第59回 USCPA CMレポート
【Guest】あだ名 Takaさん USCPA

まずはゲストの自己紹介から。
高校から大学卒業まで約8年間アメリカに留学。帰国後は就職してサラリーマンになるのがなんとなくイヤで、とりあえず日本の大学の大学院に所属し、英会話講師のアルバイトをしていた(つまりフリーター)。
後に米系大手IT企業で契約社員として働くことにした。人事とシステム開発を経験したが、英語ができたためグローバルプロジェクトにアサインされて、契約社員にも関わらず海外出張をしまくる状態でとても楽しかった。
あまりに楽しかったのでそのままその企業に正社員として入社。入社後SEの仕事から徐々にファイナンス部門に異動していって、最終的にはプライシングという仕事を担当することになった・・・。
プライシングは、大規模なアウトソースプロジェクトを受注する歳に、そのプロジェクト全体を財務分析する仕事。コストがどれくらいかかるか、入金はどういうスケジュールでもらうか などを検討し、受注できるようなスキームに持っていく。会社の上層部からも頼りにされるので、とても面白い仕事だった。この前後からファイナンスに本格的に興味を持つようになり、USCPAを目指すようになった。
プライシングの仕事を約3年経験し、CPAに合格した後で別の米系企業に転職。プライシングの経験が買われ、同じ仕事内容でManagerとして入社した。
転職して2年後、前職と合わせてプライシングの仕事を5年間やったところで、自分の仕事領域を広げたいと思って転職。米系大手電機メーカーのコントローラーとして入社した。
経理の経験が一度も無い中でコントローラーとなったが、学ぶことがたくさんあり、とてもいい経験をさせてもらっている。
以下、Q&Aです。
現在のコントローラーの業務の内容を教えてもらえますか?
ルーティンとしては、毎月のReconciliation、四半期のレビューなどの会計業務がありますが、それらは基本的に部下(2名)がやっています。
自分はルーティンではない業務の方に時間を使っています。営業部門と協力して様々なプロジェクトを走らせたり、新しいスキームでのベンダーとの契約をまとめたり そういう事の方に時間を使っています。
ルーティンではない仕事が多いという事ですが、どのように職務の範囲が決まっているんですか?
実を言うと、未だに自分の責任範囲がしっかり決まっていないんですよ(笑)。この件に関してはシンガポール、この件に関しては中国など、業務によってレポートラインがバラバラで、上司も世界中にたくさんいる感じなんです。なので人から指示されて動くというより、必要だと思う仕事に対して自分から動いていく感じです。
コントローラー業務の中で、前職や前々職の経験が活きていると思うのはどんなところですか?
コミュニケーションスキルですね。特に営業との。一般的にファイナンスと営業って犬猿の仲の事が多いじゃないですか。営業は経理のことを『ルールでガチガチに縛られてて融通が効かない』と思っているし、経理は営業のことを『ルールを全然理解していない』と思っている。でも本当は両方が協力し合わないと、できる仕事もできなくなってしまうんですよ。前職と前前職で営業と密にコミュニケーションを取ってファイナンスの立場から仕事を作っていくような事をしてきたので、そのスキルが今とても役だっています。
そのコミュニケーションって具体的にどういう風にしているんですか?
営業は仕事を取りたいから、多少会計的にイレギュラーな事でも仕事を取るためだったらやりたがるものなんです。でもそれは彼らが悪いワケではないんですよ。会計のことがわからないだけなんです。だから、会計的にこれはダメだけど、こういう方法ならOKかもしれないという事を考えてあげるようにしないといけないんです。会計がわかっているのはこっちなんだから、こっちが考えてあげないといけませんよね。
会計的にビミョーなのって、具体的にどんな事ですか?
