第120回 USCPA CMレポート 会計系コンサルティングファーム特集!
実施日: 2015年10月17日(土)
【Guest】 こげぱんさん
ゲスト紹介
大学卒業後、国内通信会社に入社し、3年間勤務。
営業とSEをそれぞれ経験した後、国内コンサルティング会社に転職。
バックグラウンドを活かし、通信・メディア業界のクライアントを中心に、事業企画支援や業務改善・改革のPMOなどのプロジェクトに従事。
仕事には満足していたが、コンサルタントとして特定の専門領域を確立したいという思いから、USCPAの学習を開始。
資格取得後、大手会計系ファームを中心に転職活動を行い、現職に至る。 現在は、会計・財務のプロジェクトを中心に、プロジェクトマネージャーとして現場を取り仕切る。
- USCPAゲスト
- 参加者
- 司会
Q&A
コンサル業界で仕事をしていく上でどのように情報収集をされていますか?
特別なことは何もしていなくて、基本的には日経新聞は毎朝読みますよね。
それを読む視点としては、自分のクライアントさんのニュースが出ていないかというのは当然チェックしますし、それと関連する業界のニュースが何か無いかもチェックします。
そして、今はIFRSの業務をやっているので、それに関連するニュースがないかをチェックします。
そうした基本的な事をやっているというのが日々の情報収集活動になります。
コンサルタント特有なのが、プロジェクトベースで仕事をしていくので、3ヶ月後は今とは全く違った仕事をしているわけですね。
例えば、経理のシェアードサービス化をして、それをアウトソーシングしましょうと言うような仕事に就いている可能性もあるわけなので、プロジェクトが始まる前というのは、新しく始まるプロジェクトについての関連書籍を数冊は読んで頭にインプットして、というプロジェクトに向けての情報収集というのはかなり他の業界とは違う収集の仕方かなと思いますね。
今は財務経理専門のサービスを展開しているチームにいるので、業界の特殊性が出にくいところなのかなと思います。なので比較的、製造業のお客さんとか、小売業とか、そこに関しての共通性を見い出して、サービスを提
供していく事が出来るという意味ではあまり馴染みのない業界でも取っ付き易いのかなと思います。
財務経理ベースでやっているというのは、製造とか小売以外もあるのですか?
そうですね。うちのチームで扱っているクライアントは、一貫性が無いです。
では、そのプロジェクトのチームメンバーが入れ替わったりということはあるのでしょうか。
そうですね。
プロジェクトベースで仕事をしていくわけなのですが、プロジェクトの期間って3ヶ月から、長いもので2年位で、3ヶ月であればチームメンバーが入れ替わるってことは殆ど無いですけども、1-2年ということになると色々な事情が出てきますし、本人のやりたいことが出来ないとチームメンバーの入れ替えが起こってくるんですね。
そこはチームの中の調整、お客さんとの調整ということになります。
監査法人とかファーム系の特有の職位とか、プロジェクトの振られ方をもう少し詳しく説明してもらえますか。
コンサルタントの仕事の基本としては、社内の中にサプライチェーンをやるチームとか、CRMをやるチームとか、私みたいにファイナンストランスフォーメーションというか、財務経理部門の改革をやるチームとか、およそのサービスラインでチームがまず形成されています。
あとは業界特化というか、自動車や電力などの業界の特殊性が出るところでは業界という切り口でチームが編成されたりしています。
働き方はプロジェクトベースになるので日々のルーチンワークというのが無いんですね。
例えば、お客さんから「IFRSを導入したいです」という仕事をもらったら、そこに対して、メンバーが集められて、1年とか2年とかかけてプロジェクトを行なっていくんです。
そして、終われば、そこでプロジェクトメンバーは解散となって、次のプロジェクトがくるまで待っている状態になります。
これが私が事業会社からコンサルに入って、一番のカルチャー・ショックというか、プロジェクトが入っているときは凄く忙しいんですけども、入っていない時には殆ど仕事が無いというか、勤務時間に勉強をしたりするんですね。そこが長く続いちゃう時もあります。
なので、次のプロジェクトまで1ヶ月とか、2ヶ月とか開くと、最初は良いんですけども、やることがなくて、、という期間があるというのがコンサルタントの仕事の特徴なのかなと思いますね。
あとは監査法人とかですと幾つもクライアントを持って、仕事を回していくので、あまりその期間が出なかったりしますが、私の会社はひとり一案件入るという形なので、複数案件は関わらないんですね。
そうすると一つの案件が終わっちゃうと待ちの期間が出ます。
でも、コンサルティングファームの中には複数案件を持つところもあるので、そこは会社によって違うところかなと思います。それと監査法人系のファームなので、監査法人の方と一緒に仕事をする機会が多いです。
向こうは日本の会計士資格を持っている方ですし、会計の知識が凄くあって、私もUSCPAは持っていますが、やはり会計の知識となると彼らには全然及ばないところなので、そこは協業しながら、自分の得意領域をクライアントに提供していくというのが大きな住み分けになるかなと思います。
誰が仕事を取ってくるのでしょうか?
