛んで、そこでBig4なども面談しました。日本で働く人を求めて採用活動をしているようなBig4もあったのですが、できれば数年はアメリカで働いてみたいというのがあったので、日系なのですが、アメリカローカライズされている中堅の会計事務所に採用していただきました。それが、シカゴオフィスでしたので、プログラム9カ月が終わって、シカゴに移りまして、監査法人ライフが始まるというところに移っていきます。

そこで働き始めたのはいつ頃ですか?

働き始めたのは15年の8月です。シカゴの日系の中小の監査会計事務所で、従業員は100人ぐらいいたと思いますが、全米に8箇所ほど事務所があります。シカゴオフィスは10人ぐらいのメンバーで、AUDITとTAXをやっていました。私はAUDITメンバーで、AUDITとTAXで6:4ぐらいのメンバー比率でした。

クライアントは基本的には、日系企業の米国子会社です。シカゴオフィスだったので、いわゆる中西部にある企業を結構担当していて、田舎のほうではありますが、イリノイ州から南のジョージア州ぐらいまで、ケンタッキーやオハイオ州などもありました。あの周辺では結構、製造業の拠点が集まっているので、自動車部品メーカーや化学品メーカー、商社などもあったのですが、約10社ぐらいのクライアントを担当させてもらいました。監査だけでなく、レビューなどもやりましたね。

監査法人の生活は1年だけだったのですが、その1年の中で10社ぐらいのクライアント対応で、レビューなり、コンビネーションも1件ぐらいありましたが、AUDITをやらせていただきました。小さいファームでしたので、クライアントも当然比較的小さいところなので、メリット、デメリットはあると思いますが、メリットとしては、やはり、少人数で小さい規模の対応をするので、1人で1年目でもいろいろな科目を担当できます。結構、大きいところですと、1年目は監査に行くとキャッシュだけ、ARだけなど、そのような感じになるのですが、小さいファームですとTax expenseやInventoryなど難しい科目もあるものの、ほぼ全ての科目を任せていただくことができました。

そのまま長期間、アメリカに滞在しようとは思わなかったのですか?

元々アメリカに行くきっかけというか思いとして、そんなに長期滞在するつもりはなかったんですよ。いずれは日本に戻ってこようと思っていました。いずれというのは、開始から2年、3年ぐらいと何となく思っていて、一応、その1年が終わったタイミングで抽選のビザに申込んで、幸い受かったんですが、いろいろ考えて、1年で退職して、日本に帰ってきました。

そして、M&A関係の仕事をやりたいと思っていたので、その関係のところで面接をして、今の会社に採用をしていただいたという感じです。それが16年10月ですね。

今はBig4になるわけですよね。

はい。Big4系のアドバイザリーの会社で、M&Aはいろいろなプロセスが1から10まであるのですが、その中の各フェーズでバリュエーションや財務デューデリジェンス、PMIなどいろいろあって、一つ一つの領域を担当するグループ、その中でもグループがあって、それぞれバリュエーションチーム、ファイナンシャル・デューデリジェンスチーム、PMIチームというような構成になっている部署です。

私がいるのは、財務デューデリジェンス等を主にやるチームになります。

具体的には、どういった業務をやっているのでしょうか?

全体としては、財務デューデリジェンスが7割ぐらいになります。あと、そのサポートで、いわゆるFA業務と業界では言いますが、FA業務というのは、M&Aのプロセスの最初から最後までをトータルでサポートする、投資銀行業務と言ったりすることもあるのですけれども、そういった業務も少しやります。あとは、財務諸表を作るという仕事もあったり、その他、細かいのは幾つかありますね。

私個人としては今まで1年半弱ぐらいやってきて、割合をざっと述べておくと、半分ぐらいが財務デューデリジェンスで、半分ぐらいが事業計画の作成業務です

財務デューデリジェンスというのは、ある企業がある企業を買収しようと考えているときに、買収先の企業に財務的観点、会計的観点で問題がないか、ざっくりと変な問題がないか、収益性は大丈夫なのか、そのようなことを細かくチェックしてレポートを作り上げて、買い手側、ここがクライアントになるので、ここにレポートを上げるという作業です。

そういうことをやるのが半分と、残りの半分は事業計画作成ですね。これもオーダーメードなので、いろいろなパターンがありますが、基本的にはDCF法という、ディスカウント・キャッシュ・フロー法というのがBECか何かに出てくると思うのですが、それを使います。そのDCF法を使うにあたって、この企業の将来計画を基にやります。

例えば、5年間の将来計画を出してもらって、ざっくり言うとこの企業の利益、毎年の利益が幾らだと、それを時間価値やいろいろな要素を基に今の値に落としていくと、将来計画で利益はこのぐらい見込んでいるから、価値はこのぐらいだというのが出せるのです。ですから、そのバリュエーションをするにあたって、事業計画がないと駄目なんですね。事業計画は、自分たちで作るのが本当なのですが、それをわれわれプロフェッショナルに依頼して、作ってもらうわけです。

いろいろな前提条件を、、このタイミングで人員増を考えている、このような新規事業を考えているなど、そのようなことをクライアントから教えてもらいます。その情報を数値に落としていくというロジックを作っています。ですから、エクセルワークとロジックを考えていかなければならないのですが、そのようなものを作って、いわゆるロジカルな、リーズナブルな財務諸表を作ってあげます。

それをこの企業を買収しようと考えているところに渡して、バリュエーションしてもらうということをやります。ですから、私は買収対象になるだろう企業の財務諸表の作成などを結構、やっていますね。

その中で英語を扱う案件というのはどの程度あるのでしょうか?

