第110回 USCPA CMレポート
実施日: 2014年9月7日(日)
【Guest】 メイさん USCPA
USCPA合格者紹介
大学卒業後はIT企業に従事。
しかしすぐにITに興味がないことに気付き、転職を考える。
消費財企業に興味を持ち転職活動をするも、リーマンショックと重なったこともあって難航。
ITからキャリアチェンジをするためには資格が必要と考え、USCPAを考え始める。
結婚を機に勉強に集中するため、IT企業を退職。
主婦として約1年間の勉強期間を経て、USCPA全科目に合格。
外資系コンサルティング会社に就職、アメリカ人、インド人の上司のもと、1年間企業買収案件に携わった後、消費財企業をサポートする部門に配属、妊娠・出産を経た今も現職。
Q&A
- ゲスト
- 参加者
- 司会
転職活動の際にどうやって会社を探しましたか?
希望していた消費財系が厳しかったので、エージェントを使って、コンサルに方向転換をしました。
決め手は、私が今、所属しているコンサルティング会社は、消費財系に特化してサポートする部門があった為です。
それと二社で迷っていたのですが、一社は一年目でもグローバル案件を任せるという会社、もう一社が一年間は国内案件にすると言われて、前者の方に決めました。
実際、一つ目の案件からグローバル案件で、入社して半年後には一人で海外出張もあり、一年目とか二年目とか関係ない会社で非常にやりがいがあります。
M&Aコンサルティングに興味があるのですが。
M&Aというと私も最初はドラマのハゲタカのようなものを想像していて、そういう面もないわけではないですが、「買ってください」という会社と「買ってあげます」という会社なので、仲良しなんですよね。
全体的に敵対という案件がコンサルに持ち込まれるということは無いと思います。
色々な事をするので、どういう仕事をするというのは一概には言えないんですが、私は各国の法律や規制を調べて、クライアント(日本の会社)がやろうとしていることが法律に触れないかをチェックしたりしていました。
なかなかイメージが付きづらいかもしれませんが、やることは本当にたくさんありますね。
買収によっても、買収の中のどこのパートをやるかによっても仕事の内容は全然違います。
こういう海外の会社を買うという時は、M&Aをサポートする部門がうちの会社にもあって、そこの部門の一員として働いていたんですが、色々な部門がある中、最もハードな部門の一つだと思いますね。
一日20時間くらい働くのは当たり前だと思います。
私も会社に泊まったりしていました。
部門によっては夜の9時に帰れるような部門もありますが、M&Aだと朝の4時とかザラにあります。
時差もあって、アメリカだと13-4時間とかあるので。
かと言って、次に国内のM&A案件をやったんですが、やっぱり同様に20時間働くのは当たり前でした。
ただ会計系の部門は比較的、会社の中では早く帰れる方で、女性も多いですね。部門の女性の数と何時に帰れるかというのは相関関係があると思います。
人事系のサポートとか、政府系とか役所だとお客さんの帰るのが早いので、こちらも早く帰れて、女性も多いです。
最初、入ったばかりはリサーチがメインになると思います。
ひたすら調べ物をするんで、最初はやりがいが無いかもしれません。
新入社員とか、インターンは競合他社が同じ分野の企業買収をしようとしていないかとか、マーケットの情報だったり、どこの会社を買えば良いんだろうというのを調べてますね。
インターネットや本だったり、それとリサーチ会社に依頼をするというのがメインですね。
面接の時点で消費財系の方に行きたいという意向は伝えたのですか?
しなかったですね。
もともと部門を決めないという枠での入社だったので、最初からココが良いというと入りにくいかなと思い、入社してからコネクションを作っていきました。
どこでも良い印象を残すっていうのは大事で、消費財系に行けたのも企業買収の案件できちんと良い評価を得ていおいたからだと思います。
やはりマネージャー同士も繋がっているんですね。
良い評価をもらえないと社内失業の状態で、仕事が無いっていう「Available」という状況になるんですね。
コンサルって常に人材不足なのですが、それでも一定数は全く仕事をしていないという人がいて、そういう人は数カ月後に辞めていきます。
なので希望していないところであっても、一生懸命、仕事をして、結果を残すというのは非常に大事だったなと思いますね。
そういう「Available」状態の方っていうのは、メイさんから見て、どういったタイプというか、特徴みたいなものはありますか?
