第118回 USCPA CMレポート
日系、外資、日米合弁企業経理特集!
実施日: 2015年6月20日(土)
ゲスト USCPA YTさん
ゲスト紹介
米国の大学を卒業後、日系の機械メーカーへ就職し、工場経理へ配属。約4年間勤務後、外資系医療機器メーカーの経理に転職。
日系メーカー在職時には原価計算の業務しか関わっておらず、転職時には他の会計知識はほとんどわかっていなかった。
転職先の会社から最低でも簿記2級ぐらいは取得してくれと言われ取得したが、外資系企業で生きていくには、さらに専門性が必要だと思いUSCPAの勉強を始める。
当初はUSCPA合格後、キャリアアップのチャンスがあれば転職を考えていたが、たまたま勉強中に現在の会社からオファーを受け、再度転職する。
現在の会社で働きながらUSCPAにようやく合格し、会社のサポートもありライセンスを2年前に取得。1度目の転職時には借方・貸方もよくわかっていなかったが、現在では経理業務全般(財務会計、会社法決算対応、税務等)をマネージメントしているポジションで働いている。
Q&A
- USCPAゲスト
- 参加者
- 司会
日系と外資の違いについてお聞かせ頂けますか。
最初の会社は日系でしたが、比較的、全員同じような扱いで、同じようにプロモーションしていくというか、私の同期は今も働いているので話を聞くとここ最近になって皆、一斉に係長になっているという感じですね。私がもともとアビタスに入学したきっかけが同期の一人が勉強するというので私もやってみようと思ったのですが、その知り合いは勉強をやめてしまったんです。というのも、まだその同期はその日系の会社にいるのですが、合格しても、その会社だとあまり意味がないというのがあったんだと思います。私が工場の経理に入った時の先輩がオーストラリアのCPAを持っていたんですけども、全然、知識を使わないようでした。
本社に行っても、資金管理を5-6年、ずっとやっているとか、他の先輩も入社して10年以上いて、固定資産だけをやっていますとかいう感じで、会社が大きいので仕方ないのですが、資格をそれほど重視していないと思います。私も総合職だったので、将来的には本社に行くこともあったかとは思えたんですが、ずっと同じ仕事をしていくというところで先が見えなくて、仕事の幅を広げようと思い転職をしました。2社目の外資のほうは本当に自由で、仕事で結果を出せば何も言われなかったですね。勿論、仕事が出来なければ、切られるという形でした。その時の私の上の課長の年齢がひとつ上とかだったのですが、USCPAを持っていて、バリバリに仕事をやっていて、年齢に関係なく、上に行っていましたね。私としては外資の方が合っているかなとは思います。
能力でエバリュエーションされるという評価システムがある場合、経理はどのように評価がされるのでしょうか?
経理は仕事をきちんとこなせるかというところで見られると思います。経理の部署の人がリストラ対象になった時は、何年も同じ仕事をやっていた人が会社を去りました。英語も出来なかったという理由もありますが、その当時のCFOから彼の仕事内容が見えないということでした。周りは何とか最後まで守っていたみたいですけども。評価としては、与えられた仕事をきちんとこなせるかというところかと思います。
私は与えられた仕事ができないと言うのがよくわからないというか、経理の仕事の場合、ある程度の仕組みがあって、それをうまく期限内に納めてやっていけば、という感じはするのですがどうなのでしょうか?
