アドバイザリー案件でも監査は関わってきます。もっとアドバイザリーで活躍するためにも、監査にも携わりたいと思いました。


第157回 USCPA CMレポート  ~BIG4 会計アドバイザリー、監査法人での働き方特集!~

実施日: 2019年9月21日(土)

USCPAゲスト紹介

ぴのさん (女性) USCPA


大学卒業後、物流企業の情報システム部にて海外輸送や在庫管理システムに携わる。
業務の中で国による収益認識の違いを知り、会計に興味を持ったことをきっかけにUSCPAの学習を始める。
2017年にBIG4監査法人の会計アドバイザリーへ転職しIFRS導入、決算早期化業務、監査業務に従事。

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Q&A

今、私は監査法人の会計アドバイザリー部門で働いています。大学では経営学部で勉強していました。会計専攻ではなく、簿記でいうと3級といったところを大学では勉強しました。

特に就職に対してこの専門性でいこうといったものが見つけられなかったので、新卒では日系の物流会社に就職しました。海上輸送など海外と関わる仕事をしたくて入社したのですが、情報システム部といった社内のシステムを扱う部署に配属になりました。

そこでは船積みのシステムや、倉庫の在庫管理システム、内製の会計システムの運用に携わりました。このままこの企業にいても、いろいろな部署に配属されていくのだろうけども、専門性はどこで身に付くのだろうかと疑問に思ったこともあり、会計への興味と海外との仕事がしたいといったことの合致でUSCPAとしてのキャリアを考えました。

社会人2年目で勉強を始めて、1科目が受かった頃にアビタスのキャリアセンターに相談をして、今の会社への転職を決めました。
監査法人なので、会社として最も大きなウエートを占めているのは監査業務で、他に会計アドバイザリーの仕事等があります。

会計アドバイザリーで扱う案件はIFRSの導入の支援、管理会計の高度化支援、M&Aが行われた後の会計処理のサポート、日本の会計基準の更新対応へのサポートなどがあります。

私が初めて携わった案件はPMIと言われるM&Aの後に発生する業務の会計回りに関する案件でした。その案件に少しだけ携わった後はIFRS導入に複数携わっています。
また、海外の子会社の決算プロセスの改善、決算早期化などの支援にも携わっていました。そこでは海外出張などにも行かせてもらっています。
監査も学びたいため、今は期限付きで現在は監査にもアサインされています。

監査を期限付きでやるというケースはよくあることなのですか?

以前はよく中途入社の人には経験をさせることがあったようですが、今はそういった方針はないようです。今でも希望があればそのような経験をさせてもらえることもあります。アドバイザリーに入って必ず監査もできるわけではありませんね。

それは他の法人でも同じかと思われます。他の法人の友人もいますが、採用の時点からどちらも経験できると言っているところもあれば、完全に分かれているところもありますし、分かれていても、状況次第では行けることもあるかもしれません。

そういった話はたまに聞きます。

採用は部門で監査とアドバイザリーは違います。そこは多分転職をするときに、皆さんは結構悩むところではあると思います。監査をするべきか、コンサルティングのようなことをしたいかといったところです。

1年でも何年でも、どちらかに行けるのはいいですね。

はい。そうですね。

監査とアドバイザリーがある中で、入社時にアドバイザリーを選んだのはどうしてですか。

以前の仕事がシステムの導入で、案件ごとにチームで動いて、終わったらそのチームは解散して、次の案件に移るといった形で、その働き方が私は結構好きで、アドバイザリーのように特定の案件にチームで取り組んでいくことに惹かれたためです。

チームで動いてクライアント対応をするということですが、1年間の年間スケジュールで1クライアントに対してどれだけの時間をかけるものなのですか?
そのクライアントは自分が担当したいといって、そのプロジェクトに参加をするのか、もしくは振られてくるのでしょうか?