会社によって違うとは思いますが、私が見ている中では、自己主張が強い人ですかね。
うちの東京支社は9割が日本人で輪を大事にするんですね。
優等生的なタイプというか、チームで仕事が出来る人を会社としては好む傾向にあると思います。
自己主張が強いというところでは、私よりも下のランクのひとに自分のやっていることと同じことをお願いしたら、「私ばかり仕事が多い」「どうしてこんなに英訳をしないといけないの」と言い出して、皆、たくさん仕事をしている中、「あなただけじゃない」という事を説明する時間もなくて、そうなると「リリース」というのですが、外されてしまって、そういった話はすぐに社内中へ広まるので、会社にいられなくなり辞めていく事になります。
なので、仕事が出来ない、というわけではないケースが多いと思いますね。
日本の会社だと雇用契約で守られていると思うので、クビには出来ないんじゃないかと思うのですが、外資なので、1年の契約とかなのですか?
そういうことではなくて、あくまでも自主退職を促す感じですね。
そういう自己主張が強い人がいたのですが、人事に仕事を下さいと伝えても「今、ちょうど良い仕事が無いんだよね」と言われて3ヶ月くらい何も仕事が無いのに会社に来なくてはならない状態で、しかも自分の席がないので、フリースペースでウロウロしている感じになるんですね。
そうするとやっぱり耐え切れなくなって、自分から辞めていくというのが大半ですかね。
ただ余程のことが無い限り、そういうことにはならないです。
勿論、いきなり一回でということではなくて、注意もして、数ヶ月経っても改善が見られない場合には、ということになります。
またはクライアント先から言われたら、一回で外すことになります。
稀にそういう方はいます。
クライアントにタメ口を利くとか、そうなると変えざるを得ないですし、契約自体が無くなってしまいますからね。
一日20時間働くとなるとお子さんがいる女性というのは、限られてくるのかなと思うのですが、どうお考えですか?
受注活動って、営業しても仕事が取れませんでしたって事が勿論あって、提案資料なので、これをしなければならないってのはないんですね。マネージャーひとりひとりに数字責任はあるんですけども。そういうのがあるので、マネージャーになってからというケースが多いと思いますね。
私も子供がいて、20時間働くっていうのは考えにくいですね。ただ子供がいなくても、女性でも男性でも数年で別のところに行くので、毎日、続けられるものじゃないですよね。
転職をした後、すぐに希望する海外の仕事が出来るよう今の会社を選んだということですが、入ってすぐに仕事が出来るものなのでしょうか?
基本的にはプロジェクトを選べなくて、たまたま一つ目がグローバル案件で、出張を伴うものだったんですね。
勿論、英語出来ない方はそういうプロジェクトにはアサインされないものなのですが、やはり最初はアサインする方も半信半疑だったみたいで、「まずは2日」と言われていました。
で、2日行って頑張って、、そうしたら、もう2日追加されて、それでまた2日間頑張って、、という感じで1ヶ月、3ヶ月と続き、結局8ヶ月いました。
最初はコレやってというのがあったんですが、途中で担当者がいなかった領域についてそれは「私がやります」と手を挙げてやらせてもらいました。
仕事は基本的には教えてもらえないし、直属の上司というのがいないので、その都度、上の人に聞いていく感じで、最初は2日間、私を呼んだ理由があるので、それをやっていたのですが、自分から「これもやっておきましょうか」というのに気づかないとリリースされていたと思います。
2日目にミーティングがあったんですが、英語での電話会議だったんです。
私はそこまで正直、英語力はなかったのですが、自分がいちばん下っ端だとわかっていたので、自分から議事録をとりますと言いました。
そうやって自分を追い込んでみるといつもより英語力が増した気がしましたね。
それとボイスレコーダーで録音もして、少しの時間で聞き直して、議事録を作って、一旦、アメリカ人の同僚に送って、見てもらって、文章を直して、という感じで、少しずつ自分で切り開いていきました。
よく「自分で考えて、動けないと」って言われますけども、そういうことなんだと思います。
勿論、最初から全部を自分でやるわけではなくて、「リサーチして」という取っ掛かりがあるので、「なんでリサーチをしないといけないんだろう」とか「なんでこれをしないといけないんだろう」ということを考えると自ずと「じゃあ、こっちもリスト化しておきますか」とかが出てくると思うので、そういうことを自分から言ってやっていくというのが大事だと思います。
それでももっと気が利く人がいて、そういう人をみると「私もまだまだ足りないな」とか、「そこは気づかなかったな」って事はあります。
そうして自分から気づいてやっていくというのはスタッフの段階では大事だと思いますね。
皆、忙しいので指示とか出してくれないんですよ。
ただ聞いていると難しく感じるかもしれませんが、一回、飛び込んでやっていって、慣れてしまえば誰でも出来ると思いますよ。
復帰するのはいつ頃を考えていますか?