皆さんはエクセルとか得意ですか? 知識とか資格とかもあると思うんですが、意外とPCスキルがない人っているんですよね。 当然、今の時代はPCワークばかりですので、PCが使えないとダメなんです。
そこの差って仕事のスピードの差に関わってきますし、大きいですよ。 2社目の時に営業経験で入ってきた方がUSCPAを取得し、転職してきたんですが、PCが遅かったんですよ。
エクセルとかを使った分析をしなければならないんですが、それを使えないと仕事にならないですよね。
その方はUSCPAを持っていたということだと最低限の知識はあったけども、PCスキルがなく、仕事が遅かったということなのですか。
おそらく前任者が作ったエクセルのフォーマットとかもエクセルの読解力が無いですし、それにプラスして、基本的には教えてくれません。外資だと即戦力だと思って見ているので、自分で仕組みを理解してやっていかないといけないわけです。
エクセルというと色々とポイントがあると思うのですが、前任者が作った関数が辿れないとかいうことなのでしょうか。
それはありますよ。自分の世界で作っていたりするので、ひとつ壊れると直せないというか。。私は社会人になってからエクセルとかもはじめましたけど、皆さんもおそらく使っていますよね。あと私だとアクセスとかも少し仕事で使います。それと今の会社の経理システムはSAPを使ってます。会社が変わるとシステムも変わりますけども、基礎がわかっていれば、抵抗がなく出来ると思います。
PCスキルというのはご自身で本を読んだりして勉強をされたんですか?
実際、自分の仕事で動かしてです。SAPだとどこでも同じコマンドですし、Webで調べれば色々と操作方法が載っていますので、それを見ながら自分の仕事に応用してみるという感じですね。最初の会社では凄い部品点数で、何十万件とあったんですけども、その当時のエクセルは今みたいにたくさんのデータを入力できなかったんです。引き継いだ先輩がアクセスを使っていて、私は学生時代にアメリカの大学のクラスでアクセスの授業が必須だったんです。
今となってはその様なクラスが必須だったということは、職場に行っても即戦力になれるようにってことだったと思います。ですので、そこで勉強をしていたので、アクセスも抵抗なく出来たんですよ。関数はその時、知らなかったので手作業でやっていました。関数を色々と覚えると楽ですよ。
USCPAは今の会社に入ってから取得をされたんですか?
そうですね。2社目の時に始めて、今の会社に入っても勉強を続けて合格したということになります。 今の会社ではライセンス費用も会社持ちで。今年で更新なのですが、継続費用も全て会社が持ってくれますし、合格した時も掛かった費用の一部を会社が出してくれました。要は親会社がUSで、USのチームは皆、USCPAを持っているんです。USCPAは車の免許みたいなものなんです。会社としてはそうした面で補助をしないと監査法人とかへ流れてしまうので、やはりUSCPAホルダーをキープするためには会社で全面バックアップするという姿勢ですね。
米国の親会社のポリシーにUSCPA関連費用の補助規定があるのです。これは凄いですよね。とても助かっています。日本で今は7名のチームでやってますが、USCPAを持っているのは2名で後輩が一人持っています。その後輩もアビタスで勉強していたようです(笑)。
業務上、日本とUSの会計基準とか税法の違いなどはどうされていますか?
基礎はUSCPAでカバーできているかなと思います。今の会社に行ってからほぼ初めて税務とか決算とかやったのですが、やはり基礎の知識があると、日本基準でも理解しやすいと思います。
日本とルールは多少違っても考え方は同じなので問題無いですし、改めてUSCPAを勉強しておいてよかったなと思います。
今の会社では外国人の方も多いのですか?外国人とのやりとりも多いのでしょうか。
全世界の従業員数が約12,000人で、アメリカ、ブラジル、中国等々、いろいろとあります。主に私の場合にはUS本社とのやりとりになりますね。会社間の請求とかも私が全部やっているので、問合せが中国からきたりもします。
入社した5年前までは日系的なのんびりした会社の印象でしたが、この2-3年でアメリカの親会社が色々と改革を進めているので外資に近い雰囲気になってきており、昔からいる人は変化についていくのが大変そうですね。 私は2社目が移り変わりが激しい会社でしたのでそこまで大変と感じてないですが。
1社目が日系の会社で工場経理をされていたという事で、私も工場経理をしていて、割りとのんびりしている感じなのですが。。
周りはそうだったのですが、経理だけは凄く忙しかったですね。
では、2社目に行ってからそのギャップはなかったですか?
