第113回 USCPA CMレポート 外資系戦略系コンサル
実施日: 2014年12月20日(土)
【Guest】 カズヤさん USCPA
ゲスト紹介
大学卒業後、国家公務員として中央省庁に勤務し、新技術の事業化・実用化を進める事業を担当。
教養として簿記を勉強したことがきっかけで会計の面白さに気付き、米国留学を機にUSCPA取得を決意。
大学院の休暇中に集中して勉強し、全科目1回の受験でストレート合格。大学院のプロジェクトでも、地元企業の管理会計導入を支援するコンサルティングを実施。
帰国後は官庁での勤務を続けるが、留学中の成果を活かせる場と更なる成長環境を求めて、30代目前に外資系戦略コンサルティングファームに転職。
主に、TMT(テクノロジー・メディア・通信)業界のクライアントの事業の成長支援に従事し、現在に至る。
USCPAのカズヤさんに質問
- カズヤさん
- 参加者
- 司会
外資系コンサルと言うとMBAを取得した方が行くというのはよくあるパターンだと思うのですが、USCPAを取得している場合の付加価値というか、どのように役立つのかお伺いできますか。
ケースによるのかなとは思うのですが、私の場合、とても役立ちましたね。
知識がそのまま役立つということはあまりないというか、財務諸表とかは頻繁に読むので、前提としてそういった知識があると早くできるというのは良い点ですが、それは知らない人はそのうち勉強してキャッチアップするので、それほど差は付かないかなと思います。
いろいろと役に立ったのは、USCPAを受験する中で培ってきた考え方とかフレームワークみたいなところで、正直、知識はもう8割以上忘れてしまっていると思うんですが、その時、勉強する中で身につけた考え方というのは今も役に立っていると思います。
MBAはその中でも専攻があると聞いたことがあるのですが。
そうですね。ビジネスっていろいろなファンクションに分かれると思うんですが、そのファンクションごとに専攻があるという形で、戦略とか、ファイナンス、マーケティング、オペレーション、というビジネスのファンクションごとに分かれています。
ただ大学の教授の割り振りがそうなっているだけで、学生側は必修科目と選択科目の中で選択科目は自由に取れるんですね。
もちろん、例えばファイナンスであれば、ファイナンスという特定の分野を勉強することによって最後の学位をもらうときに「Finance Certificate」という形でプラスでもらうこともできますが、あくまで学位は「MBA」なんですね。
その中で自分でどの科目を取得するか、ということだけになります。
特にそういった専攻はせずにいろいろな科目を取った形ですか?
そうですね。私は広くやりましたね。もちろん、テクノロジー・マネージメントというのは興味があって、その科目があるMBAへ行ったので、それは勉強しました。
それ以外は、ファイナンスとマーケティングは最初あまり興味がなかったのですが、必修科目で勉強したら、すごく面白くて。
特にマーケティングは、例えばプライシング戦略だと、価格を幾らにするかって簡単そうに見えるんですけども、アレって企業戦略が凝縮されているんですよね。
それについての授業は本当に面白かったです。
MBAの授業とCPAの科目のところで一緒だったところはありましたか?