チームの中の全体として7割ぐらいがドメスティック案件です。大体、日系企業が日系企業を買う。いわゆる、クロスボーダー、インアウトやアウトインと言いますが、日系が外国企業を買う、外国が日本企業を買う。それが残り3割りぐらいです。私は、一応USCPAということと、アメリカに行っていたので、ある程度、英語ができるということがあるので、そちらのほうをアサインされることが多いです。とはいっても、やはり半々ぐらいですね。クロスボーダー、ノンクロスボーダーという意味では。

それとは別に、インインの案件だとしても、本体は日系企業なのですが、当然、いろいろな外国会社を持っている企業はたくさんあるわけで、その中で、すごく重要な外国の子会社があると、そこにインタビューをしないといけないです。

クエスチョンなどを出していく上では、英語で文書も書きますし、電話会議をするときは英語でやらなければいけないということがあるので、英語を使う機会という意味では、先ほどの7:3のドメスティック、クロスボーダーの話よりももう少し変わってくるという感じです。

監査法人時代の業務と、今の業務の違いを教えてもらえますか。

私も正直、監査は1年しかやっていなくて、監査に対して偉そうなことは言えないので、5年、6年、監査をやっていた人に聞いた話ですが、2つ、3つぐらいあって、1つはコンサルティングファームに属するので、そこと監査との違いという意味では、毎回クライアントが変わります。

監査は基本的にお客さんが決まっていて、毎年監査、レビューをやっていくので、また今年もこのクライアントの監査が来た。では、あれとあれをやって、あの人にこれを聞けばいいというのを何となくイメージができて、やることもルーティーンになりがちですが、コンサルの場合には同じお客さんをずっとやるというパターンもありますが、基本的には毎回変わります。

それは、難しさでもあり、楽しさでもあると思いますね。

難しさとしては、当然、毎回全く分からない業界、全く分からないビジネスをぱっと振られるわけです。明日から、この会社をやってと。そうすると、知見が全くないですし、人脈も全くないので、その業界や背景を一から調べなければならないです。そこは、当然、飽きないという面白さもあると思いますね。マンネリ化しないというところがあるので、常に新鮮な知識を身に付けられるし、身に付けなければならない、というとことが1点目です。

それと関連して、監査ですと、結構、クライアント=対象会社になるので、基本的にはそこに常駐して、経理の方に隣へ座っていただいて、これはどういう意味ですかとタイムリーに聞いて、フランクな感じで聞けたりするのですが、いわゆる、財務デューデリジェンスなど、そういうものですと、クライアントはバイヤーでして、買収先の会社の調査をしに財務諸表などを見に行くのですが、そこまで情報にアクセスできないです。

なぜなら、監査をしてくれと頼んできているわけではなくて、頼んでいるのはこちらなので。あくまでも、限定的な情報しか出してくれないという状況があります。ですから、タイムリーに聞いたりすることはできないです。

やり方としてはQ&Aを作って送って、向こうに書いてもらって、それを受け取って、ファイナンシャル・アドバイザーの方を通してやりとりをするという感じです。あと、1~2回ぐらいインタビューを直接できるのですが、そこも時間が限られていますし、人脈も全くない中で聞いていかなければいけないので、本当に一発勝負というところがあります。

ですから、本当に質問を考えていって、このような回答がきたら、このように更問しよう、Aがきたら、こう答える、Bがきたら、こう答えるといういろいろなシミュレーションして、1時間なり1時間半なりの対象会社とのインタビューに臨まなければならないです。そこはすごく緊張感があって、非常に難しいですね。

どのような人がくるのかも分からない、どのような性格の人がくるかも分からない、というプレッシャーもありますし、その中で、FAの方がプレッシャーをかけてきたりするという、いろいろな難しい面もあったりするので、限られた時間でうまく考えて、かつ先を読んだことをしていかなければならないというのが、2点目の違いです。

最後は、アウトプットするものが、監査と結構違うので、レポートをしっかり作って、それをクライアントに、バイヤーの人に渡していかなければいけないというところがあります。100ページぐらいのレポートを毎回作ったりするのですが、それはあまり、監査ではやらないです。エクセルなども全然違うようで、Big4などでマネージャーをやっていた方からも聞いたのですが、いろいろな細かい関数なども使って、扱うデータの量なども半端じゃないです。

