経理は成果が目に見えないが、USCPAを持っていることで一目瞭然?!


第146回 USCPA CMレポート  ~外資銀行での財務経理勤務特集!

実施日: 2018年7月8日(日)

【Guest】 @USCPAInvestorさん

USCPAゲスト紹介

あだ名 @USCPAInvestorさん (男性) USCPA


日本の大学院卒業後、日系(元)上場企業に新卒入社、財務経理関連の幅広い業務を経験。
3年半後に現在の外資銀行に転職した、将来のキャリアアップを見据え、働きながら9ヶ月間でUSCPAに合格。
現在は、部長として銀行経理、税務、流動性管理等の業務に従事。

  • USCPAゲスト
  • 参加者
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Q&A

元々、大学は工学部で学ばれていたということですが、就職して、ご自身で望まれて経理のお仕事をされたのでしょうか?それとも、配属先として入社後に決まったのでしょうか?

私は中国出身で、中国で2年間システムエンジニアとして働いた後、日本に来て、大学院に入って、環境経済学の勉強をしていました。大学院生の1年目の夏休みにやることがなくて、計算が得意だったので、簿記をやってみようと思って、友達に教えてもらいながら日本の簿記の勉強を始めたんですね。1カ月で2級と3級を一発で合格しました。ですけども、その時は、やはり、日本の会計用語が分からないままでした。

今でも一番よく覚えているのは、「のれん」が何か分からなくて、ラーメン屋さんの暖簾ならばわかるんですけど(笑)、会計におけるそれが何であるのか、よく分かりませんでしたが、計算で乗り越えて、簿記の資格を取りました。
当時はまだ外国人の枠に入っていたのですが、普通の日本人たちと一緒に新卒で就職活動をする時に、将来的に何をしたいかと考えたら、自分はせっかく簿記を勉強したので、やはり経理の仕事がしたくて、ずっと経理の職を探してきました。ですが、なかなか難しかったです。皆さんはあまり分からないかもしれませんが、普通の企業が外国人を経理として採用したくない気持ちも分かります。そこがさすがに難しく、結構苦労しましたね。

100社から200社ほど応募しましたが、卒業して、4月が終わってもまだ見つからないという状況でした。日本の大学院の先生から、大学でアルバイトとして雇ってくれるという話も頂いて、では博士になろうかとも考えたのですが、その時にはもう結婚していて、妻に、働いてほしいと反対されてしまいました(笑)

そのようなプレッシャーの中で、運良く、5月に、前職に採用されたという経緯です。それからは、ずっと経理一筋でやってきました。

今の部署は、部下は何名ほどいらっしゃいますか。

割と小さな支店で、全体で50名以下という会社で、財務経理部としては、一番多かった時は4~5名ほど、今は少し減って3名です。一番少ない時は、2名か1名だった時もありましたね。

今、こちらで勤務されて何年ほどでしょうか。

4年目ですね。

1年目からヘッドだったのですか?

そうではないです。1年目は一番下でした。先ほども言いましたが、少し経歴が変わっていて、前職は全く金融とは関係がない、卸小売業の会社でした。そこから、いきなり金融の分野に入っていって、やはり何も分からない状況というのが現実でした。私たちが勉強している財務経理に関しては、銀行の財務経理とは全く違いますね。財務諸表も全く違いますし、会計処理も違いますし、別物と考えていただければいいと思います。

USCPAという肩書というか、合格された実績があったから、今のヘッドにいられているというところはありますか?

どうでしょうか。唯一言えるのは、なければおそらく無理だったと思います。個人的には、このような学歴や資格より、結局、実務の能力のほうが重要だと思っています。ただ、資格に関してはどのように見るかというと、やはり、将来的に使えるものではないかと思っていますね。

例えば、普通の会社で昇進したいときに、会社から見ると、あなたが今まで実際に何をやってきたのか、どのような成績を上げたのかを見ているわけです。営業報酬であれば、数字が出るので分かりますが、バックオフィスとしては、そこは全く見えません。

結局、どれほど頑張っていて、どれほど成果を上げたのかが目に見えない状況です。そこで、管理層から見ると、USCPAやMBAを持っているというのは一目瞭然なので、他の人と簡単に比べられるという傾向はあるかと思っています。ですので、チャンスが来たときに使える武器として、ぜひ取ってほしいとは、個人的に思いますね。

