第84回 USCPA CMレポート
実施日: 2013年2月24日(土)
【Guest】 MIさん ~国際的な環境での活躍を目指すUSCPA特集!~
ゲスト紹介
大学を卒業後、証券系シンクタンクに就職。個人向けの商品を企画していた。
入社から2年が経ち、法人の仕事がしたいと思っていたので、銀行に転職。
投資銀行部門で、大企業を中心に融資の仕事をしたり、銀行が持っている債権を別の金融機関に売ったり、リースファイナンス等の仕事を4年弱ほどやっていた。
最後の1年は海外に支店があったので、海外企業の日本市場での資金調達支援等を行なった後、監査法人に転職。現在転職して1年ほど。 現在の仕事は金融機関専門の監査。 金融機関の中でも3つに分かれていて、証券と銀行のいわゆる金融機関、次に保険、最後にファンドや投信をやっているアセットマネジメント会社となっている。
担当としては、主に銀行とアセットマネジメント会社。 やっていることは、ひとつは財務諸表監査で、ただほぼ決算期にやる仕事なので、日系企業だと3-4月、外資だと12-2月の期間が主。それ以外の期間は、内部統制監査。不正が出来ない仕組みが会社にあるかなどを見ている。
その他は、投資のリターンを出す評価の検証などの評価系の仕事をしている。
Q&A
- ゲスト
- 参加者
- 司会
どうして監査法人を目指そうと思ったのですか?
もっと自分自身の力で仕事が出来る環境が欲しいと思い、監査法人に絞って転職活動をしました。
国際的な環境で働いてみて、こんなことしたら良かった、こんなことして良かったというのはどんなことですか?
でも、その場でどう思うかって考えてもその場ではなかなか出ないんですよ。 どういう風な考えでやっているかという考えを聞かれる前から、元から持っていないとなかなか答えられなくて、答えないと何も考えていないと思われてしまうんです。
そういう場面が非常に多かったので、自分なりの考え方を持って置くことが重要だと思いますね。 これは勉強の中でもそうで、USCPAの勉強をしていて、暗記では対応できない部分が多いと皆さん、わかっていると思うんですが、自分でキチンと理解することがやはり重要ですので、仕事と通じる面があるのかなと思います。
監査法人の仕事の仕方について、お聞かせ頂けますか。
あと、受け身で仕事をしていると自分のやりたい仕事が回ってこないんですね。
なので、自分で仕事を取りに行かないといけない部分があります。 ひとつは仕事を一生懸命にやって、実績を作って、次はもっとこういうことをやりたいと周りに言っていくとか、あとは人脈を作っていくとかが大事ですね。
自分で仕事を取ってくるような意味合いが強いというのが、特徴的だと思います。やろうと思えば、自分のやりたいことが早く回ってきて出来るんです。普通の会社だと人事がOKしないと出来ないですよね。
それと季節商売なので、決算期は非常に忙しいです。 決算の発表という絶対的な期限があるので、その期間は忙しくて、徹夜したり、土日に出たりすることもあります。その逆に忙しくない時期もあるので、そういう時は早く帰ったり、勉強したり、休みをとったりすることが結構出来ますね。
働き方に関しては、基本的に自分のオフィスにはほとんどいなくて、パソコンを持って行って、お客さんのところで仕事をします。
会議室のようなところを借りて、データを貰って、分析して、、わからなければ、お客さんのところに行って、聞いて。
実際の業務を見せてもらったりもしますね。システムをいじっているところを見せてもらうんです。 あとはディーラーの方がディーリングするところを見たりもします。
監査法人の方向性について教えて貰えますか?
私自身で言うと英語関係の部分と元々前職で営業をやっていたので、新しい仕事を取ってくるような方法を考えて、強化しますと会社には言っています。なので、監査だけではなく、他の事も出来るということを重視されている感じですね。 もうひとつ大きいのが、会計がボーダーレスになってきて、それがとても大きいと思います。
英語を使うというのは勿論なのですが、先ほど話したとおり、日本基準だけで監査している方って少なくて、地銀を見られている方だけだと思うんですね。 基本的には、大きい会社であれば、アメリカに上場していたり、海外でビジネスを当たり前のようにしていますので、日本基準、米国基準、IFRSまではわかっていてくださいね、というのを凄く感じます。
日本の会計士だから日本だけ、米国の会計士だから米国だけ、という事では今はなくなってきているわけですね。 当然、基準をすべて暗記していますか、ということでは全くないので、USを勉強している中で、考え方・コンセプトを学ぶと思うので、そういう事って、どの基準でもそんなに変わらないんですね。
逆にそこを理解していれば、その次の基準の違いだけを理解すれば良いのでそれほど大変なことではないんです。 ただ、3つくらいは知っていてくださいね、という流れになっています。
仕事をしていて、面白かったり、楽しく感じる時はどのような時ですか?
数字があって、それをどう解釈して、どうしてそうなっているのか、と辿っていく仕事なんですよ。
普通の会社だと売上が立って、それを書いて表現をしていくって形で、私たちの仕事は逆方向なんですよね。間違い探しをするのが好きなわけじゃないんですが、私はその過程がすごく好きで、そういうところが面白いなと思っています。
究極的にビジネスに興味がある方でないとダメだと思いますね。
実務では、日本基準とIFRS基準をやられているということですが、その中でUSCPAの知識が活かせるところというのはどういった時でしょうか?