案件の大きさによります。とても大きな案件にアサインされ、クライアント先で作業をすることが多い場合は、1つの業務のみを担当している人もいますが、大多数は複数案件掛け持ちしています。

どのクライアントのどういった案件にアサインされるかは、基本的には上が空いている人を入れていきます。どういった案件に携わりたいかヒアリングしてくれるので、IFRSの導入をしたいですとか、M&Aに興味があるとか、海外出張に行きたいからPMIに興味があるなど希望を伝えていると、もちろん案件が取れるタイミングもあるので、100%はかなえられませんが、配慮は結構してくれます。

今の中ではどれが最も楽しいですか。

今まででは子会社の決算の早期化が面白かったです。自分の経験や前職の経験が生かせたことや、対象の子会社は海外だったので出張にも行かせてもらえたこともあり面白かったです。

アドバイザリーをしていて監査の仕事をしたいと思った理由と、両方していて、これがこう生かされているとか、両方していたからこそ感じること、生きているところはありますか。

アドバイザリー案件でも監査は関わってきます。この方針は監査で認められますかといったことをクライアントに聞かれますし、スケジュールも監査に左右されることがあります。ぱっと答えられないことがとてももどかしくて、監査にも携わりたいと思いました。

どちらにも携わっていて感じるのは、求められることが結構違っているということです。監査の場合は、特に管理職以下ではミスがなく決められたことをきちんと時間内にすることが大事になってきます。アドバイザリーでは人前で話したり、資料をきれいに見やすく作ったり、プロジェクトを動かしていくことにコミットすることが求められます。

働き方の面ですが、監査のほうでは一緒に仕事をしていることもあり、この辺が忙しいかなといったことのめどが分かりますけれども。アドバイザリーはどうですか?

読みづらいですね。休みをここで取りたいといったことが読みづらいのはデメリットかもしれません。ただ、それも職階が下のうちはここを休みたいと前々から伝えておけば休みはとれると思います。その人がいないと本当に進まないといった、上の立場になると難しいかもしれません。

まとまった休みといった面ではそうですが、有休を1日や2日取ることは監査にしろ、アドバイザリーにしろ、かわりなく取れると思います。

女性はどのような感じの働き方をされていますか。

特に子どもがいない人は変わりません。子どもがいる方は早く帰っていて、それはしっかりと機能しています。在宅勤務も基本的に全員が対象となっており、申請も簡単にできます。

ただ、監査の場合は、書類をもらって、クライアントのところで作業をすることがあるので、理由がないと難しかったりします。アドバイザリーは、クライアントのところに行くことなどがなければ、上司に、今日はこういうタスクを在宅勤務で行いますという連絡をして在宅勤務をしているメンバーもいます。

プロジェクトの繁忙期があるか分かりませんが、最も忙しいときの働き方はどのぐらいの期間で、大体何時まで働いていますか。

アドバイザリーで忙しさの波が来るときは遅くなることもあります。興味のある案件を引き受けすぎると繁忙期が重なって遅く帰ることが続く人もいるようです。

自分がしたいといった希望は通りやすいですか。

考慮してくれます。言ったほうがいいです。

直属の上司がいないので、そういったことはどの方に言っていますか。

メンターのような方がつき、必須の面談が年に6~7回あります。もしくはパートナーに直接言いに行っても問題ありません。

職場にUSCPAのホルダーは割合的に多いですか。

アドバイザリーの部門は20%程度がUSでしょうか。監査はほとんど日本の会計士です。最近はUSも採用しているので、若手はUSCPAも一定数います。

全く何も資格がない人もいますか?

監査はいませんね。アドバイザリーはいますが、基本的には今後取ることが前提の人です。もしくは別の専門分野を持っていて、マネジャーやディレクター以上で、例えばシステムに詳しいけれども会計士は持っていませんといった人はいますがまれなケースです。

では、ベースのスタートラインはみんなCPAを持っている。

そうですね。

アドバイザリーの中でUSCPAホルダーに対して期待されていることや、求められることはどのようなことですか。

基本的に英語はできるでしょうといった形では見られます。出張があったりすると、声が掛かると思います。英語の資料を作るとか、USの基準とかが関わってくるものはそういったものを調べて、求めてといったこともあります。USだから、こういう案件しか来ないといったことはありませんね。案件的には満遍なく来ますが、その中でする担当は英語を使うところにフォーカスがされると思います。

今されている監査のほうも、海外案件ですか?