これもコンサルティングファームによって色々あると思うのですが、私の会社は親会社が監査法人なので、監査のお客様からIFRSの導入をしたいとか、地域統括会社をシンガポールに建てたいとか、そうした相談を受けて、コンサルティング部門に仕事が来ることが多くて、シニアマネージャーとかディレクターとか、パートナーなどの職種の上の方が相手の部長さんとか役員などと折衝して、仕事を取ってくるというパターンが多いです。
なので、私はまだコンサルティングの営業活動というのはしていなくて、やらなくても仕事はくるので、それを現場でリーダーとして、回していくというのが中心になります。
プロジェクトというのは何名くらいでやっていくものなのですか。
それも色々ですね。多いのは3-5名ですね。
中には大規模プロジェクトもあるのですが、コンサルタント一人を雇うFeeって結構な金額なので、お客さんの体力もそうですし、なかなか10-20名の規模でというのは少なくて、3-5名で短い期間で成果をあげて、次のお客さんにいくというのが多いですね。
朝から晩までの仕事になるのですか?
そうですね。プロジェクトに入っているときはかなりのハードワークになると思います。
今ですと9時にクライアント先に行って、21時に帰るのですが、その日の整理をして、23時とかまで仕事をしている事が多いです。
クライアント先に自分のデスクがあって、そのクライアント先の方たちと同じように仕事をしていくという話をよく聞きますが、そんな感じですか?
働き方もいろいろあって、お客さん先の社員と同じように働く常駐型のプロジェクトもありますし、会社のオフィスは勿論あるので、そこで基本は仕事をして、ミーティングの時だけお客さんのところに行くという働き方もあります。
ただ多いのは、うちの働き方として、ひとり一案件ということで、お客さんと蜜にやっていこうというスタンスなので、一緒のワーキングスペースで働くことが多いです。
私も殆ど会社のオフィスにいないので、同じ会社のスタッフを全然知らないんですよね。
コレも私にとってはカルチャー・ショックで、普通の会社ではありえないですよね。
IFRS導入というのはどのくらいのFeeが発生するのでしょうか。
期間と人数に比例してくるんですね。
今、経済産業省からレポートが出ているのですが、IFRSでシステムとか業務改革を除いた部分でどのくらいかかるか出てるのですが、1億から5億のレンジということになってます。
SE的な仕事も含むのですか?
それも住み分けになるのですが、IFRSに伴なうのシステムの部分は、私達のサービス領域ではないので、会計方針を作るとか、経理処理の仕訳のやり方とか、それをどういう勘定科目で計上していくのかとか、そうした細かいことを規定して議論して、ドキュメント化していくというのが中心の仕事になります。
コンサルティングファームだとITとNon-ITみたいな分かれ方をするので、だいたいひとつのファームの中に両方のバックグランドを持っている人がいて、ITのバックグランドを持っている人はシステム開発とかシステム構築とかの仕事を中心にやりますし、私のようにITのバックグランドを持っていない場合には、Non-ITというところで主に業務改革とか、アドバイザリーサービスとかを中心にやっていくわけですね。
転職に向けてどのような準備が必要だと思いますか?
