第67回 USCPA CMレポート
実施日:2012年8月4日(土) 【Guest】 あだ名 ヒカリエさん USCPA
自己紹介
大学卒業後、販売の仕事をしていたら、ベンチャーブームが到来し、ベンチャー投資の仕事を始めた。そして、自分が立ち上げた会社の社長業をしていた。
ベンチャーブームが去り、エンロン事件、カネボウ事件が発生し、監査に対する社会的要請が高まっている中、「監査の仕事はこれから、重要になる」という話を聞いて、その公的資格CIAに興味を持った。
早速、アビタス(当時U.S.エデュケーション・ネットワーク)のCIAコースに申込み勉強開始。そして2ヶ月で合格!CIAを取った直後に監査の仕事に就いた。
経理関連もしっかりと見れるようにと、監査をしながら、アビタスでUSCPAも取得した。
Q&A
FCRPに関して詳しく教えて下さい。
決算を締めるための処理がきちんとしているかを、整備と運用という形で見ます。まず、「規程ができていますか」という整備をみる。次に、「規程通りにできていますか」という運用を見ます。もう少し具体的にいうと、固定資産、無形固定資産、債権・債務、現金、配当、退職金、のれん等、に関わる規程がきちんと整備されているかをみるんですね。次にそれらの規程に基づいて、個々の一つ一つの見積り計算というのが適正にされているかを、サンプルで、確認します。資料は、一覧表があり、それに関連する書類が個々の項目ごとにバインダーに入っています。まず、自己評価した資料を出してもらい、監査する側がそれを一つ一つ確認します。経理部長と話をして、そのあと、担当者と話をしながら、書類を確認していきます。米国会計基準で財務諸表を報告しているケースが多いのので、USCPAを勉強したメリットを強く感じました。アビタスで勉強をしたものが、そのまま経理規程になっていて、確認をするときにテキストを読み返しながら、やって行く事が出来ました。
監査って嫌がられたりしますよね?
「監査を受けることによって、どれだけBenefitがあるか」と説得することが大切ですね。「問題発生を未然に防げますよ」とか「業務の有効性と効率性が上がります」という話をして。
監査をしていて難しい部分ってどのあたりでしょうか?
監査ってやっぱり直してもらうために行いますので、報告書は、どうしても出来ていないところを書きます。監査が初めての会社だと、内部統制上の不備っていうのは意外と多いのではないでしょうか。それを、そのまま報告書に書くと「この会社は危なっかしい!」とトップが勘違いしてしまうのが怖いですね。つまり、監査は諸刃の剣で、報告書を書くときには、「内部統制上問題はあるんだけれども、それは改善していただき、事業上はフィットしている良い会社だ」と、明確に、はっきりと言うべきだと思います。
海外の会社を監査するときはどうですか?
日本人スタッフがいる場合といない場合で違っていて、いる場合には監査の際に「日本のルールに従ってください」と言えるわけですけど、現地人の社長がいる会社ではそうはいかない。その国の法律に則り、その会社が納得する監査が、普段以上に必要ですね。
以前、社長業をやっていたということですけれども、それが監査をやる上で役に立つものなのでしょうか?
そうした経験があるとなしでは監査した時の深みが違うと思います。例えば、監査項目のリストをチェックして、良い悪いを言うだけならば、経験が無くても同じような監査はできるかもしれませんが、監査って10社あると10社に対しての指摘事項が違うんですよ。監査には、ふたつの目線があると思うんです。小さな項目でも一つ一つ丁寧に見るという目線と、全体感を持ってみるという目線。この全体感が監査報告書では重要で、社長業の経験が活きてくると思います。あと経営をやっていると経営って半分以上は人事管理なんですよ。監査ということになった場合に、きちんと人の事を掌握していますか、人の気持ちをきちんと理解できますか、雇用契約に基づいてやっていますか、という事をきちんと見られるかどうかっていうのは、そういった経験がある人のほうが納得感のあるような監査になるだろうと思います。
国内で大きな会社のコーポレートガバナンスの問題が出たりしましたが、それは内部統制がきちんとしていれば、防げたものなのか、それともマネージメントが関与している不正なので、内部監査がどんなにきちんとしていても防げなかったのか、どう思われますか?
ん~両方だと思いますね。ある程度、必要なものを内部統制の仕組みに入れて、防ぐ。マネージメントはコーポレートガバナンスの原則に基づく思想でやってくれる人を据える。両輪でしょうね。それでも、不正が起こってしまうと、この両方を強化していくのではないでしょうか。
業務監査する人の中には、もともと会計監査の会社にいたひともいるんでしょうか?
どの会社も、会計監査法人から来た人は少ないのではないでしょうか。それでも二通りあって、入社してから退職まで監査だけする人を育成していく会社もあるし、営業なり、経営管理をした人が、監査を数年行って、再度、営業に戻るという会社もありますね。
話を伺っているとまさに監査法人がやるような詳細なテストを行なっていると思ったので、もともと監査法人にいた方が在籍しているのかなと思ったのですが。
たぶん、監査をするにあたってのノウハウを自社で蓄積をしていく必要性が高く、自社の状況をよく知って、PDCAを回しながら方法を編み出していく人が今は求められているからかもしれません。
問題が見つかっても、重要度によっては今回は報告しないというようなことはあるのでしょうか?
治すべきだと思ったら、指摘するでしょうね。
経営方針に関する指摘は、度を越えた指摘なのか、あるいは必然なのでしょうか?
難しいですね。経営方針に関しては、極力言わないほうが良いんじゃないかと言う意見もありますね。執行している方への敬意が大切ですから。
CPAの勉強はどのくらいで終えられたんですか?
忙しかったので、2年くらいですかね。当時は渡米しなくては行けなかったので、最初2科目受けたのですが、1科目落としました。その後は、1科目ずつ受験しに行きました。
「これだけ高い航空運賃を払って、1科目しか受けないのだから、受かるしかない」、と自分に言い聞かせて受けていました(笑)。そして、やっぱり合格するとそれなりの知識がつくなと思います。合格できるくらいまでのレベル感というか、そこまでやって身につけたものは、仕事で何か問題が出た時に勉強したことに戻れます。「頼りになる専門家が自分の中にいる」、そんな感じですね。なので、本当にやってよかったなというのが実感です。
是非、皆さんも頑張って合格して下さい。
以上です。
事業会社などの企業に属して、監査を行なうのと、監査法人に属して、行なう監査の違いってどの程度あるのだろう?と思っていましたが、ほとんど同じように行なうどころか、内部をよく知っているのと色々な制約がない分、厳しく行われているという話を聞いて、驚きとともに感心しました。
今の時代、どの企業もコンプライアンスを意識し、自らを律して行かないことには、顧客が離れていきますし、当然、新たに得ることは難しくなってくるのだという事を感じた次第です。私も色々と勉強になりました。
ゲストのヒカリエさん、有難うございました!!
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