監査ではあまり海外案件には携わっていませんが、海外子会社の往査には行ける予定です。

日本の会計基準を適用しているところも見るといったことですか。

はい。圧倒的に日本の基準を適用しているクライアントが多いので。希望すればIFRS適用の企業の監査にアサインされることも可能です。

日本基準はUSCPAを勉強する中で勉強しないと思いますけれども、どのように身に付けていきましたか。アドバイザリーでも日本基準が必要ですよね。

そうですね。ただ、1個ベースが分かっていれば、比較表が法人内にあるのでそういった資料を参照しながら進めています。本当は日本基準を1から勉強すべきなのでしょうけれどそこまでは手が回らなくて、私ももう少しどうにか勉強せねばと思っているところです。

出張の場合は、そのプロジェクトのメンバー全員で行きますか。それとも、1人だけで行きますか。

それはケース・バイ・ケースです。1人で行くことはまずありません。全員で行くこともまずありませんけれども。2~3人で行きます。

クライアントと話すときは経理か経営企画なのか、どのぐらいのレベルの方とお話ししますか。

アドバイザリーの場合は結構上の方ともお話しする機会がありました。

海外出張に行くことが多いといった話でしたが、もともと英語は得意でしたか。

好きは好きですが、帰国子女でもありませんので流ちょうには話せません。ただ、会議をするとなると議題が決まっていて、資料も作って臨めるのでそれを話すことができるぐらいではあります。
また、法人としての英会話の補助は手厚いです。

入社後は、自分で作成した資料を見ていただける方はいますか。

もちろんです。レビューが入ります。

アドバイザリーに入って、実際に仕事の成果物はどのようにしていきますか。プロジェクトによると思いますが、最初の仕事はどのようなものが多いですか。

最初はPMIの翻訳作業に少し携わり、その後はIFRS導入にアサインされてしていました。日本基準とIFRSで差異のある論点について影響額を試算(今の財務諸表には幾らと出ているのが、IFRSでは幾らとなりますかといった試算)をして、結果をパワーポイントにまとめるようなこともやりました。

「試算して」と言われてもすぐにできませんよね。ですから、他の案件ではこのように試算したよといった資料をもらいました。最初は隣で付いてもらって、少しできたら、そこからは自分でしてといった感じで進められたので、何から手を付けていいか全く分からないといったことはありませんでした。

海外や英語がもともと好きだったと仰っていた中で、国内の案件をやっている理由はなにかありますか?

海外の会社は基準的にはIFRSやUSなどを使っていますけれども、日本が子会社側なので本社の監査人からの指示をこなすことになります。監査に携われる時間が限られているのであれば、日本が親会社側の案件の方が学ぶことが多いのではと私は思いました。

ただ、もし何年も監査をする場合は外資案件もやっていきたいです。監査では多くの人がは4~5個を掛け持ちしています。1社は海外が親会社で日本が子会社というパターンを担当している人が多いイメージですね。

転職活動はどのくらいの期間で活動をしましたか。

転職しようと思ってから3カ月ほどです。

いくつか面接に行きましたか。

面接に行ったのは今のところと、外資系事業会社の経理です。

勉強しながらの転職活動はどのような感じですか。

勉強しながらでもあったので、数社を受けて、駄目だったら試験が終わってからにしようと思っていました。
Big4に転職されることを考えるなら、興味がある法人の座談会のようなものに参加してみると人の雰囲気などの違いは感じられると思います。

転職活動の中で、すぐ決まったということでしたが、何が最も評価されたとか、そういったことは感じたり、後から聞いたりしましたか?

今のところで評価してもらったのは、自分が1人で行なう作業より、みんなで何かを作り上げていくことが得意といったことを自分の今までの経験を交えて話したところがよかったのかなとは思っています。

クライアントは地方もあり得ますか。

往査ではあり得ますが、日常のアサインで地方に行くことはありません。地方事務所が大都市にありますので、そこがカバーしているケースが多いです。

地方事務所に転勤することもありますか。

地元に帰りたいといったことなど、希望をすれば可能です。希望をしないで、突然2週間後から地方転勤といったことはありませんね。

工場などがあれば監査に行くこともありますよね。棚卸しなど。

はい。先週は関西の工場に行きました。内部統制の監査を行いました。来週ははじめて棚卸しに行きます。

ざっくりですが、10年、20年ずっと勤められている方はどのような方が多いですか。私も資格を取ったら転職はしたいなと思っていますけれども。それをずっと続けられるのかなといったことが不安です。体力的にもですし、飽きが来ずにずっとそれを続けられるのかと思います。アドバイザリーにしろ、監査にしろ、続かず辞めている人が多いイメージがあります。それを突き抜けて続けられている方は、ご自身から見られていて、どのような方ですか。