最近では、ビッグデータの処理などもしなければいけなくて、いわゆる、ビジネス・インテリジェンス・ツールのようなものを使って、300個ぐらいのエクセルのファイルをマージして、それを分析するというテクニックなども求められます。それは監査法人ではやることはないということも言っていました。OAスキルに対するRequirementもかなり高くなると思っています。その3つが違いですね。

FASに転職されるときに、デューデリやPMIなどの専門部署というのは、すでに採用の段階で決まっていたのですか。

決まっていました。

そこはご自分が志望されてですか。

そうです。やはり、そのチームで、同じM&Aの業務の一部同士とはいえ、やはり、求められるものも全然違いますので、採用の段階からおそらく、どこもそうだと思いますけれども、分かれています。

そこをやりたかった理由などはありますか。

いわゆる、財務デューデリジェンスというのが、一番、監査や会計に親和性があったからです。

M&Aならば、投資銀行などの選択肢もあったのではないかなと思うのですが、なぜ、Big4を選ばれたのですか?

会計の一定程度の知識と、一定程度の経験、BY AUDITということで得られたので、そこが一番活かせるという意味では、財務デューデリジェンスとしてM&Aに関わるということだと当初は判断しました。

もちろん、多少、考えはしたのですが、営業から会計というところで、1回大きなジャンプをしていて、今後はできるだけビッグジャンプを控えたいというところがあり、より今やっていることに近いということが、比較的重要なファクターだったので、M&Aの中でも会計がより活かせるところを選びました。

サンディエゴのお話を伺いたいのですが、そのビジネススクールを選んだきっかけというのと、どういう段階を踏んでそのビジネススクールの入学準備をしたのですか。

選んだ基準は、カリフォルニアの気候の良さが一つと、あとは先ほどのOPTの話です。1年間、働ける権利がもらえるということが大きいと思っていました。基本的に先ほども申し上げましたけれども、4年制大学や大学院を卒業しないともらえない権利なのですが、9カ月の時間と費用でその権利をもらえるのはかなりお得かなということも考えましたね。準備というのは、どのようなことをイメージされていますか。

推薦状や書類も含めてですね。

推薦状は前の会社の上司に書いてもらいました。

英語は今思えば、USCPAの勉強をしている最中も並行してアウトプットの練習をやっておけばよかったのですが、実際にはフィリピンへ行って、マンツーマンのレッスンを3週間やりました。最近、流行っているようですが、3週間でしたけど結構大きかったと思いますし、そこで、一定程度の底上げをして、アメリカに行ったというところがあるのですが、やはり、理想と現実は全然違って、英語という意味では相当苦労しましたね。

今も苦労していますけれども、全然何を言っているのか分からないので、フィーリングで最初はやっていました。特に授業のディスカッションなどです。インターナショナルなプログラムだったので、ブラジル人やメキシコ人と議論することが多かったのですが、彼らはノンネイティブなので、比較的、自分と近いような要素もあり、分かりやすかったのですが、ローカルのアメリカ人とディスカッションしなければならないということがあって、それは地獄でしたね。

心折れそうに何回かなりましたけれども、、何とかやっていきました。

OPTは1年間だと思うのですが、1年だけって制限付きだとあまり採用が決まらないんじゃないかって思うのですが。

そういう意味では、ローカルのハイヤーを求めている企業はあって、私のようなローカルのハイヤーでノンU.S. citizenの方ですよね。そうなってくると、やはりOPTから始まるのが基本なんです。もっと、基本なのは、4年制大学や大学院を卒業してOPTをもらって、その後で、正式な3年、6年のワーキングビザをアプライする想定で採用してもらうという感じです。

私もその想定で、1年後の抽選はどうなるかわからないけどアプライしましょうという感じで採用してもらいました

私は幸いにも、そのときにBEC以外の3科目に合格していたというのもあったので、採用していただいたというところがあったかもしれないです。それに受かっていれば、そこまで難しい話ではないのかという印象を持っています。

ファイナンスの分野というのは、抽選後のビザの取得に対しては、確率的には上がるものですか。

そこは関係ないですね。関係があるのは、大学院卒だと確率が上がります。それと数学や化学などの専門の人はもう少し優遇されていたと思います。その方々はアメリカがより重要と考えているのでしょうね。

ただファイナンスや会計は、ありふれているので、CPAを持っているから優遇されるということは無いです。純粋に運で3分の1に通るしかないですね。

今のM&A業務でのやりがいとか、身につく知識など、それが今後、強みになっていくというものがあったら教えていただけますか。

先ほどの監査法人と今の仕事の違いというところにも近いとは思うのですが、やはり、決められた時間で、決められた成果を出していかなければいけないという要素が強みになっていると感じます。タイムマネジメント力というのは一つあると思いますね。あとは、上のほうになればあまり使わなくなるのかもしれないですが、OAスキルというのは相当レベルアップしたと思います。監査法人時代、および、保険会社時代に比べても10倍ぐらいにはレベルアップしたという気がします。