私は元々コンサルティングファームに転職をしたいと思っていたので、その場合の観点で行きますと、うまく自分のバックグランドをひも付けてあげるというのは重要なのかなと思いますね。
中途採用の場合というのは採用側の目線としては、その人がどのような業界の知見があるのかは必ず見るところだと思います。
うちにもファイナンスチームと言って証券会社とか保険会社を中心にサービスを提供するチームがあるので、そこにはそうした業界の知識がある方が多く採用されるわけですね。
なので、今まで何をしてきたのかというのはひとつベースになるところで、そこで自分が何をできるのかをしっかり整理するのが準備としては必要かなと思います。
私のように元々は通信の業界にいたけども、経理とか財務の領域をやりたいという時には、資格をひとつのフックとして、会計士さんとバッティングしちゃう領域にはなるんですが、会計士さんがあまり得意じゃないと思われるプロジェクトマネジメントのところは経験としてあるというのをアピールしていくと今までやっていた領域とは違うところへ行けるというのがあると思います。
どういった戦略で行くかというのは、中に入って、何をやりたいのかというのをある程度、明確化する事で決まってくるのかなと思います。
新卒はどうですか?
新卒でコンサルティングファームに入る際のポイントは、英語力だと思います。そこがうちは重視していて、うちのグローバルと連携してやる仕事が増えていて、英語力がないと活躍できないというシチュエーションへどんどん変わってきているというのを実感しています。
なので、英語を勉強するという意味と会計を同時に勉強できるという意味でUSCPAというのは就活にも役立つのではないかと思います。
ワーク・ライフ・バランスという言葉を良く聞きますけども、ふだんの勤務時間というのはどのような感じですか?
日々の生活の中でのバランスというよりかは、プロジェクトがあるときは忙しいですけども、長期休暇は取りやすかったりするんですね。
よくいるのは、1ヶ月くらい休んで、海外へ旅行に行くというのがあって、普通の会社だと早く帰って、アフター5は家族とか、友人と過ごすという感じかと思いますが、コンサルティングファームはプロジェクトが入っているときは比較的忙しいけども、それが抜けたら、プロジェクトが空いている期間を使って余暇を楽しむというバランスの取り方になると思います。
長期休暇は事業会社よりも取りやすいと思いますね。日々のルーチンワークには参画しないので、プロジェクトが終われば、まとまった休みがとれるわけです。
プロジェクトに全然入れなくて、空白の期間が続くという場合もあるのですか?
ありますね。
私も昨年、そういう時期があって、たまたまなんですけども、提案がことごとくロストしてしまって、3ヶ月くらいプロジェクトに入れない期間がありました。
ただその時でも提案活動を手伝ったりはするので、完全に暇になるということはないです。
プロジェクトに選ばれるかどうかは自分の提案次第なのですか?
社内である案件が取れそうだという時には、どういうメンバーがプロジェクトに適しているかというのをプロジェクトリーダーとかが設計をするので、それに合ったメンバーを招集する感じです。
ただやっぱり財務経理の仕事というのはある程度、そのスキルがあるメンバーというところでチームが形成されるので、多くはそのチーム内からメンバーが形成されていくということになります。
だから基本的には仕事が無いという状況はあまり生まれないんですが、タイミングとか景気環境に左右されてしまう部分はあるのかもしれないですね。
プロジェクトが成功したとか失敗したというのはどういう基準で決まるんですか?
失敗という失敗は無いんですが、どういうのが失敗かというと、例えば、IFRSをこの期に開始しようとお客さんがコミットして、それに向けて我々は準備をしていくんですけども、それに間に合わなかったとか、当初予定していた予算よりも膨らんじゃいました、というのはクライアント先にしてみたら、失敗ですよね。
ですので、我々が求められるのは、期間とか、クオリティーとか、コストを当初予定していたとおりにしっかり収めるということです。それが出来なかった時が失敗になりますね。
そういう意味では、やはりプロジェクトマネジメント能力がコンサルティングファームに求められることかと思いますね。
会社内でも英語力というのは必要なのでしょうか?