今後はどのくらいの勤務時間でというのはありますか?
もしコンサルに戻った場合は、時短はとらないつもりです。
まだスタッフなので、時短をとると仕事が出来ないんですよね。
20時間も働く覚悟が・・・?
スタッフの間は、と割りきっています。それと今、子供は一人ですが、二人になったら厳しいかな、とは思います。
マネージャーになったりしたら、自分でアレンジも出来るとは思うのですが、ここで時短にしたら、昇進も出来ないし、仕事も限られてくると思うので、コンサルにいる意味があまり無くなってくると思うんですね。給料も勿論、減りますしね。あと3年位でマネージャーになれると思うので、そこまでは突っ走ろうと思っています。そこはちゃんと夫と話をして、わかってもらうっていうのは大前提にはなりますけども。
旦那さんは早く帰れる仕事なのですか?
その3年間は早く帰ってもらうことになると思いますね。
とはいえ、やってみないとわからないですね。
一度、数ヶ月と言えども産休育休で離れてしまっているので、アレは毎日走っているからこそ、走れるってのはあって、一週間とかの休みが入ると本当に眠いんですよ。
でも、また慣れて、2時とかでも眠くなくなるんですけどね。
だから、やってみてやっぱりダメだって事になるかもしれませんが、そういうことも含めて、考えているところです。
駆け抜けた先に何を求めていますか?
勿論、ずっとコンサルにいることはないというのは考えつつ、より転職に有利なのはどちらだろうという事の天秤ですかね。
コンサルに2年しかいなかったというのと5年いましたというのとどちらが転職しやすいかな、という点と転職マーケットの状況ですね。
今はアベノミクスで案件も多いみたいですけども、今後、オリンピックまでそれほど減ることがないんじゃないかと想定した時にこの3年間でランクも上がっていくのと年齢とかも総合的に見た時により良い条件で転職が出来るのはいつなんだろうというところですね。
そこであと3年残ったほうが良いだろうという結論に至ったのであれば、駆け抜けようと思っています。
その後は、やはり19時位には帰れる仕事を選ぼうと思っていますね。
次に消費財系の企業へということでしたが、そこで何をしたいというのは考えているんですか?
マーケティング関連をしたいと考えています。
良い商品を届けるという事が消費者の生活を向上させると思っていて、それとコンサルのプロジェクトの中でも売り場を少し変えただけでも売上に大きく影響を与えるというのが面白いなと。
そういったのを突き詰めて考えていきたいというこの2つの理由があってマーケティング関連職に就きたいなと思っています。
M&Aの仕事を離れた後というのは、皆さんはどういった仕事をされるのでしょうか?
それと証券会社から来た人も結構いましたし、逆に証券会社に行く人もいますね。リーマン・ショックの時はうちの会社のM&A部門に証券会社から人が来ました。勿論、事業会社に行く方もいて、M&Aに限らず、クライアント先から「うちに来なよ」って言われる事は珍しくなくて、そうやって呼ばれて行くという人もいます。
そうやってクライアントと繋がっていて、クライアント先に行くとうちにいた方がいたりして、そういうところから受注していくので、転職することが必ずしも悪と見ているわけではなくて、そういうことであれば、そこの会社とのコネクションを付けていこうと考えていますね。
コンサルティング会社とクライアントの関係って長くて、ひとつのプロジェクトだけ関わっているのではなくて、そのお客さんと何年、何十年にも渡って関係を続けていくものなんですね。だからそうした良い会社に転職してもらうのはとても良いことだという考えですね。
転職先で多いのは、コンサルティング会社に移るって形ですね。うちでもコンサル出身者が一番多いと思います。4割くらいはいる気がします。
それはコンサル業界では当たり前という事になるんですか?