他には、シニアマネージャーなど上のほうの方になってくると、担当していく案件というのが、業界が決まっていくんですね。シニアマネージャー以上の方は、担当業界というのが決まっているので、基本的にその業界の案件に対応していくという形になるのですが、私のようないわゆるスタッフの人間は、そのようなことはないので、アサインされた案件に対応ししていきます。

そのアサインされる案件というのは、特に業界など全く考慮されないので、そういう意味でいろいろな業界に携われるというのは、非常に面白いというところで、勉強にもなります。一から勉強しなければならないので、どういうときに売上が上がるかとか、コストがどういうときに上がるかなどを勉強します。会計のマニュアルなどでもいいですし、業界の本などいろいろ会社のライブラリーにあるので、それらを見たり、ホームページなどもいろいろ見て、会計基準なども見ながらです。そこは面白さと難しさがありますね。

あと面白みという意味では、M&A全般の話だと思いますが、やはり、大きな案件に関わると、新聞などで、後で幾らで買収が決まったというのが出ますよね。これは自分が関わって、あそこでうまくレポートしたことが、一因で買収がうまくいって、何億円で買収という話になったんだというのが実感できて気分はいいです。

そういった大きな案件に関われたというのはモチベーションにもなりますね。

会計以外のところだと具体的にはどういったことを強みとして持っていたほうが良いのでしょうか。

そこは2つ、3つあると思っていまして、監査法人から来た人の意見を集約してというところではありますけれども、1つ目はやはり、英語力は必要です。それも監査法人にもよると思いますが、結構、監査法人ですと英語案件は固定されるんですね。英語ができる人は、そちらの英語案件グループができて、その人たちがずっとやるのですが、こちらの場合は、いつどの案件が、英語が必要になってくるか分からないんですね。

やってみて、ある程度深く分析していく中で、この海外子会社は重要だと、後から分かって、急遽海外子会社と深いディスカッションを電話でしなければならないということがあるので、そういう意味で、誰しもが、英語が関わる案件に携わる確率があります。ですから、ある程度の英語力を持っていないと、少し肩身が狭い思いをするかもしれないです。

2点目としては繰り返しになりますがやはり、OAスキルですね。スタッフレベルでの仕事の主なものとして、分析した資料をエクセルに落とし込んで、レポートのベースになるものを作っていくというところで、ものすごく膨大なデータを素早く加工していかなければならないところがあるので、幾つかの関数を使ったり、時にはマクロを使ったりすることもあります。ビッグデータの処理もしなければいけなかったりするので、そこが全然できないと話にならないというのはあると思います。

3つ目は先ほどご指摘いただいたように、一発勝負のインタビューなど、だらだら聞くことが出来ず、すごく効率的にやっていかなければいけないので、そこは練習が必要だと思います。私も毎回冷や汗かきながらやっていますけれども、素早くロジカルに考えて質問して、このレスポンスが来たら、次はこれということもできるようにしていく力というのは非常に重要かと思います。

そういう意味で、監査法人に長年いて、こちらに来た方が言うには、やはり、優秀な人が多いということは結構いろいろな人が言っています。その辺は多分、一発勝負のところをうまく効率的にやっていかなければいけないというところが反映されているかという気はしますね。

今後のキャリアの展望を教えていただけますか。

私もまだ1年半ぐらいしか働いていないので、とりあえずは、今の会社である程度、頑張って、上のほうの役職まで何とか行ければと思って、日々の業務を頑張っています。中長期的には、今の会社の中でという意味で、海外のオフィスで働ける機会を得たいと考えています。

手を挙げれば比較的、行ける雰囲気があって、先日もニュージーランドに行かないかという話があったのですけど、プライベート上の事情で待ってくださいという話をしたというのもありました。そのような海外のオフィスで2年ぐらい本格的に、監査ではなくて今の業務として、経験を積みたいというところは一つあります。

それは、海外のオフィスにトランスファーするということですか。

いわゆる出向というか、一時的なもので考えています。転籍ももしかしたらできるのかもしれないですけれども、とりあえず籍は日本に置いたまま、修行のような形です。あとは、幸いにもうちの会社は今言った、私の部署の中で何個かグループがあります。M&Aのいろいろな領域をカバーしています。そこで比較的、短期で1年や半年というサイクルで希望すれば移るというか、経験することができるので、私も少し考えているのですが、モデリングチームというのがあって、主にそこは財務諸表の作成などを中心としてやっているところなのですけれども、そこにあと1年ぐらいしたら、半年、1年ぐらい期限付き移籍のような形でいきたいと思っています。

これはほぼ可能だと思うので、それをやってM&Aの中での領域を広げていきたいというところはあります。もっと長期的には、いずれは中規模ぐらいの事業会社のM&Aを実行するような部署にも行ければいいかとうっすらとは考えていたりします。