必要ですね。
特に経理財務領域をやるとクライアント先のほとんどが、大きな会社で、海外に子会社を持っているところばかりで、それがないところのほうが少ないんですね。
経理の基本的な仕事は数字を集計してくることになるので、当然、海外の子会社からも月次とか四半期とかの情報を集めてきます。その時にコミュニケーションってどうしても発生してくるので、英語力がないと活躍できないという状況で、それが今後、どんどん増えていくのかなと思います。
今もIFRSをやっていく上では、例えばシンガポールの子会社のCFOとこういう会計方針でやっていくという話を英語でしなければならないので、そこは避けては通れない道かなと思いますね。
英語力と会計力、それとプロジェクトマネジメント能力がある人材というのは凄く少なくて、そういう意味ではUSCPAでふたつはカバーできるという点で転職活動をしていく中で非常にアピールになる資格だなと感じます。
もし時間があるとしたら、次は何を勉強したいと思いますか?
私はやはり日本をベースに働くというのが念頭にあるので、そうした時に親和性が強いという意味では簿記一級かなと思っています。
USCPAを勉強していれば、体系的に会計の基礎は勉強しているわけなのですが、日本のお客さんなので、細かいところというのはやはり簿記一級レベルの知識が無ければ会話ができない部分があるんですね。
会社の中でUSCPAを持っている方はどのくらいいますか?
今、10人のチームなのですが、3名が合格しています。それと2名が今、勉強中ですね。
社内で取得しましょうという動きがあるのですか。
会社では特に推進をしているわけではないですけども、取り組みとしては簿記二級レベルの知識は持ちましょうという事で、新しいメンバーにはそのように伝えています。
どちらかと言うと我々が接するお客様というのはCFOとか経理部長とかだったりするので、しっかりとした知識の裏付けがあると安心するわけですね。
いくら経験があっても、最初のところというか、仕事が始まる瞬間というのはどういう人間かはわからないので、そこで資格を取っているというのは、お客様の安心感に繋がるんですね。
そういうこともあり、メンバーにもそうした動機付けがされているんだと思います。
英語の勉強はどのようにされていたんですか?
試験の文章が英語だったので、資格勉強中は、それを読むというところを中心にやっていました。
逆に資格取得後は聴く力と話す力が基本コミュニケーションの前提になるので、レアジョブとかを使いながら今も英語を勉強しています。
英語力が全然なくて、USCPAの勉強を開始し始めた頃は、TOEICで500点位で、合格した時も700点くらいしか無かったんですね。
やはり仕事で使う上で、もう一段、上に行くために英語の勉強を継続してやっていかなければならないと思っています。
転職をされた時の点数はどのくらいだったのですか?
710点くらいですね。
日本人は自分から話すのが苦手だとよく言いますけども、会議などで海外の方と意見を交換していく中で、英語の面で苦労はしましたか?
今も現在進行中で苦労していまして(笑)、会議で発言をしない人がいるというのが向こうにとっては違和感があるんですね。
下手でも話して、考えているというのを言うのは意識しています。相手が何を言っているのかよくわからなくても、自分はこう思うと話すことが相手へのアピールという意味でも必要だと思いますね。
ただ勿論、しっかりコミュニケーションが出来ないといけないなと思って、会社に入ってからは英語を凄く勉強をしています。
普段の業務の中で英語を使うシチュエーションはどのような時なのでしょうか。
プロジェクトの特殊性ってのはあると思うのですが、IFRSは基準が英語で出てくるので、英語で文章を理解する必要があって、そういう意味では、USCPAである程度、会計の英語の専門的な言葉遣いに慣れておくとスムーズに入っていけると思うんですね。
それと海外の子会社に対して、レポーティングを求める立場の経営管理とか部門のお手伝いをしていくので、クライアント先の海外子会社の現地スタッフとのコミュニケーションで英語が使われてくるのが中心になると思います。
そういった機会は多いのですか?