戻ってくる人もいますしね。
一番上のパートナーとかは特にそうですね。
転職される方は一日20時間とかいう長時間労働が嫌で転職したいという事ではないってことですね。どこのコンサルに行っても変わらないわけですもんね。
コンサルに移る人はそうでしょうね。昇進の評価で、その人が優秀かどうかというだけでは昇進が出来なくて、ポストが空いているかどうかと言う事が出てくるので。
それと部門の売上によって、今期はここはマネージャーに3人昇格させて良いよとか、売上が悪かったからゼロとかってことが上から決められちゃうんですね。そうすると次、自分はマネージャーだとか、管理職だと思っていたのに今期たまたま売上が悪かったので、昇進できないということがあるんです。
第2子との関係なのですが、先ほど、3年後くらいに二人目をという話だったのですが、もしあと3年間、今のコンサルティング会社にいて、3年後に産むのと転職が重なるのは厳しいのかなと思ったのですが、そんなことは無いのでしょうか?
今回もお腹大きい時にエージェントに行って、情報を集めていたので、そのようになると思います。
逆に育休・産休の時間を使って、という感じですね。
では、3年後にマネージャーになって、育休に入って、転職活動をして、復帰とともに新しい会社ということになるんですね。
もし転職するならば、マネージャーになっているのがプラスになるのか、どうなのかというのも考えると思いますね。
一度、管理職になると動きづらいというのがありますし、転職先もすごく給料が下がると懸念されちゃうかもしれないので、もしかしたらシニアスタッフの状態で行くか、マネージャーになる直前に辞めるとか、そういうことを柔軟に考えてからになると思います。
最初、転職をされた時、エージェントには何社くらい登録しましたか?
4社登録して、実際に使ったのは2社だったと思います。
向こうの担当者が自分をどう思っているかによってそもそも案件を紹介してくれないということになるので、使わなかった2社は「こんな案件があるけど、メイさんには無理かな。。。」ってある会社を出してきたんですね。
で、別のエージェントからその会社に出したら、内定が出たんですよ。
それに対して、使った2社は「私がこんなところを受けて良いのかな」って思ったところも私のポテンシャルを信じてくれて紹介してくれて、面接のアドバイスをしてくれたり、私の背中を押してくれるようなエージェントだったので、使っていてすごく前向きにさせてくれましたね。
「あなたに紹介できる案件はありません」と言われたことがあって、その時はショックでしたけども、それはUSCPAを取得する前だったのですが、ただ淡々とそれは事実かなと思いました。
今の自分には需要がないのか、と。
これを需要があるようにするにはどうしたら良いんだろうと考えました。
それで今はその3年前と打って変わって色々と紹介してくれるので気持ちは良いですけどね。
同じ案件でも可能性があるというところと無いと言われるところがあるって言うのはやはりエージェントによってバラつきがあるんですね。
そうですね。
それと会社のHPには採用情報があるので、行きたいなと思う会社のHPを見て、「この会社にはこういう案件がありますよね」と私からエージェントに伝えたんですね。
そうすると「ありますね。受けますか。」と言ってくれるところと「ありますけども、経験者が欲しいということなのでご紹介できません。」と言ってくるところと反応が別々なので、複数、登録しておくことをお勧めしますね。
活動される中で、エージェントの方に「私はこういう仕事がしたいので」と売り込んでいった経験はありますか?
売り込みというほどではないですが、やはりエージェントと会う時もある種の面接という感覚で、そういった場合、ラフな格好で行く方もいると思うのですが、私はほぼ面接の格好で行きましたね。
やはりエージェントであっても、良い印象を与えておくことは大事だと思ったので。
コンサルの仕事の中で女性は全体の何割くらいでしょうか?
下位スタッフになればなるほど多いですし、上に行けば行くほど少ないですね。
ただ仕事に男女差別はないです。女性だから早く帰れるというのは無いですし、あなたの仕事だから、あなたがきちんとやって下さいということですね。
女性が少ないというのはやはり激務だからですかね。
結果的には女性が少ないわけですが、仕事をしていて、差別を感じることは無いです。ただ妊娠中はしんどかったですね。。。つわりもあって、体調が悪かったので、つわりがマックスの時はほぼ記憶が無いですね。振り返って見ても、毎日、ふらふら歩いていました。
そんな中でも20時間とか働いていたんですか?