一部だけですね。AUDITとかREGのところはMBAではやらないので被っていないですし、財務会計もMBAでやるのは必修で基礎のところだけしかやらないんですね。
今まで会計の知識がない人が今後2年間、授業で財務会計も議論できるように最低限の知識を叩き込むというスタイルなので、必修科目だとアビタスで言う英文会計入門くらいの内容だと思います。選択科目までいくともっと深いところまで勉強もしますが、ただ範囲は広くないですよね。
ビジネススクールの授業って課題図書はたくさん出る一方、授業ではケースディスカッションが主になります。30ページくらいのケースが事前に配られて、それはある企業とか、ある企業の中のある部門、あるいはマネージャーとか、経営者とか、課長クラスみたいな人をターゲットにした実話ベースのストーリーなんです。
「この企業はこういう状況で、こういう問題点に直面しています」といったような状況が書かれていて、「こうした時にこの人or企業はどういう経営判断をすれば良いですか」というようなものを事前に読んできて、クラスではそれを議論するというのが主なスタイルなんですね。
1学期間で、3時間×10回なんですけども、毎回ケースって1個もしくは多くても2個なので、せいぜい10-20くらいしか扱えないわけですね。
だからトピックとしては限定されていて、幅広くやるというよりはひとつのところ、むしろ知識を詰め込むというより経営者を育てる学校なので、「こういう状況だった時にあなたはどういう理由でどういう経営判断をするのですか」というのをひたすら訓練するというイメージです。
そういったケースの中で財務諸表とかの知識も必要になってくるわけですか。
そうですね。
基本の財務3表とかも大体載っています。その辺りの数値を踏まえて、「ここはこういう数値だから僕はこうすべきだと思う」といったような意見を出し合うこともあります。ただ、こういうことがあるだけで、範囲としてはあまり被っていません。
他には経済学が必修でありますね。管理会計は選択科目ではありますが、必修ではないです。こういった感じで、オーバーラップでいうと、たぶん五分の一から六分の一くらいが被っている範囲だと思います。
先ほど、MBAに行っている間にUSCPAを取得する方も結構多いということで興味を持たれたみたいなお話をされていたと思うのですが、それはMBAとはまったく別物として勉強されているのでしょうか?
そうですね。夏休みに集中的に勉強して取りました。夏休みまでは、単位を取るためだけに詰め込みの勉強をしていました。
例えば、RegulationのBasisの話の時は、「とりあえずもう単位が取れればいいや」と理解もせず暗記だけしてテストを受けて単位を取る、といったことをしていたので、夏休みはしっかり勉強しました。大変でしたね。
USCPAの話から少しずれてしまうかもしれないのですが、テクノロジーに関することは具体的にコンサルティングをされているのですか?たとえばR&Dについて提言したりするのでしょうか。
ありますね。ただそれが希望通りにいくかというとそんなことはないので、実際できるかどうかは別として、やっているところはあります。
例えば、今後R&Dのどこを攻めていくかという話で、「あなたの会社って今こことここはいいですけど、こことここはダメですね」「いま業界のトレンドってこういう方向を向いているんで、ココをこのまま弱くしておくとまずいですよ」「ここにもっとR&Dを投資しないといけないんですよ」みたいなアドバイスをしているケースもあります。
私は新卒で総合商社に入って、今はコンサルティングファームにいまして、個人的なインダストリーとしての強みとしては、総合商社で穀物に携わっていたんですけども、あまり長くなかったので、深くインダストリーまで語ったり、教え諭すくらいまでにはなれていないんですね。
そうした状況の中で、戦略系ファームの中でのインダストリーではなくて、機能としてITとかM&Aとか財務とかそういった軸での体制というのはどうなっているのかなというのがありまして、自分がUSCPAを勉強した後にMBAを取得してチャレンジすべきなのか、それとも横軸でのM&Aの機能を備えた上で挑戦をすべきか、自分のキャリアプランをどうするか悩んでいるので、そのあたりの感度を教えて貰えればなと思うのですが。
そういう意味では、いまはどの会社もファンクションで切るという方向に動きつつあります。
昔は、ずっとインダストリーだったのですが、ファンクションていうのももちろん重要な要素というか、むしろインダストリーとファンクションのクロスなんですね。今はお客さんの要求水準がすごく高くなってきているので、インダストリー1本で上から下まで、とかファンクションだけで左から右までというのがおそらく長期的には通用していかなくて。そのクロスのどこかにだんだん絞っていくことが必要になっています。
ただ、今はあまりにもインダストリーで切る方向に寄りすぎているので、ファンクションで強い人を育てていかないといけない。先ほど言ったように、MBAを通してマーケティングに興味が出てきて面白いなと思ったので、僕もファンクションでマーケティングをずっとやっていきたいと思っていて、そういうキャリアプランの作り方っていうのはできるのではないかと思います。
ただ、MBAに行くかどうかは、あまり実は関係なくって、うちの会社もMBAを取っている人って全体の三分の一ぐらいなんですね。
母数としてどれぐらいの方がいらっしゃるのですか?