多いですね。触れないで行くほうが難しいと思います。
コンサルティングのやりがいというのは何になりますか?
プロジェクトベースで仕事をしていくので、自分一人が欠けるだけでもプロジェクトが回らなくなってしまうんです。
そうした中での責任感とプレッシャーはあるんですが、それを乗り越えて、しっかりプロジェクトを完遂させることが出来ると達成感はありますし、お客さんから「あなたがいなかったら出来なかった」と言うふうに凄く感謝される仕事なんですね。
あるプロジェクトという期間の絞られたところで、限られたメンバー、限られた時間の中で達成していくところにやりがいを感じます。
プロジェクトに入れてもらえないで辞めていく人とか、辞めさせられる人はいないんですか?
それは結構いますね。
入れてもらえないというより、自分のやりたいプロジェクトに入れないというところで辞めていく感じです。
例えば、USCPAに合格したので、それを活かしたいと思うんですが、活かせない仕事も中にはあるので自分のやりたい事とのギャップが出てきて、辞めてしまうというケースはあると思います。
会社から辞めさせられるということは無いのですか?
基本的には無いですが、、、無くはないという感じですかね。
それはどのような理由になるのですか?
クライアント先から評価されない場合ですね。「あの人はメンバーから外して欲しい」という事が2回、3回と続くと、、ですよね。
結構、合う、合わないというのがあるのかなと思っていて、ある会社でうまくいかなくても、会社を変えるとうまくハマってくるということもあるので、そこは上司の相性とか、お客さんとの相性で決まる部分も少なくは無いのかなと思います。
USCPAとかしっかりした知識にもとづいて仕事をしていると相手を知っているというのが確実に強みになるんですね。
だから、資料を作るのがうまくなかったり、会議での言い回しが下手でも、知識があるというところで、知恵袋的な存在で重宝されるんです。そのように知識ベースで仕事をしていくというのは安定しやすいのかなと思います。
必要なスキルとか、早めに取り組んでおいたほうが良いことは何かありますか?
既に少しお話をしている部分もありますが、やはり英語力は分り易いアピール材料になりますし、プロジェクトベースでの仕事になりますので、プロジェクトマネジメントのスキルが必要かなと思います。
あとは自分が在籍している仕事での強みを掛けあわせていくのが大事なのかなと思いますね。
コンサルティングで上にあがっていくというのは成績とか業績を残していくという事なのでしょうか。
そうですね。そこしかないですね。お客さんに評価されると言うのが重要なポイントになりますし、それが結果的に上司に評価されていくわけですね。
うちの会社ですと何年間、その職階にいなければならないというのがないので、上がっていくメンバーはすごい勢いで上がっていきますし、逆に何年も上がれないメンバーもいて、競争が激しいところではあります。
入社直後に仕事を覚えるというのは、先輩に付いて、プロジェクトをこなしながら教えてもらう感じですか?
基本はOJTのような形でやることが多いですが、どちらかというと自分でキャッチアップしていく力が求められるのかなと思います。
勿論、未経験領域であれば、そこの経験者から最初は色々と助言を求められたりはするのですが、足りないものが何かとか、それに向けてのキャッチアップは自分でやっていかないとなかなかプロジェクトで活躍していくことが出来ないのかなと思います。
基本は放置されてしまうので、そこでどうやって食らいついていくかだと思いますね。
プロジェクトに関しては、その都度、違った業種になりますか?ある程度、固定された業種が回ってくる感じでしょうか?
