第147回 USCPA CMレポート ~会計初心者からのキャリアチェンジ特集(事業会社での経理)!
実施日: 2018年8月25日(土)
【Guest】 ワッピーさん
USCPAゲスト紹介
ワッピーさん (男性) USCPA
大学卒業後、グローバル日系メーカーに就職し、営業職を10年以上経験。
クライアントは主に日系企業、且つメーカーの営業であったため、英語も会計も使う機会は全く無かったが、将来的にグローバルに活躍したい、また自身の専門性を持ちたいという思いから、USCPAの勉強を開始。
勉強開始から2年後、USCPAに合格し、同社経理部へ異動。
経理部では主に単体決算・国際税務を経験。現在に至る。
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- 参加者
- 司会
Q&A
英語に関して、日本において英語はそんなに希少価値はないのかというところで、結構見渡すとできない人が多いなと、自分も含めてですが、そう思います。そこら辺はどうでしょうか?
確かに全体的に英語ができる人はそんなに多くはないと思います。ただ、グローバルメーカーに勤めていると、若手を中心に、英語ができる人は多いと思います。また、そういう人を優先的に採っているという背景も、もちろんあるとは思います。なので、例えばマーケティング部門に所属している人たちは、比較的英語ができる人が多いというふうには思いますね。
なので、マーケティング部門に所属していれば、恐らく英語ができることは必須になるのかなというふうに思います。但し、できるレベルというのは確かにあって、私が担当している仕事ですと、英語を使うのは、基本的にはメールが中心です。稀に電話会議のようなものが開催されて、英語を話す場というのはありますけれども、基本的には英語の読み書きがある程度できれば、経理部門では比較的できるレベルという認識でいいのかなと思います。
ちょっと脱線しますが、経理部門だと「英語ができる」というだけで重宝されると思います。なぜかと言うと、経理もできて英語ができる人材というのは、今はすごく足りないと思うんですね。最近海外とのやり取りが出来る人材が必要になってきたが、圧倒的に英語ができる人が足りないし、なんとかそこをかき集めようと必死で、人材の取り合いにはなっていると思いますね。
英語ができて、ある程度会計もできるとなると、転職の市場でもかなり有利だと思います。私は転職しようと思っているわけではないですが、募集条項などを見てみると、例えばマーケティング担当者の募集必須条項は、多くが「英語ができる人」というような書かれ方がされています。ただ、会計分野の経理担当者は、必須ではなく「英語ができる人歓迎」です。それぐらいの差があって、実はそういう人たちは、今後はもっと需要が出てくると思いますね。
営業の時に培ったキャリアというのも、今の部署で何らかの形で生かせる部分はありますか?それと今後は経理というので、会社の中でどのようなキャリアを積んでいきたいのかなというのをお伺いできればと思います。
今後のキャリアという点に関しては、営業時代にプロジェクトに携わった経験を活かして、経理の立場からプロジェクトの最初の段階から携わっていけるような、いわばCFOのような戦略的な立ち位置の仕事をしてみたいというのが当初の目標でした。
ただ、今担当している国際税務が非常に楽しいので、もう少し国際税務の分野をしっかり深掘りして学んでいきたいと思います。その上でチャンスがあれば、海外の支店、子会社、統括拠点というような所に行ってビジネスをやっていきたいという希望を今は持っています。
社内で「USCPAを取ったから、希望の部署に行きたい」というふうにおっしゃられて、社内的にUSCPAというのは、結構認知度といいますか、取ったことに対して、どのような評価だったのでしょうか?
営業部門はあまり関心はないですね。ただ、経理部門でいうと、取りあえず英語ができる人だと評価されると思います。
国際税務という分野は、イメージとして、だいたい何人ぐらいで会社は回されていると思いますか?
御社は大きな会社だと思うので、1国につき、例えばアメリカだったら3人で、全部合わせると20人ぐらいですか。
実は多くの日本企業は2~3人で実施しており、人が足りません。もともと税務の分野というのは、日本企業の考え方としては、事務作業という認識だったんですよね。ただ、税務の考え方というのは、今ちょうど変わろうとしています。それに対し、欧米の企業はもう少し税務というのをコストという認識として捉えているので、彼らは結構アグレッシブに税務コストを削減できる方策を考えてきます。
実はそれが今は国際的にものすごく問題になっています。
欧米企業を中心に、あくまで合法ではあるのですが、各国の税制の違い等を分析して、節税をしてくるので、対抗策としてOECDがそのBEPSというプロジェクトを立ち上げて、「しっかりと価値創造が行われている場所で税金をきちんと納めなさい」という考え方が出てきました。そのプロジェクトの一つとして、各グループ会社のビジネス、商流、また各会社の機能を文書化することが始まりました。
そのような流れもあって、日系企業も、税金は事務作業という話ではなくて、しっかりと税務リスクをきちんと管理していかないといけないというような考え方に今は立っているところですが、何しろ人がいないというのが現状です。私も昨年度BEPSプロジェクトに携わりましたが、まずは各国の税務担当者に、税務の情報、各会社の機能、商流がどうなっているのかというようなことを全部聞いて回って、文書化をしました。
税務の世界もそうですが、海外の子会社管理に関しても、日本企業も従来の現地任せではなく、きちんと本社主導で管理をしなければいけないという話になっています。だから、経理機能の人材を増やさなければいけないという話になっているのですが、何しろ人が足りないですし、特に英語ができる人も足りないので、恐らく資格を取っていただければ、ものすごく需要は今は高いのではないかなというふうに思いますね。
今の部署というのは、そもそも何という部署名で、だいたいどのぐらいの人員がいらっしゃるのですか?