そうですね。1社目がハードだったので、2社目の外資に行ってもそこまででは無かったですね。棚卸しって普通、経理はやらずに生産管理とかがやると思うんですが、その一社目の会社では全て経理が棚卸しをやっていたんです。年に2回、本当に帰れないくらい時間が掛かるんですけども、現場の事はよくわからないので大変でした。知識が無いと現場の人たちが相手をしてくれないんです。なので、よく現場には通っていましたね。
では、棚卸しの際には実際に数量チェックとかしたんですか?
その当時は札を使ったんです。今どうなっているかわかりませんけども10万枚の札を自分で発注して。一枚無くなっただけでも責任になるんです。
それに月次決算とか決算資料も作っていたんですよね。
そうですね。その当時、入れたばかりのシステムがうまく行っていなくて、徹夜でした。会社に寝泊まりしていました。
そこでは主に原価計算とか原価管理がメインでやっていたんですよね。
そうですね。
その会社での経験が二社目、三社目で活きた面はありましたか?
最初の上司が、電話とかメールで片付けないで、現場に行って、話せと言っていました。実際現場で自分の目で確認することが重要だと言われました。この教えは心がけていますね。
今でも近い職場でしたらメールでなく直接行ってコミュニケーションをとることを心がけています。
日系と外資系の経理業務の違いはありますか?
日系だと仕事の幅が広がらないという話でしたけども、それを広げていくには上から言われてやるか、もしくは自分からアクションを起こしていくか、どちらのスタンスが良いんでしょうか。
日系でも勿論、色々とあるとは思うんですけど。 私も工場経理にしかいなかったんですが、受け身かなと思いますね。
外資だと自分から広げていって、今だと部長飛ばして社長に直接話をしたりして、メールでも部長はccに入れておけば良い感じで、社長から「損益がこうなっているんだけど・・」という具合に直接連絡が着たりします。
業績の予測とかも自分で出して、社長に直接話したりもしますし、部長も仕事をやっていれば何も言ってこないので、積極的に色々な人とコミュニケーションをとりながら、仕事の幅を広げていく感じです。
アメリカ人も同じ職場にいるんですか?
入った当時は取締役とかが来ていましたが、今は工場にひとりくらいですかね。逆に日本から他の国へ行っている人もいますね。私も今の会社でやっていこうと思っていて、日本にいるだけだと広がっていかないので、海外勤務も視野に入れたキャリアプランを立てました。
海外とのやりとりは、メールは勿論かと思うのですが、電話なども英語を使って行なうのでしょうか。
アメリカだと時差があるので、殆どがメールになります。
アメリカに出張で行くことはあるのですか?
色々と幅広くやっている中でどの分野が一番やりがいを感じたり、印象に残っていますか?
今の3社目で会社全体の業績が見えたりするのが良いですね。
数字の分析をするのが好きなので、入ってすぐにそういう数字を自分で作って、役員への業績の報告を上司から任されてやっていました。かなり自由にやらせてもらっているので本当に仕事は楽しいです。
USCPAの勉強をしていた頃は転職活動も平行してやっていたのですか?
2社目はそれほど大変じゃなかったんですが、ただこの先を考えた時におそらく転職になるのかなと思って、自分の武器として資格はないよりはあった方が良いかなと。
時間も比較的あったので、合格をしたら転職をしようと考えていたら、先程も話した通り、次の就職先がスムーズに決まり転職をしました。
では、科目合格とかもない状態で、ですか?