全然、違う業種もありますね。
ですので、何が起こるか、全く予想は出来ないところにあるので、次の日には食品のお客さんになるかもしれないし、自動車のお客さんかもしれないので、そこで新しい業界に対しての情報収集とか、キャッチアップをすぐ、早く出来る事というのはひとつのコンピテンシーになるのかなと思います。
IFRSを導入する為のお手伝いということかと思うのですが、具体的にはどういう事なのでしょうか。
クライアント先には、海外に子会社があって、会計方針としては、基本的にグローバルで統一するものになるので、例えばわかりやすいところで行くと収益の認識の基準が日本だと出荷基準で、グローバルでは着いた時に収益をあげようとなっていて、当然、違いが出てくるので、それを合わせないといけないわけですね。
そうすると売上のタイミングが変わるって、大きな影響ですから、業務プロセスをどうしようとか、ITシステムに影響が出ないかなどを考えなくてはならないんですね。
子会社に対して、親会社に合わせろというと反発があるんです。それを説得していくのも大きな仕事になるわけですね。
その説得は本来、もとのクライアント先の人がやるような感じがしますが、そうではないんですよね。
お客さんが送るメールの英語の例文をうちのチームが作っていたりします。そういうことも普通にあるんだ、という状況で経理人材のグローバル化というのは、日本企業の大きな課題かなと思いますし、そこにサポート役で入るというのは凄くハマるのかなと思います。
働いていて、USCPAはこれからも活躍ができるという感じはしますか?
それはしますね(笑)。
しますし、私はふたつの使い方をしていると思っていて、ひとつは転職するときの道具として使っていて、もう一つは会社に入ってから、学んだことをしっかり活かして、使っているという側面でこれからも重要なスキルなのかなと思います。
特にやっぱり会計と英語の組み合わせって、日本の会計士さんにはないものなので、これからも活かせるスキルなんじゃないかと思います。
USCPAの学習は、2009年から約4年近く掛けたんですけども、結構、途中で心が折れそうになるというか、そういう時にこれが使えるなという実感が持てるとそれからまたエンジンが掛かってくるというのはあるので、今、在職で活かせるなというのを感じられると勉強の励みになるんじゃないかと思いますね。
ひとつ前もコンサルだったって事ですけども、今と大きく違った点とかありますか?
会計の仕事をしたいと思っても、バックグラウンドがないので、そのプロジェクトに参画することが出来なかったんですが、今は資格があるということとそれに基づいたプロジェクト経験が溜まってくれば、どんどんやりたい仕事と近い仕事に入る可能性が高くなってくるので、そこが大きく変わったかなと思います。
転職活動の時の話を聞かせてもらえますか。
転職しようと思った時は、どこというのを決めずにいました。
どこが受かるかを幅広く試していたところがあるんですけども、USCPAに受かってから、まず監査法人系のコンサルティング会社がひとつの選択肢だったのとM&Aとか再生コンサルとかの領域に行けないかというのも模索していました。
やはり中途になると3回くらい面接のステップがあって、1回目に同じ年代とかちょっと上の現場リーダークラスの人と会って、どんなことをやってきたのか、という点を中心に聞かれ、ステップ2くらいで、パートナーが出てきて、今までのキャリアの流れとか、ストーリー性を見られた気がします。
特に今まで通信の業界でやってきたのにどうして財務会計の領域なのか、という理屈を問われてくるので、自分のキャリアの一貫性というのをしっかりと準備していくのは大事なのかなと思います。
それと地頭を試すような面接は殆ど無かったですね。
新卒とか、第2新卒とかの時は結構、それがあって、バックグランドが無い分、頭の回転の速さとか、ある程度、プレッシャーをかけて答えられるかを試されることが多かったですが、キャリアを積んでからの転職活動になると今まで何をしてきて、これから何をしたいのか、そのための準備が十分で、そのストーリーに一貫性があるか、ココを聞かれて、そこに納得感があれば、次のステップに進めるのかなと思います。
今の会社への転職の際にアピールできた一番のポイントは何だと思いますか?
ひとつはプロジェクトマネージメント能力を強調して、業務プロセスを改善していく中で、お客さんとの関係性が構築できる点をアピールしたのともうひとつがコンサルティング業務をしながら、USCPAに合格するというのは凄くハードなんですね。
それをうまくタイムマネージメントしてやりきったというところを推したんですけども、そこはたまたま面接官に刺さったのかなと思います。
結構、一度休職してとか、ブランクを開けて、という人もいるので、特にコンサルティングの仕事をしながら資格を取り切ったというのは面接官へのアピールになったのかなと思いますね。
給与は変わりましたか?