やっぱり20時には帰っていましたね。
パソコンをもう一台、支給してもらって家でやってました。
あとは土日にやるという感じでした。
「あなたの仕事はあなたの仕事」なんですね。
その仕事を割って誰かにやってもらうってことは難しいんです。
チームでの仕事ではない?
チームでの仕事なのですが、割り振りがされているので、最初から仕事を受け取らないか、受け取ったからには自分なりにアレンジしてやっていくしかないんですよね。
私は仕事中よりも電車が一番きつくて、20時に帰るときもタクシーを使いました。
それと朝のミーティングが本当に辛くて、お客さんが役員なので、8時半にミーティングをセッティングしてくるんですよ。
上のマネージャーが妊娠中だという事への理解が少なかったというのはありました。
まだ安定期に入っていなかった時だったので、こういう事情で、と話したんですが、そこはうまくいかなかったですね。
皆、長時間働いているので、他人に優しくする余裕が持てない部分があるのは事実かなと。
それと私はお子さんがいて毎日早く帰る女性マネージャーと一緒に働いたことがあったのですが、正直、とても大変でした。
その方が夕方に帰られて、お子さんが寝てから、パソコンを遠隔操作して、電話でレビューをするんですね。
そうすると18時に資料が出来ているのに21時まで待っていないといけないんですよ。
それを18時にレビューして貰えたら、22時には帰れるかもしれないのにレビューが毎日21時からあるから毎日1時過ぎに帰るしかないんです。
だから、正直、子供がいる人は、ウエルカムな環境ではないですよね。
前職のITの仕事と今の外資で会社の風土が違うと思うんですが、何か困ったこととか、大きな違いとか不便を感じたりしましたか。
期日から逆算して、どう動くべきかというのは一緒だったんですけども、仕事内容はITの方が楽でした。
いつも同じ流れというか、お客さんの悩みを聞いて、設計して、実装して、テストして、納期を迎えるということの繰り返しでした。それに対してコンサルは毎回、新しいことに対して、プロフェッショナルとしてお客さんに接しないといけないんですね。
私の一つ目も企業買収なんてした事が無いのにお客さんはそういう目で見てくるし、そういう質問をしてくるんですよ。だけど、ちゃんと答えられるようになるんですよね。
どのくらいでそうなりますか?
でも、勿論、勉強はしないとダメですよね。運送業の買収案件の時に、次の買収プロジェクトでは、買収まで時間がかかりそうだから、買収するまで国内運送業と協業しようということになったんですね。
それで海外に出すので、貿易に関わってくるとなって、貿易検定3級を受けました。やっぱり法律問題とかが出てきて、答えられないんですね。だから本当に毎回、勉強、勉強ですね。そして、消費財に入ったら入ったで、業界用語でバンバン話していて、最初は付いていけなくて、まずいと思ったんですが、そこにいたかったので、基本的なことですが本を読むというところから始めました。
毎回、プロジェクトに入るとやりながらですけども、勉強の連続で新しいことを吸収していく感じです。
そのうちどんどん幅が広くなっていくんですが、基本的にはある程度の範囲のところで仕事をやっていくので、知識が溜まっていき、その専門家になるという形になります。
証券会社におけるM&Aとコンサルが行なうM&Aというのはどのように違うのでしょうか。
私は証券会社では働いたことがないので詳しくはわからないわけですけども、買収案件というとたくさんの関係者がいて、証券会社も関わってきますが、証券会社ってこの会社って幾らなんだろうという計算がメインなんでしょうかね。。
違いまではわかりませんが、うちがやるのは、この会社って幾らなんだろうっていうこともやりますけども、そこの計算は証券会社の分野だったりしますよね。
で、実際に買った後の体制を考えるとか、こういう事を実現する為にはどういう体制が良いんだろうというのを買収前から戦略として考えていくというのがコンサルの仕事かと思います。
証券会社だといわゆるお金面に特化しているけども、コンサルだと組織の体制とか、お金ではないところの、という感じですかね。
そうなんでしょうかね。
実際、USCPAでも勉強したWACCってありますけども、あれは使いました。
WACCを使うエクセルのツールがあったんです。
仕事がかぶっている部分はあると思いますね。
評価会社に依頼して、会社のランクとかを査定してもらったりしますし。
コンサルのほうが幅が広いんだろうなとは思いますね。
オペレーションまで見ますし、買った後もサポートをしているので。
金融機関は転職先として考えたことはなかったですか?