私は昔からの企業で働いていまして、プロパーの人間からしてみると転職してきた方は「あの人は転職組」という見方をしている場合が多いんですね。じゃあ、いざ自分が転職した時にどういう風に見られるのかなと思うんですが。
それは転職した先によるでしょうね。その転職先が転職組ばかりだとそういったことは無いでしょうし、同じような昔からの企業であれば、そのように見られるんじゃないかと思います。
経理で、特にメーカーだと思うのですが、自分から意識して機会を作らないと現場には行かないというか、現場に行かなくても仕事は出来るんですけども。。
確かにそうですけど、やっぱり工場は現場を見てナンボだと私は思います。
今は生産管理なので、現場にも行っているんですが、USCPAを取ったら、経理とかに移りたいと思っていて、そうすると現場から遠ざかってしまいそうだなと思っているんです。
考えているのは、同じ会社で異動していく感じですか?
そうは思っているんですが、今の会社は年齢で順に上がっていくので、USCPAを取ったからどうこうじゃないような気もしていて、そうなると転職も視野に入れないと行けないかなという感じなんです。
私は最初の会社の時、もうすぐ工場から移してあげるからって言われたのですけが、結局、そう簡単に変わらないんですよね。将来的には海外勤務という話もありましたけども、本当にそれがかなったかどうかもわかりませんし。最初の転職活動の時にはなかなかうまく行かなかったですけども、このまま環境を変えないと何も変わらないなと思い、転職活動を続けていったんです。周りは変えてくれないので、自分から変えていくしか無いんだと思いますよ。
USCPAを取って監査法人に行くっていう流れが多いんじゃないかと思うのですが、そうしたことは考えなかったですか?
その時はまだ合格していなかったわけですけども、それほど監査法人は考えていなかったですね。
私は監査法人の人と接点があるんですが、人が作った決算書をチェックする仕事って楽しいのかな、、と思ってしまうんですけども。。
辛いと思いますよね(笑) 毎回、違った会社に行って、どう見たら良いかわからない資料を見て、大変だなぁといつも思っています(笑)。日系だと皆さんどうですか?「先生」って呼んでいますか?今はどうだかわからないですけども、最初の会社の時に工場に監査法人から来ると「先生」と呼んでいたんですよ。その名残で次の会社でも「先生」と呼んでいたら、うちは「さん付け」で良いんですよ、と言われて、日系と外資系だと立場が変わりますよね。
その点、日本の公認会計士資格と違って、USCPAと言うのは必ずしも監査法人に行くというわけではなく、色々なキャリアパスがあって良いなと思いますけども。
本当に今の会社の上司とかはUSCPAは運転免許のようなものだからって言います。他の国の人とかと働いていると彼らは本当に仕事しながら勉強しているんですよ。USCPAを持っていなくても勉強して取得していますし。本当に勉強熱心だなと思います。あまり日本人でああいう人達って自分の周りでは見ないので。ちなみに、ちょっと話が変わりますけども、今、伝票を切るのは、中国でなんです。シェアードサービスというか、アウトソーシングでやってもらっています。エクセルの伝票を作ったら、中国にメールで送って伝票切りをお願いする事になります。彼らは皆、流暢な日本語が出来るんです。そして仕事が早いんですよ。先々を読んで仕事をしてくれるし。日本に来た事が無いけども日本語が話せて、日本語のエクセルを巧みに操作するんです。
先ほど、SAPの話が出ましたけども、うちの会社でもSAPを使っていて、社内でもかなりその重要度が増してきているんですが。
うちは人事からSAP一本でやっています。経理だけというところが多いですけども、うちは工場の生産管理もそうですし、システムをローカルで改良とかがなかなか出来ません。
日本向けの決算資料とUS向けのものと2つ出てくるんですけども、やはり日本向けは今でもデータをダウンロードして、エクセルで組換をやっています。どうしてもローカルには優しくないシステムですよね。
USCPAで得た知識というのは仕事においてどのように活きていますか?
この先のキャリアプランとかのイメージはありますか?
そうですね。会社に出すキャリアプランにも書いたんですけど、日本いるだけではこの先キャリアアップは無いかなと思うので、一度、アメリカの本社での勤務というのは挑戦したいなと思っています。
なかなか日本から出て行っている人はいないので、大変とは思うんですが、海外勤務も視野にいれています。