そこは変わりましたね。
コンサルからコンサルへ移る方の多くは、やはり給与を上げたいからということになると思います。た
だうちの場合には、中に入ってからも評価されれば、しっかりと上がっていくんですね。逆に評価されないと下がります。半期でそれが起こってくるので、そうした意味で給与の安定性というのは他の業界と較べると低いのかもしれないですね。
今、業界全体でですが、ダイバーシティという考え方が広がってきていて、女性を増やそうと言う動きと出身国でのダイバーシティもですね。
うちにもインド出身とか、アメリカとか、オーストラリアとか、社員の多様性を高めていこうと言う取り組みがあるので、今後は特に女性が注目されていくのかなと思います。
女性は若手の方が多いですか?転職で入ってくる方もいるんですか?
いますよ。多いかというとそうでもないですが、いなくは無くて、しっかりお子さんを育てて、カムバックされる方もいますし、そういった意味での働きやすさの改善というのはうちに限らず、業界全体で力を入れているんじゃないかと思います。
コンサルティングというのは、ファームによっては忙しいから会社の半径10キロ以内に住まないといけないというのを聞いたことがあるのですが。。
自主的にやっていました(笑)
ただ大丈夫ですよ、きちんと帰れますので。ただ何が良かったって、朝、眠っていられるっていうのが、持続的に体力を保つという意味では良くて、ドアツードアで30分以内のところに常に住むようにしています。
メンバーの中に2時間掛けて通ってくる人がいるんですけども、どう見ても弱ってきちゃうんですよね(笑)
勿論、家賃はその分、高くなってしまうので、費用対効果を考えて、、ですかね。
次はこんなことしたいというのはあるのですか?
PMI(Post Merger Integration)ですね。企業を買収した後に制度を設計して、業務プロセスやシステムを整えていくという事をやる仕事なのですが、それをやってみたいと思っています。
その会計以外もですか?
私は会計オンリーで強みを作っていきたいとは思っていないので、経理財務周り中心にはなると思うのですが、それ以外でも活躍領域を広げていきたいと思っています。
それは今の会社でですか?
そうですね。
転職はあまり考えていないのですか?
年齢的なものも出てくると思うので、このままコンサルタントとして生きるのか、事業会社に移って活躍していくのか、最後の選択時期が来ているのかなと思っています。
仕事をしていて一番大変なことは何になりますか?
クライアント先の方は、コンサルタントが来るとなると凄いスキルと経験を持ったスーパーマンが来るというイメージを持たれていたりするんですね。
とは言え、自分はその領域をやったことがなかったりして、その相当な乖離があるところを埋めていかなくてはならなくて、プロジェクトに入ったら、一気にその業界に関する知識をキャッチアップしていかなくてはならないというところがおそらく、大変なところであり、面白いところなのかなと思います。
それとやはりお客さんと一緒に働いていくので、折衝の中でぶつかり合いが出てきて、例えば、本社と子会社となると利害関係が一致しないので、そこでの調整役に回されたり、ある意味、社内の悪者にされたり、スケープゴートにされたりすることがあるので、そこは大変なところかなと思います。
ただいずれにしても、お客さんとしっかりした信頼関係を築ければ、そのプロジェクトがうまくいった時の満足度も高くなるので、そこがハイリスク・ハイリターンの仕事なのかなと思います。
やはり業界の本とかは社内にあるのですか?
社内にもありますし、国会図書館とか、公共のサービスを使ってキャッチアップすることが多いですね。いちいち買ってるとキリがないので。
なかなか同じ社内の経験のある方に聞くというのは難しいんですよね。
知っている人に聞くために最低限の事を知っておくというのが重要だと思いますね。
ゼロから教えてくれるなんてことは無いわけで、「こいつ良い質問してくるな」というところまで下調べしておかないと相手にしてくれないかなと思います。
当然、社内にはナレッジがあるので、そこは最大限活用していくというのは大事かと思います。