第71回 USCPA CMレポート
~Big4税理士法人 国際事業アドバイザリー(移転価格)~
実施日: 2012年9月23日(日)
【Guest】 あっきーさん USCPA・IFRS検定合格
自己紹介
大学は理系で大学・大学院で物性研究を行なっていた。大学卒業後は研究者としてではなくビジネスに携わりたいと思い、NECへ入社し、SEとして働き始めた。
入社時は、もともと情報系出身では無いため知識がゼロの状態からスタートしたが、入社後の最初の2年で基本的な知識を身につけ、その後の2年で専門的な知識を身につけることで技術力を取得した。
ソフトウェア開発の業務としては、客先からの様々な要求(Requirements)に対して、技術面、コスト面を鑑みて優先順位をつける社内調整を行っていた。そのため、営業、開発とのやりとりが多かったが、特に開発拠点のロシアメンバー、フィリピンメンバーとの調整を多く行なった。
会社での業務の傍らで簿記(3級、2級)の勉強をして、2010年1月からはUSCPAの学習を開始。2011年8月試験にて全科目合格。またUSCPAと並行して、IFRS検定を2011年6月試験で合格。
2011年10月初めより転職活動を始め、2ヶ月弱でBig4系の税理士法人に採用が決定した。事務所は若手が非常に多く、現在かなり活気のある職場となっている。いわゆるコンサルティング業務をやっているので、完全な実力制で働いている。
Q&A
- ゲスト
- 参加者
- 司会
まずは移転価格についてお聞かせください。
移転価格とは、自動車メーカーを例に取ると、日本に親会社があり、アメリカに製造子会社(工場)と販売子会社があるようなケースの場合、エンジン等の部品は日本側で作り、それを米国の工場に輸出します。米国の工場では部品を組み立てた後、自動車完成品を販売会社に販売して、さらに小売を通して最終顧客に商品が渡るという流れとなります。
このケースの場合、日本親会社と米国製造子会社間の取引が移転価格となるので、部品販売取引が移転価格税制の対象となります。
このような部品販売取引では、日本親会社と米国製造子会社が同じグループ内ということで、恣意的に取引価格を市場価格より高くしたり、安くしたりできてしまいます。価格設定自体は、本来であればグループ内の事業戦略でありますが、税務当局の観点では、自国内にどれだけの課税所得が得られるのかが注目されます。
例えば、日本親会社が米国製造子会社に部品を高い価格で輸出している場合、日本親会社側に利益が生じるため、日本当局の観点では問題無い一方、米国当局の観点では、本来米国製造子会社の享受すべき利益を日本親会社がとっているのではないかと問題視される可能性があります。
その移転価格に関して、どのようなサービスを展開されるのでしょうか?
一つ目は文書化サービスです。日本における移転価格文書化は平成22年の税制改正で制度化されたものですが、グループ内取引(日本-海外間の取引)の移転価格の適正性をまとめた文書を遅延無く提出できない場合、税務当局は当該取引に対して推定課税を行う可能性があります。
文書化サービスは、企業へのヒアリングを通じて事実分析(事実実態の把握)、経済分析(グループ内取引の適正価格の分析)を行い、分析結果を文書に取りまとめるサービスです。
二つ目はAPA(事前確認)対応支援サービスです。一つ目の文書化サービスを行なう分析の過程で、例えば非常に金額が大きい(あるいは海外子会社側の利益率水準の高い)取引の場合、日本当局による移転価格調査のリスクが見込まれる場合があります。こうした場合、日本を含めた各国の税法上定められている事前確認制度を活用することにより、日本当局・海外当局の移転価格調査リスクを回避することができます。
事前確認制度とは、移転価格の適正性を日本当局・海外当局に対して事前に確認をするもので、両当局間の協議によって認められた場合、一定の年数について、当該取引を移転価格調査の対象から除外することができる制度です。
移転価格税制は各国で制度化しているものですが、OECD(経済協力開発機構)がガイドラインを出しており、各国はそのガイドラインに則って制度化しているため、原則同じ考え方が適用されています。
APAが合意に至るまではどのくらいの期間がかかりますか?
入社するのは、中途の方ですか?
それはやはり社会人経験がないとビジネス的な感覚が無いからという事なのでしょうか?
スタッフの方はどのくらいいるのでしょうか?
スタッフの方は日本人が多いのですよね?
社内では日本語で話すのですか?
スタッフの方の英語力はどの程度なのでしょうか?
移転価格のチームは80名とのことですが、やはり皆さん、何年後かには他のキャリアを積んでいくという方が多いのでしょうか?
長く働こうと思えば、それは問題ないわけですか?
税理士資格というのは必要ないのでしょうか?無くても上に上がっていけるものなのでしょうか?
例えば、APAの交渉は対税務署ということになるかと思うのですが、税理士じゃなくても出来るのでしょうか?
普段の業務で日本の税制について詳しくなくても業務は可能なのでしょうか?
もっとも移転価格税制は法人税法に規定されていることから、当該規定は知らなければなりません。また、日本当局で税務執行の指針をまとめた事務運営指針が納税者向けに情報開示(国税庁のホームページ)されているため、そうしたものをきちんと理解する必要があります。
何か普段、研修やトレーニングみたいなことは行なうのでしょうか?
入所後、業務上、必要な知識というのは、そういったトレーニング以外で何かやりましたか?
仕事を取ってくる方と実務をされる方は分かれているのでしょうか?
今、アサインされている仕事というのはいくつくらいあるのですか?
それは声がかかっても断ることができますか?
今話して頂いた業務以外には何かありますか?
課税された場合、それはクライアントが払うのでしょうか。税理士法人側にその支払いの義務が出てくることはないのでしょうか?
調査には立ち会わないのでしょうか?
現在、7つの案件を抱えているということですが、ひとつの案件に対して、スタッフは何名で行っているのでしょうか。
毎日の業務は外に出ることが多いですか?
今、自分に足りないなと感じることは何かありますか?
転職活動の時は移転価格の専門家になろうと思っていて活動していたのでしょうか?
転職活動をしている中で、何がアピールに繋がったと思いますか?
同じ事務所内ではどのくらいの方がUSCPAを取得されていますか?
移転価格をしていくうえで必要な知識とかスキルとかは何かありますか?
以上です。
税理士法人での仕事はかなりハードなイメージが強いですが、ゲストのアッキーさんはそれを楽しんでいるようでした。完全な実力制の中で仕事をしていくのは大変なこともある反面、自分の実力をきちんと評価してもらえるという意味でそうした環境が向いていれば、良いのかもしれませんね。
ゲストのあっきーさん、有難うございました!