サラ金に就職。でも忙しくて・・・。USCPAを学習するために会社をやめて挑戦。


第61回USCPA MTGレポート

開催日:4月28日(土)12:00-14:00

【Guest】あだ名 Nariさん USCPA PEファンドのCFO

まずはゲストの自己紹介から。

大学を卒業後、新卒でなんとサラキンに就職。当時は就職氷河期で就職活動に苦戦し、また色々な事情があってこの会社に入社することになった。

入社後の仕事は営業。もう銀行から借金ができないような経営状態の悪い中小企業に飛び込み営業をかけて『お金借りませんか?』と勧誘して回った。また、営業だけではなく取り立ても担当し、(MTGでは話してもらいましたが、ここには書けないような)色々な事を経験した。

とても長く働けるような仕事内容ではなかったので、入社後一年も経たずに転職を考えた。色々と将来の事を考えている時にUSCPAの存在を知り、いつかこの資格を取ってまともな仕事をしたいと考えるようになった。当時は仕事が忙しく、働きながらUSCPAの勉強をするなど考えられない状態だったため、まずは勉強時間を捻出できる環境を整えようと、会社を辞めた。

派遣社員をやりながら受験勉強をする予定だったが、動いてみると派遣は“経験者”しか採用されない事がわかり、更に自分が経験のある“サラキン営業”の派遣のお仕事などこの世に存在しないことが判明し、派遣をやるという選択肢が無くなってしまった。

となると、まずは“派遣社員になるため”に動かないといけないことになった。経理の仕事は結構派遣の仕事がある事がわかったので、まずは経理の経験を積んで経理の派遣社員を目指すことになった。

未経験でも経理として採用してくれる会社を探しまわり、結果あるベンチャー企業で経理として採用してもらえることになった。しかも、社会人2年生にもかかわらず、いきなり経理課長で一回り年上の女性部下ができた。

しかし、未経験の自分が経理として採用してもらえるには、それ相応の理由があるのは明白なわけで、予想通りそこはとても大変な職場だった。

 

経理とは言えまだ経理業務どころか会社としての仕組みすらまともにできてない状態で、何もかも一から整えていくような状態だった。しかも、会社の資金繰りが火の車状態で、日々資金繰りに翻弄される日々だった。でも逆にそこで日々の経理業務から決算、税務申告、経理以外でも総務的な仕事や人事的な仕事も経験し、ひと通りの会社の管理業務を自分一人でできるようになった。

そこで数年経理業務の経験を積むことができたので、会社をやめて念願の経理系派遣社員になり、USCPAの勉強をスタートした。

最初の派遣先はソフトウエアの販売会社。正社員になるよう誘われたが、ちょっと経営が怪しい会社だったので断り次の派遣先へ。

次の派遣先はアメリカ資本のベンチャーキャピタルの経理の仕事だった。実はUSCPAの勉強と同時に英語の勉強もしていて、外資系企業に派遣してもらえる最低ラインの点数をクリアしたため外資系に行くことができた。

このベンチャーキャピタルで、色々な事情から担当業務が徐々に増え、気が付くと派遣社員にも関わらず殆どのバックオフィス業務を自分一人で担当することになっっていた。

会社が買収されて親会社が変わったタイミングで正社員になりたい旨を懇願したら『USCPAに合格したら正社員にしてくれる』という事になった。必死に勉強して合格して、正社員にしてもらうことができた。ここでやっと人並みの収入と、ちゃんとした会社の正社員というステイタスをゲット。

29歳にしてやっとまともな人生がスタートしたという感じだった。

正社員としてファンドのバックオフィスを任され、徐々に部下を持つようになり、バックだけではなく投資サイドのサポートなどもやるようになり、それに応じて収入も上がっていった。

最初のファンドはベンチャーキャピタル。
今はグループ内のグロースファンドに転籍して業務を行なっている。


 

プライベート・エクイティー・ファンドについて簡単に説明。

プライベート・エクイティー・ファンド(以下PEファンド)は、大雑把に言うと『上場していない会社に投資を行う』ファンド。

機関投資家からお金を預かり、未上場企業に投資。最終的にその企業がIPOしたり、M&Aで買収されたりする(Exit)時に株式を売却しリターンを得る。同じPEファンドでも、投資対象や投資するタイミングによって呼ばれ方が異なる。

ベンチャーキャピタルは、創業期から拡大期の会社を狙って投資をするファンド。かつては、10社投資して2社くらいがあたればいい感じという時代もあったが、現在の状況は当時とはだいぶ異なる一件あたりのロット(投資額)は、少額なケースも多い。今は日本のベンチャー市場がかなり低迷中なので、投資対象がなくなかなか厳しい。

グロースファンドは、創業期ではない未上場企業に出資するファンド。VC投資ほどの高倍率なリターンにはならないが、そのかわり一件当りのロットは大きめ。リターンの比率が少ないだけに、ベンチャーキャピタルよりも打率が良くないと成り立たない。


以下、Q&Aです。

  • ゲスト
  • 参加者
  • 司会

未上場企業に投資するということですが、上場企業に投資することはないんですか?

例外的にはあります。例えば上場企業を一旦非上場にして、体制を整え直して再上場させるという事もあります。

どうしてそういう事をするんですか?

