就活をしないで、アルバイトをしながらUSCPA合格を目指しました。


第52回 USCPA CMレポート

【Guest】 リューさん USCPA

まずはゲストの自己紹介。

大学生時代、特にやりたい仕事のアイデイアもないままこのまま普通に就職活動をして会社員となることに「本当にそれでいいのか?」という疑問があった。

身が入らないままとりあえず就活してみるもそうそう上手く行くはずもなく悶々としていた時にUSCPAの存在を知った。すぐに講座に申込み、卒業後も就職せずにこの資格の取得をしようと決意した。

卒業後は学生時代からしていた塾の講師のアルバイトをしながらUSCPAの勉強をしていた。2科目合格して資格取得の目処がついた時点で、実務経験を積みたいと思い経理の仕事につくことを検討。

結果働いていた塾の経理部に正社員として入社することになった。経理部に入ったすぐくらいの時に残りの2科目も合格した。

日本企業だったので簿記2級も取得し、経理の実務を約1年半みっちり経験した。後にせっかくCPAを取得したので、より国際的なフィールドで仕事をしたいと思い、外資を中心として転職活動を開始。結果Big4系アドバイザリーファームでフォレンジックの仕事をすることになった。

フォレンジックは企業のリスク周り全般を見るような仕事で、不正調査や各種の規制に適合しているかどうかの調査やライセンス監査など、多岐に渡る業務を担当する。入社して3年半の間に様々な案件を担当させてもらっている。

以下、Q&Aです。

  • ゲスト
  • 参加者
  • 司会

フォレンジックのお仕事について質問です。イメージ的には法律関係のコンプラ的な仕事が多そうに見えるのですが、実際の業務はどうですか?

はい。様々な規制や法律関係の仕事が多いので、弁護士さんとの協業が結構多いです。でも自分達が担当するのはその案件の数字が関係する部分になります。なので業務的には法務系というより完全に会計系です

となると、やはり前職の経理の経験が活きていますか?

はい。活きています。恐らく経理の業務経験が認められて採用してもらえたと思います。

どんな時に経理の業務経験が活きていると感じますか?

例えば、何かの不正が起こっているとします。自分達がその不正による影響額を算出するとします。その場合会計システムからデータを抜いてきて、そのデータを分析するわけですが、経理の仕事をしていたので、会計データがどういう風に流れているかのフローがわかるんです。なのでどういう風にデータを抜けばいいかも肌感覚でわかります。経理業務のフローを見ていても危なそうなところがわかるし、そういう面でかなり活きています。

そういうフォレンジックの案件はどんなところから話が来るんですか?

ウチはBig4なので監査クライアントの案件が多いです。監査をしている中で「コレ、ヤバくない?」みたいな部分が出てきて、財務諸表監査の枠を超えた調査が必要な場合にフォレンジックチームが入ります。この場合は監査法人が請けている監査業務の中に入る形になるのでFeeはさほど多くはないです。

逆に監査クライアントではなくて、法律事務所から来る案件は独立した不正調査業務なので大きな案件になります。企業で何か事件があると、だいたい最初に法律事務所に相談がいくのですが、その中で数字的な部分についてはウチのようなところに依頼されます。

不正調査って証拠となるデータが命だと思うんですが、データの入手方法はどんな方法を使うんですか?

クライアンの了解があれば、クライアントの所有物(PCや携帯)は使用者には黙って調査することができます。社員がいなくなった夜中にオフィスに入って、ターゲットとなる人のPCデータを抜いてくるなどして入手します。

そうやって調査に入った場合、かなりの確立で不正が見つかるものですか?

いや、最近はそうでもありません。Gmailを使っていたり個人の携帯を使っていたりする場合が増えてきたので、そういう場合はなかなか発見できなかったりもします。最近はそのデータが企業のものなのか個人のものなのかという区分がごちゃ混ぜになってきているので尚更難しくなってきています。

入手したデータは膨大な量だと思いますけど、どうやってそれらを調査するんですか?