財務経理業務の魅力はどこにあると思いますか。

私にとっては、元々計算が得意なので、数字を扱うのが性に合っていました。そうすると自分には財務経理はぴったりでした。いわゆる天職だと思いますので、そこが一番大きな魅力だと思います。英語で天職というのはcallingです。神様が呼んでいるという意味合いなのですが、要するに、自分に一番合っているというものです。そのように、自分に合っていることをするのはすごくいいなと思いましたし、計算することで何かができるかもしれないと思いました。そこが大きな魅力だと思います。

財務経理の仕事は、財務諸表を作ることです。日本の伝統的な「改善」という言葉があると思います。他の人には全く見えない、財務経理にしか見えない数字がたくさんあるので、この数字をいかに使って、いかにマネジメントにアドバイスするかということを自分で考えて、それをフロント部署に伝えて、実際に回して、結果がどうなるのか、PDCAを回すことによって会社全体を動すことが経理職の一つの魅力だと、個人的には思います。

小売業の財務経理と、今の外資の金融の財務経理のどちらもご経験されていると思いますが、今いるほうが満足されているのかという質問が一つと、もしそうであれば、小売業の財務経理と比べたときに、今いる所が自分にとってどういいのかという魅力を教えてください。

先ほども申し上げましたが、今やっている銀行業の経理と一般的な経理とは全く異なっていて、比べることができないと思いますね。ですけど、将来どうするかとなると、もう一度小売卸業に入るということは考えられないと、今のほうがいいと思っています。
前職のほうは、普通の皆さんが新卒で就職するときと同じように新卒で入って、まだ全く何も分からない状況で、そこの下っ端の仕事もたくさん任されるという状況でずっとやってきましたので、今の仕事とどちらのレベルが高いかというと、いささか、今のほうが、レベルが高いと思います。

金融での魅力はありますか。

数字の桁数が違うことですかね、納める税金の桁の違いも違いますね。あと、他の業種と比べると収入が高い。(笑)

それは立派な長所ですよね。

ただ、やはりリスクもあります。例えば外資で働くと、皆さんもイメージを持っていると思いますが、突然クビを切られるということはよくあることです。私が日本企業で定年まで働き続けるということはないだろうと思いますが、日本企業と比べると、外資の企業で働くのは、やはり将来が見えません。収入のばらつきも大きいという現状はあります。

業種にもよりますが、例えば、本当に投資系の銀行で働いたほうが、働き始めた時点から年収は高いと思いますが、将来的にいつクビになるか分からないというのが現実です。私のところもそうですが、いつ日本から撤退してしまうか、いつクビにされて、また仕事を探さなければいけなくなるか分からない、という不安はずっと残ります。そこは、何も見えません。外資系は収入が高いといっても、全く将来の保証はありませんので、それは個人の考えによると思いますね。

あと、職場環境としては、とてもホワイトです。毎日定時に上がります。なんとか頑張って定時に上がるという感じです。

今、支店で働いているとおっしゃいましたよね。そうすると、本国があって、支店がそれぞれあると思いますが、本国と、今働いている支店とのコミュニケーション以外に、横のつながりはありますか。他の支店と、今このような問題を抱えていて、このように改善しているとか、このようなアプローチを取っているというふうな、デイリーなり、ウィークリーなりのコミュニケーションはありますか。

それは会社によりますが、私が働いている所は、そこまではありません。ただ、スタッフレベルのコミュニケーションは取っています。例えば、同じシステムを使っていて、これをどうすればいいか分からないときに、ボストンにある支店に聞いたりします。逆に言うと、本店は何も分からないので、本店とのつながりのほうが少ないです。日本支店といっても、本店に比べるととても小さくて、どうでもいいぐらいの数字になっています。

先ほど、ほぼ定時で帰られるとおっしゃられていましたが、私のイメージとしては、財務経理の方は、クオーターごとに忙しいのかと思うのですが、やはりそうでもなく、定時に帰られているのでしょうか。

前職の卸小売業界にいた時に、月ベースでも、翌月の7営業日までに全て締めておかなければならないので、翌月の前半は締めの業務のために働かなければいけなかったのですが、今の会社は、システムが少し時代遅れです。皆さんは、決算期という概念はご存じですよね。決算期は、要するに、決算仕訳を切る仕事をやらなければいけませんが、今の会社はそのような概念がありません。