証券会社で行なっているM&A業務と監査法人系のFASなどで行っているM&A業務はどの辺りが同じで、どの辺りが違うのかというイメージがつかみ切れないのですが。

少なくとも資金調達系はできないです。証券会社系の話は分からないのですが、証券会社の中でもM&A部門というのがあるはずで、そこの中でもいわゆるM&Aの中のFA業務をやることが多いと思います。

FA業務の中で結構、バリュエーションなどをやると思うのですが、証券会社で財務デューデリジェンスをやるというのはあまり聞いたことがないです。やはり、財務デューデリジェンスなどはいわゆる会計が絡んでいることが多いので、会計系のBig4のFASなどにお願いするということが多い気がします。

逆に我々の中でも、FA業務をやる部署もあったりします。でも、規模感で言うと、やはり、FA業務という意味では、日系など当然外資系の証券会社の皆さんが扱う案件のほうがよりビッグディールです。われわれがFA業務をやるのは比較的中規模案件ですね。財務デューデリジェンス、バリュエーションなど単品で受注する場合は、比較的大きい案件もやります。全体のコーディネートという話になると、やはり、証券会社さんがやる案件のほうが、いわゆる世の中の大企業が関わる案件が多いですね。

USCPAの合格、資格自体が転職などにどのように生きてきたのかというのが事前の質問でも幾つかあったのですが、その辺はどうでしょうか。

1回目のアメリカの監査法人というか会計事務所への転職時という意味では、やはり、そこは監査でしたので、より会計の知識、監査の知識、USCPAとして使うという意味で、採用するにあたって、見ていただいたというのはあります。

今の会社でという意味では、仮に資格を持っていなかったとしても、そのような経験があれば、入社する可能性というのは十分にあるという雰囲気はしますね。我々のチームも8割ぐらいが日本の会計士の方で、そのほとんどが監査出身の方です。私も含め1割がUSCPAで、残りの1割が、資格を全く持っていない方。だから、逆に彼らは戦略コンサルなどから来ているという方で、そういった知見、経験も必要だろうというところで採用されているという感じですね。

今回の転職においては、4科目合格されていたと思うのですが、特に全科目合格というのは、評価にはならなかったのでしょうか?

そうですね。前の監査の経験などが活きた気がします。もちろん、資格を持っていることも重要だとは思いますね。監査をやっていて、比較的熱意などを伝えたというのもあったかもしれないです。あとは、会社が人を欲していたというところもあったとは思いますね。内定が出て、次の日から来てくれと言われました。

日系の監査法人は今、採用意欲が高いという情報を聞いたことがありますけれども、当時のうちの会社もそのような感じだったんだと思います。

まだ相変わらず続いていますね。どこも人が足りないので、その辺りは行きたいのであれば、今、チャンスだと思いますね。

まだ科目合格もしていない段階ですけれども、もし、行くとしたら、1科目、2科目でも受かっていれば可能性は十分にあるのでしょうか?

監査法人ならあると思います。科目合格の方も、求むということをよく見ますね。

私の会社ですと、よく分からないですけれども、監査法人は十分ありそうです。私も当初、今の会社を受けるタイミングで、他のBig4の監査法人も一応受けていたのですが、私は1年しか監査をやっていないけれども、「1年もやっていた」と受け止めてくれて、ものすごく丁重に扱われた感じはあります。面接で、ぜひとも来てくれというような。だから、それだけ人が足りないのだなと思いました。

そこで、行きたい部署の希望を出すとは思うのですが、大体、最初だとどういう方向に回されるなど、そういうのはあるのですか。

どうでしょうか。私もBig4の監査法人ではなかったので、私の監査経験からすると、もう少人数でいろいろなお客さんに対応するので、たくさんの科目ができるというのはあります。Big4の監査法人はおそらく、科目合格、資格を正式に持っているかどうかは別として、基本的な現金などをやっていく、監査をやるならですけれども、形になるのかなという予感はしますね。

うちでやっているキャリアセンターのセミナーなどは、ある程度は部署ごとにやってくれたりしているので、そういうものに興味があれば、行ってみるといいかもしれないです。今だと、本当に科目合格していなくても、勉強中ですという方でも、ポテンシャル採用などもあるので、もしそういったところへ行きたいということであれば、早めに動くと良いと思いますね。

監査だと繁忙期の閑散期の波が分かるのですが、M&Aに関してはどういう働き方ですか。

そこは全く読めないです。波が非常に激しくて、去年のちょうど今ぐらいの時期は毎日3時ぐらいまでやっていました。暇なときは暇で、本当にやることがないときもたまにありまして、プロジェクトとプロジェクトの合間などです。1週間ぐらい案件がなくて、たまに、いわゆるAvailableな状態だったりするのですが、定時でさくっと帰ることができるので、そこは、本当に波ということで読めないですね。案件をパートナーなどが取ってきて、開始するフェーズになれば、やることはありますし、基本はあります。