量を減らしつつ、不正との関連性は増やしていくというアプローチを取ります。例えば様々なキーワードで元データを検索してみて、ヒット数が多すぎる場合は別のキーワードや復習のキーワードを試して絞り込んでいきます。だいたいヒット数が200以内になるまでデータを絞り込みます。それからは自分の目で丁寧に見て調査していく感じです。

そういったデータを分析するツールは結構あるんですか?

はい。欧米はフォレンジック先進国なので、様々なフォレンジックツールがあります。自分達はその中で日本語でも使用できるツールを選んで使っています。

データを入手してから結果を出すまでに、だいたいどれくらいの時間をかけるんですか?

案件にもよりますが、今は日曜日にデータを入手したら水曜日には怪しいメールなどのデータを出せるようになりました。昨年シカゴにフォレンジックの研修に行って新しいツールの使い方をマスターしてきたのですが、そのツールを使うことでこのように数日で結果を出せるようになりました。

速く出すっていうのは大事なんですか?

はい。速報性はとても大事だと思います。クライアントが時間をかけてもなかなか発見できないような事を、自分達が短時間で発見して結果を出せた時に、クライアントに価値を提供できているんだと思います。

例えば、調査した結果白だと報告した容疑者が、後々黒だったとわかった時などは責任を追求されたりするんですか?

いえ。そういう仕事の請け方はしません。Agreed uponで請けるので、「こういう範囲の調査をして、その調査結果を出す」という事しか約束しません。その人が白か黒かという判断やAssuranceは一切提供しないスタイルになります。

不正が発覚した場合、その人はその後どんな感じになっていくものですか?

不正が発覚している段階で、だいたい当人は謹慎処分になっていて会社に来ていません。後に解雇とかいう事になるのだと思います。また、企業側として大事なのは「他に共謀者がいないか?」と「他にも同じスキームの不正が起きていないかどうか?」なので、自分達はその調査を担当することがありあす。この場合は対象者は会社に来ているので気づかれないように(気づかれたら証拠隠滅されてしまうので)水面下で調査を進めていきます。

探偵のようなことをする時もあるんですか?

以前ある人の尾行も含めた調査の依頼が来たこともありましたが、ウチはそれは断りました。やはりBig4としての業務なので会計周りを中心に担当するので、その辺は請けない方針なのだと思います。

今のチームの人数や構成はどんな感じですか?

フォレンジックチームは9名前後です。メンバーは経理・内部監査・監査を経験してきた人達です。ただ、みんな何らかの業務を担当していたりするので、事件が起きた時にみんながすぐにその事件に入れるわけではありません。事件が起きたらフォレンジックチームの誰かが担当し、その人を中心として監査法人やBig4の海外事務所から助っ人がやってきて業務を進めるケースがあります。独立系のファームだとこういう事ができないと思いますが、Big4だといつでも人をかき集められるので、そこはBig4系の強さだと思います。

今後もずっとフォレンジックをやっていこうと思っていますか?

いえ、実はそうでもないんです(笑)。フォレンジックに限らずですが、コンサル的な立場で外部からクライアントに入っていく業務よりも、企業内で業務をする方をそろそろやっていきたいなぁという気持ちになってきているんです。

どんな展開を考えていますか?

将来的には事業会社内で、経営に関する数字の部分を全部担当できるような立場になりたいと思っています。シンプルに言うとCFO的な立場になるんですが、さほど大きい企業でなくてもいいんです。小さな企業でも、自分がビジネスに直接関われるような立場の仕事をしたいと考えています。

すると、次は小さめの企業への転職を考えたりしているのですか?

いえ、まずはシステマティックな業務の基礎を経験できる外資の大手を考えています。そこでエスタブリッシュされた業務の流れを自分の中に叩きこんで、その後次のステップに進もうかと考えています。あと10年くらいかけて自分の実力を育てていこうと思っています。


以上です。
その他、不正調査中(ここでは言えない)エグい話や、自分だけ就職しないでCPA受験に励んでいた時の孤独感や不安感の話など、とても興味深い話を色々としてくれました。ゲストのリュウさん、ありがとうございました。

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