月ごとに決算が付かないのですか。

ないです。システムが少し遅れています。その日、終わったら締めてしまって、その日までに決算を締めましたという感じになってしまいます。ですので、毎日定時に上がるというのは少し言い過ぎかもしれません。月に1回、最終日は、システムがうまく行っているかどうかという確認のために残っています。

確認したら帰るということですか。

そうです。そのレポートがきちんとできたという確認ができたら私も帰ります。月1回残業しなければいけないというところです。あと、日本とは少し違いますが、年末年始も12月決算というものがあって、そこは、皆さんが休んでいる間に、私が出勤しなければいけないという感じです。

そこは仕方ないですよね。

サービス残業ですね(笑)ただ、財務処理が出来上がって、さらにExcelなどに組み換えるという仕事をするので、やはり、絶対に間違いが出ないということもないですよね。何らかの間違いやミスは絶対にあるはずなので。その辺は手作業が多いです。

経理だと、そのようなエラーを解決するのが楽しいという面も少しあると思いますが、ヘッドになってしまうと、そのようなことはありませんか。

ヘッドといっても、やらなければいけない部分はありますよ。

経理財務にとって、数字に強いということは一つ必要だと思いますが、それ以外に必要な要素として、このような人が向いているというものがあれば教えてください。

財務経理に限れば、当たり前のことですが、1円まで合わせることです。その感覚が、結構みんなバラバラです。私が今まで見た財務経理の人間は、自分は何円までならいいという線引きを、みんなそれぞれ持っていました。よく、A型の人が財務経理に向いているといわれますが、私個人の考えかもしれませんが、実際にはそうではありません。

A型でも、1円まで合わせない人はたくさんいます。ですので、お勧めとしては、1円まできちんと合わせて、財務諸表を正しく作ったほうがいいと思いますが、ただ、状況によっては、その辺はそこまでこだわらなくてもいいと思います。
例えば、ディスクロージャーに使う、上場企業時に財務諸表を提示するときに、1円まで合わせましょうという話はしています。ただ、その会社内で、管理会議のレポートを作るときに、1円まで合わせるのは時間の無駄だと考えていただければいいと思います。優先順位が違います。

経理財務の方は、皆さん、中途で入られますか。

結局、経験がないとなかなか難しいのが現実だと思います。そこら辺が、例えば日本だと定期的に新卒を採用していきますが、外資系企業の場合は、人数が限られています。予算が限られているので、新卒を育てるといっても、いつ倒産するか、いつ撤退するか分からないという状況ですので、やはり新卒を採用したくないという気持ちがあるのではないかと思います。

全く違う業種から金融に飛び込んでしまったので、私は異例だと思っています。ただ、やはり、同じで、一番下からやらなければいけませんでした。私は運が良くて入ってしまったという感じですね。

あと、もう一つ言えるのは、カルチャーが全く違います。外資系で働いている人は分かると思いますが、カルチャーが全く違うので、使っている言葉も違います。ですから、当然、英語が得意な人に対しては英語をしゃべるとか、この人に対しては日本語でしゃべるという関係があるのではないでしょうか。私も、常に言葉を切り換えながら話していて、自分が何を言っているかすら分からなくなるときがあります(笑)

もう一つは、同じ日本人でも、ずっと外資系で働いていた日本人と、元々日系の企業で働いていた日本人とでは、言っている内容が同じでも、言葉遣いが全く違います。その辺がすごく不思議だなと思いますね。例えば「バジェット」という言葉がありますよね。ずっと日系の金融機関で働いている人は「予算」と言いますが、外資系は必ず「バジェット」と言います。それを、「何を言っているのかな」、って急に思い出せなくなることがよくあります。このように、言葉遣いが全く違いますね。

それと、常識と非常識の違いがよく分かりません。普通の日本企業の常識と思っていた部分が、簡単にぶれてしまいます。私も元々、一つの日本の中小企業でずっと働いていたので、完全に考え方が日系なのですが、違和感が生じますね。

既に外資にいる方もいらっしゃいますが、もし、皆さんが、将来、外資の会社に転職したいと思ったら、そこですごく求められる一つの重要な素質が、柔軟性だと思います。そのような違うことに対して柔軟に対応していくというのが、非常に重要だと思いますね。そうでなければ、いじめられてしまいます。「合わない」と飛ばされてしまうという感じです。そのようなことがたくさんあります。そういう点に関しては、普通の日系企業のほうがいいなと思いますね。

言葉以外に、カルチャーギャップを感じたことはありますか。常識・非常識が違うというのも一つだと思いますが、実際に入ってみて、一番驚いたカルチャーギャップは何ですか?