一番多いのがRevenue recognitionに関する事です。長期のプロジェクトなのに受注時に一気に売上を計上したいとか。もちろんそのままだとNGですが、契約のスキームを変える事でそれに近い状況に持っていけたりもするんです。そういうのをこっちで考えて提案してあげるととても信頼されます。
それはかなり信頼されそうですね。信頼されると仕事もやりやすいでしょうね。
そうなんですよ。犬猿の仲のままだと、営業はヤバイ話はギリギリまでファイナンスに言わないし、そうなると問題が大きくなって結局最後は両方大変な思いをしてしまうんです。信頼されていると『君だから相談するんだけど、実はさ・・』みたいな感じで始めの段階で相談してもらえます。そうすれば打てる手もたくさん出てくるし、本当にヤバイものは事前に防げます。ファインスとしての役割を果たすには、営業に信頼されているというのはとても大事な事だと思います。
日常の経理業務の経験が無い中でコントローラーをいきなりやるのは大変じゃなかったですか?
大変でした。でもやっぱりCPAの勉強をしていたから、未経験の事でもだいたい想像が付くので良かったです。USGAAPはもちろんだけど、監査もどんな点をケアしていれば大丈夫か想像かつきます。USCPAで幅広く勉強した事が今とっても役だっています。
仮にやれるとしても、未経験だとなかなかコントローラーとして採用してもらえなくないですか?
そうですね。なかなか難しいです。僕の場合経理未経験というのもあったし、今までプライシングというスペシャリスト的な仕事をしていたから、管理者として部下を持ったことが無いのもネックでした。今回の転職ではかなりたくさんの会社を受けましたが、殆どのところで断られました。
今の会社はどうして入れたと思いますか?
“営業とのコミュニケーション”というのがカギだったと思います。アメリカでは超大手ですが、日本の規模は今はそんなに大きくない会社なので、営業と一緒にビジネスを伸ばしていけるような人が求められていたんです。あとは英語力ですかね。面接は上司となるインド人だったんですが、インド人の英語も慣れていたのでいいコミュニケーションがとれました。それも採用してもらえた決め手だと思います。あと、やっぱりUSCPAを持っていたので良かったです。もしUSCPAを持っていなかったら採用されることはなかったと思います。
転職する歳に、『この案件は受けてみようかな』という判断基準はありますか?
僕は今まで辞めたくて転職したことがないので、基本的に条件が悪くなるような転職は考えませんでした。今と同じか良くなるかじゃないと受けませんでした。あとは仕事内容ですね。いくらお金が良くても、ルーティンの経理業務などは僕には合わないので、面白みを感じられそうな仕事を選んでいました。
転職活動時に工夫したこととかはありますか?
エージェントの人を自分で選んで付き合っていました。コミュニケーション能力があってしっかりしているエージェントの人にはいい案件が入ってきます。採用企業側からも信頼されているからでしょうね。そこら中に出回っている案件は効率が悪いので、案件をたくさんの人にばらまいているようなエージェントの人とは付き合わないようにしていました。
前職は2年間だったとの事ですが、短めですよね。
はい。前職は入って1年働いた段階で、転職しようと思って動き出しました。仕事は楽しかったんですが、その先に面白そうなポジションが無かったんです。数年頑張ってポジションを上げることはできますが、上がったとしても同じ仕事です。入って中を見てみてそれがわかったので、すぐに転職を決意しました。
今後はどういう方向を目指していますか?
CFOを目指しています。経理自体は今でもキライなんですが、ファイナンスという立場から経営に関わったり会社を動かしていくというのは本当に面白いと思うんです。
前職も今の仕事も面白いみたいだし、かなり充実していますね。
楽しい仕事を見つけるのって、凄く大事なことだと思うんです。やってみないとわからないんですけど、やったらハマる事ってあるんですよ。楽しいと感じて仕事していると、夢中になってやるから気がついたらかなり成長していたりするんです。だから自分を成長させるためにも、楽しい仕事を見つけることが大事だと思うんです。あと、楽しくないと思ったら早めに辞めることも大事だと思います。時間がもったいないですからね。
以上です。
その他、USCPA受験勉強時の話や、今取り組んでいる秘密の案件の話などで大いに盛り上がりました。ゲストのTakaさん、ありがとうございました。
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