詳細は分かりませんが、MBAを取ってない人のほうが圧倒的に多くて、採用方針としても、MBAを取ってるか取っていないかって全く関係ないんですね。
当然入った直後のポジションということでは、MBAを取っている人のほうが若干優遇されている傾向にはありますが、それが良いかどうかというのはまた別なんですよ。
上のポジションで入ってしまうと、アップオアアウトって聞いたことあると思うんですけど、だいたい三年くらいで昇進できなかったらクビになるので、ちゃんと最初は下のポジションで入って、足腰を鍛えてから上に行くという考え方もあります。
だから必ずしも上のポジションで入ることが良いというわけでもないし、採用プロセスではそこ(MBAの有無)は見られないので、MBAに行くかどうかは、本当に自分にとって価値があるのかどうかを別の観点から考えたほうがいいかもしれないですね。
ある時期に入ると研修があるからそのタイミングで入らなければならないといったようなことはないのでしょうか。
クウォーターの頭とか、そういうイメージですか?
やっぱり春から秋口にかけてが多めです。一つは、春は日本の新卒が来ます。そして秋はグローバルでの新卒が入ってきますね。
どこのタイミングで入ってもちゃんと研修の体制は整っていて、同じ研修を受けてからプロジェクトに入るという流れになっています。コンサルティング会社は、ケースが働く単位になっているのでこのようなフレキシブルな仕組みが可能なんですね。
ケースというのは、標準的なものだと3ヶ月から、5-6ヶ月くらいのものまで色々あって、一つのケースが終わったら、次のまったく関係ないケースに行くわけです。そういう意味では継続性がなくて、6ヶ月とか3ヶ月とかで切れているので、どこで入ってきても多少ずれても問題ないようになっています。
御社で行われている研修の内容は具体的にどんなものなのか教えて頂けますか。
研修はとても手厚いですね。入社した後、まず集中的に3週間くらい研修をやりますが、そこでは会社の理念から始まり、一通り知識面の話として、定量分析のやり方や定性分析のやり方、インタビューの仕方、スライドライティング、あとはメモの作り方なんて言うのもありますね。そういったスキル系の研修をします。
さらに知識系の研修として、ファイナンス、アカウンティング、マーケティングといったものも一通り受けます。最後に模擬ケースみたいなのをやります。データ収集の仕方、分析の仕方、ディスカッションの仕方といったものを一通り簡単に勉強して、3週間くらい経つと、ケースにアサインされるという形になります。
あとは海外での研修もたくさんあります。ポジションごとにいろいろな研修が用意されているので、今のポジションではもう海外研修はないのですが、次のポジションに昇進したら、そのポジションでの新しい人たちがこれからやっていくための研修を受ける、といったこともあります。ただもちろん仕事の中で身に着けるというのが一番基本で、みんなそこで鍛えるのが大事だという考えではいますね。
御社は国内のお客さんをメインターゲットにしているイメージがありますが、仕事上で英語を使う機会はありますか?
それはお客さんによります。いまは国内のお客様なので英語は使いません。ただ基本的な考え方としては、仕事するときに一人でも日本人以外の人が入った時点で英語になります。
だからお客さんがドメスティックでも、日本人以外の人たちがチームに入ると会議は英語でやります。また、プロジェクト自体も海外とジョイントでやるものも多いです。
何人くらい外国人の方っていらっしゃるんですか?