やっぱり消費財系の企業に行きたいというのがあるので。
金融から来たひとにどうしてきたのかって聞くと年収はコンサルのほうが下がるけど、クビになる心配がずっと減るからっていう話でした。ただ年収がすごく下がるので、それを理由に戻る人がいるのも事実ですね。
最初、海外で働きたいということで外資を選んだということですが、日系企業でも海外担当というのがあり得るかと思うのと海外赴任という意味では日系の方があると思うのですが、何故、外資にされたのでしょうか?
正直、その時はそこまで考えていなくて、外資だともっとグローバルな案件が出来るのかなと思っていました。
今考えれば、日系を受けて、海外赴任というのもあったんだろうなと思います。
現在の会社だとグループ会社が世界中にあるので、チームメンバーとして会わないけども現地にいて、電話会議とかメールは毎日するっていうのは結構あるんですね。
それはうちの会社の強みの一つだと思っていて、フランスで受注した仕事なんだけど、日本のマーケットを見たいからついてきて欲しいとか、突然、法律を調べなきゃならなくなったけど、そこの国のメンバーに聞いてみようというのは外資ならではだと思いますね。
それと評価は日本企業的ではない部分もあるんだと思いますね。
影響を与えているかどうかはわかりませんけども、下からも評価されますしね。
完全に年功序列ではなくて、年上の人が下位ランクということはよくあります。
グローバルで仕事がしたいと言っていたのは外資で関係会社が世界中にあるからこそ、お客さんもうちに発注をしてくれるというのはあると思うので、日系で海外赴任が出来たならば別でしょうけども、ここまで海外に関わって仕事をするっていうのは外資ならではだと思っています。
今後、消費財系に行くのであれば外資の方でとお考えですか。
全くの異業種に飛び込んだ時に私はできなかったらどうしようかとビビってしまうんですけどもそれはなかったんですか?
ありましたけどもそれを出してはいけないですよね。最初、私の単価を知らなくて、開示されているわけではなくて、働いていくとわかっていくんですけども。
それでお客さんに一度、「お前にいくら払っていると思っているんだ」って言われた時があって、その時はいくらか知らなかったんですが、その後、それを知ってびっくりしたんですよね。
こんなに私に払っているのか、とわかったら、最初のうち「主婦上がりの私にこんなことをやらせるのか」という気持ちが多少あったものが無くなって、「出来ません」とは言えないなと思うようになりました。毎日、私にも怖さはあったんですけども、それをバネに頑張っていけるような人じゃないと厳しいと思います。
最初のうちはそういうことの繰り返しだと思いますね。色々なところからアレやって、コレやってと言われて、「無理!」って思うんですけども、顔には出さないのも大事で。やっぱりお客さんに失礼じゃないですか。高いお金を払っている人がオドオドしていたら、嫌な気持ちですよね。
きちんと「あなたが私に払っている以上の価値があるんです」というのを証明してあげるというのが誠意だと思います。それは驕りとかではなくて、そうすることが誠意だと思うので、わかりませんとか、経験したことがないとか、偉そうにするというのとは別に、「ちゃんと出来ます」「安心して下さい」と言えないとダメですね。
勿論、言うだけでは無くて、それを裏付ける勉強をしっかりして、そういうプロジェクト経験者に話を聞いたりするというのも大事だと思います。
別のプロジェクトで3日間、通訳をしなくてはならないことがあって、通訳が出来るほど、英語は出来ないし、その業界の知識も無くて、でもすごく憧れていた会社で、そのサポートを絶対したいと思ったんです。
向こうもそこまで英語力がないならば、アメリカ帰りの子がいるから、そちらに変えますか、って話になったんですが、「出来ます!」と言ってやらせてもらいました。
でも、フランスの会社でフランス訛りが酷くて最初はフランス語を聞いているのかと思ったんですが、それでもなんとかしました。
そうやって、怖いのにむしろ自分から飛び込んでいくくらいじゃないとダメですね。
お客さんとはパートナーシップ的な関係になるんですか?