案件のアサイン中も報告日の2~3日前になると結構、終電ぐらいまでやったりする人たちが多いですけれども、普通であれば、皆さん遅くとも9時ぐらいまでには帰っています。もちろん、人と案件のチームによりますけれどもね。

やはり男性が多いですか。

圧倒的ですね。95%ぐらい男性です。会計系のバッググラウンドという意味で、女性の方はやはり少ないというのはあります。なおかつ、よりアグレッシブなと言いますか、アドバイザリー系に来る方となると、より男性が多くなる傾向があるようです。監査法人ならば、もっと女性比率は高いですね。

評価の制度というのはどのようになっていますか?案件では取ったことで評価が上がると思うのですが、個人のパフォーマンス評価という意味では、どのような基準になっているのでしょうか。

そこは私も入社前に気になっていて、元々営業だったので、営業はすごく分かりやすいのですが、このような業界はどうなのかとは思っていました。

我々、スタッフレベルに関しては、案件1個ごと終わったら、そのプロジェクトマネージャーとプチミーティングをして、パフォーマンスがどうだったかというのを話し合って、点数化していくというのはあります。点数化していく項目としては、すごく漠然としているので難しいのですが、リレーションシップやテクニカルスキル、ビジネスに対する洞察などの5個か6個ぐらいの項目があって、それを1から5点を付けて、五角形か何かを作っていくというようなところです。

一応、それぞれの5つのポイントで指標というか、このような観点に基づいて評価しましょうという指針があるので、マネージャーがそれを見て、ディスカッションもベースにして、対象者と話し合ってレートを決めていくというような感じになります。あまり客観的ではない、営業ほど目に見えるものがあって、それが点数化されていく、今月は幾ら契約を取ったというような話にはできないところがあると思います。だから、結構アピールが重要になるかと勝手に思っています。

良い評価を頂くためには、もちろん、求められていること、やらなければいけない事というのは我々としては分かりますので、それに対して、より効率的に素早くやって、マネージャーのサポートをしていくことで、そのような評価を上げられるという大きな指針というか、そのような設定はありますね。

入社後にOAスキルなどが身に付いたとおっしゃっていたのですが、どのように社内でキャッチアップされたのでしょうか。

そこはOJTと言いますか、同じプロジェクトに入った先輩社員に教えてもらうということをして、あとは試行錯誤です。

ああいうものは慣れだと思いますので、何回かやっているうちに早く出来るようになって、効率的になってくると思います。もちろん、社内の研修もいっぱいあって、それをEラーニングで見て、こういうものがある、こういうときにこういうものを使ったほうがいいのかということを知識として取得した上で、それを実際にやっていくことでキャッチアップできると思います。

インタビューなども一発勝負が多いですと伺ったのですが、そのようなことを1人で行かれるのではなくて、チームで行かれて、インタビューをする前にこのような項目を聞きましょうということは。

もちろんです。アジェンダを作って、それを事前に先方に投げて、向こうもそれを事前に把握している状態で行ないます。例えばですが、対象会社、買収先のCFOの方と財務系の方と、法務関係の方で、5人ぐらいで来ることが多いので、こちらもチームで3~4人ぐらいで、あとは証券会社などのファイナンシャル・アドバイザーの方も一応いて、彼らも質問してというところもあります。結構、緊迫した雰囲気で1時間から2時間ぐらい、アジェンダに沿ってやっていくというのが基本です。その中で、追加質問があれば随時口を挟んでいくという感じになります。

先ほどのプロジェクトの話になりますが、基本的にプロジェクトマネージャーというのは年功序列というイメージでいるべきなのか、それとも、下が上をマネージするということも起こり得ているのかという、業界全体でもいいですし、会社の中でもいいですけれども、どのような雰囲気ですか。

プロモーションということですか。

プロモーションという意味で。

やはり、年功序列というか、基本はそれがあると思いますね。それプラス、パフォーマンスがいい人は、その流れよりも少し1年、2年早く上がるというところがあるので、年功序列プラス在籍経験というところはどうしてもあると思います。それのほうが、比較的に組織として平和に回るという日本人的な考えもあると思いますね。そこは、一応、外資系のバックグラウンドがあるとはいえ、ほぼ日本の会社なので、個々の国のエンプティで任されていると思います。いわゆる日本の企業式というところはあるので、そういった意味では、年功序列が否めない部分はあると思いますね。

案件の大きさによっても違うと思いますが、一つのプロジェクトに人数は大体どれくらいで回されているのですか。

平均3~4人ぐらいです。大体、マネージャーが1人いて、その上にもしかしたら、シニアマネージャーやディレクターのような人がいたり、いなかったりするのですが、パートナーは絶対にプロジェクトにいます。あと、実際に作業するスタッフ的な人が2人ぐらいですね。

