第56回 USCPA CMレポート
開催日:3月24日(土)12:00-14:00
【Guest】 Keyさん(女性) USCPA
まずはゲストの自己紹介から。
大学は文学部でマスコミ志望だったので、最初はマスコミ(スポーツ新聞社)に就職した。記者として活躍するのが夢だったが、入ってみるとそこは女性が長く働いていけるような環境ではないことがわかり、1年ちょっと経った段階でキャリアチェンジを考えるようになった。
何らかの専門性が欲しかったのでちゃんと勉強をして資格を取得することを考えた。色々な資格を調べてみたが、簿記などは学生でも持っていたりするし、大きな武器にはならないと感じた。
そんな時にUSCPAの存在を知り、これなら希少価値があるし、将来海外や外資など、活躍できるフィールドが拡がるんじゃないかと思って取得を決意した。アビタスの大阪校に入校。会社を辞めて勉強をスタートしたが、お金が続かないため後に派遣の仕事開始。働きながら受験勉強をした。
2科目に合格した時点で転職活動をしてみた。大阪ではなかなかUSCPAが求められるようなポジションが無かったし、関西から出て自立したいという想いもあったので上京を決意。東京も含めて就職活動をした。
当時はまだ2科目合格だったし、経理経験も無かったので楽な転職活動ではなかったが、まだリーマンショック直前だったのでそこそこマーケットが良い時期だった。複数の会社を受けて最終的にアビタスキャリアセンターの紹介でIT系のベンチャー企業に就職した。
入社時点で社員数30人くらい。経理は自分とマネージャーの二人という感じの小規模なベンチャー企業だったが、上場を目指している有望企業だった。少人数だったこともあり、日常の経理業務から決算、監査対応、内部統制、上場準備など、様々な業務を経験することができた。ずっとルーティンの経理業務だけだったら飽きてしまったと思うが、色々な仕事を担当できたので飽きることがなかった。
3年勤めたくらいの時に無事上場を果たした。その後は上場企業として経理の仕事をやっていくつもりだったが、今の会社(日本を代表する大手ベンチャー企業 プロ野球チーム保有)から誘われ、仕事内容が魅力的だったので転職した。
今の会社では経理というよりも、事業部内の社内コンサルタント的な仕事をしている。経理に関しては決算まではやらないで、経理部に数字を渡すところまでやる。その他は事業部内の業務改善の仕事をしている。
以前とは全く違った仕事で、忙しいがやり甲斐を感じながら仕事ができている。
以下、Q&Aです。
社内の業務改善コンサル的な仕事が多いという事ですが、具体的にはどんな仕事ですか?
急拡大したベンチャー企業なので、規模は大きいのですがまだ制度やシステムが整っていない部分が多いんです。例えば、色々なシステムが点在してしまっていてデータが繋がっていなかったりするので、上がってくる原価や在庫などの数字も正確なものなのかどうかが怪しかったりするんです。数字が変われば経営管理にも影響してくるので、まずは正確な数字をいかにしてアウトプットできる状況にするか という事に取り組んでいます。
前の会社(上場した企業)と今の会社(前から上場している大手)とを比べて、一番変わったことは何でしたか?
まずは業務内容です。前職は経理だったので、ある程度やることが決まっていました。でも今は業務改善の仕事が多いので、決まっている仕事はなく全て自分で考えて動くような内容になりました。
また、規模感の違いも大きいです。前職は少人数だったので承認を取る人も少ないし、何でもスピーディーに進めることができましたが、今は色々な部署や人が関わってくるのでちょっとした事でも変更するのが大変だったりします。
前職での上場準備は大変でしたか?