4分の1とかかな?中国人が多いんですよ。中国からも毎年採用していて、秋には中国から沢山入ってきますね。あとはトランスファーといって、ほかのオフィスとの交換もあります。一時的なものもあれば、パーマネントの交換もあって、各国からきています。それをあわせて、だいたい4分の1くらいですかね。
カズヤさんは英語はどの時点で勉強を始めたのですか。
英語を勉強し始めたのは留学がきっかけですね。省庁での留学の選考に通るぐらいの時からです。それまではほんとに英語が苦手だったんですよ。
全然勉強していませんでしたし、大学卒業するときは定年まで逃げ切ってやる、くらいに思っていたのでずっとやっていなかったんです(笑)ですが、出張で初めてサンフランシスコに行った時の衝撃が強すぎて、これはいつか海外に絶対に出ようと思ったんです。そこでまず英語を頑張ろうという気持ちはできましたね。
省内の選考に応募した年は、たまたまちょっと時間ができて、仕事のないときが1週間ぐらいあったんですね。
そのときふっと「じゃあ今年本気で留学目指すかな」という気持ちが出てきて、そこから勉強しました。そのとき受けたTOEFLテスト(120点満点で、MBAに行こうとすると105点くらい必要)が71点だったんですよ。そこから一年間本気で勉強して、最後105点というところまでいきました。
それはどういったふうに勉強されたのですか?
TOEFLの予備校ですか?
そうですね、オンラインの予備校で。有名なところだとアゴスがありますが、すごく料金が高いので払えないんです。
なのでオンラインでWeb TOEFLという、アゴスの看板講師だった人が自分で立ち上げた比較的安いところを選びました。そこは1科目4万円くらいで受けられたのでこれはいいと思ってやっていました。
それだけで実際のMBAの試験は通られたんですか?入るまでが大変と聞きますが。
ほんとうに英語は大変ですね。TOEFLで10点上げるってとても大変なことなんですよ。
一年で30点以上、上がりましたが、やっぱり仕事はなるべく早く終えるようにして、12時くらいに帰ってから、朝3時とか5時くらいまで勉強して、2時間くらい寝て、起きて、通勤中はリスニングをして、昼ご飯食べながら単語覚えている…みたいなことを一年間やって、やっとそれだけ上がりました。
当然、土日は朝から晩まで12時間以上ずっと英語やっていました。もう二度とやりませんが・・・(笑)
つらかったですね。
その一年間は、特に何かCNNニュースを聞いたりとか、外国の人となるべく話すようにするとか、そういうことは全くなくて、TOEFL対策を中心に行なったんですか?
TOEFLはアカデミックイングリッシュなんですね。だからニュースなどとは文章の構成や出てくる単語も全然違って、出てくる文章もアカデミックの論文みたいなものなわけですよ。だから病名みたいな単語を覚えなきゃいけなかったり、歴史用語、数学の単語とかも覚えないとわからないので、やっぱり勉強の仕方が普通のものとはちょっと違うと思います。
それで実際にアメリカに行かれてからは大学院に通うアメリカ人や海外の方たちとも会話もスムーズにいきましたか?
最初は全然できないですよ。TOEFL105点で行っても本当に通用しないですね。一応そのくらいのレベルになると、ニュースなどははっきりとゆっくり話してくれるので聞けるようになりますし、大学のレクチャーも、教授はいろんな国から学生が来ていることをわかっているので、ゆっくりはっきり話してくれるから授業はそんなに苦にはなりません。
ですが、やっぱり同級生との会話や、ネイティヴ同士の会話、あとはネイティヴの授業中の発言もわからないです。
彼らは外国人学生のことはお構いなしにマシンガントークでしゃべるので、最初何言ってるのか全然わかりませんでした。「やばい、ここで生きていけるかな」みたいな気持ちになりましたね。
それはもう慣れですか?
そうですね。やっぱり三か月くらい経つとだんだん慣れてきて、実は彼らが大したことを言っていないのがわかってきます(笑)
日本人はきちんと考えてから発言しますが、彼らは本当にお構いなしに言いたいことをどんどん言うんですよね。
たとえば、同級生のひとりは、どの会社のケースをやっても、「アップルの場合は・・・」みたいなアップル信者で、「アップルだとこうだからこの会社もこうすべきだ」みたいなことを毎回言っているクラスメートがいました。
そういうのもだんだん聞こえるようになってくると、あんまり大したことはないな…って安心してきます(笑)
私は今までUSCPAを持っている方は監査法人で働いている方しかお会いしたことがなかったので、コンサルで働かれているUSCPAの方もいらっしゃるという話を始めて聞いたのですが。
監査法人で働いていてコンサルに転職したいという方や、いまの会社でベースを築いてからコンサルをしたいというような方が私の周りにはいるのですが、そういう方もやはりいらっしゃるのですか?