この買収を成功させようという感じで。私達のほうが明らかにお客さんよりも働いているので、労ってくれますね。
向こうが上から目線でという感じではないんですね。
そうですね。
ポロッと出る時があるかもしれませんが、やっぱり同志ですし、私が今まで接してきたお客さんは皆、すごく頭が良くて聡明だったと思います。
そういう人たちは私達を対等に扱ってくれるというか、目的が達成できれば何でも良いという感じもありますね。
やっぱりパートナーという感じですかね。
M&Aの話で、買った後のPMIとかその後だと思うんですが、それと買う前の仕事があると聞いたのですが、法律系は法律事務所で、会計系は会計事務所でやるのかなと思っていたのですが、デューデリジェンスとかもコンサルは関わってくるのですか?
それは財務も法律も両方ですか?
企業買収を専門にやってるところはデューデリが出来て一人前とか言われるんですね。勿論、仰っていたようにグローバルの法律事務所も一緒に仕事するんですけども単価が私達よりももっと高いんですね。
私はベンダーからの契約書を読んで、ココが違うから修正してくれってベンダーに送り返して修正してもらうっていう仕事も一部していたんですが、それの前提として「私達は責任を負いません」というのをクライアントに明確にして、それでも良いのならば、多少、読んであげて修正依頼を出してあげるよと。
ただ「この契約書にクライアントにとって不備があったとしても私達は責任を負いませんよ」ってするんですね。本来であれば弁護士事務所の仕事だけども単価が物凄く高いので、お客さんは私達コンサルにお願いをしてくるわけなんですね。
本来であれば業務外になるわけです。そして、法律事務所の人たちには名義貸しとか、国によって色々な規制があるので、本当に法律に関わるところだけをやってたように思います。
そこですみ分けをするというよりかは本当に全部やる感じですね。
そうですね。
ただ抜け漏れもあって、結局、私達がカバーしたことのひとつに従業員の社会保障の登録がありました。
従業員の社会保障の登録って法律事務所の仕事だったはずなんです。
でも、そこが抜け漏れていて、結局、私達がフォローすることになりました。
従業員関連の事はしないみたいな事になっていたので、社会保障は従業員関連の事じゃないですか。
でもそれは法律問題でしょっていうこっちのスタンスで対立しちゃって。
でも、時間がないので、結局、こちらがやりますって事になりました。
やっぱりお客さんは目の前にいる日本人に言いやすいんですよ。
なので、結局、こちらに頼まれてしまうっていうのはありますね。
かなり多岐に渡るんですね。
そうですね。
株主総会のスケジューリングとか、プレスリリースの内容まで考えるとか、本当に多岐に渡って、自分がどこに入れられるかによってやることが変わりますね。
どうして消費財系の会社に行きたいとお考えなのですか?
ITの会社にいた時に同時並行でやっていました。ファッションショーの時とかは有休とって出たりして(笑)。
その時に化粧品とかの消費財の記事を書いていたんですけども、担当者に「これって海外とかでも売っているんですか」と聞いても即答できないんですね。「私だったらもっと考えて、こんな風に売るのにな」って考えることが多くて、それが仕事にできたら、と思ったのが一つです。また消費財って、身の回りにあるじゃないですか。でも、例えば紙おむつとかまだまだ使われていない国っていっぱいあるんですね。
そういうのをどうやって認知してもらって買ってもらえば良いのかというのを仕事にできたら良いな、と思っています。それに女性は皆、化粧品や消費財って興味ありますしね。
やっぱりこの先はコンサルではなさそうですね。
そうですね、ひとつのステップとしてですかね。
ただビジネススキルは付くと思いますよ。
資料をたくさん作るんですが、その作り方だけじゃなくて、考え方の整理というか、お客さんにわかってもらえるような資料にするにはどうしたら良いんだろうというのが根底にあるので、単純に資料作りがうまくなるというのではなく、考え方とか理解をして貰う方法とか、どういう文言にすれば心に響くんだろうというのが学べると思います。
それと当然、ロジカルな考え方というのも訓練されると思いますね。