仕事量や業務量的にも大変ですか?
人が欲しいというのは、目標はだいたい何人ぐらいですか?
居れば居るほどいいのではないですかね。というのも、経理部門は、もう少し戦略的な方向へシフトするのが、今の課題だと思います。ただ、実際のところ既存の業務で時間を取られてしまって、なかなか戦略のほうに人を割けないというのが実情ではあります。また、今の時代は、とにかく戦略も何もやって、長時間働かせればいいというような時代でもないので、ワーク・ライフ・バランスも含めて考えていくと、やはり人が必要だという話になります。
それに対して、今は人材の確保という面でも、突然経理が欲しいからといって、経理を知らない人が突然経理に来るわけにもいかないでしょうから、難しいです。
他の会社の経理の人たちと会って、話をする機会もありましたが、どの会社でも国際税務の分野で人が足りないという話になっています。
結構経理や会計などというのは、今後はシステム化で人を減らしていくのかというイメージがあったのですが、今はそうやって逆に求められている分野や知識というのは、国際税務や戦略的な会計という所なのですか?
そうですね。例えば会計も、通常のルーチンワークというようなものというのは、どんどん自動化していくことが、今の経理業界で課題になっています。
なので、今後の経理機能に求められる事は、事業分野の管理等、戦略的な役割を、きちんと経理の知見も交えて考えることだと思います。税務の世界でも、タックスプランニングのような所をどうするのかというような戦略的なところに、人を出していかなければいけないと思います。
勉強されている時期は、周りの同僚の方は、USCPAを勉強しているというのを知っていましたか?
では、やはりゆくゆくはキャリアとして経理の方向に行きたいというのを周りも認めているというか。
というのは、例えば、営業に関わることだったら、やっていても「すごく頑張っているな」と周りの反応はいいのかなという気はするのですが、全く違う部署にいて、「昼休みに全然違うテキストを広げるのは、あんまり見られたくないな」と。全く関係のない部署で、全く違うことをやっているのが、違うことをやって抜け駆けをしようとしているのかと、ちょっとそういう感じの雰囲気もあるのかなと思ったのですが。
確かに気になるところではありますが、多分他の人は正直あんまり気にしないですよ。たまたま私は会計という分野で勉強をして資格を取りましたけれども、もともと例えば私は営業時代にプロジェクトでいろいろな人と関わってきました。
特にSEの人たちなど、プロジェクトに携わっている優秀な人というのは、勉強をしているんですよ。当然会計の勉強をしている人はそんなにいないでしょうけれども、例えば、プロジェクト・マネージャーの資格を持っていたり、そういう資格をきちんと自己管理をしながら勉強をして取っているなど、できる人というのは自立してできる人が多いです。
そういう人たちの中にいて、逆にそういう勉強をしているという話になると、そういう意味ではお互いに認識を持っているので、「それだったらぜひ頑張りなさい」となります。なので、それを否定するのであれば、別にそんな人間関係を気にすることもないと思います。
社内でのキャリアチェンジとは別に、転職のようなことは少し考えていますか?
監査法人などのアドバイザリーなどにはすごく興味がありました。特にちょうど私が受かったあたりから、どんどん募集が増えてきていて、アドバイザリー部門、特にIFRSが切り替わるということが流行った時なので、IFRSアドバイザリーの業務がどうしても人が足りないから、USCPAに合格した人も募集しているというような話もあったので、調べてはみました。
ただ実際には転職活動はしていません。何個か理由はあるのですが、一つはメーカーはワーク・ライフ・バランスが結構取れるので、家庭との両立をしながら仕事をしたいと思ったためです。
語学の面で聞きたいのですけれども。USCPAを勉強される前に、海外で生活されていたりというのはないですか?
英語の勉強はされていたのですか?
簿記2級も取得済みだったようですが、これは営業時代に取ったということですか?
営業時代ですね。入った時はTOEICも400点ぐらいしかなく、英語ができるわけでもないし、もちろん会計知識なんてないですし、IT関連のこともあまり知りませんでした。
ただ、自分の中にきちんと力がないと、自立した社会人としての生活は送れないと、営業時代から感じていました。でも、勉強をするといっても、自分に向いているものが何か、当初は分からなくて、まずは、入社後3年間の間にまずは「英語・会計・IT関連」の3つ簡単な勉強やってみようと思いました。簿記2級というのは決して簡単ではなかったですが。英語については、TOEICは600点まで頑張ってみようと思いました。
営業だったので、初級システムアドミニストレータの資格を取ってみよう、そして、自分の中でどれが合っているのかというのを考えてみようと。IT関連については、なぜか好きになれませんでした。普通は営業をやっていている人は、だいたいIT関連に興味を持つのですが、私にはその選択肢を持てなかったというのがありました。簿記2級も当初は勉強も結構大変でしたが、会計のほうが興味が持てました。
その3つを取ったのは3年の間だったということですか?