いますね。公認会計士で監査法人から来る人もいます。毎回5%くらいはいる気がしますね。
USCPAだと監査法人よりは投資銀行上がりで持っている人が多いです。投資銀行は、入社する前後にどんな資格を取ると良いですかと聞くとUSCPAが良い、と言われるらしく、投資銀行上がりの人で持っている方はわりといますね。
コンサルのあとは何をしたい、とかはありますか?たいてい在勤年数が3-4年くらいのイメージなのですけど、CPAを活用したなにかに行くのかそれとも・・・?
USCPAを直接活用するという、つまりまさに監査をやる、ということは考えていません。ただ、財務分析などはどこに行ってもついてくる話なので、そういう意味ではどこにいっても使うんだろうなという気はしています。
さらにUSCPAの試験で身に着けた膨大な知識っていうのはちょこちょこ役に立ちますし、それは意図せず役に立っていくんだとは思います。今はまだはっきりとしたプランはなく、今の会社でできるだけ働きたいなと思っています。
いずれにせよ将来的には経営をやりたいというのはありますね。経営と言っても、できればパブリックセクターに戻りたいと思っているんです。だから国際機関に自分で応募していく、といったくらいしかないかなと思っています。最近はけっこううちの会社からも国際機関に行くので、それもいいなあと思っていますね。
たとえばどのような機関に行かれるんですか?OECDとかUNEPとかですか?
ワールドバンクや、EBRDですか?
そうですね。開発銀行系がやっぱりメジャーです。
僕が前の仕事を辞めたのも、パブリックの仕事が嫌だから辞めたというよりは、ここにいても成長しないなと思ったからだったんです。管理職になるためには僕のところだとあと15年くらい働かないといけないんですけど、それまでに身につくことってほとんどない気がしたんです。
逆に、MBAでビジネススクールに行くと、同級生は企業の管理職として採用されるわけですよ。やっぱりMBA上がりっていうのはグローバルでみると専用のトラックが用意されていて、だいたい日本でいうと課長ぐらいですかね。
まあ部長くらいで行く人もいますけど、大方、課長くらいのポジションを与えられて、部下も与えられます。そこで成果を出せばちゃんとお給料も出るし、ポジションも上がっていく、でも成果をださなかったらクビになるっていう厳しい環境でこれから彼らは生きていくんですよね。
だからこそ20年とかその世界にいると、最終的には国際的に有名な大企業のCEOなどになっていけるんだろうな、みたいなのを漠然と思っていました。かたや役所に帰るとなると、僕の年次だと次は課長補佐というまさにただの調整役のポジションなんですよね。
僕の場合、過去に上の役職の人がいなかったこともあって、それまでの段階で結構課長補佐のような仕事もやらせてもらっていたんです。それにほかの課長補佐の仕事を見ていても、その中で新たなスキルはそんなに身につくイメージが湧かず、役所に戻って10年働いていたら僕は世界で戦えない人間になる、と思ったのが一番大きな要因でしたね。
留学したA校はシリコンバレーからそう遠くないと思うんですけど、やっぱりベンチャーの人や技術系の人、プログラミング系に強い人でやってこうみたいな空気ってありますか?
ありますよ。やっぱり卒業生のうち1割弱くらいは自分で会社を興すので。A校のある場所はベンチャー集積地として注目されていて、そういう意味では、ハイテク系の人たちがすごく集まってきていて、卒業生もハイテク業界に行く人が多いんですね。
ほかのビジネススクール、とくに北とか東海岸ですと、金融系やコンサルが多いんですけど、A校は3割くらいがハイテク業界にいきます。やっぱりテクノロジーに興味あってという人はいっぱいいますね。
B校やC校とかも似たような雰囲気ですか?