監査とアドバイザリーでも違うと思いますけれども。アドバイザリーで続けている人は、やはり新しい案件に次々と携われるのが楽しいと思っている人です。新しいことをしてみたいと思っている人が長くアドバイザリーにはいる印象ですね。

監査は、ある一定のところを突き抜けた人ではないでしょうか。多くの人は4~5年すると新しいことをやりたいと感じ始めるといった話は聞きますね。それを突き抜けて自分で案件を回せるようになり、クライアントからの信頼が深まってくると、やりがいになってくるのではないでしょうか。マネジャー以上ではそのようなやりがいを感じて長く監査に携わっていたいと考えている人がいるように思えます。

どちらかというと、ルーティンがあまり合わないといった人が出ていっていますか。

そうだと思います。基本的に毎年同じ会社に行きますし。

来てもらうほうとしても、また同じ人に来てもらったほうが、1から教えるよりは全然いいわけですね。

はい。クライアントの方も、それは去年の人に言いましたといったことなどもありますから。

今まで経験した業務で決算の早期化があったそうですが、どのようなことをするのでしょうか?

日本の基準では会計期間が3カ月海外とずれていてもそのまま取り込めるルールがあります。大体日本の企業は3月決算が多いですよね。海外の子会社は12月が多いです。

12月のデータを3月に取り込んでいいので、向こうとしては作る時間があります。レポーティング・パッケージを子会社が作り、親会社に出してきますけれども、向こうとしては、それに3カ月余裕があるイメージです。

しかし、それは3月の財務諸表ですといって公開したものが、実は子会社の3カ月前のデータが入っている状態になっています。管理会計上も財務会計上もあまりよろしくないことといった意識があり、会社としては決算期を統一するところが結構あります。私が携わっていた会社では、海外に対して3月に統一することを求めたので海外子会社は決算期を変更することになりました。

それに伴って、今まで3カ月あった猶予がなくなり、10日ほどで海外子会社は決算を行う必要が出てくるので今まで3カ月かけていたプロセスを10日に短縮するというプロジェクトです。まずは各子会社にプロセスをヒアリングし、この勘定科目は何月何日にこういったことをして締めていますかといったことのヒアリングをします。その結果、このプロセスを今は10日かけて行っていますが、2日で行うようにしてくださいといったことを依頼します。それを何回か四半期で試して行ってみます。プロセスの改善が確認できたら、次の期からは3月に決算を変えてもらうといったものがプロジェクトの概要です。

何故その話がアドバイザリーに来るかというと、子会社の実情を本社の経理はあまり把握していないこともあり、専門家にお願いしたい、といったニーズがあるためです。また、言語を含むコミュニケーションサポートのニーズもあると思います。

決算の早期化のプロジェクトは、アドバイザリーの中でも経理経験者のほうがいいとか、そういったことはありますか。

私は経理実務経験はありませんし、他に一緒にやっていたメンバーも経理経験者は1人ぐらいでした。常駐して、クライアントの経理業務を行うといった案件の場合は経験者が重宝されるのではないでしょうか。

現在の仕事はどのぐらい続けたいと思っていますか?
それと今の経験を活かして次のフィールドに移るとしたら、どのようなものを考えていらっしゃいますか?

まだ部署の中でしたことのないジャンルの仕事もありますし、携わったジャンルの中でも次に関わればもっと深く入り込めるなと思うことがあるので、監査を含めてあと3~4年は今のところで頑張りたいと思っています。

もしその後次に移るとしたら、事業会社の経営企画などには興味がありますね。経営企画で携わりたいのは会計やファイナンスに関わる部分で、その企業の成長につながるようなところに入っていきたいという思いが漠然とあります。

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