大変でしたが、準備を開始した時がまだビジネスをスタートして間もなかったこともあって、ゼロベースで準備していく感じだったので良かったと思います。また、ビジネスモデルもシンプルだったので、SOX対応などで準備する書類も少なくて済んだと思います。
でも、マネージャーと二人で経理もやって開示もやってSOXもとなると、知識も経験も業務量も相当なものだと思うのですが。。
主幹事の証券会社や監査法人がかなりサポートしてくれました。その時期はIPOする企業がかなり少ない時期で、その中で期待されていたビジネスだったので、証券会社も監査法人もとても大事にしてくれて、かなりサポートしてくれました。そのおかげで上場できたと思います。
上場後もその会社で働いていこうとは思いませんでしたか?
会社としては、これから世界にも展開して行けそうな程とても魅力的なビジネスだったので、今の会社からの誘いが無ければきっとそのまま今も働いていたと思います。
今の会社からの誘いはかなり魅力的だったのですか?
実は誘われた段階ではそこまで深く考えていなくて、『試しに受けてみるか』という程度の気持ちでした。
でも、面接を進めていく中で、役員の方が会社の状況をざっくばらんに打ち明けてくれて、その中で私がどんな仕事をするのかも詳しく説明してくれたので、その仕事内容に興味を惹かれるようになり、最終的に転職に至りました。
魅力を感じた部分はどんなところですか?
前職で3年やって、ずっと経理をやり続けるのではなくて、もう少し違うことをやりたいと思っていたのですが、今回の仕事は経営管理チームの一員として会社内のコンサル的な立場で業務改善を行う仕事だったので、その仕事内容に強く惹かれました。
今の事業部はどれくらいの規模ですか?
派遣社員など色々入れると全員で80人くらいです。その中で経営管理チームは私を含めて3人です。マネージャーと、スタッフが私ともう一人。私以外は二人とも日本の公認会計士です。
仕事をしていて、日本の公認会計士との差を感じることはありますか?
確かに会計に関する知識量は凄いと感じています。でも今の仕事は知識よりもコミュニケーション能力やまとめる力の方が求められるので、その点では差は感じません。もう一人のスタッフ(公認会計士)は今までずっと監査法人系の職場で事業会社での経験が無い方なので、今結構苦労しているように感じます。
今の仕事で楽しいと感じる部分はどんなところですか?
事業部内外の様々な人とコミュニケーションを取って仕事を進めていく部分が、楽しいというかやり甲斐を感じています。
事業部内の殆どの人は会計の知識を持たない人なので、業務を改善する場合は色々と説明して納得してもらわないといけません。
うまく行かない時は、自分の伝える力の無さを実感して改善したり、説明資料を作る力も足りないので日々研究したりして、幅広く力をつけていけているのを実感しながら仕事をできています。
今の仕事でUSCPAである事は活きていますか?
仕事でというより、USCPAでなかったら今のポジションに入れていないと思うので、その部分で大きく役に立っていると思います。
また、社内には公認会計士は結構いるんですが、まだUSCPAはそんなに多くないんです。でも会社はどんどん業務の英語化、ビジネスのグローバル化を目指しているので、USCPAの需要が今後増えていくだろうと感じています。そう考えると、今後もっとこの資格が役に立つのではないかと思っています。
今後についてはどう考えていますか?
今の事業部でまずはしっかり結果を出したいです。結果というのは、事業部の業務がしっかり回って、正確な数字が上がってきて、きちんと経営管理できる状態にすることです。
これができたら、今後の買収先などで同じような状況のところに入って行って、業務体系を確立するような事ができると思っています。また、海外の買収も今後もあると思うので、英語力をもっと上げればそういう所に入っていくチャンスもあると思っています。
国際派のUSCPAは今後チャンスが増えると思うし、結果を出せばチャンスが開ける会社なので、そういう道を目指して頑張っていこうと思います。
以上です。
今回は、参加者の皆さんもかなり興味を惹かれている大手ベンチャー企業だったこともあって、(レポートには書けないような)社内事業やビジネスの状況などの話でかなり盛り上がりました。ゲストのKeyさん、ありがとうございました。