バリュエーションや、財務デューデリジェンスの部門ごとで3~4人が複数工程でいらっしゃるということですか。

バリュエーションはまた別です。バリュエーションは個人で1案件を、作業者は1人になることが多いです。作業を一つの案件で分割するのは難しいらしいです。ですから、1人で全部業務をやって、プロジェクトにマネージャーはいるので、マネージャーといろいろディスカッションして、ああしたほうがいい、こうしたほうがいいと言って、最終的にパートナーに持っていって、ゴーが出たら、お客さんのところへ行くという感じです。財務デューデリジェンスは、BS関係を担当する人、PL関係を担当する人、という形で作業を比較的きれいに分けることができるので、何人かの作業者をチーム内に持って、業務を分担してやるということはあります。

最初、簡単だと思っていたら、掘っていくうちに意外と難しくて、ややこしいときなどがあると思うのですが、そういうときに人数の補充などをされることはありますか。

それはあります。プロジェクトの予算もあるので、その辺とも調整しながら、マネージャーとかパートナーに申請して、追加補充されることはありますね。あとは、それに基づいて追加補充しなければならなくなって、人件費が掛かるので、クライアントにフィーの値上げ交渉をするということもたまにあります。それはパートナーがやります。

先ほど、M&Aのほうで女性はかなり少ないとおっしゃっていたのですが、やはり、女性が求められるような環境ではないのですか。

そんなことはないです。たまたま、そもそも会計士の方で女性の方が少ないというのが、どうしてもあるので、その中で、世の中全体の認識として、監査よりもM&A関係のほうが比較的アグレッシブで大変だというところと、女性の方がさらにそういう道を選ばれるパターンが少ないので、結果的に私の部署はそういう人員構成になっています。

ただ、先ほども申し上げましたけれども、M&Aに幾つか業務があって、私のところはみんな財務デューデリジェンスです。バリュエーションも会計関連の人がほとんどなのですが、他の財務モデルを作る、事業計画を作る、PMI関係のサポートをするところなどは女性比率がそれなりに高くて3割くらいいると思います。

そこは、先ほどの話と裏返しで、会計の知識をそこまで使わないというところが、業務としてあるので、やはり、会計全体を占める女性の方はUSも日本も少ないということで、会計を比較的使うような部署には女性が少なくなってしまうという結果はありますけれども、決して、それは女性が求められていないということでは全くなくて、むしろ、女性の方をもっと増やそうと私の会社は頑張っているようです。徐々に増えてきてはいますね。

昔は、働き方が激務というのがあったというのはありますよね。

それもあるかもしれないです。最近は、あまり残業もできなくなってきているので、世の中の流れとして、そこも関連しているかもしれないです。

このコネクション・ミーティングが始まった5年前、6年ぐらい前までは聞いていると本当に大変だという感じでした。今は、どのBig4の方に聞いても、すごく改善されたということをおっしゃっていて、環境は良くなってきていますね。女性も増えてきているという印象があります。

そういう意味で、そんなにつらいと思ったことはないです。去年の今ごろは、先ほども少し言いましたけれども、一番きついプロジェクトをやっていて、クロスボーダーにアメリカ関係の案件だったのですが、アメリカ関係ですと、時差の関係で電話会議などをするときに早朝か深夜なので、電話会議を23時からやって、とつらかったというのもあるのですが、最近の流れでおっしゃっていただいたように、だいぶ改善されてきました。

残業するのも逆にいろいろな申請しなければいけないというのもあります。残業するくらいになれば、人を入れて、分担してやりましょうというような雰囲気もあるので、そういう意味では、世間一般でイメージされているほど大変だと感じることはあまりないです。休みも非常に取りやすいですね。前の保険会社にいたときは、有給休暇を2年間いて1日も取ったことがなくて、それが当たり前だと思っていましたが、今は事前に申請すればほぼ好きなタイミングで長期休暇も取れますし、非常に働きやすい仕事で、本当に今の会社に来て良かったと思っています。

先ほど、海外との電話会議をすることがあると言っていたのですが、それだけの英語のスキルがかなりないと厳しいですか。

厳しいですね。電話会議ですと、対面でやるよりも雰囲気が伝わらないので、しかも、電話なので、多少ノイズが入ったりすると。複数人で話すので、結構収拾がつかなくなることもありますが、何とかやっているという感じです。

そのぐらいのレベルの英語力がないと、その世界でやっていくのは厳しいですか。

厳しくはないですけれどもね。

そこにアサインされないというだけですか。

いえ、アサインされる可能性もあります。

案件が始まる当初から、これはヘビーに英語を使うとある程度分かっていて、今、Available、他のプロジェクトに入っていない人員で、英語が使えそうな人がいるのであれば、そういう人が優先的にアサインされますけれども、結構、人員がひっ迫していて、こいつとこいつしかいないという場合は、英語を使えるかどうかは別に自動的にアサインされますので、何とかやっていくしかなくなるんですね。先ほども言いましたがいつ英語案件に関わるかというのが分からないので、ある程度、身に付けておかないと、苦労されますと。。