仕事の分野で言うと、先生がいないことに非常に驚きました。やはり少人数なので、上に誰もいません。誰かが教えてくれることがまずありません。そこが日本企業と全く違います。日本企業に入って、いきなりヘッドになる場合は違いますが、下から入って、ある程度中途で入ったとしても、中小企業なら自分が貢献するほうの立場になりますが、普通の新卒で日本企業に入ると、誰かが親切に教えながら育てていきます。そのような期待はあまり持たないほうがいいと思いますね。

外資に入ると誰もいないので、自分ができるかどうかによります。では、どうすればいいかというと、今、皆さんがやっていることだと思いますが、USCPAを勉強しようと考えました。その辺も同じです。常に自分で勉強し続けないと、絶対に上に行けないというのが現実です。

あと、自分でやってみて、他の会社の人に聞くといった、横のつながりが大切です。それしかできません。ただそれはいいこともあります。実際に自分がやったことに関しては、正しいかどうか誰も知りません。ただ、それを自分で責任を持ってやらざるを得ないと思います。その辺はとても違和感がありました。

先ほど、中途の方が多いとおっしゃいましたが、そういった外資の金融には、例えば、USCPAの合格したばかりで、経験もあまりない方が入れる可能性はありますか?それとも、本当にしっかり経理をやっていた人しか、転職できませんか?

何とも言えないですね。採用する側の考え方というか、その採用する企業が、どのようなポジションを採用しようと考えているかで、どのような素質を持っている人を採用しようとしているかだと思います。

例えば、未経験でもいいので、基本のスキルと資格を持っている人を採用しようと思ったら、やはりUSCPAの勉強をしていて、合格したら採用しようという所もあるでしょうし、逆に、例えばヘッドを採用しようと思ったら、何の経験もない人は銀行の経理はできないからと、最初に外しますよね。
ただ、結論としては、やはり、先にUSCPAを取ってしまったほうがいいとは思います。その順番は別として、私は既に入ってしまったから別に取らなくても何も影響はないと思っていますが、資格があって、評価されれば、将来的に上に行けると思います。

フロントオフィスからバックオフィスに行ったり、逆にバックオフィスからフロントオフィスに行ったりする方はいますか。

私が今働いている所で言うと、基本的にあり得ないです。なぜかというと、やはりそれぞれの部署に求められる素質とスキルが違います。営業畑で10年間働いた人が、いきなり財務経理に移動しようと思っても、その人は、バックオフィスの仕事は何もできないわけです。

ただ、例えば、営業をずっと10年間やっていて、バックオフィスの信用管理の部署に移動しようというのは、そもそもやっているので、あり得ると思います。そこが少しつながっているので、その辺はまだ可能です。逆は、おそらく無理だと思いますね。

そもそも、フロントオフィスからバックオフィスに行きたいという人はあまりいませんかね。

経理をやりたい人はいませんね。

例えば、フロントオフィスの人も、USCPAを取ってバックオフィスに行くという希望を持つ人はいませんか。

私に置き換えると、もしも私がフロント部署にいて、USCPAを取ったら、おそらくフロント部署のヘッドになりたいと思うはずなので、個人的には、財務経理に異動するのは考えられないと思います。財務経理に異動したら、また下っ端からやらなければいけませんよね。

そうですね。

今は既に実績も持っていて、さらにUSCPAの資格も取ったら、上に昇格するほうが早いと思います。
ですので、やはり、自分が将来的にどのような仕事をしたいかによって仕事を探すのが重要だと思いますね。

先ほど、金融は面白くないとおっしゃっていましたが、今の職場に転職された時は、金融に行きたかった理由や、転職活動に当たってこのような所に行きたいというのが明確にあったのですか。

前職は新卒で入って3年半ほどいたので、結構いろいろな経験を積みましたが、最初に入った時に、3年で辞めると決めていました。その約束を守るという意味合いで、3年経った後に辞めなければいけないという気持ちがまずあって、転職活動を始めたというのが一つです。