上場企業であっても、実際は殆ど株の動きがなく上場している意味が無い企業って結構あるんです。それなのに上場しているだけでコストが年間1億円近くかかっていたりするんです。そういう企業は一度非上場に戻してコストをセーブして、会社の体制もすっきりと整え直して再上場するという事があるんです。

投資対象の会社をどうやって見つけるんですか?何かデータベース的なものとかはあるんですか?

いえ、そういうのは無いんです。かなりアナログな世界で、投資担当者が持っている人脈で情報をゲットしてくるのが一般的です。そういう意味で、個人への依存度がかなり大きい世界です。

ベンチャーキャピタルの人とかって、担当している業界の情報をかなり詳しく知っている印象がありますが、それも会社というよりも個人的にゲットしている情報なんでしょうか?

はい。そう思います。その人が持っている人脈から最新情報などをゲットしていると思います。ネットで検索できるレベルの情報ではないです。

投資対象が決まったとしても、相手は非上場企業なのでちゃんとした公開情報がありませんよね。どうやって情報を入手するんですか?

投資を決定する段階で投資先と契約を交わすんです。その契約で必要な情報をきちんと提供してもらうようにします。投資が実現した後は、取締役会のオブザーバーとなる権利をもらう事が多いです。

ベンチャーキャピタルは今は日本は厳しいという事ですが、他のファンドはどうですか?

はい。他も日本だけじゃ厳しいと思います。実は今のグロースファンドは投資対象が日本ではなく中華圏(中国・台湾等)なんです。

このファンドは2005年にスタートしたんですが、つまりその頃からこの業界では投資対象を外に向けていたという事なんでしょうね。それが今では中国への投資は当たり前の感じになってきて、次はインドネシアやベトナムが対象になりつつあります。

海外の未上場企業に投資するとなると、更に情報をゲットするのが難しいと思うんですが、どうやって投資対象を見つけているんですか?

台湾に関しては、日本と同様に現地スタッフのネットワークが主です。中国本土に関しては、さらに担当者のネットワークの重要度が増すのですが、これがそう簡単にはいかないんです。今のところ、中国本土の案件に関しては、他のファンドがリードを取った案件にマイノリティ株主として出資する事が多いです。

投資先企業を決める際には、どんなポイントを見るんですか?

全部です。ビジネスモデルから財務内容、将来性、競合他社、経営陣の資質など、ありとあらゆることを検討します。

経営陣の資質も見ると言うことですが、日本人経営者の場合と海外の経営者の場合で、資質を見るポイントが違ったりしますか?

はい。そうですね。日本人経営者の場合は、国民性から考えて平均よりもアグレッシブくらいの人じゃないと、大きな伸びを期待できないのでそういう人が適格と見られることが多いと思います。でも海外というか中華圏の経営者の場合は、反対に平均よりも慎重というか誠実な人の方が安全なので適格となりやすいです。

英語の使用頻度はどうですか?

投資対象が海外で、ファンド自体はケイマンのファンドなので契約書類は全て英語です。また現地子会社のスタッフとのやりとりを毎日行うので電話かメールで毎日コミュニケーションしています。

そこまで英語力を持っていくために、どんなことをしてきましたか?

ひと通り、全部トライしましたよ。スピードラーニングなどの英語教材はだいたいひと通り持っていると思います(笑)。僕にとっては、当時の外資系の派遣最低ラインであったTOEIC730点をクリアできたというのが人生の転機でした。そこで外資系に行くことができたので、それからの人生が大きく変わりました。あとは仕事で使う時に四苦八苦しながら身につけていきました。

慣れるまでは外国人とのコミュニケーションは苦労しましたか?

確かに大変でしたが、でも会計関係の話をする際にはお互いに使う固有名詞も一緒だし、考えることも一緒だったりするので、うまく話せなくてもお互いに理解し合うことができました。英語がいかに流暢な人でも、会計関係の話はチンプンカンプンだったりするので、USCPAで英語で会計を勉強した事は大きく役だっています。

採用をする立場の時に、USCPAの資格を持っている人をどう評価しますか?

資格は武器だと思うんです。でも武器は使いこなせないとただの“モノ”ですよね。だから、USCPAを自分の武器にしてどう使えているか、どう使おうとしているか、というのがとても気になります。ただ武器を持ってるだけの人だと、武器マニアなのかな?と思ってしまうので、逆に悪い印象になってしまうこともあります。

今後はどういう方向を目指していますか?

僕はもうすぐ40歳になるんですが、今後の20年のことを考えて実は今悩んでいる最中なんです。 

今の流れに乗っかったままでも悪くはないんですが、今後の日本の状況を考えると惰性と勢いだけでは20年間乗り切れないと思うんです。今の延長線上だと、上に向かってぐんぐん上昇していくという感じは描けないんですよ。上に向かって行かないと、世界情勢という引力に引っ張られて落ちていくと思うんです。今後の20年のために、ここでワンステップ上に登るための準備をしなきゃと思っています。

今はCFOですが20人に満たない組織なので、もう少し大きめの規模の企業のCFOに挑戦すべきか、または全く別の方向を目指していくか、色々と考えている最中です。

以上です。その他PEファンドの内情やCPA受験についての情報交換などの話題で盛り上がりましたゲストのNariさん、ありがとうございました。

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