仮にそれがないからと言って、全く転職で不利になるということはないと思いますけれども、あればあるだけプラスになるという感じだと思います。

よく言われることで、Big4などで働いている日本の公認会計士の方は、英語力があまり無い方が多くて、それに対して、USCPAに求められることはやはり英語力ですよね。そういうところはどうしても求められてしまうのではないかと思います。

そうですね。それもあったかもしれないです。今の会社にアサインしていただいたポイントの一つとして。一応、アメリカに2年行って、それなりにしゃべることができたというのはありますので、英語をしゃべれる人が少ないので、そこはアドバンテージとして見ていただいたのかなというのはありますかね。今の会社も、私よりしゃべれる人は何人もいるので、日々、練習、勉強していますけれども。

英語以外というか、業務の中で先ほどおっしゃっていた、プロジェクトごとで何か業界のことなど、キャッチアップしなければいけないことがあると思いますが、そのようなこと以外で、何か勉強していることや学び方などはどういったことをやっていますか。

M&A関係の本などはいろいろ買って、M&A全般の財務デューデリジェンスに限らず、バリュエーションや全体のプロセスの勉強というのは随時しているのと、あとは、会計知識のキャッチアップは、先ほど、監査法人ほどは求められないとは言いましたが、やはりできる限り深く知っておけば、それだけ財務諸表などを見たときに早く効率的に気付けて、業務に生きてくるという部分がありますので、その辺りの会計知識の勉強というのも、随時やっています。

そこは、やはりUSCPAの勉強だけではどうしても十分とは言えないかと思います。特にFARの部分です。REGの知識は今、一切使っていませんが、アメリカにいたときは個人のTAXも作っていたりしたので、ずっと使っていました。今はFARとBECの知識は非常に使います。AUDITの知識は今の会社に来てからは全く使っていないですね。

事前の質問で、「監査法人によっては説明会などで、監査部でもアドバイザリー業務を経験できますという説明を受けることがありますが、ある程度、監査を経験してからでないとアドバイザーはかなり難しいのではないかと感じています。監査とアドバイザリーの両方を経験されてどうお感じになられているか、お聞かせいただきますと幸いです」とありましたが。

おそらく監査法人のアドバイザリーのことを指していると思うのですが、そういう意味で、そのアドバイザリーは経験していないので、難しいとは思うのですが、やはり、監査とアドバイザリーは結局、同じ監査法人の中の業務でも多分、違うと思うので、もちろん、会計の知識や、監査の知識は、アドバイザリーはあまりいらないのかもしれないですが、結局、財務諸表を見ていくというところでは同じでしょうか。

世の中の流れとして、アドバイザリーが監査を経験してからいくというのはありますけれども、もし、やりたいことがアドバイザリーと明確にお持ちであれば、そちらにチャレンジしてみてもいいかなと思います。結局、先ほどの話ですが、何でもかんでも実務をいろいろ、がちゃがちゃやっているうちに身に付いていくという部分が大きいと思うので、そういう意味で、監査でやっていたことがアドバイザリーでやっていたことは当然違うと思うので、もしくは生きてくる部分があると思うのですが、であれば、もし本当にアドバイザリーをやりたいと決めているのであれば、そこに入って、そこで切磋琢磨して、いろいろ揉まれることでアドバイザリーのプロになったほうが、早いかという気がします。必ずしも、こちらをやることが、いいというわけではないような気がしますね。

あくまで、こちらを経験したことがないので、何とも言えないですけれども、そういう意味で、仮にアドバイザリーを今の会社の業務に替えてやるのであれば、そんなに監査の知識が活きている気がしないので、監査手続きなどは当然やらないですし、監査というよりも財務諸表をいろいろ見てきた経験というのは、必要かなという気がします。財務諸表を見てきて、例えば、これが試算表で、試算表というのは大体こういうものだというのを見てきた。それが今の会社で、いろいろな会社から、いろいろな情報を一気に50個ぐらいもらったときに、ぱっと見て、これはこのようなものなのではないかと、すぐに予想が付くというのはいいかなと思います。それは別に監査というよりかは、財務諸表を見てきた経験というところなので、何とも難しいところではあります。

ただ、監査をあと数年やって、それから、M&Aの世界に入るというのも、何となく変な話だったかという気はするので、今は監査1年しかやっていないですけれども、別にそれは監査が監査、今の業務は今の業務と思っていますので、比較的早い段階で、今やりたかったことができていることに対して、すごく充実感はあります。もっと監査をやってから、来たほうが良かったのではないのと言う人もいますけれども、それに対して、賛同はしないです。監査はそんなに自分のタイプではなかったというのはありますけれども。必ずしも、監査からアドバイザリーという流れでなくもいいという気がします。

「こういった仕事をやりたいけども、そのために何をやったらいいですか」という聞かれ方をしますけれども、いきなり行ってしまう方が良いと皆さん、おっしゃいますね。

そうですね。採用されるかどうかはまた別ですけれども、頑張ってチャレンジしていただいてというほうがいいのかなという印象を持っています。

皆さんも頑張って合格して、是非、そうしたチャレンジをしていって下さい。

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