もう一つが、石の上にも三年ということわざがありますが、要するに、基本の部分がある程度分かったので、さらに上の、今までやったことのない財務経理の仕事をやりたくて、転職しようと考えました。
その時に、転職活動で3種類の職を探しました。

1つ目としてはIPOの上場企業です。私は、上場企業にMBOで退場させられる経験がありました。MBOされてしまって、ファンドに買収されてしまいました。それが1つです。
そうすると、入り口のところで、IPO上場はしたいと考えました。なぜかというと、3年間で、私は、連結会計、経理と、海外子会社の管理と、あと、財務諸表などは、全て自分で作ったからです。

もう1つは、連結の納税です。今まで単体の納税でやってきて、詳しくなったのですが、連結したときにどうすればいいかが分からないわけです。それもまた探していきました。

もう1つは、内部監査をしたいという希望がありました。財務経理をずっとやっていましたが、一つの小部屋でずっと数字を扱うのは、何か変だというイメージがあって、その時は飽きてしまっていただけかもしれませんが、そこからなんとか逃げたいと思って、それなら内部監査をやろうと思ったんです。
その3つで探していて、結局それぞれのほうからほぼ内定をもらっていたのですが、その時に、急に今の会社の面接オファーが来まして、そこに応募しました。ですが、最初のうちは入りたくありませんでした。言葉は通じますがカルチャーが違いますので、慣れないと思って、すごく迷いました。

前の転職活動の時は、その前の仕事を3年やって転職されたわけですよね。

そうです。

3つ決まりそうになった時は、内部監査にしても、何にしても、何が評価されたと思いますか。

それは教えてくれなかったので分かりませんね。ただその時はまだUSCPAを取っていなかったので、実務の経験だと思います。自分が履歴書に書いたことが、向こうの条件に合っていたとしか思えません。例えば、実際に上場できるかは別としても、IPO上場を計画している会社はたくさんありますよね。では、その会社が私のどこを見ているかというと、3つの言語を話せるということは、そもそも使う機会がないので、おそらく評価されません。では、何を評価するかというと、私が、3年間の経験で、日本の上場している会社の仕組みと、実現ノウハウを分かっている人だということが評価されたのではないかと思います。

当時も、直接CFOの下で一緒に働くというポジションだったのですが、おそらく、CFOの方からすると、公認会計士と組めばいけるのではないかというふうに評価したのだと思います。
内部監査に関しては、言葉がしゃべれることが評価されたと思います。それと、前職の前職で、中国で働いていたのが、日本のメーカーだったんですね。メーカーの工場でした。そこの経験もあり、その辺りが評価されたんだと思います。

あと、内部監査に関しては、私はよく聞かれました。実際の内部監査はやったことはありませんよね。では、なぜ応募するのですかと。2回に面接が分かれていて、1回目の面接の時に、面接官に「この本を読んでいますか」と言われて、私は「見たことありません」と言いました。2回目もまた同じ面接官が出てきたのですが、私はその2回目の面接までにその関連本を3冊買って、十分読み込んで、その面接の場で、その本で何を言っているのか、自分が何を思ったかを全て、その人に説明しました。彼は、3日間という短期間で内容を全て把握していたので驚いていました。

私は、内部監査の仕組みは全て分かっているというアピールをしたんです。そして、私がその面接会場から出る時、その人がすごく褒めてくれました。私はいつも思うのですが、常に勉強し続ける姿勢が重要だと思います。学歴や資格は関係なくて、今の業務や今の職場と、将来就きたい職場を考えて、自分に足りないことは勉強し続けるのがお勧めです。

CFAを勉強されているという話もありましたが、今後のキャリアプランというか、どのようなことを目指していきたいか、ぜひ教えてください。

一つの選択肢としては、日本の金融・銀行へ行くということです。私は、外資系の金融は経験があったわけですが、日本の金融は経験がありませんでした。将来的に、安定した収入を得ながらやりたいことをやるのであれば、日本の金融機関にするのは、一つの選択肢かもしれません。そこは、今までのポジションや、やってきた仕事を結構評価されます。なぜかというと、日本の金融機関は、外資系とは狙うところが違うからです。