私は技術系で博士とかそういう方面を考えているんですけど…
学生の頃ですけど、一度私もシリコンバレーでの研修があって、とても良いなあ、あの場にいたいなという感覚が確かにあります。あそこに行ったら何かできるのではないかと…。
とりあえず会社からお金をもらえないかなと思っているんですけど…(笑)
MBAとUSCPA両方持っていますという時に、選択肢としては、コンサル以外にもちろん投資銀行もあり得たと思うんが、あえてコンサルにした理由は何でしょうか?
また、コンサルの中でも、お声が最初にかかったのが今の会社だったっていうのもあるんでしょうけど、なぜ今の会社を選んだのですか?
一点目の質問についてですが、僕の場合は前職の経験から、投資銀行っていう選択肢はたぶんないんですよね。
投資銀行の採用担当に言われたのは、金融に殆ど触った事もないのにいきなり採用するという事はしないから、もし来たいのならば、コンサルとか事業会社とか一回挟んでから、もう一度応募してみたら、みたいなことは言われました。
それと、もともとあまり行こうと思ってなかった、っていうのがあって。なんだかんだ言って、最初に公務員をやるくらいなので、人の役に立ちたいっていう気持ちがすごく強いんですよね。
投資銀行でそれが出来ないかというとそれはまた別の話なんですけど、今コンサルでは自分のやりたい事というか、その信念に沿った仕事ができているんですね。ある仕事をやるかやらないかの基準は、それがお客さんの為になるかならないかっていうだけで、それ以外の基準は一切持ち込まれないので。コンサルに行く前からそういう風に聞かされていたし、それだったら面白い仕事ができるかなと思ったので、コンサル以外は考えてなかったですね。
どうして今の会社だったのかというのは、まあ一番大きい理由は最初にコンタクトをもらって、っていうのもあるんですけど、社員と話している時に、その社員の人がすごく魅力的だったんですよね。具体的には、頭がいいっていうのは当然なんですけど、それ以上にすごく誠実だし腰が低いというか、、やっぱり最後は一緒に働きたいかどうか、が決め手になるんですよね。
それまでに会った人っていう限られた情報の中になってしまうんですけど、面接とか懇談会とかで色々話を聞いていく中で、この人たちと仕事をしたら面白そうだなっていうのがやっぱり一番最後に来ますね。
留学へ行くまでは、転職とか考えていたんですか?
考えてなかったですね。ただいつかは辞めるっていうのは思っていて、それは省庁で勤めあげるつもりはないっていうのは、入る前から決めていた事でした。それがいつのタイミングかっていうだけの話で。ただ留学へ行く前は辞める事は一切考えていなかったんです。むしろ「留学へ行ってすぐ辞めちゃう奴なんなんだよ」って(笑)
というのも、その時から不満はいっぱいありましたけど、組織ってそんなもんだっていうのがあったんですよ。そんな面白い仕事ばかり転がっているわけじゃないし、理不尽な事だらけの中でやっていくのってどこの世界でも変わらないだろうっていうのがあったので。
そういう割り切りの元、別にすぐに辞めるつもりは全くなかったんです。留学先で、ボランティアでコンサルティングプロジェクトをやったのがきっかけになりました。結構学生で集まって地元の企業とかに対してコンサルをやるんです。
そういう仕事をやったりとか、あとインターンもコンサルティング会社に行ってやったら凄く面白くて。仕事の内容にストレスを感じないというか、コンサルティングというのは体力的には凄くしんどい職業ですけど、さっき言ったようにお客さんのためになるかならないか、という事だけ考えているんですね。霞ヶ関でやるような、政治家が言っているから嫌々やるみたいな、まったく各省庁間の調整がつかなくて思考停止状態で仕事している、みたいなのはないんですよね。
そういうストレスがない事に対してすごく、こんな面白い仕事が世の中にはあるんだってなって。そしたらこんなに面白い仕事があるのにまたあれに戻るのか、、、みたいになってしまって。さっき言ったようにあんまり成長も出来なそうだし、と思って、辞める組に入っちゃいましたね(笑)
実際、MBAへ留学とかをされて、引き続き残ってらっしゃる方もそれなりにはいらっしゃるんですか?