いずれにしてもそれから時間が経ってUSCPAにたどり着いたという感じですね。
5年ぐらい?
今の業務の中では、英語はメールでのやりとりが多いのですか?
メーカーさんだと、海外拠点の経理・財務部門などに日本人を置いていたりするケースも多かったりすると思いますが。
将来的に海外に出ていかされるというのは、ありそうですか?
過去に来てもらったメーカーの方で、皆さんが口を揃えて言うのは、同じ経理部の中の人間に聞いても海外に行きたがらない感じの方が多いらしいのですが、周りを見ていて、そういう傾向はありますか?
行きたくないというのは、既に行ったことのある人なのか、全く行ったことのない人なのか。
全く行ったことのない人ですね。
行ったことがある人は、また、行きたがりますよね。以前、来ていただいた方だとずっと中国に行っていた方ですが、「本当に中国は楽しかった」とおっしゃっていて、その方も「皆さんは中国に関して、特に環境面などのニュースを見て、あんまりいいイメージがないかもしれませんが全然、そんなことなくて、すごく楽しかったので、また、行きたいです」と仰ってました。
ただ、こういう所にいらっしゃっている方というのは、やはり海外志向が強いので、海外勤務したい方は多いと思いますけど、国内の日系企業の経理となってくると、それほど外に行きたがらないという傾向は強いようです。
実際に今はIFRS系のお仕事に携わっていますか?
私はどちらかというと税務の比重が大きいので、それほど頻繁にというわけではないですが、単体の決算も担当しているので、その際IFRSは絡んでいますね。ただ、連結業務のほうがIFRSと強く絡んでいるかなと思います。
多分USCPAの資格と連結の仕事は、互換性が強いかもしれないですね。ただ、USCPAというのは、すごく範囲が広いので、何かしらに関わってはいますよね。
4科目ありますが、今の業務にどういうふうに関わってきているかというのを、一つ一つ聞けますか?
FARは、もっとも関わっていますよね。会計処理をどうするかというのは、当然会計基準に則る必要がありますが、米国会計基準ではないので、若干違うところがあります。但し、米国会計基準とIFRS基準の違いは、そんなに多くはないような気がします。
REGは、基本的にはそんなに関わることはないと思いますが、国際税務に携わっていると、少しかかわります。アメリカはちょうど今、大きな税制改正が行われました。あれは、試験には反映されるのですかね?
来年から反映されます。
あとAUDはどうですか?
監査は受ける立場ですね。Auditは、私は関わったことがないですが、海外のプロジェクト等で財務諸表を見なければいけないというときに、どこにリスクがあるか、財政状態の確認、不正防止のために使うのかなと思います。
BECは、分野によっては使います。私は今どちらかというと制度会計のほうにいるので、あんまり使わないですけれどもね。
どこの分野に携わっても、何かしらの役に立つと思いますし、恐らくUSCPAの資格をきちんと取れれば、ベースはだいたい押さえられると思います。
そこの仕事における基本的なベースは押さえられていて、あとは実務上どうやって使うかというのが、当然そこはきちんと実務経験を積んでいきながらやらなければいけませんが、ベースはだいたい網羅されているのではないかと思います。
確か質問の中に、「USCPAを使えば、それがそのまま生かせますか」というような質問をいただいていたような気がしますが。
ある程度直結していると感じますか?
ただそれだけをもってもう大丈夫ですということはないですね。実務はもうちょっと細かい所の世界になってくると思いますので、USCPAというのは良くも悪くも概要だと思うんですよ。なので、概要は理解できて、あとは実務上どうやって使うかというのが、やはり実務経験をやっていきながら自分である程度調べたりしてやっていかなければいけないというのはありますね。そんなに細かい所までは勉強をしていないと思いますので。
合格後も、いろいろ制度が変わったり、政治的な関係で変わったりするということがあると思うのですが、それは自分でどんどん意識を持っていかないと時代遅れになってしまうということですか?
今後のキャリアについては先程ちょっと伺いましたけど、イメージとして、5年後、10年後などなにか思い描いているものはありますか?
取りあえずは、まだ私も異動して1年半で、まずは今の仕事をしっかりと覚えて回せるということが第一かなと思っています。特に今一番興味があるのは、国際税務の分野ですが、やはり奥深いんですよ。覚えなければいけないこともすごく多いですし、税制制度も頻繁に変わります。
ちょうど今は税務に対する考え方が変わろうとしている時でもあるので、きちんと覚えていきたいと思います。その後にチャンスがあれば、海外に駐在をして、しっかりと海外でビジネスを回せるようにしたいというのが、今の目標ですかね。
本日はありがとうございました。