今、皆さんは英語ができるわけですので、そこで、日本語しか使わないのはさすがにもったいないので、英語が使える部署、かつ、USCPAを使える部署はどこかというと、お勧めなのが、CIAや内部監査の所が、入り口としては入りやすいと思います。要するに、そこの人材が少ないのです。運が良ければ海外に転勤になる可能性もあると思います。日本で安定した収入を得ながら、いい感じの仕事ができるのではないかと思うので、もう少し年を取ったら行こうかと思ってますね。

ただ、なぜCFAを勉強しようと思ったかというと、勉強好きだからです。人は、年を取れば取るほど勉強したくなくなりますし、記憶力も落ちてしまいますので、毎日何かやらないと駄目な人間になってしまうという考えです。では、何をしようかと考えたときに、もっとレベルの高い、金融の中でトップレベルと評価される資格は何かというと、個人的には、やはりCFAだと思いました。取れるか取れないかは分かりませんが、ただ、英語で勉強するので、おそらく大丈夫だと思っています。あと、実務に携わった経験があるので、その知識は直接試験に使えると思いますね。勉強したものは仕事に使えますし。

普段の業務で何をされているかというのを、もう少し細かくお聞きしたいです。

今は、メインでは3つの仕事に携わっていて、管理は別として、実務としては、財務諸表の作成をメインでやっていて、これは一般企業と全く変わりません。普通の会社と本当に同じことをやらなければいけないという感じです。唯一違うのは、財務諸表の構造が違うだけですので、それは銀行専用のものに置き換えればいいと思っています。あと、GAAPの違いが発生しますので、3つの財務諸表を作る感じです。

本店のGAAPで1つ、かつ、12月決算が1つと、日本のJGAAPに基づいて、日本の4月か3月分のものを作るのと、会社の会計年度の決算、1月から12月の全部、要するに、会社に基づく財務諸表、計算書類を作る、それが前年度決算のために作るという、3つのものを同時にやります。
今は7月ですが、財務関係のものは、まだ去年のものが終わっていません。7月までずっとやり続けている感じです。2番目としては、税の関係です。
やはり、金融機関特有の税務関係の問題が発生しますので、そちらの対応と、今は日本の税制改正の対応です。税制改正で、国際課税という分野がありまして、要するに、どの国に納税するのか、その公平なやり方というのは、日本はすごく遅れているイメージがあります。なぜかというと、昭和1年か2年の50年前の法律が、去年まで適用されていて、やっと改定されたというイメージです。

それと、皆さんもご存じだと思いますが、消費税の改正です。うちは小売業界ではないので、実務に全く関係ありませんが、小売業界は大変だと思いますね。なぜ、消費税の10%に加え、軽減税率という訳の分からない、毎度違う税率を使うのか分かりません。
あと、銀行特有の資産管理です。専門用語を使ってしまいますが、バーゼルⅢというリスク管理の分野があり、その国際基準があって、それぞれの銀行が、自己資本率がどのぐらいいけるとか、このような管理に対して、小さな組織の中で誰が対応するかといったら、私たちは数字を全て持っているので、ここを財務経理で受けてしまいました。そのようなことをやっています。

この3つがメインですね。普通のものと違いますが、勉強が好きな私にとっては面白いことだと思っています。

職場では、日本語と英語と中国語のどれを一番メインに使われますか。

ずっとしゃべっているのは、日本語が多いですね。カルチャーの違いで言うと、日本人同士で英語をしゃべったりメールを打ったりしますね。

それから、ずっと外資系の銀行で働いている人は「お疲れさまでした」という言葉は絶対に書きません。最初から内容を書いてすぐに終わってしまうという感じです。常識と非常識がよく分かりませんが、そのような感じです。
言葉も、相手によって言葉が違います。相手も、2~3種類の言葉が分かるので、どの言葉が説明しやすいかによって、言葉を選択します。

一番苦労するのは、プレゼンするときに何語を使えばいいかということですね。基本的には英語がよくて、英語でしゃべると1回だけで済むのですが。ただ英語をしゃべると、みんな英語が第2言語なので、みんな何を言っているか分からないことが多いです。かと言って、それぞれの言葉に切り換えてしゃべると、時間がなくなってしまうので、非常に難しいですね。