でも自分で受からないことには行けないんですよね。
いろんな世界を見てしまうんですかね…。
民間でも一緒ですよね。MBAをとってすぐ辞めてコンサルに来る人はいっぱいいますよ。
うちの場合、辞める人が多くて、長い間、停止していたんですけど、そうするとあまりにも良い人材を作り難くなるので、2年くらい前から人事部が候補を決めてます。うちは予備校代も全部出して行かせていますね。
駐在員待遇扱いで、ボーナスも全額出ますからね。。
奨学金制度って調べてみるといっぱいあるんですよ。国ではなくて民間でも、フルブライトとか。フルブライトは半分国みたいなもんですけど。あとはなんとか財団みたいなところは、全額は出ないですけど、授業料年間300万とか、結構出してくれるところあるんですよ。10個くらいあったかな?
そういうところに打つだけ打てば一個くらいは通るので。ぜひチャレンジしてみると良いかなと思います。僕ももう一回留学行きたいなと思っているんですよね。
今度は何で留学されたいのですか。
MBAで採ってくれるポジションって財務とかファイナンスとか、あとは会議マネジメントみたいなあんまり面白くなさそうなので…(笑)開発とか投資とかの仕事をやりたいですし、そっちだとやっぱり行政とか経済の修士号、できれば博士号が良いみたいなんですけど、、持っていないといけないので。それでやっぱり行きたいなとは思っていますね。
またアメリカですか。やっぱり留学するとしたらアメリカが一番…?
個人的にはシンガポールに興味があるのですが…。
今のコンサルでやってるビジネスモデルなんですけど、基本的にはフローでプロジェクトを取ってきて回して終わりっていう形なのか、あるいは某社とか最近IT系にちょっと足を突っ込みながらストックで儲けようっていうビジネスも若干あるって聞いたことがあるんですけど、そういうふうなビジネスモデルなのか、どちらなのでしょうか?
たとえばSAPとかを導入して、その運用補修費を一部インカムとして貰ったりとか、某社とかもそうだと思うんですけど、そういったビジネスモデルっていうのもちょっと導入しているのか。。。
プロジェクトってずっと続くわけじゃないと思うので、人を大きく抱えたりすると、なかなかインカムがショートしたりすることはないかもしれませんけど、御社の場合はその辺がどうなのかなと思いまして。
幹部もそのやり方がうちの出す価値だと思ってないだろうし。
役所時代とどちらが忙しいですか?
役所って結構部署とか時期とかで忙しさが変わりますけども、今は安定してそれなりに忙しいです(笑)今は、朝が苦手なので10時くらいに行って、0時くらいにはオフィスを出るようにしているんですけど、どこで仕事をしていても良いんです。だから家に帰ってきて、それから3時とか4時くらいまでやって、朝ちょっと遅めまで寝て、出勤みたいな感じです。だいたい4時間は寝るようにしていますね。役所と違うのは、頭の使い方で、頭に対する負荷が違うんですよ。寝てないとミスもしちゃうし、良いアイディアも浮かんでこないので、無理に寝た方が良いんですよね。だからどんなに忙しくても4時間は寝ようと思ってやっています。
役所の時はもっと寝られない時とかもあって、1日2時間ってサイクルもあれば、20時とか21時くらいには帰れるって時もありましたね。ワークライフバランスとか言っている人はたぶんうちに来ちゃダメかな(笑)むしろライフの一番大事な事がワークなんだって言える人じゃないとやっていけないと思います。事実として。
奥さんとか、それに対してはもう何も言われないですか?
だいたい3-4年で転職される方が多いですか?