そこがもどかしいって日本の会計士の方が言っていたので、そこはダイレクトに大きい部分だと思います。 あと日本の基準にしても、もともとUS基準を流用しているのが日本基準なので、殆どUS基準なんですね。
部分的に不思議ないじり方をしているだけなので、必死に日本基準を勉強しなくてもある程度わかるんです。ベースを理解できているので。そこは良い部分だと思います。 日本基準からUS基準だときついらしいので、USCPAで原則を理解しておいたのは良かったと思っています。
参加者の皆さんから「USだけで日本基準に対応できるんですか」って聞かれる方が本当に多くて、でも、USCPAを取って、実務をやられている方が皆さん、仰るのが、ベースを理解できているので、あとはその差異を勉強すれば良いだけなので、十分対応が出来ると言いますよね。
そうするとUSであっても、JCPAでも基準書を見に行く事になるので、ある意味同じレベルに立っていると言って良いと思います。
監査法人にいて、日本の公認会計士資格を持っていないからと言う事で、何か言われたことはないですか?
ただそれ以外はコレといって違いは無いです。
英語ができるというレベルは具体的にどの程度で、どのような場面で活かすのでしょうか?
その時に上司が外国人だと英語で説明をしなければならないので、考え方を英語で組み立てられて、それを正しく、伝えられるようでないといけないわけです。
会計基準がこうだから、自分はこういうアプローチなんだというのを英語で語れるのが大事で、それが最も難しいところだと思います。
英語でライティング・スピーキング・リーディングというところで言うと大事なのはやはりスピーキングということでしょうか?
クライアントの方が外国人であるという事よりも、内部的に上司が外国人であるという方が影響は大きいのでしょうか?
ただどうしても、クライアントの方と考え方が相違した場合に議論をしなくてはならなくて、私は同席するくらいなのですが、上の方だとクライアント側と英語で戦わなくてはならないので、そういう場面になると英語力とベースの考えをきちんと英語で出来るというのが重要だと思います。
競争力ということがよく言われていると言う事で、TPPが入ってきた時に海外の会計士の方が多く、入ってきて、日本の会計士の存在が薄れていくという話があったのですが、やはり監査法人でもこれから多様化が求められていくのでしょうか。
弁護士だとどうしてもその国で、その法律が通じるのは基本的にはその国だけなので、日本でやっていくという事になると思うのですが、会計士の場合には、先程話したように、私の業務においては、日本にいても日本には適用になっていないIFRSが多かったりするわけですね。
サインの話になれば、日本でしか出来ないという事にはなりますが、やる事としては、何処にいても、何処の基準も入ってくるし、海外の資格だから、そこでしか出来ないというわけでもないですよね。
うちでも現状、米国人よりもヨーロッパの人が多くて、IFRSのニーズが多くて、ヨーロッパでは10年ほど前からIFRS適用をしていて、10年の蓄積があるので、クライアントが欲しがる知識を持っているんです。クライアントが欲しがる知識っていうのは、基準書に書いてあることではなくて、実務的なケースなんですよね。
そういうことはヨーロッパの人は経験として持っているので、どんどんそういう人が入ってきています。したがって、どんどんそういう流れが今後も進んでいくんだろうなと思います。
IFRSのクライアントは日本企業だけではないですよね?
先ほど、TPPの話が出ましたが、TPPが入ってくると農作物云々だけではなくて、資格の相互承認に関しても項目に入っているんですよね。会計士だけではなくて、色々な資格の相互承認が始まるといわれています。
したがって、USを勉強している方にとっては優位な方向に向かっているんだと思います。
海外の監査法人で働きたいということであれば、日本の監査法人を経由していくよりも直接海外に行ってしまったほうが早いですよね。
将来のイメージはありますか?
監査法人で働くにあたって、コミュニケーション能力とか、英語力とかあると思うのですが、他に大事なことって何がありますか?
勿論、やりたいと言うだけじゃダメなので、アピールが常に必要になると思います。 受け身でいるとそれはそれでやっていけるんですが、そうすると自分の希望する仕事は回ってこないですね。
監査法人で3年くらい働いて、事業会社に行く方が多いと聞いたんですけど。
何故、USCPAを目指したのかと勉強していた時のモチベーションの維持はどうされてましたか?
一番意識していたのが、1000時間で受かるというのを何かで見て、それを真に受けたんですね(笑)。 そして、1000時間を12ヶ月で割って、月に80時間、週に20時間というふうにブレイクダウンしていって、それを目安にしていきました。
結局、それほど時間が取れなくて、1年以上かかったんですが、日々、手帳に勉強した時間を書いていったんです。合計するとだんだん1000時間に近づいていくのがわかって、進捗が測れて良かったんですね。
で、確かに合格した時の累計が900時間台後半だったんです。 なので、気持ちの問題ですけど、そうやって付けておくと良いと思います。 あと苦手を潰すってことだけにひたすら集中をしていました。
どうしても得意なところをやりたくなると思うのですが、苦手なところをやって行った方が本番の試験の対策には絶対良いんですよね。
ただ苦手なところばかりをやっていると嫌になってくるんですよね。そうした時には、会計関係の本を読んだりして、気分を変えていました。
以上です。
「監査ってつまらないイメージが世間的にはあるみたいだけど、自分には非常に合っている仕事です。」とはっきり仰っていたMIさん。
自分から何をやりたいかをアピールして、社内で自ら仕事を取っていくという仕事のやり方をしっかりと実践され、目的意識を強く持って仕事をされている様子が良くわかりました。
それがUSCPA学習中の勉強の仕方にも現れていたようですね。 参加者の皆さんも良い刺激を受けたのではないでしょうか。 ゲストのMIさん、有難うございました!