あと、資料もそうですが、2部作るので、2倍の時間が必要です。そこを耐えられるかどうかです。私は、自作で、Excelでプレゼンの資料を作っていて、一つのパターンで言葉を切り換える機能を作っています。全部をその言葉に切り換えて、PDFに印刷して、そのまま付けるというようなことを工夫しないと、なかなか17時半の定時に上がれません。そのようなことを散々工夫しています。

ただし、問題なのは、私は、母国語の人に母国語で話したほうが分かりやすいと思っているのですが、相手は必ずしもそう思っていないということです。英語で話してほしい日本人もいますね。

帰国子女でもないですよね。

いろいろ不思議なことは、日系企業より多いです。毎日このようなカオスの中で生きられるかどうかというメンタルのほうが重要です(笑)

いつも定時に上がるというのは、会社として定時に上がらなければいけないのですか。逆にあまりやることがないので、毎日17時半に上がっているのですか。

規定上としては、18時上がりと決められているのですが、人事から17時半までに仕事がなければ帰っていいと通達が出ています。

17時半より前にですか。

17時半になったら帰っていいということになっているので、仕事が終わっているか終わっていないかは自分次第なので、誰も文句を言いません。私は、自分が問題なければ帰っていいという感覚なのですが、人によって違います。その人が、自分が仕事熱心でやりたいと言えば、ずっと残業し続けることもできます。

実際に、部署の中に17時半ぴったりで帰った方もいますし、私から特に何も言いません。なぜなら、会社規程上問題がなく、文句を言ったらパワハラになってしまうんです。
ただ、年一度私がメンバーに対する成果を評価する機会があって、それがその人の収入と直接つながっています。私から見て、これは駄目だと思うと、当然、評価は低くなります。ただ、もしその人が、別にそれでいいじゃないかと思えば、彼自身としては何も損はしませんね。
何が言いたいかというと、おそらく外資系で働くということは、自分次第です。

自分がどこまでいきたいか、自分がどのぐらいのスキルや能力を持ちたいかという、自分の裁量が大きいです。自分がたくさん仕事をして、自分でたくさん勉強すれば、それが自分のものになりますので、将来につながっていくと、私は考えています。

ただ、他の人がどう考えているかは、正直に言うと私には関係ないので、同じですね。育てる義務はないと思っています。彼自身が上に行きたくなければ、私はわざわざ育てていく必要もないですよね。ただ、17時半に帰っていいというのは、このような規定になっているので、帰っていいわけです。

試験のために勉強した内容で、今の仕事に活きているということは全くありませんか。

ないとは言えませんが、あくまでUSCPAのほうが幅広い分野で勉強する資格です。例えば、皆さんが大学の時に、なんとなく、何らかの学科で既に勉強した部分が多いです。ただ、財務諸表の中に、国際会計基準というものがあって、そこは将来につながるところ、使えるところだと思います。でも、日本は国際会計基準を導入していません。結局、それで、日系企業に働くにはあまり役に立たない部分が多いです。そこは苦労しなければいけませんね。

他には監査をやるわけではないので、そこは役に立っていませんね。実務に携わる人には役に立つかもしれませんが、僕個人としては、役に立っていないのが正直なところです。将来的にアメリカに行けば、もしかしたら役立つかもしれませんけどね。

同じ職場に、他にUSCPAを持っている方はいますか。

いませんね。

どちらかというと、CFAを取られている方が多いですか。

CFAは簡単に取れなくて、非常に難しいです。それぞれの会社の評価基準は違いますが、おそらく、会社によって、資格に対する考え方が違いますので、この会社を応募して評価されないからといって、別に自分の能力が低いと思わないほうがいいと思います。会社はたくさんあるので、どこか別の、自分が評価される会社が必ずあると信じたほうがいいと思います。

私がなぜそのように言うかというと、新卒の時に、外国人として応募して経理職を探すのにかなり苦労したためです。なかなか採用してもらえなくて、自分の経理という選択が間違っているのではないかと思った。誰も、何がいいとは教えてくれませんよね。単純に、採用面談が終わりましたという感じなので。

ただ、自分が、絶対にこの経理の仕事をやりたいという気持ちがずっと支えてきました。自分が努力してできる仕事の幅を広げて、自分が就きたいポジションに就くということを前もって考えたほうがいいと思います。是非、勉強し続けてください。そして、USCPAに合格してくださいね。

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