言える範囲で構わないんですけど、パートナーってどれくらいの給料のイメージなんですかね。
会社の社長さんとか部長さんとかに会いに行って、「こんなことお手伝いできますよ」って言って、プロジェクトを買ってもらうと。で、その買ってもらった額に応じてお給料が決まるんです。営業活動の実績ベースになるので、ほんとに人によって違いますね。億を越える人はあんまりいないって話は聞きます。そこは投資銀行との違いですね。投資銀行でバイスプレジデントとか、パートナーで、億越えていない人っていないですから。
留学先にA校を選んだ理由というのは何かあるんですか?
その中で受かったのが、A校、D校、E校の三つ。A校を選んだ理由は二つあって、一つは技術を勉強したかったんですね。A校だけはテクノロジーの専攻がありました。しかも地元にバイオベンチャーとかITベンジャーとかいっぱいあって、整った環境だなと思ったのが一つ。もう一つは奥さんを連れて行くからっていう理由でした。
それまで海外に出たことがなくて、その留学に付いて来たのが初めてだったんですね。で、D校とかE校だと英語を話せないと全然生活できない環境であるのに対して、A校ならば日本語だけでもなんとかなってしまう。やっぱり家族にも楽しい2年間を送ってもらいたかったのでA校にしました。
推薦状はどういう方に書いてもらうんですか?
やはりエッセイの方が大事なのでしょうか?
だからそこでは差がつかなくて。内容を読んでいて記憶に残るかどうか。書類審査に通る倍率って高ければ10倍くらいなので、他の人と同じことが書いてあれば、記憶に残らずにその他大勢にくくられて終わるんですね。そこは普段のビジネスと一緒で、いかに差別化するかっていうところで、他の出願者と差別化できた人が審査に通るし、他の人が書くようなことを書いている人は通らないですね。審査官の目に留まらないです。
彼らもすごい忙しく、時間のない中で何百通というエッセイをひとつ2-3分とかで読んで決めるので、その中で「あ、こいつ面白い」って横にぱっと分けてもらえるようなものを書かないと落ちてしまいますよね。
ちなみにさっき3校受かったとおっしゃっていましたけど、出願されたのって?
けっこういい加減に出す人も一杯いるので。
他の学部というか、学科の人たちと関わりってありますか?
今の会社ですと、女性の方とかもいますか?
どんな感じで?サポート業務だったりとかですか?
USCPAを取ってる方とかもいますか?
12時まで働かないといけないっていうのはちょっと…びっくりしますよね。
で、その仕事を振る相手がパートタイムとかで半日しか働けないということであれば、「競合分析のうちのココだけやってください」みたいにして振る事が出来るので、わりとそこはフレキシブルなんですよね。。
最初からそれが前提では出来ないですけど。基本的には女性でもキャリア志向が強い人が多いので、子育てはナニーさんを雇って任せちゃうし、家事は毎週家政婦さんを雇って来てもらってやるっていう人も多いです。結局、旦那さんと二人でそういう仕事をしていると金には困らないわけですよ。そういうふうに割り切っている人もいますね。
ちなみにフロントオフィスの男女比ってどのくらいなんですか。
一般的な質問なんですけど、とある業界のこの会社を担当します、他方で、その競合の会社を担当します、ってことはあるんですか。
勉強関連で、なにかコツみたいなのってありました?
でも全部理屈があって、ああなっているんですよね。例えば、ファイナンスリースの割引率って、要はお金を借りているのと一緒だから、会社の借入利子率が分かっているんだったら、それで割り引きましょうって、それって当然じゃないですか。借りてるのと一緒って。
そういうふうに理屈をつけて覚えると、忘れなくなるし、試験中でもすぐ思い出せるし。そういうところまで持っていけると、点数が出ないってことはないと思うんですよね。だからとにかく理由までちゃんとおさえるっていうのは大事ですね。
まとめノートとかってつくられたりしました?それも頭で?
で、理由がこうだからこうだっていうのを掴んでおけば絶対忘れないですよね。今はもう忘れちゃってますけど、少なくともテスト受けるまでの半年とかで忘れることはないのでそこまでやると良いと思います。皆さんも頑張って是非合格してくださいね。